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PASが合法化されたばかりのVT州で、オプト・アウトする病院が出てきている。
http://www.reformer.com/localnews/ci_23515442/grace-cottage-opts-out-assisted-suicide-law-now
http://www.nationalreview.com/human-exceptionalism/351770/vermont-hospitals-say-no-assisted-suicide-wesley-j-smith

Siri(シリ)に、自殺したいようなことを言ったり書いたりする人にはライフラインや自殺予防センターの情報を提供するなど自殺予防機能が加わったが、自殺幇助推進ロビーはまずGPS機能でユーザーがOR、WA、VT州の住民かどうかをチェックして、ガンや終末期の人は対象外とするよう求めているとか。
http://www.dfwcatholic.org/siri-to-help-prevent-suicide-but-not-assisted-suicide-19830/.html
http://www.lifenews.com/2013/06/20/siri-wont-help-people-commit-suicide-assisted-suicide-another-question/

米国の大規模介護実態調査で、不況から介護サービスを利用できず家族が介護を担うケースが増えている。で、米国の成人の4人に1人が介護者。
http://www.kaiserhealthnews.org/Daily-Reports/2013/June/21/long-term-care-costs.aspx
http://www.medicalnewstoday.com/articles/262287.php

アイルランドの介護者実態調査。
http://www.belfasttelegraph.co.uk/debateni/press-feed/publication-of-carers-statistics-for-northern-ireland-quarter-ending-31-march-2013-29362807.html

HPVワクチンでHPV感染が半減した、という調査結果を米国CDCが発表して、なんだかNYTがえらく熱心に取り上げている。社説でまで「驚くべき効果のHPVワクチン」とタイトルを打ち、最後の一文は「Doctors need to recommend, and parents need to accept, a vaccine that can save thousands of lives. 何千人もの命を救うワクチンなんだから、医師は推奨する必要があるし、親は受け入れる必要がある」。忌避を十分に意識した、こんな書き方を新聞の社説がやるということ自体、なんだかなぁ……。
http://www.nytimes.com/2013/06/20/health/study-finds-sharp-drop-in-hpv-infections-in-girls.html?pagewanted=all&_r=0
http://www.nytimes.com/video/2013/06/19/health/100000002289965/the-success-of-the-hpv-vaccine.html?nl=todaysheadlines&emc=edit_th_20130620
http://www.nytimes.com/2013/06/22/opinion/a-surprisingly-successful-hpv-vaccine.html?nl=todaysheadlines&emc=edit_th_20130622

一方、すごく微妙な書き方なんだけれど、抗ウイルス療法は却って子宮頸がんを発症させている可能性が指摘されてもいる。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/262258.php

日本。子宮頸がんワクチンと健康被害 因果関係を調査 日産婦:どうか「安全でした」と結論するための調査ではありませんように。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130622-00000038-asahi-sci

マラリア・ワクチンで対応したのでは、ワクチンへの耐性が強化されるばかりなので、マラリア撲滅には社会経済的な支援の介入が必要なのでは、とLancetの論文。
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2813%2960851-X/fulltext?elsca1=ETOC-LANCET&elsca2=email&elsca3=E24A35F

【関連エントリー】
公衆衛生でマラリア死8割減のエリトリアから「製薬会社株主ビル・ゲイツのワクチン開発」批判(2011/8/2)


あのJulian SavulescuとRoger Crispの編集で、オックスフォード大学ウエヒロ実践倫理センターが the Journal of Practical Ethics を創刊。
http://www.jpe.ox.ac.uk/

認知症患者にGPS装置を付けて追跡することの倫理問題。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/262294.php

【関連エントリー】
徘徊追跡でアルツハイマー病患者にマイクロチップ?(2007/7/28)
Verichipスキャンダル&ハイブリッド胚(2007/9/11)


代理母によって生まれた子どものウェルビーイングには問題はないというのが2002年からの定説だったけれど、新たな研究で親子の間に遺伝的なつながりがないことは子どもの適応問題につながり、攻撃的な行動や不安神経症やうつ病など問題に繋がる確率がそうで派に子どもに比べて高い。
http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/10569#comments


日本語<情報収集暴露>英機関 傍受の通信情報をNSAと共有:英国が米国のプリズムを通じて情報収集していたという話は、プリズムが暴露された直後に英語ニュースでは既に出ていた。この問題での日本のメディアの反応の遅さは気になる。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130622-00000057-mai-int

結婚相手を選ぶ時など、レストランへ行ってウエイターやウエイトレスに対して態度の悪い人は信頼しないこと。:これは言えるなぁ。
http://www.guardian.co.uk/lifeandstyle/2013/jun/15/never-trust-anyone-rude-waiter
2013.06.24 / Top↑
メイヨー・クリニック他の研究により、
ガーナの新生児でロタ・ウイルス・ワクチンに60%の効果があることが分かった、
というニュースが出てきているのだけれど、

現在、ロタ・ウィルス・ワクチンの接種は生後2カ月からとされていて、
先進国では2度の摂取が有効とされているが、それでは
生後2カ月未満の新生児への保護になっていないとの懸念も出ている。

そこで今回のガーナの研究では
最も貧しい2つの地域で998人の新生児を
ランダム二重盲検プラシーボ対象試験の対象として選び、
初回を生後29日で経口接種、2回目を生後60日で接種。

その結果、効果と安全性と免疫獲得が明らかになった、と。

Newborn Vaccination For Rotavirus In Africa Is Effective
MNT, June 20, 2013


このニュースで思い出したのは、
こちらのエントリーで紹介した
“The Body Hunters: Testing New Drugs on the World’s Poorest Patients”という本の内容。

簡単に言えば、この本が指摘しているのは以下。

欧米先進国で製薬会社に対する不信が高まり、
募っても治験に参加してくれる人がいなくなった。
それでも新薬への期待もマーケットも大きい。
そこでビッグ・ファーマがこぞって貧しい途上国に治験の場を移し、
医療アクセスの不備と貧困とで治療を受けられない病人の弱みに付け込んで、
世界で最も貧しい人たちをモルモット代わりに使っている。
先進国でならあり得ないような非人道的なやり方で。


「途上国にワクチンを」とは
まさか「途上国にワクチンを届けて、
先進国ではできない治験を」の意図だった……なんてことは――??

「ナイロビの蜂」という映画もあったし、
当ブログが拾った、こんなニュースもある ↓

ファイザー製薬ナイジェリアの子どもに違法な治験、11人が死亡(2009/2/1)

また、こういうことにもつながる問題でもありそうで ↓
MGH、重症脳尊重患者への同意なき臨床実験に参加か(2013/6/18)
2013.06.24 / Top↑
労働問題を中心に、若者の「働くこと」に関する様々な問題に取り組むNPO、
POSSEの代表、今野晴貴氏へのインタビュー記事が
今月号の『介護保険情報』にあり、今の日本社会の問題を鋭く指摘していると思った。

特に印象に残った個所を以下に。

……介護現場で働く方からの相談の特徴は、自分の労働問題ではなく、「事業所に問題がある」という相談が多いことです。
 どういうことかというと、介護や医療の現場で事故隠しや虐待があり、そうした問題に対する相談があるわけです。もちろん、その背景として、そもそも労働条件が悪く、それを我慢して働いてきた。しかし、彼らが一番許せないポイントは、利用者をないがしろにすることなのです。

 看護師や医療事務職からの相談は多いです。労働法を無視している経営者もいる。医療の現場では、医師をトップとする権威主義が根強く、法律を無視したパワーハラスメントが多いのではないでしょうか。
 また医療の現場でも介護と同様に、看護師などから「きちんと仕事を教えてほしい」という訴えがあります。

 今の日本は、企業丸抱えのOJTを放棄し、国も職能技術の担保をしない。どちらも人材育成を放棄したまま、ブラック企業の問題が社会問題化しつつあるにもかかわらず、解雇規制を緩和すべきといった提案がされるような状況です。
 ですから、国が雇用保障とセットで人を育てていく方向を打ち出し、推進していくべきだと思います。雇用の仕組みをしっかり作っていかないと、デフレ脱却もできないでしょう。

……たとえば非正規雇用で十分な技術を持たない人が専門的なサービスを提供しようとすれば、サービスそのものが劣化します。

 そもそも、雇用保障の在り方は、人材育成の在り方とセットになっています。日本の長期雇用制度は、企業内の職業訓練と親和的でした。したがって公共職業訓練制度や失業給付もなしに、ただ解雇規制だけを緩和すれば、余計に現場は混乱し、サービスの質が低下します。また、「解雇するぞ」という圧力のもとで、サービス残業が蔓延し、ブラック企業が激増していくことでしょう。
2013.06.24 / Top↑
2012年のWA州の尊厳死法の実施報告書が出ています。
私は読んでいませんが、本文はこちら ↓
http://www.doh.wa.gov/portals/1/Documents/Pubs/422-109-DeathWithDignityAct2012.pdf


以下の Life News の記事から概要を以下に。

2012年に尊厳死法を利用して自殺した人は83人で、
前年から17%の増加。2010年の51人からは63%の増加。

出された処方箋は121通で、
2010年から39%の増加。

その他、

・処方を受けた121人のうち、精神科医のアセスメントを受けたのは3人のみ。

・致死薬を受け取ってから150日後に死んだ人が一人。
 17人は致死薬を受け取ってから6か月以上たってから死亡。

・致死薬を飲むときに医師がその場にいたのは5回だけ。
(ここは元の英文が私にはちょっと理解不能)

・飲んで16時間後に死亡した人が一人。

・121通の処方箋のうち、10件では申請書が提出されていない。
 13件では死亡証明書が出ていない。
 4件では薬局から患者に薬を渡した記録用紙が提出されていない。
 11件では対応した医師の書くべきthe Consulting Physician formが提出されていない。

