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Valerie Straussは
ゲイツ財団がCommon Core Standardの実施に向けて
どこの関係団体に、どれだけのカネを、
グラントとしてばらまいているかを調べあげて、
以下の記事に詳細なリストとして掲載し、

http://www.washingtonpost.com/blogs/answer-sheet/wp/2013/05/12/gates-gives-150-million-in-grants-for-common-core-standards/

次のように問うている。

You can see how invested the Gates Foundation is in the success of the Common Core. What kind of Core support do these grants buy from the organizations that receive them?

ゲイツ財団がCommon Coreを実現させるために
どのように投資したかが見て取れる。

こうしたグラントが、それを受け取った団体から買うCommon Core 支持とは、
一体どういう性格のものなのか?


ずらりと並んだグラント一覧を見て、
まず頭に浮かぶのは、

へぇぇ。
教育部門にこれだけの莫大なカネを投入できるんだぁ……。

……てことは、
科学とテクノの分野には、さらに、これどころではない、
こんなのメじゃないくらいのものすごい金額が流れ込んでいるわけで……。

そのことに関しては、このブログにもエントリーはいくつもある。

例えば、これ ↓
ゲイツ財団がインドでもくろんでいるのはワクチン普及だけでなくGM農業改革も(2011/4/16)

その中の、例えば、この部分 ↓

ゲイツ財団がカネを通じて
国際機関や医療系の研究所に影響力を行使していることによって、
科学者から多様な意見が出なくなり、国際機関の方針決定のプロセスにも影響して
意思決定プロセスが閉鎖的なものとなって透明性を失っている、と。

今年1月、
平等な医療を訴える草の根団体 the People’s Health MomentがWHOに提出した要望書で、
イノベーションや知的財産権、国連のミレニアム・ゴールと同時に、
WHOの、ゲイツ財団を中心とした私的な財源への依存体質が問題視されているそうだ。

そうした依存がひいてはWHOの
薬物、診断技術その他のテクノロジーによる簡単解決への傾斜を招き、
健康に対する社会要因への対応資金は大きく削られることとなった、
そして、ワクチン推進への巨大な勢力とも結びついていると、Hair氏は指摘する。


ちなみに、こちらの記事によると、
ビル・ゲイツがもしも国家だったとしたら、
世界で37番目にお金持ちの国なんだとか―― ↓
http://www.policymic.com/articles/45397/10-ridiculous-facts-about-how-rich-bill-gates-is

ひとりの個人や、その個人の財団に、
それほどの富が集中した世界が既に実現してしまっているということを考えると、
それは、たいそう恐ろしい事態ではないんだろうか。

それに反比例するように、各国政府も各種国際機関も
どんどんと深刻な資金難に追い込まれて、機能することが困難になっていくわけだし。

最近は、また、バフェットとかスリムなど
世界の長者NO2、NO3とかのスーパーリッチたちが
金をゲイツ財団の元に一極集中させ始めてもいるようなのだけれど↓

慈善資本主義に新たなネーミング、「人道帝国主義」:インドのポリオ“撲滅”の裏側(2013/6/11)
慈善資本主義の“マッチポンプ”なカラクリ(2013/6/11)


【関連エントリー】
慈善資本主義(2008/4/13)
ゲイツ氏、今度は世界の外交施策にも口を出すつもり?(2008/8/27)
世界中の研究機関に流れていくゲイツ財団のお金(2008/8/28)
ゲイツ財団の私的研究機関が途上国の医療支援の財布を管理しようとしている(2009/6/20)
ゲイツ財団の慈善ネオリベ医療グローバリズム賛歌(2009/6/20)
「これからはワクチンが儲かりまっせぇ」の陰には、やっぱりゲイツ財団が……(2009/11/20)
ゲイツ財団が「この国の官僚は役立たずだから」と中国で“エイズ検査でゼニあげるよ”キャンペーン(2009/12/15)


