サッカーをやっている最中に倒れて意識を失った男性 Joses Cornelioさん(23)は
Banner Good Samaritan病院で呼吸器をつけている。記事によると原因は不明。
Cornelioさんは子どもの時に米国にきたメキシコ生まれの移民で、
市民権はとっておらず、健康保険にも入っていない。
妻の話では
Cornelioさんは妻の語りかけに反応し、手を握り返してくるというが、
病院側から1週間の内に転院先を探すよう求められ、
それがかなわない場合には2つの選択肢を提示されたという。
その選択肢は
① 家に連れて帰ってホスピスケアを受ける。
② メキシコに連れて帰って介護を受ける。
妻は
「夫は回復しようとがんばっているんです。
でも病院は“費用をいったいだれが払うの?”って」
Man on life support forced to leave Phoenix hospital?
Everything Arizona, September 26, 2011
まず、すぐに思ったのは、
これはもう“無益な治療”論ですらなく、
“無駄な医療費負担”論では、ということと、
アリゾナ州の州法がどうなっているのか、
その「1週間以内に、さもなければ」という通告に
どのような法的根拠があるのだろう、ということ。
それから、すごく気になることとしては、
記事に寄せられたコメントをざっと眺めてみると、
こうした問題が移民への排斥感情に直結していきそうなこと――。
これは以下の事件などを通して08年あたりから気がかりだったこと。
「ダウン症の息子が社会の重荷」とドイツ人医師に永住権を拒否(豪)(2008/11/10)
カナダ政府、「障害のある子どもが社会の負担」と相次いで永住権を拒否(2011/5/3)
なお、
これまでに合法移民の患者がターゲットになった“無益な治療”事件で
当ブログが拾っているのは、少なくとも以下の3件。
① 2005年、テキサス州 Habtegiris事件
医療費払えず「無益な治療」(TX)
②今年、メリーランド州 Nyrahabiyambere事件
延命停止に不同意の家族からは決定権はく奪、病院推薦の代理人が同意(2011/3/6) ]
家族から代理権をはく奪して中止された移民女性の栄養、法律からの提訴で再開(2011/3/13)
③今年、カナダのRazouli事件(名前は記事によって s と z まちまち)
「“治療停止”も“治療”だから同意は必要」とOntario上位裁判所(2011/5/17)
「患者に選択や同意させてて医療がやってられるか」Razouli裁判続報(2011/5/19)
さらに、Razouli裁判関連の上記5月19日エントリーで拾った情報によると、
イスラム文化との摩擦が法的な問題になるにつれ、
シャリア法の解釈導入を禁止する動きも。
Joseph君が、27日に自宅で両親と叔母に看取られて亡くなったとのこと。
1歳児の「無益な治療」で両親が敗訴(カナダ)(2011/2/24)
2011年3月1日の補遺(2011/3/1)
2011年3月5日の補遺(2011/3/5)
呼吸器外し命じられたカナダのJoseph君、セントルイスの病院へ(2011/3/15)
A事件繋がりのRebecca DresserがMaraachli事件で「コスト懸念で類似の訴訟はこれから増える」(2011/3/17)
Peter SingerがMaraachli事件で「同じゼニ出すなら、途上国の多数を救え」(2011/3/22)
Joseph Maraachliくん、気管切開し自宅に戻る(2011/4/30)
一家を支援してきたプロ・ライフ活動家の Frank Pavone 神父は
「Josephと両親は神から与えられた特別なミッションを完了しました。
絶望によって弱者を切り捨てる”死の文化”の中で、
希望によって弱者を受け入れケアする”生の文化”を失わなかったのです」
またO’Donnell修道士は
「私はこの6、7か月というもの
Josephが自宅で愛され、ケアされているのを見てきました。
それがJosephにとってどれほどの意味を持ったのかは誰にもわかりませんが
息子の生ある限り我が子を愛することができた両親にとって
それが大きな意味があったことを私は確信しています」
シャイボ財団も、Joseph君一家を支援していたとのことで、
シャイボ財団からは
「我が子がこの世を去る時は、医師でも民事法廷でもなく、神様に決めてもらう。
一家が望んだのは、それだけです」
Priest says Baby Joseph ‘fulfilled mission from God’
CBC News, September 28, 2011
私がちょっと気になるのは、
Joseph君の最後の頃と思われる写真で、
彼の全身がむくんでいること。
それから、記事にあるビデオを見ると、
セント・ルイスに運ばれる段階で、Joseph君は
既にむくみ始めているように見えること。
もしかしたら、彼はこの段階から
栄養や水分を身体が受け付けない状態になっていた……ということ?
私はこれまで、一応Josephくん本人は苦しんでいないという前提で考えてきた一方で、
上記リンクの記事でも書いているように、彼がプロ・ライフのプロパガンダの広告塔として
大人たちに利用されている可能性についても気になってはいた。
もちろん、この事件については詳細を知らない限り何とも言えないのだけれど、
一口に“無益な治療”事件といっても、
家族のエゴで、本人に苦しみを強いている可能性のあるケースも
そこには含まれているのだろうな、とは思う。
ただ、だからといって、
それが即座にPeter Singerがいう「Joseph君のような命に拘泥して
無駄なコストをかけるより、それを途上国の子どものワクチンに振り向けるべき」といった
“患者の無益”論を前提にした乱暴なコスト論を正当化するわけでもない、とも思う。
本当に考えなければならないことは、
個別の事実関係の丁寧で細やかな検討や繊細な判断という形で、
その両者の間に無数にあるはずなのでは?
それはちょうど、
「延命はぜんぶ止める」か「何が何でもあらゆる手を尽くす」かの二者択一で
終末期医療を巡る議論が描かれていくことのおかしさにも通じるような気がする。
http://www.thelancet.com/commission/delivering-affordable-cancer-care-in-high-income-countries#
一昨日の補遺で拾った「自宅でペットの安楽死」WPの記事について、無益な治療ブログのPopeがエントリーを書いている。私と同じ懸念をもって、この記事を読んだみたい。
http://medicalfutility.blogspot.com/2011/09/more-pets-but-not-people-dying-at-home.html?utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed%3A+MedicalFutilityBlog+%28Medical+Futility+Blog%29
NZでヘリウムによる自殺幇助が2件確認されたにもかかわらず、環境大臣はヘリウム・ガスの規制は変更しない、と。FEN事件でも現在問題になっているオレゴン州での自殺キットでも、C&Cの前身のヘムロック協会創設者Derek Humphryの著者Final Exitで推奨されている自殺方法でも、ヘリウムは自殺幇助業界では大人気。
http://www.stuff.co.nz/national/health/5694844/No-action-on-coroners-helium-call
カナダで妻を殺した男性が自殺幇助だと主張して、裁判所に却下されている。
http://www.vancouversun.com/news/just+smothered+wife+accused+tells+operator/5466385/story.html
http://www.cbc.ca/news/canada/edmonton/story/2011/09/26/edmonton-lavery-murder-wife-trial.html
http://www.edmontonjournal.com/news/Judge+rejects+Edmonton+plea+guilty+assisted+suicide+2006+domestic/5460696/story.html?cid=megadrop_story
米国で生まれる子どもの約1%が何らかの生殖補助医療技術を利用して生まれてくる。そんな中、精子バンクが登場した70年代後半から80年代に生まれた子ども達がそろそろ成人年齢に達し、思いがけない問題に直面している。病気や事故の際に、家族の既往歴が分からない、大人になって出自を知った動揺など。これも読みたい記事なんだけど、ちょい余裕がないか。
http://www.washingtonpost.com/national/health-science/sperm-donor-children-face-challenges-in-learning-their-medical-history/2011/07/01/gIQAX9hwzK_story.html?wpisrc=nl_cuzheads
ホワイトハンズについて「障害者の性へのサポートについて考える」という草山太郎氏の論文。9月23日の補遺にコメントもらってから、ずっと頭の隅に引っかかっている。今まで全く縁のなかったツイッターに生活書院さん繋がりで入り込んだら、偶然見つけた論文。この論文によると、介助スタッフは女性のみ。なんでやねん。そもそも「性機能の廃用症候群予防」って、なんじゃ、そりゃ。まー、よくもここまでテキトーに「それらしい」文言を並べられること……。
http://www.arsvi.com/2010/1103kt.pdf
◆ALS訴訟「介護20時間に」 和歌山地裁、義務付け決定 (共同通信)
http://www.47news.jp/CN/201109/CN2011092701000947.html
◆20時間の介護認める=ALS訴訟、初の仮義務付け―和歌山地裁 (時事通信)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011092700800
◆ALS患者 介護増を命じる判決 (NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110927/t10015889531000.html
◆難病訴訟で「20時間介護」義務付け 和歌山地裁 (産経)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110927/trl11092721030018-n1.htm
NYT。またまた民間医療保険の保険料が急騰。
Health Insurers Push Premiums Sharply Higher: The cost of health insurance this year rose more steeply than in previous years, outstripping wages and adding uncertainly about the pace of growing costs.
しかも、その保険料は労働者の肩によりズシリと。
http://www.washingtonpost.com/national/health-science/dc-has-fewer-than-3000-active-doctors-report-says/2011/09/26/gIQAGEZe2K_story.html?wpisrc=nl_cuzheads
マイケルジャクソンのお抱え医師の裁判がスタート。:09年6月28日にこの件について初めて補遺で拾った時に、「この科学とテクノ万歳文化の中で、金のある人がその金で個人的に医師を雇うと、どういうことが可能になるのか……?」と書いている。
http://www.guardian.co.uk/world/2011/sep/27/michael-jackson-doctor-trial?CMP=EMCGT_280911&
【関連ニュースを拾った補遺】
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/53522721.html(09年6月28日の補遺)
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/54316936.html「お抱え医師によって殺された」
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/54598913.html(propofol濫用問題)
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/55324391.html (なかなか戻ってこなかったマイケルの脳)
NYT。酢とingenuity(どういう意味か記事を読んでいないので?)で子宮がんが予防できる、という、HPVワクチン推進ロビーが削除したがりそうな記事。
Fighting Cervical Cancer With Vinegar and Ingenuity: A simple, short and inexpensive procedure holds the promise of preventing many cases of cervical cancer, saving the lives of thousands of women worldwide.
ワシントンD.C.の医師不足が深刻。実質3000人以下。
http://www.washingtonpost.com/national/health-science/dc-has-fewer-than-3000-active-doctors-report-says/2011/09/26/gIQAGEZe2K_story.html?wpisrc=nl_cuzheads
オーストラリアでペニシリン不足。:米国でチオペンタールの不足もあったけど、製薬会社があまりにも熾烈なブロック・バスター開発競争に傾斜しすぎているってことは? てか、薬に限らず、どの業界でも「ドカッと儲からないものは誰も作らない、作る余裕がない、従って供給されない世の中」に向かっている……なんてことは?
http://www.canberratimes.com.au/news/local/news/health/superbug-concern-as-penicillin-runs-short/2306129.aspx?src=enews
ミズリー州が米国で初めて、教師と生徒がFacebookで直接コンタクトをとることを禁じる法律を制定。
http://link.email.washingtonpost.com/r/2GZNC0/FXR6I3/6VOSEI/1RDC72/MK50K/2V/h
ワクチン関連が立て続けで申し訳ないですが、ついでにもう1題。
GAVIが途上国の子ども達に接種するワクチンに
新たに2種類、ロタ・ウイルスと肺炎球菌を追加。
GAVIは6月に
子どもの予防接種プログラムの目標とされた370億ドルを軽く超えて
総額430億ドルの寄付金が集まったと発表したし、
ゲイツ財団も頑張ってGAVIへの資金調達に励んでいるので、
途上国もGAVIに対して、
ワクチン接種の予算を現状維持または増やすと約束した、とのこと。
GAVIのCEOは
「産まれた国によって受けられる病気予防の内容が異なるということは
もうなくなるでしょう」
(それと同時に、製薬会社に更なる利益が約束されることでしょう……)
Fresh Push To Vaccinate Kids In Developing World
NPR’s Health Blog, September 27, 2011
途上国がGAVIへ予防接種の予算を約束……で思い浮かべるのは、
以下のエントリーで拾った「事前の名目で途上国が自己負担分を吐き出させられているだけ」との批判 ↓
ゲイツ財団がインドで目論んでいるのはワクチン普及だけでなくGM農業改革も(2011/4/16)
それから、「生まれた国によって受けられる病気予防の内容が異なる」というけど……
途上国に生まれた偶然によって異なっているから問題にすべき最たるものが
なんといってもワクチン、なにがなんでもワクチン……なのか?
以下のエントリーで書いた、
ソマリアに必要なのはワクチンじゃなくて食糧では、という話だとか、
「ゲイツ財団(の連携機関)が途上国の子どもに銃を突きつけワクチン接種」(2011/7/29)
それはソマリアだけじゃなくて、
政治体制の不安定や医療制度を含めた社会のインフラ整備が十分でない途上国で、
なんでここまで「ワクチン一辺倒の問題解決」なのか、という疑問とか、
こういうところで出ている批判とか ↓
やっと出た、ワクチンのため世界中からかき集められる資金に疑問の声(2011/6/16)
それから、6月の世界会議でGAVIには当初目標額の400億ドルどころか
それを超える金額が集まっているという話で思い出すのは、
こちらのワクチン債――。
なにしろGAVIに集められた各国からの拠出金が
ワクチン債の償還に使われるというのだから――。
【29日追記】
こちらの記事ではゲイツ財団がこれら2種類のワクチンを大量に購入した、と。
購入先はグラクソとメルク。
http://www.bloomberg.com/news/2011-09-27/gates-backed-fund-to-buy-1-billion-of-diarrhea-pneumonia-shots.html
「ワクチン打たないなら診てやらない」という医師に
「あくまで説得。説得できなくても追い出してはダメ」と
Diekema医師が「らしくない」ことを言っているのが、
なんだか余計に匂う気が……? と思っていたら、
なんと、当のDiekemaのお膝元のワシントン州では
ワクチン免除の条件を厳格化するという法的措置を7月に取ったばかりだとのこと。
子どもを学校に通わせるために必須とされている州の予防接種を受けさせたくない親は、
医療職から免除証明書を取らなければならない、との法改正が7月に施行され、
果たして、ワクチン接種率の向上に効果があるかどうか、注目されているのだとか。
Diekema医師はこの記事では、
免除にどの程度の条件を付けるかは州によって異なっており、
「ワクチン免除の手続きを厳格にすればするほど接種率が上がることは確かです」。
ちなみにWA州全体では、
通学の条件になっているワクチンの免除を受けているのは6%。
郡によって1.2%から26.9%とバラつきがある。
Washington State Raises Bar For Parents To Skip Kids’ Vaccinations
NRP, September 27, 2011
26.9%ってな、
ゲイツ財団のお膝元で、それは、また、なんとも……。
あ、なるほど、だから州法改正、なのか……。
米国で「ワクチン打たないなら診てやらない」と医師ら(2011/7/6)
この後、今月に入って、
共和党の大統領候補の議員さんが
単に「HPVワクチンで娘が知的障害を負った」と主張する母親と会ったというだけで
「HPVワクチンは危険です。副作用で知的障害になります」と公言し、
それでなくてもWakefield論文の「自閉症ワクチン犯人説」の後遺症に過敏になっている
ワクチン推進陣営の神経を逆なでする、という騒動があった。
それでNYTがこんな記事を書いたりも ↓
米国のHPVワクチンを巡る州ごとの法制化実態(2011/9/14)
で、そういうワクチン騒動を受けて、今度はWPが
「CDCのガイドラインどおりにワクチン接種させていない親の子どもは診てやらない」との
方針を打ち出したNYのクリニックを取材して記事にしている。
そのクリニックFour Seasons Pediatricsの小児科医の言い分は
「患者のために最善を尽くすのが私の仕事」
「ワクチンを打っている子どもを打っていない子どもと接触させるのは
医師としての責務を果たさないことになる」
ワクチンが集団に対して免疫効果を発揮するには
全体の80~90%のワクチン接種が必要。
それによって、医学上の理由などから接種できない人たちを守ることができる。
ポリオ、麻疹、おたふくかぜ、MMR、B型肝炎など
多くの病気のワクチンについては接種率は90%を超えており、
まったくワクチンを接種していない子どもは1%にも満たない。
全体として拒否率は低いが、地域によりバラつきも。
2008年に宗教上の理由で免除した州が48。
思想信条や個人的な理由で免除した州は21。
米国小児科学会(AAP)は
親に根気強く説明し、親を教育・説得することで接種を促すことを勧めており、
そうした方針の主著者であるDiekema医師は、
「たいていの親は心配しているというだけで、
思想信条から断固反対しているわけではない」のだから
ワクチンの大切さを教えて理解させ説得しなさい、と。
そして、説得できなかったとしても、
小児科医が患者を拒むことはすべきでない、というのがAAPの方針。
子どもにワクチンを打たせることが目的だとしても、
その目的はクリニックから追い出すことで達成できるわけではないし、
他の子ども達を守るためだと言っても、
追い出された子どもたちは最終的にどこかで診てもらうわけだから
それは自分のところの待合室をクリーンにするだけで、
病気の感染を予防することにはならない、ともD医師。
Some pediatricians refuse to treat children whose parents oppose immunizations
WP, September 27, 2011
この記事を読んで特に目についたのは、
おたふく風邪だとか麻疹だとか我々が子ども時代からお馴染みのワクチンについては
接種率が90%を超えている、という情報。
ここにも「ない情報は、ないという事実そのものを見えなくしてしまう」マジックがあって、
それは、たぶん、ロタ・ウィルス・ワクチンとか、何よりもHPVワクチンといった
ごく最近、おそらくは「ワクチンの10年」の先駆けのように相次いで登場したワクチンで
接種率が低いのでは――?