記事は
患者の死後に医師による自己申告が義務付けられているのみでは、
濫用を発見することは難しい、と指摘している。

Washington State Sees Huge Increase in Assisted Suicides in 2012
Life Site News, June 21, 2013


また、以下のAP通信の記事によると、

83人の年齢は35歳から95歳で、
90%以上が西ワシントン州在住。
ほとんどの人が癌だった。

Washington assisted suicide report shows 17 percent jump in people requiring lethal prescriptions
AP, June 20, 2013


なるほどWA州西部の人が多いのですね。

そして、もちろんその中には
以下のSCCAのシステム化されたプログラムに「参加」して
「アドボケイト」と称する病院ソーシャルワーカーの手引きと手配によって
自殺したがん患者も含まれているわけです。

シアトルがんセンターの「自殺ほう助プログラム」論文を読んでみた(2013/4/15)


【これまでの年次報告エントリー】
WA州とOR州の2009年尊厳死法データ(2010/3/5)
WA州から2010年の尊厳死法報告:処方を受けた人は前年より22人増加(2011/3/11)
WA州尊厳死法報告2011(2012/5/17)
2013.06.24 / Top↑
先週、以下のエントリーで紹介したケベックの法案について、

ケベックの法案は「医療的自殺幇助」という名の安楽死合法化法案(2013/6/14)

私がこのエントリーで指摘した通りの言葉のマジックを指摘する記事が
19日のGlove and Mailに出ていますが、

そちらの記事に法案の詳細があり、
それによると想像以上にラディカルな内容になっているようです。


まず冒頭の一文は、実に爽快。

なるほど。飼っているのはアヒルなのに、自分のペットはイヌだと称するわけですね。アパートでアヒルを買うのは法律で禁じられているから。法律を破ったら捕まりますからね。


大まかに言えば、この記事はこの法案について、

安楽死をmedical aid in dying (MAD)と称することによって、
安楽死でも自殺幇助でもなく「医療の一端である」と言い抜けることを狙っている、

というのも、安楽死や自殺幇助は連邦刑法に関わる事項だけれど、
医療については州政府の決定事項であり、州の医療法改正の問題に過ぎないから。

実際に、ケベック州の医療法では医療行為の定義が拡大されて
医師が「終末期を尊重する同法の下で、
終末期の患者がmedical aid in dyingを受けられるよう薬物などを投与すること」が
含まれているとのこと。

しかし、この法案ではMADをきっちり定義しておらず、
せいぜい以下のように書いて施設の医師、視界、薬剤師の委員会にゆだねられている。

……in accordance with the clinical standards established by the professional orders concerned, to adopt clinical protocols applicable to terminal palliative sedation and medical aid in dying.


これを正しく日本語にできる自信は私にないのだけれど、
最後のところで terminal palliative sedation と MAD と2つが並べてあるのには
重要な意味があって、

この法案 Bill 52は
終末期の患者に「素早い安楽死」と「ゆっくりの安楽死」を選択させるんだそうな。

もちろん、MADが素早い方。鎮静(sedation)がゆっくりの方。

しかし、この記事の著者は指摘する。
terminal palliative sedationという紛らわしい表現は一体なんだ、と。

【法案の問題その①】

terminal sedation とは、
死を引き起こす目的を持った鎮静であり、つまり実質は安楽死。

palliative sedation とは、
苦痛緩和の目的で行われる鎮静。

安楽死推進派は両者を区別することはできないと主張するが、
著者はきっぱりと言い切る。

「もしも患者の症状が鎮静を行わずにコントロール可能であったり、
患者が死に瀕していないのに栄養と水分が差し控えられていれば特に、
そういう場合の鎮静は明らかに安楽死である」

オランダでは terminal sedation は安楽死と定義されていないために
致死薬の注射のように報告する義務が課せられておらず、
こちらの安楽死が増えている、といわれるが、
ケベックの法案が通れば同じことが起こることになる。

これと同じことがベルギーの調査報告でも指摘されていたと思う ↓
ベルギーにおける安楽死、自殺幇助の実態調査(2010/5/19)


【問題その②】

法案は administer medical aid という表現を用いており、
「医師は自分でこのようなaid in dyingを行い、
死亡するまで患者をケアしなければならない」とは書かれているが
MADにいわゆる医師による自殺幇助PASが含まれるのかどうかが
法案の文言では明らかでない。

ケベック議会の法務委員会は自殺幇助を否定したといい、
それは自殺という枠組みにすると「医療行為」としにくいことに加えて、
自殺企図のある人への医療職の適切な対応は命を救う方向であるという一般の考え方や
カナダの最高裁が自殺幇助の犯罪性は憲法に則しているとの判決(Rodorigeuez)などが
影響しているのでは、というのが著者の読み。


【法案の問題③】

MADが認められる「終末期」の患者の要件として、

…… suffer from an incurable serious illness; suffer from an advanced state of irreversible decline in capability; and suffer from constant and unbearable physical of psychological pain which cannot be relieved in a manner the person deems tolerable.

不治の重病があること; 不可逆的に能力が低下する状態が進行していること; 本人が許容できる方法では軽減することのできない継続的で耐え難い身体的または心理的な苦痛があること

つまり終末期の人でなくてもよく、
身体的な病気がなく精神障害であってもよく、
多くの障害者、高齢者、病者、弱者は当てはまることになる。

しかもMADは
「入所施設、介護施設」でも個人宅でも行ってよいこととされている。

Quebec is trying to legalize euthanasia by calling it something else. It’s still wrong
The Globe and Mail, June 19, 2013


Terminal sedation と palliative sedation の区別については
ハリケーン・カトリーナの安楽死事件を思い出す。

苦痛を感じてもいなければ意識を失っていたわけでもなく、
まして死を自己決定したわけでもない人達に
非難させられないからという理由で「死ぬまで鎮静剤を」投与するよう
看護師に支持した医師は、事件後にフィンズ記者の取材で、
緩和の鎮静にだって死を早める効果があり、鎮静を安楽死というなら
医師は日常的にそういうことをやっているのだ、と釈明した。

ハリケーン・カトリーナ:メモリアル病院での“安楽死”事件 1/5: 概要(2010/10/25)
ハリケーン・カトリーナ:メモリアル病院での“安楽死”事件 2/5: Day 1 とDay 2(2010/10/25)
ハリケーン・カトリーナ:メモリアル病院での“安楽死”事件 3/5 : Day 3(2010/10/25)
ハリケーン・カトリーナ:メモリアル病院での“安楽死”事件 4/5 : Day 4(2010/10/25)
ハリケーン・カトリーナ:メモリアル病院での“安楽死”事件 5/5 : その後・考察(2010/10/25)


なお、この前、某MLで教えていただいた
日本緩和医療学会の「苦痛緩和のための鎮静に関するガイドライン」はこちら ↓
http://www.jspm.ne.jp/guidelines/sedation/2010/index.php

その他、関連エントリーは ↓
在宅医療における終末期の胃ろうとセデーション(2010/10/6)


また、鎮静を含めた、英国のLCPの機会的適用問題については ↓
“終末期”プロトコルの機会的適用で「さっさと脱水・死ぬまで鎮静」(英)(2009/9/10)
「NHSは終末期パスの機会的適用で高齢患者を殺している」と英国の大物医師(2012/6/24)
英国の終末期パスLCPの機会的適用問題 続報(2012/7/12)
LCPの機会的適用でNHSが調査に(2012/10/28)
2013.06.24 / Top↑
米国で百日咳の免疫ができていない大人が多い、子どもでも致死率60%と、なんだかこの話題にわかに騒がしくなりそうな気配。3月15日の補遺では「百日咳のワクチンは何度目かまでで効力が切れるので、追加接種が必要」という話が出てきていたし、じゃぁ日本でも風疹の次は百日咳でキマリか?
http://www.medicalnewstoday.com/releases/262112.php
http://www.medicalnewstoday.com/articles/262227.php

日本。男性注目! 風疹の予防接種で日本の赤ちゃんを守ろう:こうして一つの病気が騒がれるたびに、「いのちを守ろう」という掛け声で「全額助成を」という話になっていくのだけれど、そうやって次々に一つのワクチンからその次のワクチンへと同じパターンのキャンペーンが繰り返されて、次々に助成が進められていくことに、なんか妙だなぁ、という感じ、ないです?
http://medical.yahoo.co.jp/feature/rubella/

ワクチンは注射でなくても、ナノパッチでOKに。:ワクチン業界にはカネが集まってきていますから。ワクチンの周辺は研究資金も潤沢でしょう。なるほど「ワクチンの10年」って、こういうことだったのですね。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/261944.php

ビタミンDも相変わらず効用が研究されているようで、今度はぜんそくに効くそうな。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/260770.php

スタチンに筋力低下などの副作用。:スタチン、ビタミンD、それからアスピリンは、ビッグ・ファーマ提供の予防医学の3種の神器。まるで万能なのかよと思うくらい、「○○に効く」という調査結果が報告され続けてもう何年にもなる。そういえば、ビタミンDについても10年にこんなのあったな。⇒ サプリでさんざん儲けた後で「やっぱりビタミンDの摂り過ぎはよくない」って(2010/11/30)
http://www.medicalnewstoday.com/articles/261444.php

【スタチン関連エントリー】
米ではスタチン8歳からどんどん使おう、と
「8歳からコレステロール薬」にNYTimesが社説
Risperdal他、適応外処方にはもっとエビデンスが必要(2008/11/26)
健康な人も5種混合薬を毎日飲んで将来の心臓病リスクを半減しよう、って(2009/4/2)
コラムニストがビッグ・ファーマにお勧めする「2010年・新年の誓い」(2009/12/24)
ビッグ・ファーマが当て込む8つの“でっちあげ病”(2010/4/17):うち一つが「スタチン不足」
2011年1月29日の補遺(スタチンにアルツハイマー病予防効果)