2013.06.18 / Top↑
実は、昨日のエントリーで紹介したStraussの記事は、
こちらの記事を見つけた時に一緒にくっついてきたオマケ。

オマケがいかにも鋭く、面白かったものだから、
腰を据えて本命記事を読む覚悟を先延ばしにしたい気持ちも手伝って、
つい、そちらを先にエントリーにしてしまいました。

――ということで一夜あけて、こちらが本命記事。

Teachers’ letters to Bill Gates
Valerie Strauss, June 14, 2013


Strauss記者の鋭さは
冒頭2つのパラグラフに詰め込まれていて、
読むなり、ヤンヤと喝さいしたい気分だったので、

その部分を丸ごと、以下に。

ビル・ゲイツは、
自分の好みの事業に何十億ドルもの私財をほいほい投入するものだから、
現代学校改革運動の中心人物となっている。

例えば、大規模校を解体して小規模校のネットワークを作ろうと20億ドルをはたいた。
しかし、うまく行っていないと判断するやボツにした。

ビル・ゲイツとゲイツ財団は、
異論の多い教師評価システムを開発するという実験に何億ドルも投入し、

今も米国中のあらゆる教師の授業をビデオ撮影して
仕事ぶりを評価するプロジェクトを推進している。
さらに、自分が主導する全国統一テストキャンペーン
(the Common Core State Standards Initiative)に少なくとも一億5000万ドル、
やはり評判の悪い生徒のデータベース構築にも1億ドル、
その他もあるけれど、このくらいで事態は掴めるだろう。

ゲイツのカネは学校改革の行方に深くかかわっているのである。

もちろん、ゲイツからの支援を歓迎する改革推進派もいれば、
批判する人たちもいる。

後者は、一市民がたまたま金を持っているからというだけで、
どうして教育方針にこれほどの影響力を持てるのだろう、と、いぶかる人たちだ。

ゲイツのプロジェクトは、何らかの研究によって
効果が検証されているわけでもないのに、と。


そこでStraussが紹介するのが
このほど新しく立ち上げられたウェブ・サイト、Teachers’ Letters to Bill Gates。

異論のある先生たちが皆でこのサイトで
ゲイツ夫妻に宛てた手紙を書こう、という趣旨。

記事のコメント欄でのやり取りによると、
管理者はNY市の教師のようです。

サイトの趣旨説明もまた
ゲイツ夫妻への手紙の形式で書かれているのだけれど、
それが実に問題の本質をズバリと突いていてアッパレなので、全文を以下に。
(なおゴチックは、どちらの引用でも、強い共感の意を込めてspitzibara)


親愛なるビル&メリンダ

私たちは、公教育という非常に広範な話題について、米国のみならず世界中の学校教師と対話しましょう、と、お2人をお誘いします。

これまで指摘されてきませんでしたが、おふたりは巨大な資産と権力を使って、公立学校の教育者、管理・行政職、保護者、生徒、地域住民など我が国また世界中の多くの人々の声を聞くという本来あるべき民主的なプロセスを経ることなく、教育という名の法人改革を創出してこられました。

お忙しいスケジュールの中で時間をとってくださり、我々の数々の手紙にお返事をいただければ幸いです。読者の方々にも、ゲイツ夫妻への手紙を書いてくださるよう呼びかけます。我々はご夫妻と読者の双方が対話に参加できるよう、それらをこのブログのエントリーとして掲載し、ここに民主的なプロセスのアーカイブをこしらえていきます。

敬意を失うことなく対話に参加しつつ、しかしお2人の方針が私たちの生徒の生活や私たち自身の職業や日常生活、私たちの学校や地域に影響する以上、その方針への反対意見はきちんと述べられるような、そんな対話がここでは可能だとお2人に感じていただければ、と考えております。

私たちはあまりにも長く声を封じられてきました。積もり積もった感情を語らなければならない人もいます。読者にも、この対話に参加するよう呼びかけます。そして、最終的にそれが公教育全体のためになれば、と考えます。


果敢にこの声を挙げた米国の先生たちに、心からの拍手を――。

米国の教育以外でも
民主的なプロセスを奪われたまま
スーパーリッチの恣意的な介入に晒されている、
途上国の子どもを含む多くの人々のことを思いつつ――。

そして、

一見、民主的なプロセスを経て決まったように見えるだけで、
本当はグローバル強欲ひとでなしネオリベ金融慈善資本主義が席巻する世界で、
同じことが私やあなたや私たちの子どもたちにも起こっている可能性にも
同時に思いをはせつつ――。



【関連エントリー】
ゲイツ財団の米国公教育コントロール 1(2011/5/2)
ゲイツ財団の米国公教育コントロール 2(2011/5/2)
「生徒に生体データ・ブレスレットつけさせ教師の技量を評価」研究に、ゲイツ財団から100万ドル(2012/6/19)
デジタル思考の成果主義に染められていく米国の公教育改革(2013/2/20)
ビル・ゲイツの慈善にも説明責任を突きつける教師ブロガ―(2013/4/24)
2013.06.18 / Top↑
WPで教育問題について書いているValerie Straussという記者さん、
辛辣だけど視点が面白いなー……と、前から思っていたんだけど、