それから私が一番気になるのは、
「ワクチンの10年」の仕掛け人であるゲイツ財団に非常に近しいシアトルこども病院の、
当ブログの仮説に基づけば、特に覚えがめでたいと思われるDiekema医師が
AAPのワクチンに関する方針の主著者というポストにいること――。
http://www.washingtonpost.com/local/at-home-pet-euthanasia-grows-in-popularity/2011/09/22/gIQAVL4MxK_story.html?wpisrc=nl_cuzheads
Not Dead Yetのブログで、安楽死関連のブラック・ジョーク・シリーズ1回目。ただの風邪で寝ている夫のところに、ルンルンでスイスの安楽死クリニックのパンフレットを持ってくる妻。「風邪が長引いて、このままだとあなたはそのうち自分が嫌になるわ。ずっと誇り高くて尊厳を重んじる人だったから。あらゆる選択肢を検討した方がいいでしょ」「あ、決めるんだったら早めに言ってね。(私にも都合? 準備?があるから……2回聞いただけでは聞き取れませんでした)きゃ~、スイスへ行けるのね、あたしっ」笑えます。明日2回目がアップされるとか。
http://notdeadyetnewscommentary.blogspot.com/2011/09/dark-humor-weekend-part-1-euthanasia.html
オーストラリアのDr. DeathことDr. Nitchkeに、安楽死に使われるNembutalの輸入が認められる。:Dr. Nは「睡眠薬として明確な指示と共に渡す。飲みすぎたらどういうことになるかは本人も分かっている」というタテマエで、自殺希望の女性に渡すと言っているのに、一体なんでこうなるんだ?
http://www.news.com.au/breaking-news/nitschke-wins-right-to-use-euthanasia-drug/story-e6frfku0-1226146497401
卵子提供・代理出産を議論…野田聖子議員、医師、法律家ら。石原理・埼玉医大産婦人科教授は、「こうした生殖医療に関する法的な規定が全くないのは、先進国で日本のみだ」と述べ、諸外国と比べて大きく遅れている日本の現状を説明した。:相も変わらず、「日本は遅れている」……。じゃぁ、“進んでいる諸外国”で起こっている複雑な倫理問題や、ややこしい事件についても、きちんと国民に知らせて議論すべきでは?
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=47510
代理出産だと、例えば
これが8回目という代理母(2008/3/9)
代理母と付き合い続ける依頼者一家(2008/5/26)
インドの生殖医療ツーリズム(2008/8/12)
「炭鉱で働こうと代理母をやろうと自分の身体なんだから勝手」とFost(2009/12/8)
グローバル化が進む“代理母ツーリズム”(2011/1/29)
生まれた子どもの引き渡し拒否の代理母に、裁判所が「育ててよい」(2011/2/13)
ナイジェリアの“赤ちゃん工場”摘発(2011/6/2)
依頼者が代理母にメールで「離婚したから引き取れない」、生まれた双子は養子に(2011/9/17)
生殖子関連では、
精子250ドル、卵子1000ドルで、どう?(2008/5/26)
「凍結胚から生まれた子どもの方が健康」だって(2008/11/16)
生殖補助医療の“卵子不足”解消のため「ドナーに金銭支払いを」と英HFEA(2009/7/27)
「死んだ息子の精子で代理母たのみ孫がほしい」認められず(2009/3/5)
「死んだ息子の子どもがほしい」母に裁判所が遺体からの精子採取を認める(TX州)(2009/4/17)
59歳がIVFで妊娠希望、医師ら年齢制限には反対(英)(2010/1/19)
「人種も身長も趣味だって選べます」精子ドナー斡旋業で逮捕者(英)(2010/9/15)
亡き夫の精子は妻の“財産”(2011/5/24)
その他、オドロキの生殖補助医療では、
インドの70歳女性、体外受精で初産(2008/12/9)
66歳で世界最高齢出産の女性、3歳の双子を残し、癌で死去(2009/7/16)
59歳がIVFで妊娠希望、医師ら年齢制限には反対(英)(2010/1/19)
<東電>官僚天下り50人以上 ゆがむ原発行政(1)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110925-00000006-mai-pol
NHKの「生活保護」特集 - 「水際作戦」の復活と扇動:コイズミ改革の時の空気の匂いがする。障害者自立支援法がまだ法案としての全容すら見せていない頃に、「生活保護をもらっている人たちというのは代々そうやって暮らすのが当たり前になっていて、健康で若いくせに最初から働くという選択肢のない人たちなんだから」と言ってまわっている人がいた。
http://critic5.exblog.jp/16309027/
サウジアラビアの女性に選挙権。
http://www.bbc.co.uk/news/world-us-canada-15052030
http://www.washingtonpost.com/local/at-home-pet-euthanasia-grows-in-popularity/2011/09/22/gIQAVL4MxK_story.html?wpisrc=nl_cuzheads
日本の記事。問い合わせが殺到!うつ病「見える化」診断 光トポグラフィ検査
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20110926-00000002-diamond-soci
乳がんの診断を確定する遺伝子を同定。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/234935.php
ビル・ゲイツがG20に、途上国の温暖化防止策支援のため、タバコや運輸に使う燃料に加えて、商取引全般に課税しようと提案、総スカンを食ったらしい。Forbesのこの論説の著者は「ただの思いつき」と。
http://www.forbes.com/sites/timworstall/2011/09/24/bill-gates-supports-the-financial-transactions-tax/
http://ca.reuters.com/article/businessNews/idCATRE78M64Q20110924
UNOS(全米臓器配分機関)の動き――。
Changes in controversial organ donation method stir fears
The WP, September 20, 2011
米国でUNOSが
2007年のDCDのガイドラインの大幅緩和を画策している。
1年間かけて臓器獲得組織委員会(委員22名)での協議を重ね
改めて死を定義することから始まる16ページの提案書を作成し、
3ヶ月間の意見募集を行った。これは6月に既に終了。
11月にアトランタの会議で最終案を作成するというのだけど、
このWPの記事、
わざとUNOSの提案内容を分かりにくくしているのかと勘ぐってしまいたいほど、
な~んか、もわ~っと妙な書き方の記事なのですが、
記事のあちこちから拾って整理してみると、
UNOSが狙っている改正点とは
① DCD(心停止後臓器提供)で現在おおむね心停止から5分~2分とされている
摘出までの待ち時間の基準をなくして、それぞれの病院ごとの判断に任せる。
これについて
ワシントン大学のGail Van Normanから
「まだ死んでいない人から臓器が摘出されてしまう可能性に
目をつぶろうと言うに等しいのでは」など大きな懸念の声が上がっているが、
UNOS側は
どのくらい待つのが適当かを判断するのは、
それぞれの病院とその救急医療の専門家が最もふさわしい、と。
あと、記事がウダウダ書いているのは
これまでDCDについて当ブログでもいくつかのエントリーで書いてきたことが大半ですが、
(詳細は文末にリンク)
気になる情報として、
「脳死ではないものの事故や脳卒中などで重症の脳損傷を負って
ICUに入っている患者にDCDはじわじわと忍び寄って」おり、
ピッツバーグのあるプログラムでは
患者が救急救命室にいる段階からDCDで臓器が取れないかと試行しているし、
NY市には臓器獲得に特化した救急車が走っているとして調査が進行している。
ピッツバーグのERでのDCD試験的解禁についてはこちらに ↓
「脳死でなくても心停止から2分で摘出準備開始」のDCDを、ERで試験的に解禁(米)(2010/3/17)
② DCDを donation after circulatory death(循環死後臓器提供)と呼び替える。
脳死は実際には血流の停止によって引き起こされるのだから
死を宣告するためには必ずしも心臓が止まっている必要はない、という論法。
しかし、それは、死とは何かという倫理的な大問題から
目をそらせようとしているだけなのでは、との批判がある。
Georgetown 大学の生命倫理学者で
UNOS倫理委の委員でもあるRobert M. Veatchは
「一連のプロセスを新しい呼び方に改めることで問題解決を図ろうというのは
うまくないし、意図的な虚偽ともなりうる」と。
Veatchによれば、先週シカゴで開かれた委員会では
DCDの患者の死は、血流や心臓死と同じ意味で、本当に不可逆であり永遠なのか、
という問題について、激しい議論が交わされたという。
心臓を圧迫するなどすれば血流が戻ることがあり、
デンバーではDCDの患者の心臓が移植された後に拍動を開始したケースも。
一方、ペンシルバニア大学の Art L. Caplanは名称変更に賛成。
DCDという呼称には、心臓以外は生きているのに心臓を取るイメージがあるから。
③ 「当該患者がドナーになりうるかどうかの評価を行うのは
病院のプライマリー・ケア・チームと法的近親者が呼吸器を含む生命維持治療の中止を
決定した後でなければならない」との文言をガイドラインから削除。
これにはCaplanを始め、多くの倫理学者が反対。
しかしUNOSは
ドナーにはなれないと早くに分かれば家族は難しい選択を迫られないで済むし、
逆にドナーになれると分かれば生命維持の停止の判断が容易になるのだから、
「とても辛い入院を経験した揚句に、さらに治療の継続が本当に患者の意に沿うのかどうか
難しい決断に直面してしまった家族の苦しみを無用に長引かせないであげたいのです。
死を悼む家族のための削除なのです」と。
④ 脊損、筋ジス、ALSなど一定の疾患の患者をドナー候補として特定すること。
そんなことをしたら
治療をあきらめろとプレッシャーがかかるという懸念の声が上がる一方、
提供意思のある人が見逃されないための策に過ぎない、という正当化論も。
UNOSを監督する連邦政府のHealth and Resources and Services Administration関係者は
「個々の患者をターゲットにしようという話ではないでしょう」
今回の一連の提案について、UNOSの直前プレジデントは
「最終的な目標はドナー希望の患者さんの死に際の望みをかなえ、
臓器を必要とする112000人を超える患者さんたちの命を救うこと」
が、ドナーになれる可能性のある患者が病人として捉えられて
まだ生きられるよう治療を受けたり、穏やかに死ねるようにケアされるよりも
むしろ臓器や組織庫とみなされるようになる、との批判も当たり前だけどあって、
Boston大学のMichael A. Grodin教授(法、生命倫理、人権)は
「より多くの臓器を求めて、とことん狙い続けようという考えへの第一歩。
結局UNOSは臓器提供を増やすためなら何だってやりたいということ」
私は特に④には、本気で胸がムカムカした。
安楽死後臓器提供が既に4例行われたことを報告したベルギーの医師らが
こうした患者さんたちの臓器は「高品質」であり、
そのような安楽死者は臓器不足解消に役立つ「臓器プール」だと
ぬけぬけと論文に書いていたことを思い出す ↓
ベルギーの医師らが「安楽死後臓器提供」を学会発表、既にプロトコルまで(2011/1/26)
【DCD関連エントリー】
心臓を停止から75秒で摘出・移植しているDenver子ども病院(2008/10/14)
森岡正博氏の「臓器移植法A案可決 先進国に見る荒廃」(2009/6/27)
臓器提供は安楽死の次には“無益な治療”論と繋がる……?(2010/5/9)
Robert Truog「心臓死後臓器提供DCDの倫理問題」講演ビデオ(2009)(2010/12/20)
ベルギーの「安楽死後臓器提供」、やっぱり「無益な治療」論がチラついている?(2011/2/7)
Savulescuらが、今度はICUにおける一方的な「無益な治療」停止の正当化(2011/2/9)
「1つの流れに繋がっていく移植医療、死の自己決定と“無益な治療”」を書きました(2011/5/14)
WHOが「人為的DCDによる臓器提供を検討しよう」と(2011/7/19)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20110923-00000305-alterna-soci
米本昌平氏[論点]出生前診断で中絶倍増(2)生命倫理 再議論の時:「ルールを再整理すべき時期に来ている」が「医師だけでやるべきではない。医師は当事者であるため、どうしても技術を使う方向に向かいがちになるからだ」。同感。科学とテクノの進歩によって、医療に対してシビリアン・コントロールが効きにくくなっていること、それが「メディカル・コントロール」のリスクを高めているように思えることが今の世の中の大きな問題の一つだと私は考えている。もう1つ米本氏「アカデミズムは、社会が取り組むべき問題の形が適切な方向に向かうよう、課題志向的な志を持つべきだ」。これも同感。ただ、文化系の学者さんたちは生き残るための場所そのものを奪われていきつつあるし、そこで生き残るためには「科学とテクノで簡単解決」文化やメディカル・コントロールのお先棒を担ぐ仕事をする以外にないところへと、アカデミズムそのものが政治的に痩せ細りを余儀なくされているような気がする。
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=47424
「メディカル・コントロールの時代」というのは、この度上梓した拙著「アシュリー事件」の副題にも使っている表現なのですが、当ブログが「メディカル・コントロール」という表現を始めて使ったのは、たぶん、こちらのNorman Fost関連のエントリー ↓
「ハイリスクの親」を特定することから始まる児童虐待防止プログラム:Norman Fostが語る「メディカル・コントロールの時代」:You Tube(2分半)(2011/2/21)
上のエントリーから更に頭が勝手に飛躍して、科学とテクノロジ―の論理や価値意識の暴走にシビリアン・コントロールが利かなくなり、メディカル・コントロールの世界の到来が危ぶまれるのではという話を、こちらのエントリーに ↓
「現代思想2月号 特集 うつ病新論」を読む 3:社会と医療の変容と「バイオ化」(2011/2/23)
カナダの“無益な治療”訴訟、Razouli事件に関するToronto Star紙の論評。
http://www.thestar.com/opinion/editorialopinion/article/1057057--when-family-and-doctors-disagree-on-when-to-end-life
これまでに補遺で追いかけてきた[http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/63578099.html OR州の自殺キット販売事件 ]で、FBIからの自殺の危険情報を受けてOR州の警察が自殺キットを買った男性の自宅に踏み込んだところ、男性は不在でキットは安全な場所に保管されていた、という騒動があったらしい。
http://www.reuters.com/article/2011/09/22/us-suicide-kits-oregon-idUSTRE78L0F920110922
<米国>有名死刑囚に刑執行 一貫し冤罪訴え、国内外で批判:18日の補遺で拾ったTroy Davisさんの死刑問題の日本語の続報。死刑執行日が何度も設定され、先日は最後の食事を食べ終えた直後に延期となったけど、ついに処刑が行われた、と。こんなに非人道的な拷問もないような。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110922-00000063-mai-int
上記Troy Davisさんの処刑に関するGuardianの記事。
http://www.guardian.co.uk/world/2011/sep/22/troy-davis-execution-last-words?CMP=EMCGT_220911&
スウェーデンの保育所で遠足の際に子どもにGPSをつけさせることに。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/234819.php
「長生き遺伝子」に議論。他のファクターが関与していると考えられ。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/234815.php
私は昨日になって人から教えてもらって、やっと知りました。
死亡した中学生が接種を受けたのはサーバリックス。
7月28日に接種を受けて、30日の朝に心肺停止状態で見つかった、と。
14歳、子宮頸がんワクチン接種後死亡…国内初(YOMIURI ONLINE 2011/9/13)
この記事を読むと、もう何年もずっと漠然と感じてきた疑問が
初めて、はっきりした形をとって意識されてきたので、
もちろん専門知識のないオバサンの疑問に過ぎませんが
その素朴な疑問のままに、書いてみようと思います。
私が上記の記事で気になるのは、2点で、
まず第1には、以下の表現から来る疑問。
ワクチン接種との直接的な因果関係は認められないという。
中学生には突然不整脈を起こす「心室頻拍」の持病があり、
直接の死因は不整脈と推定されている。
この2か所の「直接的な」「直接の」という表現で記事が示唆しているのは
「持病があった人だから死因になったのはその持病による不整脈である」として
「ワクチン接種との因果関係を否定する」立場。
しかし、
「中学生に心室頻拍の持病があった」という事実から導かれるのは
「心室頻拍の持病のある人だからHPVワクチンを接種しなくても
不整脈を起こして死んでいた可能性がある」と、
「心室頻拍の持病のある人だったためにHPVワクチン接種が引き金となって
不整脈を起こして死んでしまった可能性がある」と
両方の可能性のはずで、
前者の可能性は決して自動的に後者を否定するものではないし、
逆に言えば、後者の可能性が完全に否定されない限り
この2つの可能性の中から前者だけを残すことはできないはずだと
私には思えるのだけど、
記事が繰り返している「直接的な因果関係はない、直接の死因ではない」という表現は
表現としては「間接的な死因となった可能性はあるにせよ」を含意しつつ
記事の文脈からは暗に前者の可能性によって後者の可能性を否定し、
前者のみをあげつらって「HPVワクチンは無関係」と
本来なら出せないはずの結論を出しているかのような印象を与える、と私には感じられる。
要するに、私の疑問とは、
ここでの「直接の因果関係はない」「直接の死因ではない」って、
例の「直ちに人体に影響を与えるセシウム・レベルではない」と同じじゃないの? という疑問。
例えば、の話、
Aという持病のある人にBという薬は使ってはいけないという禁忌があるとして、
何らかのアクシデントでAという持病のある人にBが使われて死んでしまったとしたら
その人は、たとえAという持病があったとしても、
Bという薬を使われなかったら死ななかったわけだから、
この人の死を引き起こした「直接の原因」はAではなくBではないかと
私には思えるし、
もしもそうなのだとしたら、この中学生のケースでも、
Aである「心室頻拍」はむしろ「間接的な死因」であり、
Bである可能性のある「ワクチン接種」が「直接的な死因」……
という可能性をこそ、慎重に検討する必要があるのでは?