【アスピリン関連エントリー】
「現代医学は健康な高齢者を患者にしている」(2009/3/8)
健康な人も5種混合薬を毎日飲んで将来の心臓病リスクを半減しよう、って(2009/4/2)
「40過ぎたらガン予防で毎日アスピリンを飲みましょう」って(2009/4/30)

これはオマケ ↓
「やれ何が癌の原因だ、やれ予防にはどうしろ、こうしろって、ウザい」と英国人(2009/5/26)


サプリで高齢者の筋肉量を上げることができる。:この前また「サルコペニア」をテレビでやっているのを見たから、そのうちこういう話と繋がっていくことでしょう。ちなみに、その番組はサルコペニアを解説している時に背景に何度もおどろおどろしい感じの音楽を流していたな。あの「ジョーズ」の音楽みたいなのを。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/262071.php

全身バイブレーション療法で脳性マヒの青少年の骨を強化できる。:骨は強化できるかもしれないけど、なんかよそに悪影響ありそうな気がするんですけど。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/262070.php

更年期後の女性の性交痛を緩和する薬を米国FDAが認可。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/256916.php

女性の更年期症状、実は男性が引き起こしている?
http://www.medicalnewstoday.com/articles/261949.php

日本語。動物体内でヒト臓器、研究容認へ 移植用、倫理面で課題:一方からは「病気になったらカネがかかって迷惑だから、さっさと死ね」とささやかれ続けている気がするのだけれど、一方では「ここまでして生きろ」って……。カネがかかるという点では、こっちの方がよっぽど半端ないと思うんだけど。
http://apital.asahi.com/article/news/2013061900002.html

予防的乳房切除術に効果が期待できる女性を選別するための検査の研究が有望だとか。:世界中で予防的乳房切除をごく一般的な医療にしてしまって、大きな市場に育てましょう……と、砂糖に群がる蟻ん子のように……。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/261956.php

17日のコメントでMoritaさんが教えてくださった医学書院サイトの連載 続 アメリカ医療の光と影 (李啓充著)「アンジェリーナ効果」は日本にも波及するのか? 
http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03031_06

日本語。臓器提供の登録者数、21倍に急増―フエイスブック表示開始で:臓器提供って、そんなに簡単に決断できるようなことじゃないと思うんですけど。それに「“臓器不足”を解消しなければならない」という発想はもともとヘンでしょ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130618-00000038-bloom_st-bus_all

【関連エントリー】
Facebookが臓器不足解消のため、英米の利用者に臓器提供の意思表示を呼び掛け(2012/5/2)
FBの臓器提供意思の掲載欄、1週間で6000人がドナー登録(2012/5/10)

これもね ↓
Kaylee事件から日本の「心臓が足りないぞ」分数を考えた(2009/4/5)


英国のNHSの病院の産科病棟で母子が死亡したケースを巡り、内部調査の結果をこともあろうにケアの質コミッション自身が操作していた、というスキャンダルが持ち上がっている。
http://www.guardian.co.uk/society/2013/jun/19/cqc-nhs-cover-up-maternity-ward

ケニアの少女たちに護身術を教えたら、教えられた少女ではレイプの被害が減った。これ、ちゃんと読んでエントリーにしたいなぁ。こういう話題を拾いたいよ。ほんと、心から、そう思うんだけど。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/261927.php

ガーディアンに「犬のグルーミング・コンテスト」というスライド・ショーがあったので、覗きに行ってみたら、まるきり想定外の「グルーミング」で、見ていたらだんだん気持ちが悪くなった。最後のスライドに、OK, this competition has gone wrong. (確かに、ここまで来たらこのコンテストも、もうやり過ぎ)と書かれているけど、なんとなく科学とテクノの簡単解決文化ならでは……という気も。私は例の、寝ている子どもを使って絵を描くというのも、すかん。
http://www.guardian.co.uk/lifeandstyle/gallery/2013/jun/18/dog-grooming-competition-in-pictures#/?picture=411023056&index=0
2013.06.24 / Top↑
祝! 障害者差別解消法が成立:ご尽力下さった方々、ありがとうございました。それにしてもテレビのニュース、この話題を報じなかった(怒) 私がたまたま見なかっただけ?
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp201306190147.html
http://mainichi.jp/select/news/20130619k0000e010183000c.html

日本ケアラー連盟が16日、東京でフォーラムを開きました。私は今年は行けなかったばかりか、手元がバタバタしていて告知の協力すらサボってしまいました。ごめんなさい。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130617/k10015346361000.html

「国連人権理事会は日本政府に何を求めたのか」日本弁護士連合会。:まだちゃんと目を通せていないのですが、とても分かりやすい資料が2008年に作られていました。
http://www.moj.go.jp/content/000055358.pdf

ケベック州のmedical aid in dying (MADというそうな)のマヤカシについて、14日のエントリーで私が指摘したのと同じ批判を展開しているGlobe and Mail の記事。法案の詳細も紹介されているので、できたら明日エントリーに。
http://www.theglobeandmail.com/commentary/quebec-is-trying-to-legalize-euthanasia-by-calling-it-something-else-its-still-wrong/article12664211/

MN州のFEN事件の上訴審。7月10日に審問。:FEN事件は本当に複雑。限りなく暗い色の灰色だと私には思えるんだけれど。FEN事件については2008年当時から多数のエントリーがあるのですが、それらへのリンクを含め、こちらのTVドキュメンタリーの映像が生々しいです。 ⇒ http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/65805049.html
http://medicalfutility.blogspot.jp/2013/06/minnesota-appeals-court-to-hear.html

26歳の息子がインターネットの自殺サイトで購入した自殺キットで死んだとして、英国政府に向けて自殺サイトを禁じるよう要望。この記事の中で気になることとして、この女性は息子の死後、いくつかの自殺サイトを覗いてみたというのだけれど、表向きは『サポート・グループ』を謳いながら、そのサイトのフォーラムでは公然と自殺がそそのかされている、と。
http://www.yourlocalguardian.co.uk/news/local/topstories/10494050.Ban_assisted_suicide_websites__urges_mum_of_Purley_chef_Kevin_Boyle/

私もFEN事件が最初に報じられた時に、FENのサイトに行ってみて、自殺を勧めているようなその内容に目を剥いたことがある。その直後に閉鎖されたけど、こんなことが書かれていた。
http://www.arsvi.com/2000/0904km.htm

上の関連エントリーとして拾ってきたのだけれど、さっき読み返してみたら、最後のところで以下のように書いていて、「頭でしか受け止めなくなって、心を痛めなくなると、人が人として腐っていく」ということって、どこか昨日読んだ高山医師の「倫理の腐敗」に繋がるような気がした。

本当は、一番おそろしい「すべり坂」は
人の心が、いのちや、人の生死に対する畏怖や、身体に対しての敬意の感覚を鈍らせて、
人としての心の感度を失っていくことにこそ、あるのでは――?

そして、人間の社会全体が、
人の遺骨を無造作に湖に投げ捨てるような行為に対して、
「その、どこに問題があるのか」と頭で受け止めるようになり、
心を痛める、ということをしなくなっていくこと、

そんなふうに人が人として腐っていくことに――?
統合失調症のスペイン人男性にDIY自殺キットを渡したとして、Dignitasに捜査(2010/6/1)

Medical Futility BlogのThaddeus Popeがあらたに「医療パターナリズム」という名前のブログを立ち上げている。
http://healthpaternalism.com/
2013.06.24 / Top↑
教えてくださる方があって、読んだ。

倫理の腐敗としての「胃ろう不要論」
高山義浩 apital 2013年6月19日

心が温かくなって、
じん、と感謝の気持ちに満たされた。

例えば、以下の個所など。
(ゴチックは例によって、共感を込めてspitibara)

私は胃ろう推進論者ではありませんが、胃ろうを選択した方々が後ろめたさを感じることがないよう配慮したいと思っています。寝たきりでも、発語不能でも、 それで尊厳がないと誰が言えるでしょうか? コミュニケーションできることは「生命の要件」ではありません。胃ろうを受けながら穏やかに眠り続けてい る・・・、そんな温室植物のように静謐な命があってもよいと私は思うのです。

「拘縮して会話不能な寝たきり高齢者に胃ろうは必要か?」という思考実験は、胃ろうのもつ倫理的課題を明らかにします。その実験自体は大切なことだし、そこ で皆が感じている直観は「(それぞれに)正しい」と私も思います。ただ、その結果、胃ろうを選択する全ての患者さんへと疑念を向けてしまう「倫理の腐敗」 が日本社会に起きつつないでしょうか?