今回の記事のタイトルは
「今年、学校が禁止したヘンなもの、8ケ」

1. フリルのついたソックス
英国の小学校で、やたらと長いフリルのついた靴下に
躓いてこけた子どもがいたから。

2. 3角形にカットしたフラップジャック(クッキーの一種)
英国の学校のカフェテリアが3角形にカットしたフラップジャックを
子どもが別の子どもに投げて目に当たったため、
フラップジャックは四角形に切ることに。

フラップジャックの写真はこちらに ↓
http://www.independent.co.uk/news/uk/home-news/school-in-essex-bans-triangle-shaped-flapjacks-after-pupil-is-hurt-8548084.html

3. ドッジボール(NH州)
「人を的にする」ゲームはイジメに繋がるから。

4. 大人が子どもをハグすること(St. Mary’s Countyの公立学校)
保護者は我が子以外の子どもをハグしたり身体に触れてはいけません。

5. レディ・ガガなど19の楽曲をプロムで禁止(南カリフォルニアの高校)
学校の「女性の健康と女性問題クラブ」が女性蔑視とみなしたため。

6. レギンズ(CA州の中学校)
レギンズをはいた女の子が前かがみになると生地がひっぱられて
「授業の集中を妨げる」から。
他にもいくつかの州でレギンズを禁止。

7. お誕生日会への招待(これもSt. Mary’s County の公立学校)
招待されなかった子どもが傷つかないように。

8. 卒業アルバムへの妊婦姿の写真掲載(MI州の高校)
生徒によくないメッセージを送ることになるから。

Eight weird things schools banned this year
Valerie Strauss
WP, June 14, 2013



【関連エントリー】
「子どもがひとりで遊べない国、アメリカ」から「メディカル・コントロールの世界」へ(2011/12/20)
「子どもがひとりで遊べない」世界から、人が「能力」と「機能」の集合体でしかない未来へ?(2011/12/21)
授業中にケンカをすればスクール・ポリスがやってくる。そして逮捕。(TX)(2012/1/12)


【Valerie Straussの記事を紹介したエントリー】
「生徒に生体データ・ブレスレット付けさせ教師の技量を評価」研究に、ゲイツ財団から100万ドル(2012/6/19)
2013.06.18 / Top↑
前のエントリーで紹介したNJPの3月の記事の流れで、
6月7日付の記事『ビル・ゲイツ、ビッグ・ファーマ、まやかしの慈善』。

グローバルな人口抑制策に関与しているという陰謀説はともかく、
アフリカを中心とした途上国で先進国が行ってきた同意なき人体実験の歴史には
IMF―世銀―WTOの国際カルテルも関わり、もはやビッグ・ファーマのみならず
資本主義経済そのものが貧困層の搾取を基盤としている、と。

ビル・ゲイツは2006年6月にマイクロソフトを退く際から
何度かに渡って同社の株を売却しながら、以下の企業に投資してきた。

Walmart, Coca Cola, McDonalds, British Petroleum, Toyota,
Nimbus Discovery, Foundation Medicine

しかし、2006年にMS社を退いた時の真っ先の投資先は、Glaxo Smith Klineだった。
それ以前にも2002年にはEli Lilly(プロザックの製造元)250万株。この時、MerckとPfizerにも投資。
2002年5月17日にはJ&Jその他のビッグ・ファーマ9社に2憶500万ドル相当を投資。

As an investor in Merck & Co., Pfizer Inc., Johnson & Johnson and others, the Gates foundation shares financial interests with the makers of AIDS drugs, diagnostic tools, vaccines and other drugs.