そもそも
「直接の死因ではない」と言うことや「直接的な因果関係はない」と言うことは、
「心室頻拍のある子どもへのHPVワクチン接種の安全性が確認された」と言うことと
決して同じではないはずなのだから、
これほど広くHPVワクチンが推奨されている日本で
子ども達の安全を本当に真面目に考える態度とは、
心室頻拍のある人には、もしかしたらHPVワクチンが不整脈の引き金となる可能性と
慎重に向かい合うことであり、
さらに、
サ―バリックスに予防効果があるのはHPVの内の2つの系列のウイルスのみであり
必ずしも子宮頸がんを予防する効果が確認されているわけではないこと、
HPV感染のほとんどは自然に消えていくものであること、
HPVワクチンの効果がどれほど続くかはいまだに不透明であること
などなどを考慮すれば、
一定の持病のある子どもにはHPVワクチンが命に関わる可能性から目をそむけてまで
接種を推進しなければならないほどの緊急性がこのワクチンにあるとも思えない。
それならば、そうしたリスクのある持病のある子どもには、とりあえず見合わせるなどの
慎重策がとれないはずはないだろうと思うのだけど?
ちなみに、2009年に日本でサーバリックスが認可される前日に、
実は英国で13歳の中学生が接種した数時間後に死亡したケースが報告されています。
HPVワクチン接種後に13歳女児が死亡(英)(2009/9/29)
上記リンクのエントリーでも追記したように、
その後、この少女には肺がんがあったことが判明して
HPVワクチンは死因ではなかったとNHSが判断しています。
今回、日本の死亡例を機に
その判断について報じた以下の記事を読みなおしてみました。
すると、NHSの発表では以下のように言われています。
The pathologist has confirmed at the opening of the inquest into the death of Natalie Morton that she died from a large malignant tumour of unknown origin in the heart and lungs. There is no indication that the PHV vaccine, which she had received shortly before her death, was a contributing factor to the death, which could have arisen at any point.
ナタリーさんの死因は、心臓と肺にあった原因不明の大きな悪性腫瘍であり、
「死の直前に接種を受けたHPVワクチンが死因であると示すものは何もない。
ナタリーさんの死は、いつ起こっても不思議のないものだった」
私はここにも同じ疑問を感じるのですが、
心臓と肺に、いつ死んでもおかしくないほど大きなガンがあったとはいえ、
そのことに気づかず、HPVワクチン接種の直後まで普通に学校生活を送っていた人が
接種した直後に突然亡くなった、という時に、
一体どういうindicationがあれば
「悪性腫瘍という悪条件のある人にワクチンが死の引き金となった」と言えるのかが
今の段階ではっきりしているのでしょうか?
逆に言えば、
「解剖した際に何がどうであればワクチンが引き金だったと分かる」ということが
今の段階で確立されていないのだとしたら、
「ワクチンが引き金になったことを示すものはない」ということは同時に
「ワクチンが引き金にならなかったことを示すものもない」ということに過ぎず、
それなら
NHSの言う「ワクチンが引き金になったことを示すものはない」とは
「この人はワクチンを打たなくても、いつか死んだ可能性はあるけれど、
その日その時に死んだことにはワクチンが引き金となった」という可能性を
完全に否定できるわけでもないと思うのだけど。
Cervical cancer jab girl Natalie Morton died from large chest tumour
The Times, October 2, 2009
もう1つの疑問は、
日本のケースに関する読売の記事の以下の記述。
サーバリックス接種後の死亡は今回が世界で5例目。
因果関係がはっきりした事例はないという。
インターネットで数年前からあちこちのサイトを見る限り、
サーバリックスに限った数値ではないにせよHPVワクチン接種後の死亡例は
20数件または30数件と言われており、
上記、ナタリーさんの死亡事例の際にも
Guardianが「英国で1例、米国で32例」と書いている。
(英国でその他、重度障害が1例)
また、その際にエントリーにする余裕がなかった以下のサイトによると死亡件数は20件。
サーバリックスに限ったとしても「世界で5例目」ということはないのでは?
……というか、ガーダシルも認可されたのだし、ガーダシルでも死亡例が出ているのだから
どちらも合わせて報告すべきでは?
Reported Side Effects of HPV Vaccine: Parents & Teens Worried
AskDrSears.com, September 24, 2008
さらに、上記サイトで20件の死亡例の内17件の詳細をみると、
心臓の異常とけいれんとが目立っています。
2008年段階に既に心臓の異常がこれほど目立っていたにもかかわらず、
2011年の日本で、心臓に異常のある中学生にPHVワクチンが打たれた。
そして、その中学生が2日後に亡くなった。
それでも「直接的な因果関係は認められない」……?
http://www.boston.com/news/local/massachusetts/articles/2011/09/19/cardinal_urges_opposition_to_assisted_suicide_ballot_petition/
無益な治療論ブログのThaddeus Mason Pope氏がCDCの事前医療計画オンライン講座を受講し、終了したらしいのだけれど、その講義の中で「事前指示書は患者の利益のためというより医療職の法的保護を目的としたもの」との説明があったらしい。
http://medicalfutility.blogspot.com/2011/09/cdc-course-on-advance-care-planning.html
さらに、上記ポストを書いた直後にPopeは、英国でもOnora O’Neill上院議員がどこかの講座で「インフォームド・コンセントは患者の自己決定権を尊重するためではなく、医療職をライアビリティから守るためのものである」と語っているのを聞いたそうな。:この説というかホンネは、私も22年前に娘の主治医との議論の中で聞いたことがある。Popeは「確かに、患者の自己決定が本当の目的だったら、患者が説明を理解することの重要性がもっと強調されてしかりだわな」と。
http://medicalfutility.blogspot.com/2011/09/informed-consent-is-for-doctors-not.html
中国とインドが製薬業界での成長・進出目覚ましく、今後は抗がん剤や糖尿病の治療薬など、これまでは米国など金持ち国の独壇場だったバイオ・テク医療の分野をも脅かし始めている。
http://www.nytimes.com/2011/09/19/health/policy/19drug.html?_r=1&nl=todaysheadlines&emc=tha22
スーパー・リッチはせめて一般の米国人と同じ税率で納税を、とObama大統領。:米国の富裕層は一般人よりも税率が低かったなんて……知らなかった……。
http://planetsave.com/2011/09/18/obama-the-richest-of-the-rich-need-to-pay-more-tax-equal-to-normal-folks/
三重県警:トイレの訴え拒み、聴取の女性がパト内で失禁:難聴の女性だったという。「配慮に欠けていた」という問題ではないと思う。「失禁後も聴取を続けた」明らかに虐待。
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110917k0000e040063000c.html
グァテマラで大きな地震たてつづけに4回。
http://www.guardian.co.uk/world/2011/sep/20/guatemala-earthquakes-leave-three-dead?CMP=EMCGT_200911&
20日午前9時半現在、「2時間前」に立ち上げられたスレッドが成長抑制療法を扱っている。
タイトルは 「成長抑制療法についてどう思いますか?」
立ち上げた人は障害のある子どもの親。
現段階で入っているレスポンスは1つで、障害のある子どもの親からのもの。
やり取りは大まかには、以下のような感じ。
「息子のサイモンを永遠に(forever)私たちの手元に置いておけるよう、選択肢の一つとして成長抑制療法を調べ始め、時期が来たら相談してみようと思う医師の名前も2つほどゲットしました。息子は現在はまだ扱いやすい(manageable)サイズなので、すぐ急いでやりたいわけではないけど、親としては私は年を食っている方なので将来が不安なのです」
「成長抑制は将来的にもウチには関係がないけど、成長抑制に思うところはあって、サイモン君には最適、ぜんぜんOKだと思います。前にもここで話題になったことがあった記憶があるんだけど、介護者であるあなただけでなく結局はサイモン君にも利益になると思う。成長に伴って、移動させるのもお風呂に入れるのなんかも難しくなっていくし、扱いやすいサイズだと親は助かりますね。サイモン君も家族とずっと一緒にいられて家でケアしてもらえて、施設に入れられなくてもすむ。身近にやってくれる医師がいるかどうかが気になるところですね。どうもヨーロッパの方が成長抑制は許容されているとかどこかで読んだけど、まぁ、医療に関しては米国よりヨーロッパが進んでいるから」
What are your thoughts on growth-attenuation therapy?
Babycenter.com, September 19
2人それぞれの子どもの写真があって、
質問者の息子サイモン君は、写真では自転車で遊んでいるように、
少なくとも自転車につかまって立っているように見えます。
この人のこれまでの投稿履歴や写真を見る限り、
自力で立って、わずかなら歩ける子どもさんのようでもあり、
「寝たきりの重症児だけが対象なのだから」を論拠に
成長抑制療法の正当化論を展開しているシアトルこども病院の成長抑制WGのメンバーに
ぜひとも、このやりとりについての意見を聞いてみたいものです。
去年の成長抑制WGの論文については、以下の4本のエントリーに ↓
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/62625973.html
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/62626031.html
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/62636670.html
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/62650044.html
【午後追記】
その後、レスが増えていますが、いずれも
「施設やグループホームに入れるよりも、親が家庭でケアするのが何よりだから
やれるならやったらいい、または、自分もいずれ考えたい」などの路線。
http://www.slate.com/id/2303989/
オランダの医師連盟 KNMG からポジション・ペーパー、The role of the physician inthe voluntary termination of life(2911) 「自発的な生命のターミネーションにおける医師の役割」。2011年6月から施行。
http://knmg.artsennet.nl/Diensten/knmgpublicaties/KNMGpublicatie/Position-paper-The-role-of-the-physician-in-the-voluntary-termination-of-life-2011.htm
14日のエントリーでとりあげたHPVワクチンを巡るお粗末な論争関連で、テキサス州のRick Perryのメルク社との関係はともかく、2007年に知事命令を出してHPVワクチンの義務化を試みたことは、子ども達のいのちを守ろうとする適切な判断だったのだ、とNYTの社説。:………。
http://www.nytimes.com/2011/09/18/opinion/sunday/governor-perrys-vaccine-tribulations.html?_r=1&nl=todaysheadlines&emc=tha211
例えばイーライ・リリー社が Zyprexa の違法マーケッティングで有罪を認め、刑法違反の罰則金と4つの民事訴訟の和解金とで総額140億ドルを払ったケースや、Alpharma が鎮痛剤 Kadian の処方で医師にキックバックを払っていた疑いで4250万ドルを支払ったケースなど、ビッグ・ファーマが罰則を支払っている場合にも、関与した医師は無罪放免されていることの不思議を、例によってProPublicaが。
http://www.propublica.org/article/doctors-avoid-penalties-in-suits-against-medical-firms
アルメニア、アゼルバイジャン、アルバニアで男女の人口比のバランスが崩れ、妊婦に性別を告げることを禁じようとの動き。
http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/9739
米ミシシッピ州では11月に the Personhoon Amendment (人格修正条項)の住民投票が予定されており、胎児に人格を認めるかどうか、つまり中絶禁止に向かう動き。
http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/9742
遺伝子診断でアルツハイマー病のリスクが分かるようになると、差別が起きる可能性があり、対策が必要。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/234487.php
アルツハイマー病の人と家族にとっては、ちいさなGHが望ましい。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/234486.php
NYTに支援を受けて自立生活を目指す自閉症のある若い芸術家の話題。
Autistic and Seeking a Place in an Adult World: Justin Canha, a young artist with autism, prepares for life as an independent adult through the help of transition program. Links to special features including short video conversations, his artwork and animation can be found throughout the article.