胃ろうについて悩んでいる方々のこと、もう少し、そっとしておいてくださると助かります。

未読の方、ぜひ読んでいただければ――。


胃ろうの問題については
当ブログでも何度も書いてきました。

それについては以下に ↓

ETV特集を機に「胃ろう」について書いたエントリーをまとめてみる(2010/7/26)
“栄養補給所”を作って「業務がはかどる」と胸を張った師長さん、「胃ろう検討は十分な看護ケアをしてから」と主張した師長さん(2010/7/26)


また、同医師が同じサイト書かれた
縛られる患者たち(2013年1月31日)も良いです。

この記事に関するツイッターでのやり取りの中で高山医師は以下のように書いている。

弱者を犠牲にして集団を守ろうとする傾向が強まっているようなので、とくに医療者は気をつけなければいけないと思っています。


その他、以下も面白かった。

真実を伝えること、判断を待つこと(2012年25日)
沖縄戦と延命医療(2013年4月1日)も


            ------

ついでに高山医師のツイッターを覗いてみて、
ひゃっほー!! と叫んでしまったツイートを2つ。

病児ケアは保護者の理解度や観察力が重要なので、観察マニュアルを配布して「分かったでしょ」では、むしろ危険なんですよね。母親の直観が大切だし、それを磨いてほしい。まあ、患者の検査データばかりみていて、患者の顔色で「やばい」と思えない研修医もいます。
(1月20日)

残念ながら「研修医」だけではなかったりもして……。


私は基礎研究者を尊敬していますし、その業績のうえで仕事をさせていただいていますが、感染症について単純化したモデル(ゲノムだけみてどうのこうの)を みながら、結論めいて独白する研究者には自制を求めたいと思いますね。いま、フィールドを走り回っている疫学研究者の報告を待つべきです。
(4月4日)
2013.06.24 / Top↑
マサチューセッツ総合病院(MGH)の研究チームが
救急搬送されてくる重症の頭部外傷患者に対する同意なき臨床実験に
参加を検討していることを巡って論争になっている。

頭部外傷で脳損傷のある患者は受傷後数時間以内に
脳浮腫や蘇生の変化などの二次的損傷(secondary cascade)が起こるが、
そこで受傷後数時間以内にホルモン剤、プロジェステロンを投与することによって
それを防ぐことができるのではないかと期待されている。
(ただし、そのメカニズムも効果もいまだに明らかにされているわけではない)

一方、救急搬送されてくるそうした患者は意識がなく、
家族など代理決定権者を探すのには少なくとも4時間半もかかると言われており、
早期にプロジェステロンの投与を可能とするためには、
同意なき臨床実験にそうした患者を参加させる以外にないし、

それによって重症脳損傷の治療方法に繋がる可能性があるなら、
特に治療の選択肢が臨床研究によって次々に否定されている領域としては
正当化できる、というのが研究者らの主張。

一般には、臨床実験への参加は
患者または代理決定権者がリスクを十分に説明され、
参加を拒否する機会を保障された上で同意することが必要とされているが、

1996年の法でFDAは
緊急のケースでは例外を認めた。

しかしボストン大学の倫理学者、ジョージ・アナスは強硬に反対。

なぜ同意を取り付けられる患者の研究ではいけないのか、と問い、
「救急部へ来る患者は、そこで研究に参加させられるなんて夢にも思っていないし、
事故にあったからというだけで研究に同意したことにはならない」

また、効果がある可能性があるというだけでは
患者が研究に参加するかどうかを決める権利を否定する根拠として十分ではない、と主張し、
「やはり同意と同程度の強力な根拠が必要である」と。

現在すでに40の病院が参加し、
760人以上の患者で実施。

MGHが参加すれば、
資金が切れる2014年までに目標の1140人を達成できると研究者らは逸る。

Hospitals want to test drug with no consent
The Boston Globe, June 8, 2013


米国では2004年に
人造血液を外傷患者にICなしに実験して
少なくとも47人の死者を出していて、

この人造血液が問題になった2008年の報道で既に
外傷患者ではICなしに治験が行われている、と書かれている ↓

人造血液リスク知りながら臨床実験認めていたFDA(2008/4/29)


また、2009年にやはりICなしで外傷患者に臨床実験で
通常よりも高濃度の生理的食塩水などを与えて、死者が出ている ↓

ICなしの外傷患者臨床実験、死亡者像で中止に(2009/3/30)


これらの件について
上記の記事が一切触れていないのは不気味。

この路線でいくと、
いずれは植物状態や脳死の人たちの実験利用へ向かうのでは?

実際、2006年にドレイパーという英国の生命倫理学者が
意識がある時の同意があれば植物状態の人を実験に利用しても問題はない、と主張している。

「植物状態や、それほどでないにせよ意に染まない状態で生きながらえるよりは、
臨床試験に参加して他者のためになる方が明らかによい生き方だ」といって ↓
http://www.arsvi.com/2000/0705km.htm

そして、これは現在すでに
「無益な治療」停止から臓器提供へと誘導する際に使われている論理――。



【19日追記】
こんなのも思いだしたので、追記 ↓

Norman Fostが「子どもの臨床実験リスクには報酬で」(2007/11/28)
Norman Fostが「ヒト対象実験の無意味な規制と手続きやめろ」(2009/8/12)
2013.06.24 / Top↑
肥満に関連した症状で治療を受ける子どもの数が4倍に急増。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/261909.php

環境ホルモンBPAが9歳から12歳の女児の肥満に関わっている
http://www.medicalnewstoday.com/articles/261886.php

【関連エントリー】
大統領がんパネルが「化学物質はやっぱりヤバい」(米)(2010/5/10)
化粧品には、安全性が確認されていない化学物質がたくさん使われている(2013/2/7)


ヤセ薬JaDeraとXiyouji Qingzhi、血圧を上げるリスクが判明して市場から回収。:上の2つの記事と考え合わせると、「科学とテクノで簡単解決」文化のマッチポンプ性が透けて見えてくる気がする。それにしても薬のネット販売が解禁されたら、こういう時に悪徳業者が知らん顔して未回収の薬を売ってしまう、ということは起こらないんだろうか。まぁ、今でも自分で個人輸入している人では十分にあり得るリスクではあるんだけれど。
http://www.digitaljournal.com/article/352298

【関連エントリー】
NHS新たにヤセ薬を解禁(2008/7/9)
6月解禁のヤセ薬、精神障害起こすと早くも販売中止(英)(2008/10/25)
EUがヤセ薬を解禁、「誰の最善の利益?」(2009/1/31)


ちょっとまだspitzibara自身の判断は保留だけど、世界的な人口抑制の陰謀説の一つにEpicyte遺伝子を遺伝子組み換え作物で広げて貧困層の人口コントロールの手段にしている、という説があるらしい。ここでも名前が出ているのは、あの方。
http://www.deccanherald.com/content/322920/is-bill-gates-using-epicyte.html
http://rt.com/shows/the-truthseeker/bill-gates-soros-bloomberg-693/
http://planet.infowars.com/health/gmo-epicyte-gene-sterilization-in-your-food

オレゴン州で顔が二つあるネコが生まれた。:(前)エントリーを含め、上記の数々のニュースが象徴する時代だからこそ起こること、のような……。
http://www.guardian.co.uk/world/video/2013/jun/12/kitten-two-faces-oregon-video

米国の警察が捜査の機会を利用してDNAサンプルを集めている。
http://www.nytimes.com/2013/06/13/us/police-agencies-are-assembling-records-of-dna.html?pagewanted=all&_r=0

【関連エントリー:米国】
米国でも逮捕時採取のDNAサンプルを保管してデータベースに(2009/4/20)
米国でも犯罪者のDNAサンプル廃棄進まず(2009/6/10)
MN州フェア会場で「親子でDNAサンプル提供すれば無料チケットあげます」の倫理論争(2010/9/27)

【関連エントリー:英国】
中学の成績が一生データベースに?(2008/2/13)
国民DNAデータベースめぐり論争再燃(2008/2/24)
国民の電話とEメールの全記録を国が管理って?(2008/5/24)
NHSの患者データから研究者が治験参加者を一本釣り?(2008/11/18)
「無実の人のDNAサンプル保管は人権侵害」と欧州人権裁判所(2008/12/6)
情報で国民を監視・管理する社会へ(英)(2009/1/11)
100万人以上の子どものDNA情報が国のデータベースに(英)(2009/2/27)
「英国政府のデータベース4分の1は人権侵害」と報告書(2009/3/24)
国民データベース諦めて、代わりに「ネットと電話利用歴みんな残せ」と英国政府(2009/4/28)
DNAサンプル目的で何でも逮捕、既に黒人の4分の3がデータベースに(英)(2009/11/24)


日本。「重要です! 【TPP影響試算の結果発表】:岩上安身氏」 いつもお世話になっているガウタマ・シンラン・ソリドゥスさんのブログに転載された晴耕雨読ブログの記事。
http://blogs.yahoo.co.jp/solidussolidarity/37154663.html?vitality

<リニアコライダー>日本誘致に懐疑論 学術会議が初検討委:結局、思わされるのは、これ ⇒ 事業仕分けの科学研究予算問題から考えること(2009/12/12)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130614-00000071-mai-sctch

日本。在特会会長らを逮捕 対立団体と互いに暴行の疑い
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130617-00000004-asahi-soci

日本。「表現の自由」って何だ? ヘイトスピーチを考える
http://www.asahi.com/national/update/0502/TKY201305020408.html?ref=yahoo

水道橋博士、生放送中に番組降板…橋下市長の発言にブチ切れ:アッパレ。こんなふうに他者を愚弄することでしか自分の考えを主張することができないゲスが首長だということを、大阪の人は恥ずかしく感じないんだろうか。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130615-00000032-dal-ent

大学、5年でクビ? 非常勤講師、雇い止めの動き:こうなってくると、体制側に都合のいいことしか研究者は言えなくなるような気がする。この問題に関する京大時間雇用職員組合ユニオンエクスタシーの活動については2010年9月29日の補遺に。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130615-00000007-asahi-ind

ワタミに死亡事故で賠償命令 渡邊美樹会長は遺族に「1億欲しいのか」:「とりあえず何かで成功した人はなんでもかんでも全面的に素晴らしい」という風潮はそろそろ終わりに、と願う。国際的にも国内的にも。
http://shukan.bunshun.jp/articles/-/2807
2013.06.18 / Top↑
カナダでベビー・ブーマーの自殺率が急騰。
http://www.sunnewsnetwork.ca/sunnews/canada/archives/2013/06/20130616-074008.html

ケベックの安楽死合法化法案(なぜかメディアは「自殺幇助合法化法案」と言い続けているけれど)に反対して、緩和ケア医らがカンファレンスを開催。
http://www.news1130.com/2013/06/16/doctors-say-palliative-care-is-being-shortchanged/

トロントスター紙の社説が、上記の件についてケベック州ではなく連邦政府が合法化すべき、と。
http://www.thestar.com/opinion/editorials/2013/06/15/parliament_not_the_provinces_should_sanction_relief_for_the_dying_editorial.html