メルク、ファイザー、J&J社その他への投資家として、ゲイツ財団はエイズの治療薬、診断ツール、ワクチンその他の薬のメーカーと金銭上の利益を同じくしている。


最近では、ウォーレン・バフェットがBerkshire Hathaway社の株を大量に
ゲイツ財団に寄付するなど、世界中のスーパーリッチの富がゲイツ財団に集められて、
同財団の掛け声によってポリオやマラリア撲滅につぎ込まれているが、

これまでの調査研究から
これらの感染防止への最適な方法は教育と生活水準の向上であることが明らかとなっており、
実際にエリトリアでは防虫剤を塗布した蚊帳の無料配布や
地域の診療所の整備などを通じてマラリアを80%も抑え、

公衆衛生でマラリア死8割減のエリトリアから「製薬会社株主ビル・ゲイツのワクチン開発」批判(2011/8/2)

またエリトリアでは、
エイズ感染も性教育とコンドーム配布によってここ10年で40%も減じたにもかかわらず、
世界中のメディアがこれらについて報道することない。

Bill Gates is a pretty smart guy. So why did he embark on a massive vaccination campaign when the same funds could have been invested in genuinely sustainable community-development and public-health programs? Because that does not make money.

ビル・ゲイツは頭のいい男である。その彼が、同じカネを真に持続可能な地域開発と公衆衛生プログラムに投資もできたはずなのに、どうして大がかりなワクチン・キャンペーンに乗り出したのか? 前者は金にならないからだ。


記事はその後、グラクソが最近、Avandiaスキャンダルでの30億ドルの和解金を支払ったこと、

製薬会社資金に信頼性を失っていく治験データ……Avandiaスキャンダル(2012/11/30)

2002年にアフガニスタンの裁判で、07年から08年にかけて親の同意書を偽造して
乳児をワクチンの治験に参加させたことで有罪判決を受けたことを紹介。

マラリア・ワクチンは効果が減っていくため「失敗」だとする研究や
却ってマラリアにワクチン耐性をつけて劇症化させているとのエビデンスも多い、と。
(ただし情報源は示されていない)

ポリオについては前エントリーで紹介した3月の別記事と同じく
先進国では禁じられている活性ワクチンが途上国では使われていることや
インドでの「撲滅」の裏でNPAFPが増加していることが指摘されている。

さらにゲイツ財団がグローバル・ヘルスへの貢献を謳いながら
マクドナルドやコカコーラに投資していることの怪を指摘。

ゲイツ財団がコークとマックに投資することの怪、そこから見えてくるもの(2011/3/9)

この記事の結論は以下のパラグラフと思われ、これもまた当ブログが指摘してきた通り。

The Bill & Melinda Gates “Foundation” is essentially a huge tax-avoidance scheme for enormously-wealthy capitalists who have made billions from exploiting the world’s people. The foundation invests, tax free, money fr0m Gates and the “donations” from others, in the very companies in which Gates owns millions in stocks, thus guaranteeing returns through both sales as well as intellectual-property rights. To add insult to injury, the system perpetuates the spread of disease rather than aids in their eradication, thus perpetually justifying his endeavors to “eradicate” them (solving a problem they are creating).

ゲイツ財団は本質的に、世界の人々を搾取することで憶万の富を手に入れてきた、極めて富裕な資本家のための巨大な租税回避の仕組みである。

ゲイツ財団はゲイツやその他の富裕層からの「寄付」という免税された金を、ゲイツ自身が何百万ドル相当の株を所有する企業に投資することによって、売上からも知的財産権からも利益が保証されるという仕組みだ。

さらに酷いことには、こうしたシステムによって病気は撲滅に向かうどころか永続的に拡がったままとなり、彼が「撲滅」すると言い続けることに(自分が創出した問題を自分で解決することに)永続的な正当性を与えてしまう。


著者は最後に、
では、ゲイツ財団やゲイツ氏のような慈善家がいないほうが世界はベターな場所になるのか、と問い、
彼らがやっているようなまやかしではなく正直でまっとうな慈善が行われればそうなるだろう、と
書いた後で、以下のように記事を締めくくっている。

It is quite certain that if the enormous investments (or “donations”) had been focused on community-based nutrition programs, public-health programs and sustainable enterprises, the world would be better.

これらの多額の投資(「寄付」と呼ばれているが)が地域基盤の栄養改善事業や、公衆衛生事業、持続可能な試みに焦点化して使われるならば、世界はベターな場所となるだろう。


――賛成。

Bill Gates, Big Pharma, Bogus Philonathropy
News Junkie Post, June 7, 2013


で、ここ数日にも出てきているニュースとして、

① 英国が27憶ポンドを世界の飢餓救済でゲイツ財団に。
http://www.express.co.uk/news/uk/406067/Britain-and-Bill-Gates-sign-up-to-2-7bn-international-fund-to-tackle-world-hunger

② 英国が中心となって呼び掛け、G8もグローバルな飢餓の問題に多額の資金提供を約束。
http://www.ibtimes.co.uk/articles/476474/20130609/g8-hunger-summit-bill-gates-david-cameron.htm

③ EUがエイズ、結核、マラリアその他、貧困地域に広がる病気研究で、ゲイツ財団と提携。
http://www.euractiv.com/innovation-enterprise/eu-bill-gates-sign-disease-resea-news-528455


つまり、この領域でマーケット参入、国際競争への参加資格を得るためには
そういう道を選ぶしかない世界がすでに出来上がっているということなんでは?
例えば、以下のエントリーで紹介した記事が指摘していたように、
科学とテクノロジー研究の国際競争では以下のような実態があるから?