NYTに「死について語ろう」というオピニオン記事があり、ぎくりとして読んでみたら、尊厳死や死の自己決定権や無益な治療ではなく、人種差別がらみで死刑になったとされて反対運動が起こり、最後の夕食を食べた後になって処刑がとりやめになった黒人死刑囚Troy Davisさんの話が、政治利用されているという話だった。
http://opinionator.blogs.nytimes.com/2011/09/16/lets-talk-about-death/?nl=todaysheadlines&emc=thab1
http://www.nytimes.com/2011/09/17/us/supporters-rally-to-save-troy-davis-from-execution-in-georgia.html?_r=1&nl=todaysheadlines&emc=tha23
http://www.nytimes.com/2011/09/17/opinion/stay-of-execution.html?nl=todaysheadlines&emc=tha211
英国人夫婦の代理母をしていたが、双子を妊娠して27週目に
Eメールで、離婚したので生まれた双子は引き取れないと通知された。
既に自分自身の子どもが1歳と2歳と2人いるHacheyさんは
代理母の妊娠中に、夫婦からもらう経費では医師に命じられた安静を守れず
そのストレスなどから自分も夫婦関係が崩壊しており、
6月28日に双子を出産した後、なんとか養子にもらってもらえる先を見つけたが、
依頼者夫婦とは何カ月かの間、毎日の電話で互いに理解を深めて、
去年の11月には直接会っているものの、契約書に書かれていたのは
夫婦が双子の法的両親であることと、経費として毎月200ドルを支払うことのみで、
カナダの法律ではどうにもできない立場に置かれてしまった。
専門家は、代理母も両親になる予定の人も、どちらにももっと保護が必要だ、と。
しかし、トロントの生殖補助医療を専門にする弁護士は
「若くて、美人で、人を信じやすい人なのでしょうが、
もっと自分の身を守る手を打っておくべきでしたね。
そのために法律があるのですから」と。
こんな目にあっても、Hacheyさんはまた代理母をやると言っている。
ただし、次はエージェンシーを通し、弁護士のアドバイスを受ける、とのこと。
20-year-old surrogate mother abandoned
BioEdge, September 17, 2011
詳細な元記事は以下に ↓
http://www.parentcentral.ca/parent/newsfeatures/article/1051902--surrogate-mother-s-nightmare
http://www.cbc.ca/news/health/story/2011/09/13/nb-bathurst-surrogate-parent-1245.html
トロントの弁護士のコメントって、
まるで代理母の方の自己責任みたいな言いようだなぁ……というのも
気になるところですが、
それよりも何よりも、子どもの命とか人生とかが
こんなにも安直に大人の都合で左右されることに、強い抵抗感を覚えた。
そしたら、1つだけ入っているコメントが
「この記事でショックなのは、問題にされているのが
代理母を保護するためにもっと法律の活用を、という話だけだということ。
2人の子どもが遺伝上の親と産みの母親の両方によって
搾取され、捨てられたのですよ。
関わった人たちはみんな児童虐待で刑務所行きになるべきです」
実際、ざっと読んだだけだけれど、上記の元記事の2本とも、
代理母への保護の問題として扱われており、だから
代理母はエージェンシーを通して法的な保護手続きをとれ、という論調となっており、
生まれてきた子ども達の福祉や権利についての関心は見られない。
【関連エントリー】
これが8回目という代理母(2008/3/9)
代理母と付き合い続ける依頼者一家(2008/5/26)
インドの生殖医療ツーリズム(2008/8/12)
「死んだ息子の精子で代理母たのみ孫がほしい」認められず(2009/3/5)
「死んだ息子の子どもがほしい」母に裁判所が遺体からの精子採取を認める(TX州)(2009/4/17)
「炭鉱で働こうと代理母をやろうと自分の身体なんだから勝手」とFost(2009/12/8)
グローバル化が進む“代理母ツーリズム”(2011/1/29)
生まれた子どもの引き渡し拒否の代理母に、裁判所が「育ててよい」(2011/2/13)
亡き夫の精子は妻の“財産”(2011/5/24)
ナイジェリアの“赤ちゃん工場”摘発(2011/6/2)
「パリの女は産んでいる」から考えたこと(2010/2/23)
「試験管ベビーは先天異常の時限爆弾か?」とDaily Mail(2009/5/6)
生殖補助医療で先天異常が増加?(2009/11/26)
「生殖補助医療を受けるカップルには先天性奇形のリスクを警告して」と研究者(2010/6/15)
日本の皆保険の50年について以下の3本。(一番上がLancetの論説で、全文読めます)
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2811%2961223-3/fulltext
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2811%2960828-3/abstract
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2811%2960274-2/fulltext
日本人を健康にしたのは一体何だったのか。
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2811%2961055-6/abstract
「渋谷健司:日本におけるグローバル・ヘルスの推進」:私が個人的に一番興味を引かれるのはこの論文。渋谷氏はハーバード大学でChristopher Murray氏のもとで働き、その後は一緒にWHOに移っている。Murray氏は当ブログでもおなじみ、現在はゲイツ財団の私設WHOといわれるWA大学IHMEのトップ。DALYの考案者でもある。渋谷氏は最近になって日本にJapan Institute for Grobal Health (JIGH)なる組織を立ち上げたのだとか。東大にもthe Global Health Leadership Programなるものを作っており、そこに5月にゲイツ財団から日本の武田製薬にお越しになった山田氏なんかが絡んでいる模様。
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2811%2961388-3/fulltext
上記、渋谷氏が立ち上げたというJIGHのサイト。トップ・ページを開くと目に飛び込んでくるのはアフリカの子ども達の写真と、その横にデカい文字で「わたしたち日本の力でポリオを地球上から3年で根絶します」。トップ・ページの記事をざっと見るだけでも「ポリオ撲滅」と「ゲイツ財団」一色ではないか……とほとんど茫然とし、とその時、気づいたのは、大きなタイトルの下に、ごく小さな文字で「JIGHはビル&メリンダ・ゲイツ財団の支援を受けて運営されています」。
http://jigh.org/
同じく渋谷氏が立ち上げたという東大のGHLPのサイト。5月に武田製薬にお越しになった山田氏は、6月25日にここで講演したことがニュースとして挙げられている。:こういうプログラムは世界中の名だたる大学に設けられているのだろうから、これからグローバル政府のために働く”リーダー”たちは、このようにゲイツイズムに染められつつ育成・養成されていくということなんだな、と。
http://www.ghlp.m.u-tokyo.ac.jp/
まぁ、そもそもLancetそのものがゲイツ財団に買収されたに等しいんだけれども。そういうことを考えると、この特集、いろんなことが、ぐるっと回って繋がって、話が出来過ぎている……というくらい見事に繋がっている。
―――――
ゲイツ財団が Monsanto や Cargill といった農業バイオ企業と組んで、途上国でのGMO(遺伝子組み換え作物)研究に巨額の資金を投資していることについて。
http://www.triplepundit.com/2011/09/gates-foundation-invests-gmo-research-africa-correct/
【関連エントリー】
ゲイツ財団がインドで目論んでいるのはワクチン普及だけでなくGM農業改革も(2011/4/16)
メイヨ―・クリニックにHealthy Aging And Independent Living Lab開設。:どこでそういう印象を拾ったのだったか、これまたどこかのエントリーにあるはずなのだけど、ここは確か「科学とテクノで簡単解決バンザイ文化」の牙城の一つ?
http://www.medicalnewstoday.com/releases/234267.php
米国で入院を経験した高齢者の内、多くが、痛みのケアを中心に必要な外来ケアを受けることが出来ていない。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/234408.php
女性にとって中年期に一日一杯のお酒がのちのちの健康の秘訣なんだとか。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/234023.php
インシュリンを鼻スプレーで使うと、アルツハイマー病の進行を遅らせることが出来るかも。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/234293.php
60歳から94歳まで639人の介護者に調査を行ったところ、
65%が自身も健康に問題があったり、障害があると答えた。
介護している人を抱え上げられる自信があると答えたのは半数のみ。
ほぼ70%が介護者役割によって健康を害した、と答え、
49.2%は過去1年間に健康が悪化した、と答えている。
また34%の人は、介護者役割を果たすために自分の治療や手術を延期したことがある。
68.8%は精神面での健康に問題を感じており、
42.9%は過去1年間にメンタル・ヘルスが悪化したと答えた。
トラストでは、この調査結果をもとに、主として以下の3点を提言している。
① GPは年に1度、介護者の健康診断とうつ病スクリーニングを。
また、介護者役割のために外出しにくい介護者のために、
必要に応じて往診も必要。
② 介護者には介護技術の研修と、
必要に応じて、リフトなどの介護用具の提供を。
③ 介護者のレスパイトは、NHSと地方自治体が資金を出すべき。
同トラストのトップ Liz Fenton氏は
「調査から、他者の介護をすることによって
介護者自身が健康を害する可能性があることが明らかです。
調査では、多くの介護者が背骨を痛めたり関節炎、腰痛、
ガン、腎臓病、うつ病、心臓病などに大変苦しみながら、
それでも苦労して介護を続けていると語ってくれました。
当トラストは、
参加しやすく、比較的費用がかからない地方レベルでの予防サービスを、と呼びかけています。
そういうものがあれば介護者の生活は改善することが出来ますし、
それによって、より長く在宅介護を続けることができる人が増えれば
廻り回って、行政の経費も削減できるというものです」
保健省の広報官は
「政府は医療とソーシャルケアに関する自己決定権を拡大しようと考えており、
そのためには虚弱高齢者と介護者にパーソナル・バジェット(現金支給)を
広げていくことが不可欠。
現金支給によって、個々に自分が望むケアと支援を受けられるようになる。
介護者のレスパイトと、介護者の健康・福祉チェック、
また柔軟な予約制度や、退院時支援とケア・プランの改善などについては、
複数の地域で様々な方法を、予算をつけて模索しており、
その結果を今年の末までに報告することになっている」
Two thirds of older carers have ‘damaged their health’ due to strain of looking after loved ones
The Daily Mail, September 12, 2011
Trust calls for home visits and health checks for older carers
Nursing Times.net, September 13, 2011
Mailの記事に寄せられたコメントの中に、
「正直言って、介護している人って、
介護していることを言い訳に働こうとせず、
介護者手当でのうのうと暮らしているよね」
さすがに、
「あんたね、週たかが55.55ポンド程度で、
フルタイムの介護って生活、やったみたこと、ないでしょーが?」
「フルタイムで介護してて、どーやったら働けるって言うの?」
などとコテンパンにやられているけれど、
このコメントには、唸りながら先頃の暴動を思い出してしまった。
みんなが貧困層に転落していくなかで、
たった週55.55ポンド(約6600円)の手当ですら嫉妬の対象になる……。
――――――
The Princess Royal Trust for Carers の3つの提言については、
「ケアラー連盟」の介護者実態調査で同じような結果が出ている(↓)ことでもあり、
日本でも同じ提言が当てはまると思う。
日本のケアラー実態調査(2011/6/14)
① の、うつ病スクリーニングには、
介護役割からくる心身のストレス軽減のための実際的な支援策がなければ
単なる薬物療法への誘導になるリスクもあるような気がするけれど、
往診の必要は、
ケアラー連盟の調査報告書でも強調されている「アウトリーチ型の支援」にも通じていく点。
アウトリーチ型支援は
物理的に介護者が外出しにくいからというだけではなく、
介護者の心理からしても必要なのだという点は、私自身、
6月の「ケアラー連盟」のフォーラムでお話しさせていただいたところ ↓
ケアラー連盟設立1周年記念フォーラムに参加しました(2011/7/1)
日本では介護保険の地域包括支援体制が整備されつつあることを考えると、
そうした体制の中に介護者へのケアを組みこんでいくことも可能じゃないだろうか。
② の研修の必要については
「“身勝手な豚”の介護ガイド」(詳細は文末にリンク)でMarriotさんが
「プロの介護者なら最初にしてもらえる研修なのに」
なぜ家族介護者には誰も必要なトレーニングを提供してくれないのだ?」と
何度も繰り返して書いていたのが、とても印象的だった。
私自身は、子どもの障害を知らされてすぐに母子入園プログラムで
いろんな専門家の講義を聞き、リハビリを母親が学ぶ機会に恵まれたし、
障害児の親の場合には、子どもの成長と共に知識もノウハウも身につけていくだけの
時間的な余裕があるという面もあるのだけれど、
例えば脳卒中などの中途障害の場合だと、
介護者もある日突然に気づいたら「介護者になっていた」という事態なのだから
確かに、大変だろうな、ということにMarriotさんの本で初めて気づいた。
これは、医療サイドでも、
患者教育と支援いう面だけではなくて、
介護者教育や支援にも目を向けてもらう必要がある、ということだろうし
ガン医療では少しずつ始まっているようでもある。
③ は、これは、もう、
Marriotさんが書いていた通り、
Break or you break.