高齢者虐待啓発デイに際して、Not Dead Yetから自殺幇助合法化には財産などを巡り利益関係のある介護者による虐待増進の可能性があるとの訴え。
http://www.digitaljournal.com/pr/130711015分を単位とする訪問介護が問題。英国。
http://www.telegraph.co.uk/health/10124406/Fifteen-minute-care-visits-blamed-on-budget-cuts.html

NHS病院での高齢者ケアの劣悪が社会的問題となって政府が調査に入る事態となったばかりの英国で、今度は訪問介護のあまりの劣悪が問題に。
http://b.hatena.ne.jp/spitzibara/?with_favorites=1&of=40
http://www.bbc.co.uk/news/uk-22888473

【関連エントリー】
清拭も食事もトイレ介助もなし……の英国NHSの病院ケア(2010/2/25)
平等と人権コミッションから「劣悪な在宅介護が高齢者の人権と尊厳を侵している」と制度改革を求める報告書(英)(2011/11/25)
84歳の男性が病院で餓死(英国)(2012/12/26)
祝! Healthwatch立ち上げ:「ケアホームの劣悪な介護実態を消費者団体の潜入調査が暴く【英国】」書きました(2013/4/30)


おりしも10日から19日は英国恒例の介護者週間とあって、介護者にもっと支援を、という記事も。
http://www.guardian.co.uk/social-care-network/2013/jun/13/social-care-health-professionals-support-carers
http://www.guardian.co.uk/social-care-network/2013/jun/13/carers-help-advice
http://www.huffingtonpost.co.uk/rita-pal/carers-lifeline_b_3435466.html

日本語。米最高裁、ヒト遺伝子の特許認めず
http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2950270/10902601
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887323504304578544231626748640.html
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130614/k10015293151000.html

【関連エントリー】
科学とテクノは法の束縛から自由になろうと、駄々をこね始めている?(2009/7/11)
「遺伝子に特許やるな」という米国の訴訟(2010/2/8)
欧州司法裁判所、「ヒト胚を使った研究成果に特許認めず」を堅持(2011/10/25)

薬の開発研究には幹細胞は既に欠かせないものに。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/261801.php

ガーナのAnambra州がゲイツ財団からもらうことになったワクチン接種率第1位のご褒美の100万ドルで産院を10か所に作る、という記事なのだけれど、ゲイツ財団は100万ドルのニンジンをぶら下げて途上国の政府にワクチン接種率を競わせているということ。そこには倫理問題は本当にない――? 08年にはこういう話もあったけど ⇒ 「貧困国はワクチン接種した子どもの数を水増ししている」とIHME論文(2008/12/13)
http://www.spyghana.com/anambra-to-use-bill-gates-money-to-build-10-maternities/

ビル・ゲイツがパキスタンへ行って首相と会談、巨額の援助を約束して、ずいぶん歓迎されているのだけれど、パキスタンといえばワクチンを飲ませて歩いているボランティアや医療職が殺害される事件が起きた国。不活性ポリオワクチンを拒否する人が多い。
http://www.kuna.net.kw/ArticleDetails.aspx?id=2316278&language=en

日本。子宮頸癌ワクチン「接種の勧奨せず」 厚労相専門部会
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130614/bdy13061421100003-n1.htm

被害者の母親で上記部会を傍聴されたみかりんさんによると、「ワクチンの製薬会社からお金をもらっている育良クリニックの薗部友良氏は「副反応が出てしまった子達には申し訳ないが、ガンで2700人程が亡くなっているし」「摂取する前に失神するような子もいる」「この世代の子は、痛いという話だけで気分でそうなってしまう人もいる」というようなことを言っていた」とのこと。今日のテレビ・ニュースは一斉に「子宮頸がん予防効果」を強調する推進派ロビーの息のかかった内容を流していたけれど、予防効果そのものが明確ではないことは何度も指摘されている。
http://ameblo.jp/3fujiko/entry-11552723245.html

「裏読み」というタイトルのkebichan55さんのブログ記事。いきなりベンゾ系睡眠薬の処方ガイドラインが変更されたことについては、妙だなぁとは思っていたけれど、なるほど、こういう裏が……。
http://blogs.yahoo.co.jp/kebichan55/54080532.html?vitality
2013.06.18 / Top↑
BioEdgeが3月に続いて、またも
インドの「不妊手術キャンプ」の劣悪さを取り上げている。

今回は、人権団体が提訴した、という新情報。

Indian women victimized in sterilization camps
BioEdge, June 15, 2013

インドの不妊手術キャンプについては、
いったい人をなんだと思っているのか、
本当に腹にすえかねるので、

以下、3月3日に書いたエントリー
インドの「不妊手術キャンプ」と家族計画ロンドン・サミットの再掲。

(いくつもリンクが張ってあるのですが、転載すると無効になるので、
以下の再掲では、元エントリーでのリンク個所をハイライトにしてみました。
興味を持っていただける方は上記の元エントリーでたどっていただければ)

---------------

このニュース、AFPが日本語で2月8日に流していたもの ↓
避妊手術した女性を次々野外に放置、インドの病院

この「不妊手術キャンプ」について、ちょっと遅ればせだけど、
昨日のBioEdgeが動画入りで取り上げている。

州立病院のガイドラインでは1日25件までと定められているのに、
4人の医師が1日に106人の女性の不妊手術を行い、
(それも一人20分から30分という素早さで)

ベッドが30床しかないものだから、
終わるなり次々に屋外に運んでは道路上に放置したとして、
批判を浴びているもの。

さらに、任意・自発的な不妊手術だということになってはいるものの
実際には地方自治体が車や電化製品などの見返りで釣って誘導している、と。

Horror in a mass sterilization camp in India
BioEdge, March 2, 2013

しかし、これは実は
もうずいぶん前から言われてきていることでもある ↓

特に英国政府の資金が振り向けられている、インドの特に貧しい州、
Madhya Pradesh と Bihar から聞こえてくる実態とは、

貧しい人たち、ことに少数部族の男女が騙されたり脅されたりして連れてこられ、
水道もなく器具の消毒もできない劣悪な衛生環境で乱暴に手術され、
術後のケアもされずに放置されている、というもの。

手術を受けないと食料の配給を受けさせないと脅したり、
手術を受けたら7ポンド程度の現金とサリーをあげると金品で誘ったり、
不妊手術をした人には車や冷蔵庫が当たる宝くじまで運営する州もあるという。

一方で、Biharのクリニックには不妊手術1件につき1500ルピーの報酬のほか、
1日に30件以上をこなした場合には患者1人に500ルピーのボーナスまで出る。

医師には患者1人につき75ルピー、
NGO職員にも手術を受けさせた人数に応じて
一人あたり150ルピーが支払われるという仕組み。

Biharでは、1月に強制的に連れてきた53人の女性を学校の校舎に集め、
焚き火の明かりのもとで、たった2時間で一人の医師が全員に手術を行った、
術後は全員が痛みに苦しむまま放置されていた、との目撃談もあり、
その被害者の中には妊婦も含まれていた、という。

2009年にインド政府が報告したところによると、
それまでに50万人に不妊手術が行われたとのこと。
インドの貧困層への不妊プログラム、英国政府の資金で「温暖化防止のため」(2012/6/12)


また、この前後には、こういうニュースもあった ↓
米・英政府とゲイツ財団とUNPFにより優生施策、7月には国際会議も?(2012/6/7)

実はBioEdgeのMichael Cookはニュースレターの先週号で、
上記12年7月の国際会議について触れている。

これがたいへん興味深いコメントなので、
以下に関連個所を抜いてみると、

You may recall that in July last year, Melinda Gates, one of the world's richest women, and the British government, organised a family planning summit in London. Rich nations and NGOs pledged US$2.6 billion to meet the unmet need for contraception in the developing world.
(中略:ここに上記ニュースの概要が入っている)
As far as I can remember, no one ever mentioned "sterilization camps" at the London summit which was applauded so enthusiastically in the world media. It would be interesting to see if some of this $2.6 billion is flowing into the pockets of the doctors who treated these women like animals in the hinterland of India.

去年7月に、世界で最も裕福な女性の一人、メリンダ・ゲイツと英国政府がロンドンで家族計画サミットを開催したことを記憶している人もいるだろう。途上国での避妊のニーズに応えるために、富裕な国々とNGOが26億USドルを提供することになった。
(中略)
私の記憶では、世界中のメディアが熱狂的に称賛したそのロンドン・サミットで、「不妊手術キャンプ」が話題になったことは一度もなかった。約束された26 億ドルの中から、インドの奥地でこうした女性にまるで動物みたいな扱いをした医師のポケットに流れ込んでいるカネはないいのか、調べてみると面白いだろ う。


Cookは、以下のような情報を知っているだろうか――?

ゲイツ財団資金で超音波による男性の避妊法を開発、途上国向け?(2010/5/12)
ゲイツ財団がインドのビハール州政府と「革新的な家族保健」の協力覚書(2010/5/17)
2010年5月29日の補遺:G8での途上国の母子保健関連記事。ここでも「家族計画」に言及。
ゲイツ財団が途上国の「家族計画、母子保健、栄養プログラム」に更に150億ドルを約束(2010/6/8)
「途上国の女性に安価な薬で簡単中絶“革命”を」の陰には、やっぱりゲイツ財団(2010/8/3)
注目集めるインド発・男性向け避妊法、「女性にも」とゲイツ財団(2011/6/3)

ビル・ゲイツの音頭で米国の長者たちが各国政府の頭越しに世界人口抑制に取り組もうと合意(2010/6/9)
“優生主義者”ビル・ゲイツ、世界エリートの“陰のサミット”ビルダーバーグ会議に(2010/6/9)
2013.06.18 / Top↑
POLSTについては

去年、以下のNYTの記事で初めて知ってエントリーに書いた段階で、
こういうことになるんでは……という予感があった。

医師が主導して考えさせ、医師の指示書として書かれる終末期医療の事前指示書POLST(2012/11/26)

現に、この時、私は以下のように書いている。

すぐに頭に浮かんだのは、
一方には「無益な治療」法の広がりがあるんだけれど、
これらの整合性って、どういうことになるんだろう??