ゲイツ財団がカネを通じて
国際機関や医療系の研究所に影響力を行使していることによって、
科学者から多様な意見が出なくなり、国際機関の方針決定のプロセスにも影響して
意思決定プロセスが閉鎖的なものとなって透明性を失っている、

ゲイツ財団がインドでもくろんでいるのワクチン普及だけでなくGM農業改革も(2011/4/16)
2013.06.18 / Top↑
なるほど「人道(主義的)帝国主義」……。
慈善資本主義に新たなネーミングが登場――。

News Junkie Postというサイトに
関連のたいへん興味深い記事が2本あったので、このエントリーと次で。


『人道主義的帝国主義:権力志向の慈善』と題されたこちらの記事は冒頭、
2月28日、前ローマ法王が辞任したのと同じ日に
ニューヨーク市長のブルームバーグ氏が
自らの財団Bloomberg Philanthropiesとゲイツ財団との
協働をスタートさせたことに触れて、
宗教の慈善に企業の慈善が勝利した時代の象徴である、と。

そこで提起されているのは
当ブログがかねて指摘してきたのと同じ問題で、

With the world’s thirteenth richest man Michael Bloomberg on board, the Bill & Melinda Gates Foundation represents an unprecedented and rapidly growing collaboration of the world’s wealthiest men, including Carlos Slim, Bill Gates, Warren Buffet, and Cyrus Poonawalla: all of whom have devoted most of their lives to acquiring their billions. Does this signal late-onset altruism or something else?

世界で13番目の金持ち、マイケル・ブルームバーグを理事に迎え、

ビル&メリンダ・ゲイツ財団は、
これまでに例のない速度で成長する世界の最富裕層の共同体となっており、そこには
カルロス・スリム、ビル・ゲイツ、ウォレン・バフェット、サイラス・プーナワラと、
生涯をかけて憶万の富を手にしてきた顔ぶれがずらりと並ぶ。

これは果たして、遅ればせながらの愛他行為なのだろうか
それとも何か別のものを意味するのだろうか?


著者は
19世紀の終わりから20世紀にかけて
ロックフェラーやカーネギーが悪どいショーバイで巨万の富を築いて
robber barons(盗人男爵)とあだ名されつつも
慈善家として歴史に名前を残したことに触れて、

例えばバフェットが2006年にゲイツ財団に310万ドルを贈ったことを始めとして、
(その後バフェットは資産の半分をゲイツ財団に提供したんじゃなかったかと思うんだけど)

The collaboration of today’s super rich in their philanthropy is a kind of humanitarian imperialism meant not only to rehabilitate their names but also impose their views on a global scale.

今日のスーパーリッチの慈善での協働は一種の人道帝国主義であり、
自らの名前のイメージアップのみならず、
自らの考え方をグローバルな規模で強引に実施させていくことを狙ったものである。


それには彼らからの資金提供を享受するNPRなどの大手メディアも一役買って、
ゲイツ財団の“ポリオ撲滅運動”が途上国で展開されていく。

ゲイツ財団のメディア・コントロール(2010/10/21)


この記事によると2001年段階で
栄養改善と水の衛生状態改善によってポリオは世界中で500例までに減少していた。

そこで始まったのがゲイツ財団のワクチンによるポリオ撲滅運動。

これまでにインドだけで2011年に80億ドルが費やされてきて、
ゲイツ財団はインドをポリオ撲滅のモデル国として称賛するが、
実際にはポリオの症状のある感染症は47500例もあり、
死亡率は2倍に上がっている。

ところがこの感染症は「非ポリオ急性弛緩性マヒ(NPAFP)」と名付けられ、
ポリオとしてはカウントされない。

NPAFPの発症には
活性ポリオ・経口ワクチン(OPV)を飲んだ回数が関係しているとされ、
インドでは10回以上もOPVを飲んでいる人が多数いることがNPAFP増加の要因とされる一方、
米国軍の兵士へのOPVは一回のみとされている。