(休むか、介護者の方が壊れるか)
レスパイトをやらない、という選択はないものと心掛けよ、との
Marriotさんのアドバイスは、とても正しい、と思う。
だから、在宅で頑張れ、というなら
十分なレスパイトを保障することが大前提――。
これまで当ブログが介護者支援について書いてきたエントリーは相当数に上ったため、
以下のエントリーに一度リンクを取りまとめています ↓
「クローズアップ現代」が英国の介護者支援を紹介(2010/10/14)
介護者支援について「介護保険情報」の連載で書いたものはこちらに ↓
介護者支援シリーズ 1: 英国の介護者支援
介護者支援シリーズ 2: 英国の介護者週間
介護者支援シリーズ 3: 英国のNHS憲章草案と新・全国介護者戦略
介護者支援シリーズ 4: 米国 家族介護者月間
介護者支援シリーズ 5: 障害のある子どもを殺す母親たち
介護者支援シリーズ 6: NHSの介護者支援サイト Carers Direct
【Marriotさんの著書に関するエントリー】
「“身勝手な豚”の介護ガイド」1: セックスもウンコも“殺してやりたい”も(2011/7/22)
「“身勝手な豚”の介護ガイド」2: あなた自身をもう一人の“子豚”に(2011/7/22)
「“身勝手な豚”の介護ガイド」3: “専門家の世界”に心が折れないために(2011/7/22)
「“身勝手な豚”の介護ガイド」3のオマケ: だって、Spitibaraも黙っていられない(2011/7/22)
「“身勝手な豚”の介護ガイド」4: 「階段から突き落としてしまいたい」で止まるために(2011/7/23)
「“身勝手な豚”の介護ガイド」5: ウンコよりキタナイものがある(2011/7/23)
「“身勝手な豚”の介護ガイド」6: セックスを語ると“子豚”への愛が見えてくる“ケアラー哲学”(2011/7/24)
本人が「自分は蘇生を望む」と意思表示をしたものの
再びDNR指定がカルテに復活。
家族が病院側に抗議している間に亡くなってしまった
英国のJanet Traceyさんのケースについて、
前に補遺で拾って気になりながら、そのままになっていたのですが
我らがSavuちゃんの「“無益な治療”論はマヤカシだから配給制に」発言を機に、
ちゃんと読んでみました。
Traceyさんの事件の詳細は以下の法律事務所のサイトにあります。
Leigh Day serve judicial review and human rights challenge to use of Do Not Resuscitate Orders
Leigh Day & Co. Solicitors, August 30, 2011
Leigh Day事務所は、夫から依頼されて
Traceyさんが入院した病院を管轄するNHSトラストと保健相に向け、
法的調査と人権侵害の訴えを起こし、
トラストのDNR指定のやり方は違法であるとの宣言と同時に、
現在はトラストごとにバラつきのあるDNR指定について
全国一律のガイダンスを専門職向けにではなく患者と家族向けに出すよう
求めているとのこと。
Janet Traceyさんは
今年2月初頭に肺がんと診断され、化学療法を受けることになった。
ところが治療が始まる数日前の2月19日、
交通事故に遭い、Addenbrooke’s 病院に搬送される。
この間、Janetさんは一貫して自己決定能力を有していたのだけれど、
2月27日にJanetさんのカルテにはDNR指定が書きこまれた。
それに気づいたJanetさんと娘の一人が病院のスタッフに対して
それは本人の意思に反する、まだ生きられると考え蘇生を望んでいる、と申し入れをした。
翌日、夫も別の娘と一緒に病院の相談支援室を訪れ、
妻のDNR指定について懸念を話した。
ところが3月5日、Janetさんのカルテには
2度目のDNR指定が書きこまれる。
Janetさんは7日に死去。
弁護士事務所では、本人も家族も知らない内にDNR指定が行われたことは
1998年の人権法で保護されたJanetさんの人権侵害であると考えている。
現在の英国の方針は非常にあいまいで、
一方で患者の権利を「絶対」視しながら
最終決定は医師が行うものとしており、
共通のガイドラインが存在しないために、
同じ症状でも病院によって対応がばらついている。
保健相もDNRに関する方針はトラストごとの判断で、とのスタンス。
そのため、患者や家族には
DNR指定について基本的な方針や情報すら提供されていないのが現状だという。
【関連エントリー】
“終末期”プロトコルの機械的適用で「さっさと脱水・死ぬまで鎮静」(英)(2009/9/10)
肺炎の脳性まひ男性に、家族に知らせずDNR指定(英)(2011/8/3)
上記の8月3日の記事には
「英国では病院側がDNR指定をする際に家族への通知は無用」と書かれています。
これが上記の「トラストによって方針にバラつきがある」ということでしょうか。
また同様の事件として、
カナダでは、Annie Farlow事件がありました。
当ブログでも何度も取り上げてきたトンデモ生命倫理学者のJulian Savulescuが
9月26日、シドニー大学の新しいウェブ・サイトthe Clinical Ethics Resourceの立ち上げを祝して
講演するようです。
タイトルは the Futility of Futility (無益性の無益)。
シドニー大学の当該ページはこちら ↓
Launch of the Clinical Ethics Resource featuring Professor Julian Savulescu
The University of Sydney
書かれている講演予告は、
In modern times death has, for most of us, become a managed process, where treatment is selectively withheld and withdrawn, commonly on grounds of futility. In this paper Professor Savulescu argues that the concept of medical futility is deeply flawed. He will argue that judgements of medical futility are really covert judgements of best interests, which are frequently mistaken, or judgements about distributive justice. Decisions about medical futility would be best reframed as explicit resource allocation and distributive justice issues.
現代の死は多くの人にとって操作されたプロセスとなっており、
通常は無益性を根拠に治療が選別的に差し控えられたり中止されたりしている。
この論文でSavulescu教授は、
医学的無益性という概念には重大な欠陥があると主張し、以下のように論じる。
医学的無益性の判断とは実際には最善の利益判断が名前を替えたもので
しかもその判断はしばしば誤っていたりもする。
また、実際にはそこで暗黙のうちに
医療資源の公平な配分に関する判断が行われていることもある。
医学的無益性を巡る意思決定は、
医療資源配給と、公平な分配の問題として
明確に再構成されるのが最も良いだろう。
(distributive justice の太字は spitzibaraによるものです。
「分配の正義」。ここでは「医療資源の公平な分配」と訳してみました。
もしも日本語の定訳があれば、どなたかご教示ください)
ちなみにSavulescuは今年2月にICUでの一方的な「無益な治療」停止を説いていました ↓
Savulescuらが、今度はICUにおける一方的な「無益な治療」停止の正当化(2011/2/9)
新しいサイトは、
サウス・ウェールズ州の保健局がスポンサーで
シドニー大学の the Center for Health Governance, Law & Ethics と
The Center for Values, Ethics & Law in Medicineによって立ち上げられたもので、
日々、難しい意思決定を迫られている臨床現場の医療職に向けて、
それら意思決定をサポートするための資源とガイドラインを提供するのが狙い、
というのですが、
その立ち上げを祝して連れてきたのがSavulescuで、
(Savulescuは現在Oxford大学のUehiro研究所所長ですが
もとはオーストラリア出身で、ピーター・シンガーの一番弟子だったとか)
しかも講演内容が
「今でも“無益な治療”論というのは実際には
“最善の利益”論だったり“医療資源分配(つまりコスト)”の問題だったりして
別モノを言い変えているだけで、結局“無益な治療”論なんてマヤカシだ」といいつつ、
「だから“無益な治療”論のマヤカシをやめて、
これは医療コストの問題なのだと堂々と明示して配給医療にしよう」……なのだから、
このサイトが一体どういう情報やガイドラインを流していくのか
容易に想像がつくというものです。
それにしても、
ここでSavulescuが用いている論理は、
「死亡者臓器提供ルール」を撤廃しようと説く
FostやTruogやVeatchらの論理と全く同じ。
「脳死」者は実際は生きている。脳死概念は間違いである。
このように、今でも我々は生きている人間を死んだことにして臓器を摘出しているのだから
生きている間から臓器を摘出することも認めてよい。
「脳死」概念が間違いで、
死んだことにされている脳死者は実は生きているなら、
そこにある倫理問題とは、まず何よりも、
生きている人間を死人とする方便によって臓器が摘出されていることそのものにあり、
脳死臓器移植の倫理性が議論されるべきだというのが順当な論理のはずなのに、
そこで、現に今、行われている明らかな医療倫理違反は不問にし、
さらに、その違反の上塗りをするような提言をする。
この人たちがやっていることとは結局、
ステップ1
現在の医療倫理では受け入れられない A を現場に導入するために、
とりあえず表向きを取り繕えそうな概念 B を創り出し、
B の名のもとに強引に現場に実は A の既成事実を積み重ねていく。
ステップ2
当然「実際に行われているのはAだ」という批判を中心に
AとBを巡って議論が百出するが、そこには
Aという概念を広く周知させていく効果もある。
どうも議論が低調だと見れば、刺激的な言辞をちょいと投入して扇動する。
ステップ3
Bという名目でAが行われる既成事実化が進んできたところで、
その概念はマヤカシだと自分たちで否定してかかり、
今だってBだという名目で実際にはAが行われているのだから
こんなマヤカシは止めて、最初からAを堂々とやろう、と説く。
そういえば、
Truogは、小児の心臓死後臓器提供(DCD)の正当化でも、
これと全く同じ論理展開を使っていたっけな。
DCDドナーは死んでなんかいない。
デンバー子ども病院なんか75秒しか待たずに採った。
我々は今でも生きている子どもから採っている。
もともとアフリカのバーナード医師の第1例なんか
開けてみたら拍動していたから、氷水をかけて心臓を止め、
それで死んだことにして狩り採ったんだ。
だからDCDドナーが生きているか死んでいるかなんて問題じゃない。
どうせ死ぬ命と、それで救われる命があるなら、
倫理的な答えは出ているじゃないか。
だから生きている人から臓器を採るのは良いことだ。
この人たちがせっせと説いて回っていることを聞くと、
どうしても考えてしまう。
だから生命倫理学というのは、つまりは、
非倫理的なことを倫理的だと言いくるめるロジックのことだよね……。
【Savulescu「臓器提供安楽死」関連エントリー】
「生きた状態で臓器摘出する安楽死を」とSavulescuがBioethics誌で(2010/5/8)
Savulescuの「臓器提供安楽死」を読んでみた(2010/7/5)
「腎臓ペア交換」と「臓器提供安楽死」について書きました(2010/10/19)
臓器提供は安楽死の次には”無益な治療”論と繋がる……?(2010/5/9)
「“生きるに値する命”でも“与えるに値する命”なら死なせてもOK」とSavulescuの相方が(2011/3/2)
P・Singerの配給医療提言はこちら ↓
Peter Singer がQOL指標に配給医療を導入せよ、と(2009/7/18)
http://firestorage.jp/download/a48f0a17a64077e44fa56e7ae155dc036a92d670
中国で精神障害のある男性が斧で通行人を襲い、大人4人と子ども2人を殺害。:中国はもともと障害者に対する差別意識が強い印象があるので、この事件でさらに差別的な施策がとられるのではないかと心配。
http://www.guardian.co.uk/world/2011/sep/14/axe-attack-china?CMP=EMCGT_140911&
9月12日のエントリー「ゲイツ財団、ビッグ・ファーマ・ノバルティス役員の引き抜きへ」の続報。Novartisの開発部門のトップ Trevor Mundel氏が12月をもって退職し、ゲイツ財団のグローバル・ヘルス部門(途上国でのHIV、結核、マラリア、ポリオ撲滅のための治療薬とワクチン開発を中心に、総額147億ドル以上のグラントを出している)の役員に就任することが、いよいよ正式に発表された。Mundel氏のノバルティスでの功績は、MSの治療薬Gilenyaを去年米国で、今年初めにヨーロッパで相次いで売り出したことだとか。
http://online.wsj.com/article/SB10001424053111904265504576568272823313408.html
http://www.marketwatch.com/story/gates-foundation-names-dr-trevor-mundel-to-lead-global-health-program-2011-09-13
ウォーレン・バフェットがバンカメの株を買ったけど、インサイダーの疑いは?:この記事の内容と関係があるのかないのか分からないし、特にエビデンスがあって言うことじゃないけど、バフェットは株資産の一定割合をゲイツ財団に提供していて、そのバフェットとビル・ゲイツの2人がポーカーしながら相談しあって、互いの投資の戦略を練っているというんだから、その投資がそのまま既に十分、株価のコントロールになっていたりする……なんてことは? それに上記、ノバルティス関連の記事だって2本とも経済記事。ゲイツ財団の動向や投資行動は、そのままダイレクトに株式市場に影響していく。
http://www.mogulite.com/warren-buffett-insider-trading/
で、そのバンカメは3万人の人員削減を打ち出している。
http://www.washingtonpost.com/business/bank-of-america-to-slash-30000-jobs-in-cost-cutting-plan/2011/09/12/gIQAYQbANK_story.html?wpisrc=nl_cuzheads
米国国税調査では、一番貧困率が低いのは白人で、この不況で一番経済的な打撃を受けているのはアフリカ系アメリカ人で、無保険者の割合が一番上がっているのはアジア人で、同じ移民でも米国に帰化した人に比べて気化していない人は貧困率が高く、世帯ごとに最も収入が多いのはアジア人。この記事の結論は、医療施策を云々する際には、たぶん「(平均じゃなくて)中間値を使えよ、オプラとかビル・ゲイツみたいな人たちが現実を別物に塗り替えて見せられないように」と。
http://dcentric.wamu.org/2011/09/five-facts-about-race-poverty-and-health-insurance/
米国の貧困率が3年連続で上がり、ついに15.1%という記録的な数値に。
http://www.guardian.co.uk/world/2011/sep/14/us-poverty-levels-record-high?CMP=EMCGT_140911&
途上国の肥満問題解決策として、バスを無料化してはどうか、という提案。:こういう視点がゲイツ財団やIHMEのGBDプロジェクトなんかの「科学とテクノの簡単解決文化」には欠落しているんだけど、こういうの、良いと思う。米国のパラ・トランジットについて某MLに投稿した際に、現地情報をくださった方のお話しの中に、「郊外からパラ・トランジットを使って毎日バスで中心部に行き、スタバでコーヒーを一杯飲んでくるおばあさん」のエピソードが語られていて、スタバなんて今どきどんな郊外にだってあるけど、その人には繁華な中心部のスタバに毎日でかけることに意味があるのだし、それが介護予防となり医療費や介護費の削減効果もある、と。あれは印象的なエピソードだった。
http://www.canberratimes.com.au/news/local/news/general/free-bus-rides-may-aid-weight-loss/2291049.aspx?src=enews
あるのは知っていたけど、初めてマジで読んでみた「9・11自作自演説」。日本語「911十周年で再考するテロ戦争の意味」by 田中宇。
http://tanakanews.com/110914WTC.htm
英国MI5の前チーフがテロリストと対話を、と呼び掛け。:上記の田中氏の記事によると、米国は密かにアルカイダと協議していることを認めたとか。
http://www.guardian.co.uk/uk/2011/sep/13/former-mi5-chief-urges-terrorist-talks?CMP=EMCGT_130911&
オサマ・ビン・ラディンからアメリカへの手紙。Observer紙に全文翻訳掲載。
http://www.guardian.co.uk/world/2002/nov/24/theobserver?CMP=EMCGT_140911&
「災害弱者」が見た大震災 福島の障害者支援施設長 高崎で講演
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20110914/CK2011091402000072.html
昨日、英国で“保護”されたはずの“奴隷”24人のうち、9人が警察の手入れや容疑そのものを否定し、捜査への協力を拒否しているらしい。一人は、奴隷状態に監禁されていたはずの自分の家に強引に戻ったとか。どこへの行くあてのない自分たちに、まがりなりにも仕事と住まいをあてがってくれたのだ、と主張しているみたい。でも、この記事によると、3月にも英国各地で、それぞれ20人、8人、7人が保護され、6月にも大規模な奴隷キャンプが摘発されていて、英国内に人身売買の犯罪組織があるとされている。:そういえば去年10月にも、子ども7人を含むルーマニア人が英国北部の農場で奴隷労働に従事させられていたニュースがあった。日本にも、「そんな条件でそんな危険な仕事を……」と言われても、「でも仕事もなく住処もないホームレス状態よりは」と言う若者がいる……? トンコさんのこちらのエントリーの「日本の原発奴隷」を思い出した。
http://www.guardian.co.uk/uk/2011/sep/12/rescued-man-criticises-slavery-raid?CMP=EMCGT_130911&
この前、米国AARPが出した州ごとの介護の質ランキングがよく分かる色分け地図。どの州でも、この結果はニュースで取り上げられており、これはオクラホマ州の記事。
http://www.tulsaworld.com/news/article.aspx?subjectid=17&articleid=20110910_17_A17_AsAmyB238915
上記評価でNY州は50位。NYTの社説。
http://www.nytimes.com/2011/09/13/opinion/bad-grades-on-long-term-care.html?_r=2
こちらはAZ州。
http://www.trivalleycentral.com/articles/2011/09/14/arizona_city_independent/people/doc4e6fc43099230374029364.txt
英国のケア・ホームの平均入所期間は2年半で、平均費用は年間26000ポンドだって。:そりゃ「家を売らないと入れない」と言われるはずだわ。
http://www.ftadviser.com/FTAdviser/Insurance/HealthcareAndProtection/LongTermCare/News/article/20110914/713e9774-dea1-11e0-a090-00144f2af8e8/CII-reveals-average-longterm-care-bill.jsp
子どもが生まれて父親になると、テストステロンのレベルが5年以上の間、低下するんだそうな。:なんだ、生物学的に男も子育てにエネルギーを注げるようにできているのか。
http://www.guardian.co.uk/science/2011/sep/12/testosterone-drops-men-become-fathers?CMP=EMCGT_130911&
ユニセフが「英国の親が長時間労働をするようになり、埋め合わせのために子どもに高級なモノを与えている」と。
http://www.guardian.co.uk/society/2011/sep/14/uk-children-stuck-materialistic-trap?CMP=EMCGT_140911&
コレステロールが高い人はアルツハイマー病のリスクが大きいですよ、と日本の九大チームがNeurology誌に。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/234265.php
ビタミンB6とB12、それから葉酸が脳の委縮を抑えます。
http://www.guardian.co.uk/science/2011/sep/13/b-vitamins-alzheimers?CMP=EMCGT_140911&
NYTが簡単に取りまとめている。
まず、
「法制化が提案されたものの、」
後に取り下げられたり、委員会に送られたきりになった州」が
少なくとも22州。
ニュー・メキシコ州では2007年に法案が州議会を通過したものの、
知事が拒否権を発動して成立しなかった。
次に、
「義務化の法規制が施行になった州」として、
2007年にDistrict of Columbia と、Virginia州がある。
もっともVirginia州では最近、
義務付けを取りやめる法案が下院を通過。
ただし上院で廃案となった。
(D.C.については文末のリンクに関連情報あり)
最後に
知事命令が出たものの州議会がつぶした州として、
Texas州。これも2007年。
テキサス州のこの件に関しては
こちらで簡単に書いています。
このテキサスの騒動については
どこかで他のエントリーにもしているはずなのですが、すぐには見つからず。
どうもエントリーが増えすぎてリンクを張りにくくなりました。
Actions by States to Require the HPV Vaccination
NYT, September 13, 2011
2007年と言えばガーダシルの製造元のメルク社が
あまりにもエゲツナイ販促ロビーで顰蹙を買っていた年――。
なるほどね~、という感じも。
ともあれ、こういう情報がこういうふうに整理されたということは、
いよいよ米国でHPVのウラ側が暴かれたり、
問題視されるという予兆……?