患者がPOLSTで「やってほしい」と望んでいる終末期の治療があるとして、
病院側が「それはこの患者には無益」と判断した場合には……?


POLSTとは、この時のNYTの記事によると、
Physician Orders for Life Sustaining Treatmentのことで、
生命維持治療に関する医師の指示書。

医師が主導して患者の終末期医療について話し合いをして
終末期医療に関する患者の意思を確認し、
医師の指示書という形で1枚の様式に記録しておく、というもの。

つまり、少なくとも表向きは、あくまでも患者の意思の尊重のために、
医師が聞きとり、医師の指示という形で記録しておく、というもの。

そのPOLSTが続々と法制化されている。

と同時に、どうやら
事実上の「無益な治療」の一方的な拒否件の法制化のアリバイに使われ始めているのでは?

Thaddeus Popeのブログ記事2本から以下に。

4月のインディアナ州に続いて、ネバダ州がPOLSTを法制化し、
Thaddeus Popeによると、これで米国でPOLSTを法制化したのは20州に。

Nevada Enacts POLST Statute
Medical Futility Blog, June 15, 2013


そのうち、メリーランド州とバーモント州では
臨床医は、万一の場合に心肺蘇生術が「無益」「医学的に効果がない」と考える場合には
患者や代理決定者の同意なしにPOLSTにDNR指定を書きこむことが認められており、
POLST記入用紙にも「同意なし」にチェックできる個所が設けられている。

またカリフォルニア州の法律でも
医師はPOLSTの内容に従って医療を行うものとしつつも、
「医学的な効果がない」または「一般に受け入れられている医療スタンダードに沿わない」
医療についてはその限りではない、としているが、
上記2州のように「同意なし」のチェック項目までは様式に含めていない。

しかし、実際には
どういう場合がそれらに当たるのかについて曖昧さが残るため、
現場医師らは提訴の可能性なども考え、慎重を崩していない模様。

POLST Authorizes Unilateral DNAR Orders
Medical Futility Blog, June 15, 2013



それにつけても、バーモント州と言えば、
つい先ごろ、自殺幇助を合法化したばかりの州。

VT州の「終末の選択」法、成立・施行(2013/5/2)

つまりバーモント州では、医師による自殺幇助が
患者の「自己決定権」の尊重として合法化されて、

その一方では、
患者がPOLSTで「治療を受けたい」と「自己決定」していたとしても、
医師が「その治療は無益」と判断すれば患者の自己決定権は否定されることが法で謳われている。

つまり「もう死ぬ」は自己決定できるけど、
「まだ生きたい」という自己決定はできない、ということでは?

そもそも「無益な治療」論は、Popeも書いているけれど、
一体なにが「無益」に当たるのかについては定義が全く一定していないまま、
病院の文化や医師個々の価値意識によって極めて恣意的に運用されているのが実態。

カナダのラスーリ訴訟が進行中の病院では
その後も同様の無益な治療事件が続発しているけれど、
そのたびにスタンダードが変質・変容してきていて、

いちばん最近の事件での病院側の言い分は

「回復の見込みは皆無。
延命しても、その命が生きるに値するかどうか分からない場合には
延命には明確な利益はない。延命は苦痛を長引かせるだけ」

Raouli訴訟のサニーブルック病院でまたも無益な治療事件(2013/5/27)
2013.06.18 / Top↑
ベルギーで未成年にも安楽死を拡大しようという提案が出ていることについては
これまで以下のエントリーで拾ってきましたが、

ベルギー社会主義党「未成年と認知症患者にも安楽死を」(2012/12/22)
ベルギーでは既に未成年にも安楽死が日常的に行われていた(2013/3/3)

土曜日のBioEdgeのニュースレターに続報があり、
ベルギーの議会は未成年に安楽死を認めることで合意した模様。

さらにオランダでも、オランダ医師会から
「重症障害のある新生児の生命に関する医療決定」という新たな報告書が出され、
障害のある新生児の安楽死が許容されるだけでなく必要である、と説いている、とのこと。

もともとオランダでは2004年のグローニンゲン・プロトコルで
新生児の安楽死は認められているものの、

今回新たに打ち出された見解は
障害のある新生児の安楽死が正当化される理由に
親の苦悩を挙げている。

この報告書の著者の一人が新聞に語っているのは、

「こういう子どもたちというのは灰色で身体も冷たく、
唇も真っ青なのに何分か毎にいきなり大きな息をするんですよ。
見ているのもたまらない(nasty)姿です。しかも、それが
何時間も、時には何日も続くんです」

その一方、その発言をした医師ですら、
乳児自身は苦しんでいない可能性も認めるが、
いずれにせよ死にゆく我が子を見ていなければならない親の苦しみは客観的な事実で
そんなストレスを緩和することも良き緩和ケアの一環である、と。

報告書が提案する新生児安楽死の基準は、

その子どもが苦しんでいて、
自分の望みを表現することができず、
死が避けがたく、
死のプロセスが長引かされているなら、
親がそれ以上に苦しまないで済むよう子どもを安楽死させてもよい、と。

年間175000人生まれる新生児のうち、
650人くらいが安楽死の対象となるのでは、とオランダ医師会。

これらの乳児は、濃厚な集中治療を行ったとしても、確実に短期間のうちに死ぬことになる。予後は悪く、生きられる見込みも薄い。集中治療を必要としない子どももいるが、彼らは生きたとしても、非常に苦しく望みのない人生を生きることになる。医師と親とは、治療を開始すべきか続けるべきか、あるいは良い行いも、子どもの健康状態があまりに悪くて結果的に苦しんだり障害を負うことになるなら、実際には害になるのでは、と非常に深い問いに直面する。

Put diabled babies out of our misery, say Dutch doctors
BioEdge, June 14, 2013
2013.06.18 / Top↑
Valerie Straussは
ゲイツ財団がCommon Core Standardの実施に向けて
どこの関係団体に、どれだけのカネを、
グラントとしてばらまいているかを調べあげて、
以下の記事に詳細なリストとして掲載し、

http://www.washingtonpost.com/blogs/answer-sheet/wp/2013/05/12/gates-gives-150-million-in-grants-for-common-core-standards/

次のように問うている。

You can see how invested the Gates Foundation is in the success of the Common Core. What kind of Core support do these grants buy from the organizations that receive them?

ゲイツ財団がCommon Coreを実現させるために
どのように投資したかが見て取れる。

こうしたグラントが、それを受け取った団体から買うCommon Core 支持とは、
一体どういう性格のものなのか?


ずらりと並んだグラント一覧を見て、
まず頭に浮かぶのは、

へぇぇ。
教育部門にこれだけの莫大なカネを投入できるんだぁ……。

……てことは、
科学とテクノの分野には、さらに、これどころではない、
こんなのメじゃないくらいのものすごい金額が流れ込んでいるわけで……。

そのことに関しては、このブログにもエントリーはいくつもある。

例えば、これ ↓
ゲイツ財団がインドでもくろんでいるのはワクチン普及だけでなくGM農業改革も(2011/4/16)

その中の、例えば、この部分 ↓

ゲイツ財団がカネを通じて
国際機関や医療系の研究所に影響力を行使していることによって、
科学者から多様な意見が出なくなり、国際機関の方針決定のプロセスにも影響して
意思決定プロセスが閉鎖的なものとなって透明性を失っている、と。

今年1月、
平等な医療を訴える草の根団体 the People’s Health MomentがWHOに提出した要望書で、
イノベーションや知的財産権、国連のミレニアム・ゴールと同時に、
WHOの、ゲイツ財団を中心とした私的な財源への依存体質が問題視されているそうだ。

そうした依存がひいてはWHOの
薬物、診断技術その他のテクノロジーによる簡単解決への傾斜を招き、
健康に対する社会要因への対応資金は大きく削られることとなった、
そして、ワクチン推進への巨大な勢力とも結びついていると、Hair氏は指摘する。


ちなみに、こちらの記事によると、
ビル・ゲイツがもしも国家だったとしたら、
世界で37番目にお金持ちの国なんだとか―― ↓
http://www.policymic.com/articles/45397/10-ridiculous-facts-about-how-rich-bill-gates-is

ひとりの個人や、その個人の財団に、
それほどの富が集中した世界が既に実現してしまっているということを考えると、
それは、たいそう恐ろしい事態ではないんだろうか。

それに反比例するように、各国政府も各種国際機関も
どんどんと深刻な資金難に追い込まれて、機能することが困難になっていくわけだし。

最近は、また、バフェットとかスリムなど
世界の長者NO2、NO3とかのスーパーリッチたちが
金をゲイツ財団の元に一極集中させ始めてもいるようなのだけれど↓

慈善資本主義に新たなネーミング、「人道帝国主義」:インドのポリオ“撲滅”の裏側(2013/6/11)
慈善資本主義の“マッチポンプ”なカラクリ(2013/6/11)


【関連エントリー】
慈善資本主義(2008/4/13)
ゲイツ氏、今度は世界の外交施策にも口を出すつもり?(2008/8/27)
世界中の研究機関に流れていくゲイツ財団のお金(2008/8/28)
ゲイツ財団の私的研究機関が途上国の医療支援の財布を管理しようとしている(2009/6/20)
ゲイツ財団の慈善ネオリベ医療グローバリズム賛歌(2009/6/20)
「これからはワクチンが儲かりまっせぇ」の陰には、やっぱりゲイツ財団が……(2009/11/20)
ゲイツ財団が「この国の官僚は役立たずだから」と中国で“エイズ検査でゼニあげるよ”キャンペーン(2009/12/15)