また、不活性ポリオ・ワクチン(IPV)も開発されているものの、
コスト高のために先進国でのみ使われており、
途上国のワクチンは未だにOPVのままでNPAFPの発症を招き続けている。

こちらをポリオとしてカウントしなければ
2012年のポリオの発症は世界で291例で、
それらは反ワクチン運動が激しい急進的なイスラム圏に集中している。

パキスタンでは12年12月にポリオワクチンを子どもに飲ませていた
医療職(医療職ではなくボランティアだったと思うのですが)が殺害される事件も。
パキスタンの人々はOPVを飲むことを拒否している。

この後の1節、私にはちょっと理解不能ですが、
人造のポリオ・ウイルスが2002に作られて以来ポリオ撲滅は不能となったのだから、
限られた資源を不可能な撲滅に費やすのは非倫理的である、とする
Neetu VashishtとJacob Puliyelの以下の論文に言及している。
http://www.issuesinmedicalethics.org/202co114.html

(私がこれまで読んできた情報では
ポリオ・ウイルスは素早い遺伝子変異でワクチンへの抗耐性をつけるため、
いくらワクチンを開発しても撲滅は不可能と言われている、と理解していたので
上記論文未読の現在、人造ウイルス云々の個所が意味不明)

この記事の結論パラグラフで興味深い個所は以下。

The Bill & Melinda Gates foundation also seems determined to control cholera, malaria, and other presumed scourges with vaccines of questionable efficacy. It hardly matters that clean water and other simple measures might work better than vaccines. When one is rich and powerful enough to control all the discourse about a vaccine project and smooth its path from the laboratory to publication, to approval by WHO and purchase by UNICEF and heads of state, one is always right.

ゲイツ財団はコレラ、マラリアその他の病気を、
効果のほどが定かでないワクチンでコントロールすると意を決しているようでもある。

清潔な水やその他のシンプルな方法の方が
ワクチンよりも効果がある可能性は歯牙にもかけない。

金と権力があれば、ワクチン計画に関する言論の一切をコントロールし、
研究機関から論文発表までのプロセスを牛耳り、WHOの賛同を取り付け、
UNICEFや各国首脳に買わせることもできて、

そういう人物の言うことは常に正しいことになる。

Humanitarian Imperialism: Charity for Power
News Junkie Post, March 10, 2013


5枚目の写真は、
ソフトクリームの帽子をかぶって大きなボウタイをしたビル・ゲイツが
片手に「モンサントのトウモロコシ種子」を持ち、
もう一方の手に「ワクチン」と書いた大きな注射器を持って、
国際会議を思わせる背景を前にこれらを売り込んでいる図。


【17日追記】
2011年5月8日の補遺で
私自身がこの動きについて「慈善帝国主義」という表現を使っていた。

Bill GatesとWarren BuffetがGiving Pledgeなるキャンペーンでちょっと前から世界中の大富豪に資産の半分を慈善に差し出せ、と呼びかけているのは知っていたけど、その呼びかけに応えようかという人たち69人ほどがアリゾナ州に結集したとのこと。非公開で。:「世界のスーパーリッチ慈善資本家クラブ」の初会合ね。とはいっても、Gatesは去年の6月にもBuffetや何故かOpra Winfreyなど6人と完全非公開で集まって、世界人口抑制などを話しあっている。あれはこれの予行演習だったのか? いよいよ慈善帝国主義が本腰を入れて世界を席巻していく準備を始めている……。
http://lezgetreal.com/2011/05/buffett%E2%80%99s-billionaire-philanthropy-club-meets/
http://www.google.com/hostednews/ap/article/ALeqM5gVXN_8nZYKE0TwRPMa9w6pNHrM9A?docId=45130f0fc84547c890fcd16ffb557b5f


【関連エントリー】
JICA、ゲイツ財団とパキスタンのポリオ撲滅で“戦略的パートナーシップ”(2011/8/20)
「衛生マッピングとGPSで、途上国の子ども一人漏らさずワクチンを」と、ビル・ゲイツ(2013/4/26)

2011年のまとめ:ゲイツ財団とグローバル慈善資本主義(2011/12/27)
最近のツイートから「少数の好みで富が再分配される慈善資本主義の世界」と「メディカル・コントロール」(2012/5/11)
2013.06.18 / Top↑