【HIVワクチン関連エントリー】
CDCが11,12歳に髄膜炎、百日咳、子宮がんのワクチン接種を呼びかけ(2008/9/2)
英国でHPVワクチン義務化、親の反発必至(2008/9/5)
今度は乳がん予防のワクチンだと(2008/9/15)
ノーベル賞選考過程にHPVワクチン特許持つアストラゼネカ関与の疑惑(2008/12/18)
CA州で女児4人に1人がHPVワクチンを接種(2009/2/21)
HPVワクチン普及目的で保健当局が学校に女児の個人情報を要求(NZ)(2009/4/3)
3医学会がHPVワクチン製造元の資金で学会員にワクチンを推奨(2009/8/19)
2009年8月21日の補遺(Washington DCの学校で事実上義務化との情報あり)
HPVワクチン接種後に13歳女児が死亡(英)(2009/9/29)
2009年12月24日の補遺(CDC前センター長がMerk社のワクチン部門責任者として天下り)
米国で「ワクチン打たないなら診てやらない」と医師ら(2011/7/6)
【日本のHPVワクチン施策関連エントリー】
「HPVワクチン」検索結果の怪(2008/9/2)
朝日のワクチン記事にも「米国では」の印籠(2009/8/8)
日本の「ワクチン産業ビジョンの要点」の怪(2011/3/8)
子宮頸がんワクチンでの失神は「ドキドキするから」?(2011/8/5)
日本でもガーダシル導入へ、厚労省当該部会の議論の怪 1(2011/8/5)
日本でもガーダシル導入へ、厚労省当該部会の議論の怪 2(2011/8/5)
大学を卒業して以来、2年前の春にリタイアするまで
30年以上「英語の先生」をやっていた間には、
「忘れ難い学生さん」や「学生さんの忘れ難いセリフ」との出会いがあれこれとあった。
その1つが
「ボクの全身の細胞が先生に謝れ、と言い続けて……」。
福祉学部の男子学生さんだった。
福祉を志す人たちならば、と勝手な思い入れで
教養の英語のテキストに障害児・者に関連したものを選んで使っていた頃で、
その日は脳性マヒの兄弟を持つ子どもたちの作文みたいなものを読んでいた。
その学生さんが指名された時にすぐに答えられないのを見た時に、
周りに座っていた仲間内の誰かがそのことをからかって
「わ~い、答えられないんでやんの」的な子どもっぽいチャチャを入れた。
彼がいつも一緒にいるグループはもともとそういう雰囲気の人たちの集まりで、
その日は授業の始まりから特にグループ全体のテンションが高い感じもあった。
で、そのテンションに煽られるように、
からかわれた彼は「だって、ボク、脳性マヒだから」とふざけ、
グループのみんなは、それに他愛なく、あははは、とウケた。
彼が指名された直前の個所の訳文に「脳性マヒ」という言葉があったのが
何の考えもなく、ただ連想ゲームのように口から転がり出た、という感じだった。
机の間の通路を彼らグループの席の間近まで行き、
目の前でその場面に直面した私は、一瞬、激しく当惑してしまった。
たぶん私自身が障害のある子どもの親ではなかったら、
即座に強い口調で反応し“指導”しただろうと思う。
「これは、教師として、きちんと指導しなければならない発言だ」と
その瞬間に、くっきりと意識したことは覚えている。
でも、私は、たぶん自分自身が障害のある子どもの親であるという理由で
その時、きっぱりとした強い態度に出ることができず、
我ながら情けないほどに弱々しい口調で
「そういうのはやめたほうがいいよ。自分の人格を貶めるよ」と
つぶやくように言ってみただけだった。
日ごろは「口でこの私に勝とうなんて10年早いわ」とばかりに
強い口調と態度でセンセイを張っているくせに、なぜあの時だけ、くじけたんだろう……と
その後ずっと、あの瞬間の自分の心理をあれこれと分析してみるのだけど、
イマイチ自信を持って「こうだった」と言えるところまで掴めていない。
福祉の分野に進もうとする学生さんだから、
少しでも意識を持ってもらいたいと思って選んだテキストが、
却って、こういう軽はずみなジョークを招いてしまうという
全く予想外の展開に、ショックもあった。でも、それだけではなかった。
そんな他愛ない学生さんのジョークに、
まさか「傷ついた」わけではなかったと思うのだけど、
どこかにそれに非常に近い感覚があったんだろうか……。
小学校の先生をしている私の友人は
特に障害児・者について個人的な思い入れがあるわけでも何でもないけれど、
クラスの子ども達が「ガイジ」という言葉を使っているのを聞き、
その意味を知った時、体が震えるほどの憤りに捉えられて、
思わず、自分でもびっくりするほど激しい口調で怒鳴りつけてしまったという。
彼女のようにまっすぐに憤り、強く指導することができなかったのは、
そうした発言が私の中に呼び起すのが「許せないこと」に対する義憤ではなく、
それまでに「障害のある子どもの母親」として味わってきた個人的な感情だったからなんだろうか。
そんな自分の当事者性といきなり思いがけない形で直面して、
そのことに当惑し「停止」してしまっただけなのかもしれない。
ただ、どう対処していいか分からなかっただけなのかもしれないし、
その日、ただ単に疲れ気味で気力が低下していたのかもしれない。
その辺りの自分の心理は今もって判然としないのだけれど、
なにしろ、その時も、
机の間の通路を黒板まで戻りながら友人の話を思い出し、
今しがたの自分の言動に、たいそう割り切れない思いになった。
これは寝る時まで引きずってしまうかもしれないな……とも予感した。
とはいえ、
その後も授業を続けていると頭の中はあれこれとせわしない。
いつまでも拘泥している余裕などなくて、そのうちには意識から消えてしまった。
なので、授業を終えて、学生さんたちがわらわらと教室から出て行きはじめ、
私は私で黒板(実は白板)の上の方からびっしり書いたのを
背伸びして腕を振り、黒板消しでサクサク消している時に、
(この時の「あー、今日も終わったぞー」気分はとても良い。つい浸るのです)
教卓の向こうに誰かが寄ってきて背後から「先生」と声をかけられた時も、
いつもの出席日数の確認やら「単位ください」のお願いだろうと、
サクサクしながら「はいよ。なに~?」と、背中で軽く受けた。
「僕の出席日数どーなってますぅ?」とか
「あのねぇー、単位どーしても欲しいんっすよねー」とか
実際はわざわざ問うほどでもお願いするほどでもない、ダルい口調のしょーもない話で
なんとなく寄ってきては、しばしジャれていく人たちというのが何人かいて、
そういう人たちとは黒板(実は白板)を消しながら、また教卓の上を片づけながら、
相手から返ってくるのがダルい口調だけにテンポよくぽんぽん受けては返すのが常なので、
そのつもりでいたら、
「先生、こっちを向いてください。話があるんです」
かつてないパターンに驚いて手を止め、なにごとかと振り向いたら、
あの「だってボク、脳性まひだから」の学生さんが立っていた。
グループのみんなが出て行ったあとで一人残ったらしく、
日ごろヒャラヒャラした感じの子が、ついぞ見たことのないマジな顔で、
うつむきながら押し出すように、言ったのは、
「授業の間中、ボクの全身の細胞が『先生に謝れ』って、ずっと言い続けていて……」
それから、ちょっと固まった後で
「さっきは、すみませんでしたっ」と、ぴょこんと頭を下げた。
あ……、その間あたしったら、コロッと忘れて授業してたんだ……。
それに気付くと、俄かに可哀そうになって、
「いや、悪気じゃないのは分かっているから」とかなんとか言い始めてみるのだけれど、
こっちの言葉は何も彼の耳には届いていかない様子。
それは彼にとっては、
私が彼の謝罪をどう受けるかという問題ではなく、まるで
自分で納得できる落とし前をつけられるかどうかを彼自身の問題として
全身の細胞に背負わされてしまったかのようで。
何を言っても、全身をこわばらせて頭を振っていたかと思うと、
もう一度、勢いよく頭を下げて「ほんと、すみませんでした」。
そう言うと、そそくさと部屋を出て行った。
車を運転して家に帰りながら、
すっかり忘れていたから慌てたとはいえ、
まるで何かを取りつくろうみたいに、あんなにあれこれ言おうとするんじゃなくて、
私も「ありがとう」と一言だけ、心をこめて言えばよかったのに……と悔やまれた。
次の週に教室に行ってみると、彼は
「えーっ。宿題なんか、なかったっすよー。それ先生の錯覚ぅ!」と
軽佻浮薄をウリにしているみたいなグループにカンペキ同化して
いつものようにオチャラけていた。
それを見たら、
「健全」という言葉がデカデカと頭に浮かび、
ま、いっか……と、それきりにしたので、
言いそびれてしまった「ありがとう」を、
ここで、あの時の学生さんに――。
あなたのおかげで、
ピーター・シンガーみたいな頭がいいだけの卑怯者や、
いつか、酒の席とはいえ、私が重症児の親であると知りつつ正面きって
「障害児は殺したっていい」と挑むように断言してみせ、
「どうしてですか?」と問うと、
「生きたって幸せになれないから」
「でも幸せって主観的なものじゃないですか」
「少なくとも俺(大学教授)のような仕事をして、
こうして酒を飲み議論するようなシアワセな生活はできない」
と言い放ってくださった、自称シンガー論者の倫理学者の方のことなどを思う時に、
頭の良さや知識の多さや社会的地位や肩書と
人としての品(しな、と読んでください)の上下はまるきり別物だ、と
私は自信を持って信じることができる。
だから、本当に、ありがとう――。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110913-00000011-jij-int
【関連エントリー】
世界の「奴隷労働」を、拾った記事から概観してみる(2011/1/20)
英国の子ども病院の医師らがヨーロッパ諸国に向け、子どもからの臓器移植が増えるよう法的、倫理的、文化的バリアを取り除く努力を、と。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/234152.php
カナダで自殺幇助を含めて終末期の意思決定について検討しているthe Royal Societyの委員会の委員長のGlobe and Mail紙のインタビュー。:読んでいないけど、質問そのものがヘン? How do Canadians want to die? とか。
http://www.theglobeandmail.com/news/opinions/editorials/the-assisted-suicide-dilemma/article2161476/
カナダ、ケベック州でウツ病の妻の銃による自殺を手伝ったとして起訴されていた男性Leger Ayotteさんに無罪判決。男性もガンが判明したばかりだったという。:検察側が立証できなかった、という理由らしいのだけれど、本当にそれだけなのかなぁ。以下にリンクするように、ケベック州はカナダの中でも特にラディカルに自殺幇助合法化議論が進められているところ。去年12月にも、知的障害のある男性が叔父の自殺幇助で無罪になっている(これは自殺幇助以外にもいろいろな要因のある事件ではあるけれど)。合法化議論が繰り返されることで世論の中に自殺幇助に対する寛容が涵養されていく様子は、英国のGuilderdale事件で目の当たりにして、背筋が冷えたものだけど。
http://www.montrealgazette.com/news/found+guilty+assisting+wife+suicide/5390291/story.html
【関連エントリー】
カナダ・ケベック州医師会が自殺幇助合法化を提言(2009/7/17)
カナダ議会、自殺幇助合法化法案を否決(2010/4/22)
【Gilderdale事件関連エントリー】
Gilderdale事件:「慈悲殺」を「自殺幇助」希望の代理決定として正当化する論理(2008/4/18)
慢性疲労症候群の娘を看護師の母親がモルヒネで殺したGilderdale事件(2010/1/19)
Gilderdale事件から、自殺幇助議論の落とし穴について(2010/1/22)
Gilderdale事件で母親に執行猶予(2010/1/26)
Gilderdale事件:こんな「無私で献身的な」母親は訴追すべきではなかった、と判事(2010/1/26)
介護者自身が高齢の場合、3人に2人が介護負担から自分の健康を害している。介護者支援の老舗チャリティ the Princess Royal Trust for Carersの調査で。「GPは毎年、介護者にはうつ病のスクリーニングを行え」と提案している。:その提言は、でも、それでウツ病と分かってどういう支援が入るのかによっては逆に怖いんじゃないのかなぁ……。
http://www.dailymail.co.uk/health/article-2036433/Older-carers-say-looking-loved-ones-damaged-health.html
健康な細胞を害することなく、がん細胞だけを攻撃する爆弾みたいな抗がん剤が開発されているらしい。:がん研究の10年って、こういうこと?