2013.06.18 / Top↑
実は、昨日のエントリーで紹介したStraussの記事は、
こちらの記事を見つけた時に一緒にくっついてきたオマケ。

オマケがいかにも鋭く、面白かったものだから、
腰を据えて本命記事を読む覚悟を先延ばしにしたい気持ちも手伝って、
つい、そちらを先にエントリーにしてしまいました。

――ということで一夜あけて、こちらが本命記事。

Teachers’ letters to Bill Gates
Valerie Strauss, June 14, 2013


Strauss記者の鋭さは
冒頭2つのパラグラフに詰め込まれていて、
読むなり、ヤンヤと喝さいしたい気分だったので、

その部分を丸ごと、以下に。

ビル・ゲイツは、
自分の好みの事業に何十億ドルもの私財をほいほい投入するものだから、
現代学校改革運動の中心人物となっている。

例えば、大規模校を解体して小規模校のネットワークを作ろうと20億ドルをはたいた。
しかし、うまく行っていないと判断するやボツにした。

ビル・ゲイツとゲイツ財団は、
異論の多い教師評価システムを開発するという実験に何億ドルも投入し、

今も米国中のあらゆる教師の授業をビデオ撮影して
仕事ぶりを評価するプロジェクトを推進している。
さらに、自分が主導する全国統一テストキャンペーン
(the Common Core State Standards Initiative)に少なくとも一億5000万ドル、
やはり評判の悪い生徒のデータベース構築にも1億ドル、
その他もあるけれど、このくらいで事態は掴めるだろう。

ゲイツのカネは学校改革の行方に深くかかわっているのである。

もちろん、ゲイツからの支援を歓迎する改革推進派もいれば、
批判する人たちもいる。

後者は、一市民がたまたま金を持っているからというだけで、
どうして教育方針にこれほどの影響力を持てるのだろう、と、いぶかる人たちだ。

ゲイツのプロジェクトは、何らかの研究によって
効果が検証されているわけでもないのに、と。


そこでStraussが紹介するのが
このほど新しく立ち上げられたウェブ・サイト、Teachers’ Letters to Bill Gates。

異論のある先生たちが皆でこのサイトで
ゲイツ夫妻に宛てた手紙を書こう、という趣旨。

記事のコメント欄でのやり取りによると、
管理者はNY市の教師のようです。

サイトの趣旨説明もまた
ゲイツ夫妻への手紙の形式で書かれているのだけれど、
それが実に問題の本質をズバリと突いていてアッパレなので、全文を以下に。
(なおゴチックは、どちらの引用でも、強い共感の意を込めてspitzibara)


親愛なるビル&メリンダ

私たちは、公教育という非常に広範な話題について、米国のみならず世界中の学校教師と対話しましょう、と、お2人をお誘いします。

これまで指摘されてきませんでしたが、おふたりは巨大な資産と権力を使って、公立学校の教育者、管理・行政職、保護者、生徒、地域住民など我が国また世界中の多くの人々の声を聞くという本来あるべき民主的なプロセスを経ることなく、教育という名の法人改革を創出してこられました。

お忙しいスケジュールの中で時間をとってくださり、我々の数々の手紙にお返事をいただければ幸いです。読者の方々にも、ゲイツ夫妻への手紙を書いてくださるよう呼びかけます。我々はご夫妻と読者の双方が対話に参加できるよう、それらをこのブログのエントリーとして掲載し、ここに民主的なプロセスのアーカイブをこしらえていきます。

敬意を失うことなく対話に参加しつつ、しかしお2人の方針が私たちの生徒の生活や私たち自身の職業や日常生活、私たちの学校や地域に影響する以上、その方針への反対意見はきちんと述べられるような、そんな対話がここでは可能だとお2人に感じていただければ、と考えております。

私たちはあまりにも長く声を封じられてきました。積もり積もった感情を語らなければならない人もいます。読者にも、この対話に参加するよう呼びかけます。そして、最終的にそれが公教育全体のためになれば、と考えます。


果敢にこの声を挙げた米国の先生たちに、心からの拍手を――。

米国の教育以外でも
民主的なプロセスを奪われたまま
スーパーリッチの恣意的な介入に晒されている、
途上国の子どもを含む多くの人々のことを思いつつ――。

そして、

一見、民主的なプロセスを経て決まったように見えるだけで、
本当はグローバル強欲ひとでなしネオリベ金融慈善資本主義が席巻する世界で、
同じことが私やあなたや私たちの子どもたちにも起こっている可能性にも
同時に思いをはせつつ――。



【関連エントリー】
ゲイツ財団の米国公教育コントロール 1(2011/5/2)
ゲイツ財団の米国公教育コントロール 2(2011/5/2)
「生徒に生体データ・ブレスレットつけさせ教師の技量を評価」研究に、ゲイツ財団から100万ドル(2012/6/19)
デジタル思考の成果主義に染められていく米国の公教育改革(2013/2/20)
ビル・ゲイツの慈善にも説明責任を突きつける教師ブロガ―(2013/4/24)
2013.06.18 / Top↑
WPで教育問題について書いているValerie Straussという記者さん、
辛辣だけど視点が面白いなー……と、前から思っていたんだけど、

今回の記事のタイトルは
「今年、学校が禁止したヘンなもの、8ケ」

1. フリルのついたソックス
英国の小学校で、やたらと長いフリルのついた靴下に
躓いてこけた子どもがいたから。

2. 3角形にカットしたフラップジャック(クッキーの一種)
英国の学校のカフェテリアが3角形にカットしたフラップジャックを
子どもが別の子どもに投げて目に当たったため、
フラップジャックは四角形に切ることに。

フラップジャックの写真はこちらに ↓
http://www.independent.co.uk/news/uk/home-news/school-in-essex-bans-triangle-shaped-flapjacks-after-pupil-is-hurt-8548084.html

3. ドッジボール(NH州)
「人を的にする」ゲームはイジメに繋がるから。

4. 大人が子どもをハグすること(St. Mary’s Countyの公立学校)
保護者は我が子以外の子どもをハグしたり身体に触れてはいけません。

5. レディ・ガガなど19の楽曲をプロムで禁止(南カリフォルニアの高校)
学校の「女性の健康と女性問題クラブ」が女性蔑視とみなしたため。

6. レギンズ(CA州の中学校)
レギンズをはいた女の子が前かがみになると生地がひっぱられて
「授業の集中を妨げる」から。
他にもいくつかの州でレギンズを禁止。

7. お誕生日会への招待(これもSt. Mary’s County の公立学校)
招待されなかった子どもが傷つかないように。

8. 卒業アルバムへの妊婦姿の写真掲載(MI州の高校)
生徒によくないメッセージを送ることになるから。

Eight weird things schools banned this year
Valerie Strauss
WP, June 14, 2013



【関連エントリー】
「子どもがひとりで遊べない国、アメリカ」から「メディカル・コントロールの世界」へ(2011/12/20)
「子どもがひとりで遊べない」世界から、人が「能力」と「機能」の集合体でしかない未来へ?(2011/12/21)
授業中にケンカをすればスクール・ポリスがやってくる。そして逮捕。(TX)(2012/1/12)


【Valerie Straussの記事を紹介したエントリー】
「生徒に生体データ・ブレスレット付けさせ教師の技量を評価」研究に、ゲイツ財団から100万ドル(2012/6/19)
2013.06.18 / Top↑
『人間的価値と正義』(牧野広義著 文理閣 2013)を読んだら、

その中に2度も引用されている、これを
「美しい文章」として、ここに書いてみたくなった。

日本国憲法 第97条

この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。


これが、自民党の日本国憲法改正草案では丸ごと削除されているって、
知っている人、どのくらい??

この方の、草案と現憲法の対照表が大変わかりやすいです ↓
(開いて、ちょっと下までスクロールすると対照表があります)

他にも本当に恐ろしい草案なので、ぜひ。
http://www.geocities.jp/le_grand_concierge2/_geo_contents_/JaakuAmerika2/Jiminkenpo2012.htm#3_11


それから、
上の部分を書きながら思いだして
改めて胸が熱くなったDick SobseyのSinger批判も以下に――。

国連の子どもの人権条約において
生存と成長発達の権利が子どもの最も基本的な権利として謳われている。

この条約を前提に
障害があるという理由で命を断たれてしまう子どもや
Ashleyのように意図的に成長を止められる障害児のケースを説明しようとすれば
それらが全て障害のある子どもの権利を侵害してるか、
もしくは障害児はすべての子どもに認められた権利の埒外とされているかの
いずれかだと考えるしかなく、
私は前者だと主張し、
Singer氏は後者だと主張するわけだ。

私が前者だと主張する根拠は1989年の子どもの人権条約において
重い障害のある子どもが十分に保護されるべきことが謳われており、
障害を理由に異なった扱いを受けるなど
「いかなる種類の差別も」明白に禁じられていることである。

条約は障害児の権利が侵されてきたことを指摘したうえで、
彼らの権利に特に保護を求めているのであり、
Singer氏が主張するように
障害児はすべての子どもに認められる権利の対象外だとの理解ではない。

ソマリアと米国以外の国連加盟国が批准している
この子どもの権利条約を否定することなしには
Singer氏の主張は論理的に成立しない。

48年の世界人権宣言にも、71年の精神薄弱者の権利宣言についても同様であり、
すなわちSinger氏の立場を受け入れることは、
ユニバーサルな人権を認めてきた過去60年の成果を無にすることである。

Sobsey氏、「知的障害児に道徳的地位ない」Singer説を批判(2009/1/3)



そう――。

人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果。
ユニバーサルな人権を認めてきた過去60年の成果。

だからこそ――。
2013.06.18 / Top↑
5日にカナダのケベック州議会に提出された
自殺幇助らしきものの合法化法案について、
報道がたくさん流れているのだけれど、

いくつかにざっと目を通してみて、肝心の部分に関する表現が
physician assisted suicide ではなく medically assisted suicide とされていたり

assisted dying や medically assisted deathだとか
「終末期の患者にmedical assistanceを受けて死ぬ権利」など、

ものすごく曖昧な表現に終始していることが
ここ数日、ずっと気になっていました。

やっと、はっきりさせてくれる記事と出くわしたところ、

なんと、なんと、この法案、
ぜんぜん「医師による自殺幇助」の合法化なんかじゃない。
れっきとした「安楽死」合法化法案だった。

記事から、事実関係を以下に。

・法案の名称は、Bill 52:An Act Respecting End-of-Life Care。
提出したのはケベック州の副保健大臣が属するケベック独立党。

・死への医療的幇助(medical aid to die)とは、死をもたらす注射の意。

・患者は、また患者に自己決定能力がない場合は同意見のある人が、
予後、その鎮静が不可逆で死につながる性格のものであること、予測される長さを、
同意書に署名する前に知らされていなければならない。

(the irreversible and terminal nature of the sedation と書かれているのだけど
通常の sedation である鎮静なら可逆的だし、それ自体ターミナルでもないので
ここの sedation とは上記の「死をもたらす注射」の意と思われるのですが
じゃぁ、なぜ、そう書かずに、わざわざ sedationと、混同をまねく書き方をするのだろう????)