http://www.guardian.co.uk/science/2011/sep/12/cancer-drugs-fewer-side-effects?CMP=EMCGT_120911&
親子関係が悪いと子どもがビデオ・ゲームにはまりやすい。:それ、夫婦関係にも言えるか? ……と考えた瞬間、ある友人夫婦が(というより、その友人がビデオゲームに熱中する背中が)頭に浮かんだ。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/234084.php
遺伝学の進歩で、個々の病気リスクは今よりももっと正確に予測できるようになる。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/234189.php
新たなADHD遺伝子、自閉症その他の神経疾患にも関与。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/232606.php
「私は余計なことをせずにさっさと死なせてほしい。
できれば麻酔をかけて眠っているうちに殺してほしいくらいだ」と
彼女が言うのに、なんとも割り切れない気持ちになった。
その人の話は概ね、こんな感じだった。
数年前に親戚の誰か高齢の人が病気になった時に、
医師がさっさと胃ろうにしたのに驚いた。
「まだ口から食べられる機能は残っています」と
かつて看護師だった彼女は果敢にも医師に抗議したがはねつけられた。
その時に言われた言葉の一つが
「今はこうしないと病院経営が成り立たない時代なのだ」だった。
そういう劣悪なケアだから
その人は、胃ろうになった途端に、どんどん機能が低下して
すぐに何も分からない寝たきり状態になった。
その病院には、そんなふうに
もう何も分からないのに、ただ機械的に時間がきたら管をぶら下げられて
栄養を入れられて肉体として生かされているだけの高齢者が
ずらりと並んでいて、ぞうっとした。
私はあんな目に会いたくないから
あんなになるくらいなら、その前に死なせてほしい、と思った。
あんなになるくらいなら、
できたら麻酔をかけて眠っているうちに死なせてほしいくらいだ。
彼女が前半に言っていたことは
まだ口から食べさせれば十分に食べられる状態なのにもかかわらず
コスト削減の儲け主義でさっさと胃ろうにしてしまう医療の在り方への不満であり
だから「もっと丁寧なケアをするべきだ」という主張だったはずなのに、
それが、いつのまにか「余計なことはせずにさっさと死なせてほしい」へと
話が飛躍していることに、しゃべっている当人は全く気付いていない。
というか、
「もっと丁寧なケアをしてほしい、すべきだろう」と語っていた人の言うことが、やがて
「自分はあんな目に会いたくない」 → 「さっさと死なせてほしい」と飛躍する間には
「もし丁寧なケアをしてもらえないのであれば」という条件が存在していること、
その条件が即座に「どうせ丁寧にケアしてもらえないのだから」という前提と化し、
それによって「丁寧なケアはしてもらえない」ことが受け入れられてしまっていることに。
その自分の意識のワナに無自覚なまま、
「親戚がまだ食べられるのにさっさと胃ろうにされた。
私はあんな目に会いたくないから余計なことはせずに死なせてほしい」
という話がパワフルに繰り広げられていく。
いま、世の中にどんどん増えている
「余計なことはせずに、さっさと死なせてほしい」論というのは
なるほど、こういうふうにできているものなのだろうし、
それが繰り返されることによって
その隙間に暗黙のうちに潜んでいる「どうせ丁寧にケアしてもらえないのだから」という諦めが
広く世間の人々の間で共有されていっているんだな、と。
でも、それによって「ターミナル期の丁寧なケアは望むべくもない贅沢」というのが
世間に広く共有された認識として固まっていき、その勢いや速度が
事実に基づいた丁寧な議論の余地をなくしていったり、
個別のケースごとの細やかな判断を一律に否定していくとしたら、
それは、とても怖いことなんじゃないだろうか。
改めて
惣万佳代子さんのような「地域での丁寧なケアと看取り」の実践者が
その丁寧なケアを前提に言う「高齢者は口から食べられなくなったら死」と
世間一般の人のいう「余計なことはせずに死なせてほしい」との間には
本質的な違いがあるのだということを、つくづく考えさせられながら、
目の前の友人に向かって、
「それって、思うツボにはまっているよっ」と
訴えないではいられない気分が頭をもたげてくるし、
「”口から食べられる間は口から食べる”ための丁寧なケアなんか
どうせしてはもらえないのが現実なのだから」という諦めを
そんな無防備な体験談と無責任な感想で世間に拡散しないでほしいという思いで、
ついあれこれツッコミを入れてしまうのだけれど、
元看護師の彼女には「医療に関することは私の方が分かっている」意識のバリアが高く、
私の言うことはなかなか通じていかない。
それが、どうにも、もどかしかった。
「医療」に関することではなく、
これは「人の生き死に」に関することだと思うのだけれど。
【追記】
上記の惣万さんのところにリンクしたエントリーを久々に読み返してみたら、
そのコメント欄にも、たいそう象徴的なやり取りがいくつもあって、
そういえば、この時も医療職の人の意識の壁に何度も悶絶しそうになったなぁ……と。
その「通じなさ」の悶絶の中で追加で書いたエントリーがこちら ↓
「食べられなくなったら死」が迫っていた覚悟(2009/11/5)
【胃ろう関連エントリー】
ETV特集を機に「胃ろう」について書いたエントリーをまとめてみる(2010/7/26)
“栄養補給所”を作って「業務がはかどる」と胸を張った師長さん、「胃ろう検討は十分な看護ケアをしてから」と主張した師長さん(2010/7/26)
在宅医療における終末期の胃ろうとセデーション(2010/10/6)
日本の尊厳死合法化議論を巡る4つの疑問(2010/10/28)
朝日新聞の「どうせ治らないなら延命はしませんよね、あなた?(2010/11/5)
中日新聞の「胃ろう」に関する連載
1 認知症 早すぎる医師の判断
http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20110105161319249
2 家族、現場の葛藤 必要な処置か延命か
http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20110112142307757
3 広がる拒否感 「管」=「終末」との誤解
http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20110119145604991
Sussex州、Eastbourneのケア・ホームで暮らしている91歳の女性は
酷い関節炎と視力の低下で、これ以上生きているのは耐えられないと言い、
この数カ月の内にDr. Irwinに伴われてスイスのDignitasへ行くことを計画中。
「通常なら親族とか親友が一緒にいくべきだと思われるだろうけれど、
この人の場合夫はすでになく、子どものない人なので」とDr. Irwin。
また同医師は、
自分が関与しているPAS合法化ロビー団体SOARSの調査では
英国国民の6割以上が合法化を支持しているとの結果が相次いでいるとも。
しかし、地元警察は、
この計画についてDr. Irwinに事情を聞くと言っているとのこと。
Pensioner to visit Swiss suicide clinic in Sussex’s first assisted death bid
Eastbourne Herald, September 12, 2011
以下のエントリーで取り上げたように、
これまでに英国では少なくとも44件の明らかに自殺幇助だった事件が
起訴が公益にならないとして不起訴になっており、
一件として起訴になった事件はないのですが、
英では2009年以降、少なくとも44件の自殺幇助事件が不起訴に(2011/9/4)
これまでに複数の患者をDignitasに連れて行っているDr. Irwinについてまで
去年6月に不起訴処分の決定がでているのが私には一番解せないところ ↓
自殺幇助の元GPに英国公訴局長「証拠はそろっているけど、公益にならないから不起訴」(2010/6/26)
この判決が出ている限り、
今回この女性を連れて行ったとしても、やはり
「証拠はそろっていても不起訴」ということになるんじゃないでしょうか。
それに、Dr. Irwinはこうして次々にコトを起こして話題を作り、
英国での合法化議論を活性化しようと狙っているのだという気がする。
それなら、この91歳の女性は
そのための手段として利用されているとも言えるような……?
【その他、Dr. Irwin関連エントリー】
スイスで自殺幇助に付き添ったパートナー逮捕(英)(2009/7/19)
英国で患者の自殺を幇助した医師が「証拠出すから逮捕に来い」と(2009/7/28)
英国で、自殺幇助容疑で元GP逮捕へ(2009/9/28)
自殺幇助ガイドライン後、初の起訴か(英)(2010/4/25)
英国のDr. Death「元気な高齢者にも医師による自殺幇助を」(2010/8/16)
中高の授業でDr. Deathが自殺装置を披露する「教育ビデオ」(英)(2011/4/17)
「Dignitasで死んだ人の遺灰がどこでどうなっていようと別に」とDr. Death(2011/5/15)
先頃グローバル・ヘルス部門の責任者を退職したTachi Yamada氏の後任として、
スイスに本拠地を置くビッグ・ファーマ、Novartisから
グローバル開発部門トップの役員を引き抜こうと狙っているらしい。
スイスの新聞が報道した。
ノバルティスの日本語ウィキペディアはこちら。
Gates Foundation eyeing Novartis exec - paper
Reuters, September 11, 2011
なるほど、やっぱりゲイツ財団は
ビッグ・ファーマとの絆をどんどんと深め、広げていくのですね。
この記事で触れられている山田氏がゲイツ財団を退職してどこへいったかというと、
5月18日の補遺で拾ったように、日本の武田製薬。
そうすると、
これまでは東大がワクチン研究で繋がりを持っている程度で
さほどにゲイツ財団と親しくも思えなかった日本でも、
6月には日本政府が
ゲイツ財団の下部組織に等しい国際ワクチン推進組織GAVIに8億3000万円を約束 ↓
日本も13日のカンファでGAVIに8億3000万円を約束(2011/6/17)
さらに8月には
JICAもゲイツ財団と、なにやら妙な円借款の約束をしたりして ↓
JICA、ゲイツ財団とパキスタンのポリオ撲滅で“戦略的パートナーシップ”(2011/8/20)
日本とゲイツ財団との関係がみるみる親密の度を増していくから不思議。
しかし、もちろん、それは
ゲイツ財団と日本の関係だけで起こっていることではなく、
ゲイツ財団の「元幹部職員」とは、単純に「退職」した人たちではなく、
ゲイツ財団から各国や国際機関などに「送りこまれている」人たちなのだろうと
私はずいぶん前から見当をつけている。
これまでに当ブログで掴んでいる限りでは
米国の国際開発支援を担当するUSAIDのトップも「ゲイツ財団の元職員」。
もう1つ、どこかの国際組織のトップが元ゲイツ財団職員だという情報を
拾っていると思うのだけど、すぐには見つけられないので、
そのうち出てきたらリンクします。
ともあれ、
ゲイツ財団が世界の科学とテクノとグローバル経済に及ぼす影響力(支配力?)は
まず、身体を巡る血液のように世界中の研究機関に浸透した研究助成のカネを通じて、
次に、上記のように世界中の国々や国際機関に送りこまれた「元職員」を通じて、
そして、ウォーレン・バフェットと2人でタグを組んでの投資行動を通じて、
またカネを通じての世界中のメディア・コントロールと、
Lancetを始めとする研究メディアのコントロール……
などなどを通じて、数年間で
あっという間に世界中に広がり強大化してきている。
それは、まるで、
世界的大不況が広がり、各国政府がカネと政治力を失っていくにつれ、
逆に、ごく少数に極端に集中していく富とその力とが
ゲイツ財団を中心に集中・強大化・組織化されていくかのようで。
今なお多くの人が
「ビル・ゲイツは善意のお金持ち」とナイーブなビル・ゲイツ像を抱き続け、
私も当初は「善意のヴォルデモ―トさん」だと考えていたけれど、
そういうのは、そろそろ考え直したほうがいいんでは?
私もずいぶん前から、もう「善意の」の部分はとりはずしました。
健康と人権組織国際連盟(?)International Federation of Health and Human Rights Organisationsが
強制不妊は身体的、精神的な健康を甚だしく損ない、
生殖を巡る自己決定権と人権を侵害する暴力であると弾劾。
不妊手術はインフォームド・チョイスが保障される限り、
一定の年齢に達した人には避妊の選択肢の一つとして認められるべきではあるが、
その不可逆的な性格と結果の及ぼす重要性と同時に、
障害者や周辺化された人々に強制的に行われてきた歴史に鑑み、
インフォームド・コンセントを確実に保障する特別な配慮が必要である。
強制不妊は生殖権と人権の明らかな侵害であり、
被害者にはHIV感染者の女性、ルーマニア(?)や先住民の女性、
精神障害・知的障害のある女性、トランスジェンダーの人たち、麻薬中毒の女性や
その他、弱者とされる人々。
こういう人たちに形だけ同意させるために、その弱みにつけこんで
同意しなければ治療してやらないと交換条件にしたり、
カネやモノや心理的・社会的なインセンティブで釣ったり
不妊を受けなければ不利な扱いを受けるように思わせたりしてはならないし、
特に医療職にはこれらの義務を十分に周知・遵守させなければならない。
世界医師会の会長は
残念なことに世界中で強制不妊のケースは報告が続いています。本人の知らない内に行われていたり、コンセントの機会もなしに行われていたりしています。
これは医療の誤用であり、医療倫理違反、明らかな人権侵害です。我々は全ての医師と医療職とに、自国政府に対して強制不妊を禁じるよう働きかけることを求めます。
IFHHROのトップは
医療職には、いかなる医療行為についても自己決定権とインフォームド・コンセントの権利とを尊重する義務があります。また患者の尊厳、プライバシー、自己決定を尊重する責任があり、そこには家族計画を含めセクシュアリティーとリプロダクティブ・ヘルスに関するすべての事柄について、強要や差別や暴力を受けることなく決定を行う権利も含まれます。子どもを産むかどうか、いつ産むかを自分で決定する権利と、その権利を行使する方法へのアクセス権も含まれます。
Global Bodies call for end to Forced Sterilisation
WMA, September 5,, 2011
当ブログが詳細に追いかけてきたAshley事件も、また同事件が英国に飛び火したKatie事件も
知的障害児の強制不妊が関わっている事件です。
2つの事件を追いかける過程で出会って詳細を調べた同様のその他事件として以下のものがあります。
【イリノイのK.E.J.事件】
イリノイの上訴裁判所 知的障害助成の不妊術認めず(2008/4/19)
IL不妊手術却下の上訴裁判所意見書(2008/5/1)
ILの裁判からAshley事件を振り返る(2008/5/1)
ILの裁判から後見制度とお金の素朴な疑問(2008/5/1)
IL州、障害者への不妊手術で裁判所の命令を必須に(2009/5/29)
【オーストラリアのAngela事件】
豪で11歳重症児の子宮摘出、裁判所が認める(2010/3/10)
Angela事件(豪):事実関係の整理(2010/3/10)
Angela事件の判決文を読む 1(2010/3/11)
Angela事件の判決文を読む 2(2010/3/11)
重症児の子宮摘出承認でダウン症協会前会長・上院議員が検察に行動を求める(豪)(2010/3/13)
これらリサーチに引っかかってきた医療職サイドの見解などは ↓
知的障害者不妊手術に関するD医師の公式見解
女性の不妊手術に関する意見書(米国産婦人科学会)
不妊手術に関する小児科学会指針
英医師会の後見法ガイダンス
知的障害のある子どもへの不妊手術:06年オーストラリアの議論(資料)(2011/2/16)
また、これら当ブログのテーマの周辺で拾った強制不妊事件に関するエントリーは
去年3月の段階で一度、以下に取りまとめました ↓
知的障害・貧困を理由にした強制的不妊手術は過去の話ではない(2010/3/23)
その後、
ナミビアでHIV感染女性への強制不妊手術に抗議デモ(2010/6/2)
コンドーム生産国日本の家族計画国際協力がペルーの強制不妊に繋がった?(2010/8/17)
英国で知的障害女性に強制不妊手術か、保護裁判所が今日にも判決(2011/2/15)
また米国では、いくつかの州で過去の強制不妊の歴史に謝罪や賠償の動きがあり、
MN州、100年に及ぶ差別的施策を障害者に公式謝罪(2010/6/15)
MN州の公式謝罪から「尊厳は無益な概念」を、また考えてみる(2010/6/17)
NC州で、かつての強制不妊事業の犠牲者への補償に向け知事命令(2011/3/21)
NC州の強制不妊事業の犠牲者への補償調査委員会から中間報告書(2011/8/15)
なお、現在、人口抑制を国際的な課題とするゲイツ財団の気になる動きについては ↓
ゲイツ財団資金で超音波による男性の避妊法を開発、途上国向け?(2010/5/12)
ゲイツ財団がインドのビハール州政府と「革新的な家族保健」の協力覚書(2010/5/17)
2010年5月29日の補遺:G8での途上国の母子保健関連記事。ここでも「家族計画」に言及。
ゲイツ財団が途上国の「家族計画、母子保健、栄養プログラム」に更に150億ドルを約束(2010/6/8)
「途上国の女性に安価な薬で簡単中絶“革命”を」の陰には、やっぱりゲイツ財団(2010/8/3)
http://news.bostonherald.com/news/politics/view/20110907ag_approves_eligibility_of_23_questions_for_drive_to_2012_ballot/srvc=home&position=recent
http://www.lifenews.com/2011/09/07/massachusetts-ballot-prop-promoting-assisted-suicide-gets-ok/
今日は世界自殺予防デイ。自殺予防に関する事業が最近ぱったり姿を消してしまったように思えるのは、自殺幇助合法化運動が高まってきた影響なのでは? と、Wesley Smithがブログで。そもそも自殺幇助合法化運動に対して自殺予防推進運動が異議申し立てをしないのがオカシイ。せめて「自殺予防週間くらいはPAS合法化に関する運動の一切を停止せよ」くらいのことは言ってはどうか。PAS合法化ロビーを黙認して、自殺予防推進の立場は結局のところ「やってはいけない自殺とそうではないものがある」と言っているに等しい、と。
http://www.firstthings.com/blogs/secondhandsmoke/2011/09/09/invisible-suicide-prevention-week/
日本の自殺予防週間についてはKebichan55さんのブログに興味深い記事がある。昨日エントリーにしたProPublicaの継続調査の内容だって決して海の向こうの話だとも思えないし。この構造はワクチンにも通じていくし。
http://blogs.yahoo.co.jp/kebichan55/52547436.html
米国の介護に関する全国調査で、最高得点を取った上位はミネソタ、ワシントン、オレゴン、ハワイ、ウィスコンシン。最下位はミシシッピ、アラバマ、ウエスト・ヴァージニア、オクラホマ、インディアナ。:上位のWAとORは自殺幇助合法化。ハワイも熱心に議会に法案が提出されていたりする。この傾向はOECDの介護に関する調査でも同じ。
http://www.webmd.com/healthy-aging/news/20110908/the-best-and-worst-states-for-long-term-care
上記調査でメイン州もなかなか健闘していたよ、という同州地元紙のニュース。
http://www.mpbn.net/Home/tabid/36/ctl/ViewItem/mid/3478/ItemId/17933/Default.aspx
英国史上最悪と言われた児童虐待事件Baby P (またはBaby Peter)事件で行政が怠慢を指摘されて以来、虐待リスクありとして保護される子どもの数が増えている。
http://www.guardian.co.uk/society/2011/sep/08/baby-p-effect-child-protection?CMP=EMCGT_090911&
FDAが効果のエビデンスを求めない「人道上の免除」に基づいて6年前に認可した脳動脈の新型ステントが、実は脳卒中の発症率も死亡率も下げていないと分かって、研究も突然に中止に。:「人道上の免除」というのがあるって初めて知った。
http://www.nytimes.com/2011/09/08/health/research/08stent.html?_r=1&nl=todaysheadlines&emc=tha23
ある葬儀屋さんが目撃した、「老人病院」の一晩に4人の死者。:「死亡証明書を確認させていただきますね」「もう確認しました!」のやり取りは、看護師さんが疲れてテンパっていたのではなく、詮索されると困る事情があったからなのでは? もしかしたら「生きているのか死んでいるのか分からないような」高齢者だから、と、どこぞの国の警察や検死官みたいに、医師も看護師も通報義務をスル―している……なんてことは? 葬儀屋さんには通報義務はないのか。あったほうがいいのでは? いや、誰であれ、通報しないと高齢者虐待防止法違反だと思うけど、もちろんショーバイに差し支えるとなると、通報する葬儀屋さんはいないわけで。
http://blogs.yahoo.co.jp/sougiyaoyaji/45514197.html
この葬儀屋さん、前には死後解剖でクーラーボックスの「お土産」を持って帰る研修医を目撃している。
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/63278940.html
米国のエネルギー刷新サミットで、ビル・ゲイツ、フェデックスやウォールマートのトップなどが講演。
http://energy.gov/articles/arpa-e-announces-2012-energy-innovation-summit-featuring-bill-gates-fred-smith-and-lee
エアロビが認知症予防に良いかもよ。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/234063.php
製薬会社、医療機器会社と医師との金銭関係に関する調査報道Dollars for Doctorsで、
ここ数日、ビッグ・ファーマを巡る新たなデータや分析結果があれこれと出ている。
以下の記事は読めているわけではなく、
補遺に拾うことを念頭に書いていたのですが
本数が結構あるのと、
ざっと並べただけでもある程度の流れは見えることから、一応、メモ的エントリーに。
これらの情報が明らかになるのを前に、それらビッグ・ファーマのProPublicaへの反応。
http://www.propublica.org/article/with-our-dollars-for-docs-update-coming-drug-companies-defend-interactions
ProPublicaのデータ分析で、
新たにビッグ・ファーマから医師への顧問料などの支払いの詳細が明らかになった。
例えば262億ドルの売り上げのファイザーが医師の販促講演謝礼に344万ドルを使っているのに対して、
イーライ・リリーは売上はファイザーの半分でありながら販促講演謝礼に615万ドルを使っていた。
2013年にすべての製薬会社、医療機器会社がこうしたデータを政府に提出を求められると、
こういうことが明らかになっていくことに。
http://www.propublica.org/article/piercing-the-veil-more-drug-companies-reveal-payments-to-doctors
2010年の1年間だけでファイザー製薬から3065ドル分の飲食を、
2011年前半だけで1046ドル分の飲食をふるまわれたカリフォルニア州の医師など、
多くの医師が顧問など特に仕事をしてあげるわけでなくても製薬会社にごちそうになっている。
2013年からは、そうした細かい金銭支出にも記録が求められる。
(これ、確かめていないけど、例のサンシャイン法かな?)
http://www.propublica.org/article/doctors-dine-on-drug-companies-dime
自分がかかっている医師に対して、どの製薬会社から金銭が流れているか、
患者には知る権利がある、とProPublicaとLATの共同社説。
http://www.propublica.org/article/patients-deserve-to-know-what-drug-companies-pay-their-doctor
ここ数年明らかになった巨額の支払いが問題視されるに従って、
医師による(販促)講演に対するビッグ・ファーマの謝礼の金額が下がっているらしい。
http://www.propublica.org/article/news-reports-cite-drop-in-physician-speaking-fees
上記ProPublicaの調査に関するエントリーはこちら ↓
ProPublicaが暴く「ビッグ・ファーマのプロモ医師軍団の実態」(2010/11/2)
学会が関連企業相手にショーバイする米国の医療界(2011/5/11)
「学会が関連企業相手にショーバイする米国の医療界」から医療費高騰を考えてみる(2011/5/11)
1つの病院で141人に無用な心臓ステント、500人に入れた医師も(2011/5/15)
それとは別に、こちらはProPublicaのブログから ↓
交流施設の子どもらの気分障害、公庫敵的行動に抗精神病薬?(米)(2010/10/6)
双極性障害の息子を持つ母親が
障害のある子どもと介護者への支援が、子どもが成人すると切れてしまうことについて
子ども・青年期から成人期への切れ目のない支援の必要を訴えている。
息子のJoe Paraskevaさんは現在21歳で、
病院の入り口に火をつけようとしたとして放火の罪で服役中。
メンタル・ヘルス法で指定されたその病院には
事件の2日前から自発的に入院していた。
母親のLinda Morganさん(56)は4月の判決以来息子には会っておらず
ちゃんと治療を受けられていないのではないかと案じている。
息子の介護者でありながら、
息子が成人しているというだけで母親には何の権利もないことになるのは
まるで地元の精神科医療には裏切られたような気がする、と語る。
2007年から利用してきた児童・青少年メンタル・ヘルス・サービスは
家族を対象としたもので、素晴らしかったという。
その後、本人を対象にしたメンタル・ヘルス・サービスを2010年6月まで受け、
その間は母親も介護者支援団体の支援を受けることが出来たが、
その後(おそらくはJoeが20歳になったのを境に?)は何もなくなった、という。
Joeには、もうケア・ワーカーもつかないし、母親への介護者支援もなくなった。
現在LindaさんはHackneyのケアラー・センターを利用しているが、
精神障害のある成人の介護者にはもっとNHSから支援が行われるべきだ、と語り、
Joeの釈放を求めるキャンペーンを始めることに。
そのキャンペーンを支援している
精神障害者チャリティSANEのトップ、Marjorie Wallaceさんによれば、
SANEには「孤立感」を感じる介護者から相談が相次いでおり、
「精神疾患のある人を介護している何千人もの人が心配です。
地方自治体の緊縮財政でサービスがカットされている時だけに」
Joeのケースを担当する当該NHSトラストでは
すでに広範な支援を提供しており、
母親とも連絡をとっているので、
息子さんへの対応を巡る不満や懸念の解消に努めていく、と。
Mother of imprisoned bipolar suffer from Stoke Newington calls for support for carers
Hackney Gazette, September 8, 2011
記事の書き方なのか、英国の制度についてのこちらの無知の故か、
問題になっている論点がイマイチはっきりしない。
精神障害者の介護者への支援の話として書かれているようなのだけれど、
Lindaさんが現在求めている介護者支援というのが具体的に何なのか、
息子が20歳になった途端に介護者である自分への支援も打ち切りになって
成人した途端に本人への直接サービスだけになったけど、
障害児の介護者への支援制度との継続性を保障し
精神障害のある成人を介護する人にも支援を、と
精神障害者の介護者支援の継続性の話なのか。
成人した息子の医療や処遇について
親であり介護者である自分には発言権がないことを
どうにかして考え直してほしいという
障害児の成人後の親または介護者の発言権保障の話なのか。
(その発言権の無さというのは、このケースの事件性を背景にした話なのか、
それとも一般のケースでも一定の程度まで当てはまる話なのか、も?)
精神障害者と介護者の問題である部分と、
その他の障害者とその介護者の問題である部分もあまりはっきりしないし、
一方、記事全体を読んで勝手に受ける印象では
介護者支援よりも当人の支援の継続性の問題では、というふうに思えるし。
個人的には、当人への支援でも介護者への支援でも
「児」を対象にする制度と「者」を対象とする制度の間が
シームレスに繋がられていない、との指摘と受け止めた。
たしか米国のIDEAも21歳までを教育保障年限としていたと思うし
その後の支援の継続性が保障されない問題は以下の記事でも触れられていた。
米国IDEAが保障する重症重複障害児の教育、ベースラインはこんなに高い(2010/6/22)
私も、ミュウが養護学校高等部を卒業する時の、
突然QOLの低い生活に突き落される我が子を目の前に
不安で胸がふさがれ途方に暮れるような思いは忘れられない。
今はとりあえず、こんな感じ ↓
「夏にプールに入れる」というQOL(2011/8/12)
もちろん、夏にプールに入れればそれでいいという話ではなく
制度に望みたいところはいっぱいあるわけで、
日本の支援教育制度も
米国のIDEAを(都合の悪いところは端折りつつ)モデルにしているような気がするし、
支援の現場にいる人から常に聞く「制度の谷間」の一つにはこの問題があるのだろうし、
よく分からない内容ながら、いろいろ考えさせられる記事。
来年6月26~29日までオランダのロッテルダムで。
テーマは
Thinking Ahead: Bioethics and the Future, and the Future of Bioethics
先を読み考える: 生命倫理と未来、そして生命倫理の未来
議論される問題は
医療における未来のテクノロジー
途上国の倫理と研究
シンセティック・バイオロジー(合成生物学)
エンハンスメント
延命戦略
環境問題
未来世代の道徳的責任
食物と倫理
保健衛生
ロッテルダム学会の公式サイトはこちら。
20年前の創設時にはアムステルダムで創設カンファが開催されたとか。
で、20年ぶりにまたオランダで開催。
安楽死先進国オランダで開催される「未来を見据え、先取りで考える生命倫理学会」というだけでも
“生命倫理という学問の未来”の方向性が“先取りで”見えてくるような心地がして
わ~ん。 コワいよ~ぉ。
それよりOuelletteの「生命倫理と障害」をみんなで読んでおくれよぉ~。
と、つぶやきながら泣きそーになるのだけれど、
テーマや話し合われるという上記の問題をつらつらと眺めていたら、
ふっと思い出したのは、
そういえば、この学会の初代会長は
ピーター・シンガーだったという話をどこかで読んだような……。
【関連エントリー】
生命倫理学者とは(2007/11/24)
生命倫理問題に付きまとう「割り切れなさ」について(2007/11/27)
大統領生命倫理評議会の「人間の尊厳と生命倫理」と「おくりびと」(2009/6/30)
生命倫理が「治外法権的な聖域なき議論の土俵」に思えてきた(2009/7/7)
「僕の心臓を盗まないで」とA事件と生命倫理の検証責任について(2009/9/1)
英語圏イデオロギーの専横は生命倫理学だけじゃなかった(2009/9/4)
この10年の米国の生命倫理の流れをCaplanがまとめ「ハイテクよりも足元の問題を」(2009/12/29)
Wesley Smithの「この10年の生命倫理トップ10ニュース」(2010/1/9)
ついでに【当ブログのSinger関連エントリー】
P.Singerの「知的障害者」、中身は?(2007/9/3)
Singerの“アシュリー療法”論評1(2007/9/4)
Singerの“アシュリー療法”論評2(2007/9/5)
Singerへのある母親の反論(2007/9/13)
Singer、Golubchukケースに論評(2008/3/24)
認知障害カンファレンス巡り論評シリーズがスタート:初回はSinger批判(2008/12/17)
知的障害者における「尊厳」と「最善の利益」の違い議論(2008/12/18)
What Sorts のSinger 批判第2弾(2008/12/22)
「障害児については親に決定権を」とSinger講演(2008/12/26)
Singerが障害当事者の活動家に追悼エッセイ(2008/12/29)
Sobsey氏、「知的障害者に道徳的地位ない」Singer説を批判(2009/1/3)
Peter SingerがQOL指標に配給医療を導入せよ、と(2009/7/18)
P.シンガーの障害新生児安楽死正当化の大タワケ(2010/8/23)
「障害者の権利と動物の権利を一緒にするな」とNDYのStephen Drake(2010/11/1)
「Kaylee事件」と「当事者性」それから「Peter Singer」(2010/11/3)
Peter SingerがMaraachli事件で「同じゼニ出すなら、途上国の多数を救え」(2011/3/22)
閻魔堂論議「なぜ人間が特別なのか?」シリーズ
「なぜ人間は動物と違って特別なのか?」種差別批判からの問い 1(2010/10/7)
「なぜ人間は動物と違って特別なのか?」種差別批判からの問い 2(2010/10/7)
「なぜ人間は動物と違って特別なのか?」種差別批判からの問い 3(2010/10/7)
P.シンガー「大型類人猿の権利宣言」シリーズ
①Singerらの「大型類人猿の権利宣言」って、あんがい種差別的?
②Peter Singerの”ちゃぶ台返し”
③SingerやTH二ストにとっては、知的障害者も精神障害者も子どもも、み~んな「頭が悪い人たち」?