・患者自身が「自由意思で、インフォームを受けたうえで」
日付入りの同意用紙に署名し、自分で死への医療的幇助を申請しなければならない。
患者が同意することができない場合には、
未成年でなく医療チームのメンバーでもない第三者が
医療職の立ち会いのもとで同意書に署名し、
その医療職が立会人として確認の署名を行う。

・誰かの代理で同意する権限が認められるためには
患者本人が同意能力を失う前に医療による幇助死(medically assisted death)への同意が
伝えられていなければならない。

・患者はケベック州在住の18歳以上で、
不治の病で、不可逆的な健康状態の悪化と、
「本人が許容できる方法では軽減することのできない
絶え間のない、耐え難い身体的または心理的な苦痛」に苦しんでいること。

(心理的な苦痛でも可、という個所の拡大解釈の問題が
ベルギーの安楽死法でも指摘されています)



Veronique Hivon副大臣は、
この法案が成立しても、連邦政府の刑法に触れることはない、と確信している。
なぜならば、連邦刑法で自殺幇助は禁じられているが
安楽死は特にそれと名指しで禁じられているわけではないから。

それから、もう一つ、
医療行政の責任は各州にあるから。

(それなら、どうして堂々と「安楽死」と言わないんだろう?)

なお、連邦政府の法務大臣は
ケベック州の法案について、今後どういうことになっていくのか注視する、と。

Quebec bill addresses assisted death
Proposed law gives dying patients right to die with medical assistance
The Ottawa Citizen, June 13, 2013


他に、この記事がざっと取りまとめている
これまでのカナダでの動きとしては、

自殺幇助合法化法案が出ているカナダで「終末期の意思決定」検討する専門家委員会(2009/11/7)
カナダ王立協会の終末期医療専門家委員会が「自殺幇助を合法化せよ」(2011/11/16)
(委員会が提言したのは、医師による自殺幇助と自発的安楽死)

ケベックの尊厳死委員会から24の提言:メディアは「PAS合法化を提言」と(2012/3/24)


その他、ケベックの自殺幇助合法化議論関連エントリーはこちら ↓
カナダ・ケベック州医師会が自殺幇助合法化を提言(2009/7/17)
スコットランド、加・ケベック州で自殺幇助について意見聴取(2010/9/8)
ケベックの意見聴取、自殺幇助合法化支持は3割のみ(2011/12/29)
ケベックの小児外科医「これほどの医療崩壊を放置してPAS合法化なんて、とんでもない」(2013/1/19)
ケベックでもオーストラリアでもPAS合法化を巡る攻防(2013/6/6)
ケベックの看護師のmedically assisted suicide合法化への疑念(2013/6/13)


その他、カナダの自殺幇助合法化議論関連エントリーはこちら ↓
カナダの議会でも自殺幇助合法化法案、9月に審議(2009/7/10)
図書館がDr. Death ワークショップへの場所提供を拒否(カナダ)(2009/9/24)
カナダの議会で自殺幇助合法化法案が審議入り(2009/10/2)
カナダ議会、自殺幇助合法化法案を否決(2010/4/22)
カナダの法学者「自殺幇助合法化は緩和ケアが平等に保障されてから」(2011/2/5)
カナダで自殺幇助合法化を求め市民団体が訴訟(2011/4/27)


          ―――――――

日本尊厳死協会の岩尾理事長も
医師による自殺幇助を「消極的安楽死」と定義した際に、
「最近は臨死介助という言葉に置き換えられる」と語っている ↓

日本尊厳死協会理事長・岩尾氏の講演内容の不思議 2(2012/10/23)


どうも世界的に、
文言の曖昧化によって、概念そのもののなし崩し的な拡大が
狙われているような気がしてならないんだけど……。

それにしても、よ、

physician assisted suicide とは、
医師が致死薬を処方し患者本人が飲む「医師による自殺幇助」。

medically assisted suicide とは、
医師が致死薬を注射する「医療的自殺幇助」。

後者は、またの名を「積極的安楽死」とも言います。

……だって。ちゃんと覚えておきませう。
2013.06.18 / Top↑
ダ、ケベック州議会に
medically assisted suicide 合法化法案が提出されたことについて、
(別情報で見た情報では、審議は秋になるとのこと)

地元紙Montreal Gazetteに、
外科病棟で9年間働いてきた看護師からの意見が寄せられている。

さすがに患者のすぐそばに寄りそってケアする人の視点を感じさせて、
ぐっときたので、概要を以下に。

この看護師は9年以上の外科での体験から、
「PAS合法化に向かう法案を提出するのを
議員らは急ぐべきではない」という。

ぱっと考えれば死に向かうプロセスは何段階かに分かれると思えるだろうけれど、
現実にはそう単純なものではない。

まず最初の段階として、
患者本人も家族も、もはや治ることはないのだと実感として知るが
その時にはそれまで生きてくるにあたって支えとなってきたものの一切が
何の役にも立たなくなるような絶望に襲われる。
互いに手を取り涙にくれる気持ちはその後も
残された時間を生きる本人と家族に付きまとう。

次に、主治医と緩和ケアの相談をする段階となるが、
この段階から後について、この人が書いていることがたいそう興味深い。

実際には、この相談は少しばかり皮肉なものである。

というのは、どんな専門領域の医師であれ
死や死をどのように扱ったらよいかについて
医師はほとんど知らないからだ。

そこで疑問が起こってくる。

そんな状態でPASが合法化されるなら
一体その死の幇助は誰が行うのだろう?

患者の主治医?
でも、その主治医自身が、死をどう扱ったらいいか、
誰かに教えてもらいたい状態なのだけれど?

私が対応してきた緩和ケアチームは驚くほど能力の高い人の集まりで、
患者がいかに死ぬかよりも、いかに生きるかに気を配っていた。

バイタル・サインや酸素濃度は意味がなくなり、その替わりに
患者の安楽が唯一の優先事項となる。

信じられないかもしれないけれど、
病院という場では、こういうシフトはシステムそのものへの衝撃となる。

医師は血圧やレントゲンや血液検査やCTの結果を分析して対応することが
あまりにも当たり前になっているために
患者を安楽にするためにはどうしたらいいか忘れてしまっている。

多くの医師が「脈は? 酸素は?」と聞き、
「苦しんでいないか」とは聞くことはない。

言うまでもないが、緩和ケアチームは
音楽をかけたり、身体に触れたり、会話をしたり、薬を使って、
患者が苦しまないように力が及ぶ限りの努力をする。

だから緩和ケアチームと共にケアに当たる患者の友人や家族は
そういう時に私が感じるのと同じ気持ちになった。
そう、あぁ、また息ができるようになった、という気持ちに。

そして十分な緩和が達成されると、
待つという段階がやってくる。
その間、私が考えたのは、苦しまないように、
息が詰まったりすることなく、安らかに逝けますように、だった。

そして誰もが自問する。
私は良い人間だろうか。
自分の人生で何か価値あることをなしただろうか、と。

私たちは誰も死を免れない以上、
こうした問いを問わずにいられない。
死を前にしてこのような問いと直面している時、
時間は止まり、何もかもが秩序をなくしたようにすら感じられる。

PASが合法化されたら、
死を前にしたこのような時間に一体なにが起こるのだろう?

午前3時にナースが医師を呼びだして
研修医が致死薬を注射するのだろうか。

死の幇助をいつ行うかはどのように決めるのだろう?
患者が意識を失った時? もう自分で食べられなくなった時?
それとも自分で呼吸ができなくなった時?


この後、著者は
緩和ケアチームがどんなに努力しても医療制度そのものに問題があり、
とてもじゃないけれど、どの段階で幇助するなど見極められる状況ではないと言い、

日曜日の朝6時半に自分の腕の中で患者が亡くなった時、
「医師がいなくてよかった」と考えた、という話で記事を締めくくっている。

Letter: A nurse’s view of physician-assisted suicide
The Gazette, June 12, 2013


終末期ケアの議論に
もっと医師以外の医療職も参入してほしい、
と、いつも思う。

この人が言っている「医療システムに問題がある」ということの一つには
死がもっぱら医療技術の問題として捉えられ、
看取りも医師が差配すべきものとイメージされてしまう、
医療のヒエラルキー中心とした文化風土の中に
両者とも取り込まれてしまっていることがあるんじゃないのかな。

それは、たぶん、
高橋都氏が言っていた「介入行為が医師の中に呼び起こす愉悦」とも関連するし
福士・名郷論文が言う「医療行使主義」にも
通じていくんじゃないんだろうか。

この看護師が言うように、医師がそれ以外の方法論を知らないことが
患者にとって死が望ましいものにならない問題の本質なのだとしたら、

医師による自殺幇助や安楽死によって
さらに死を医師らのコントロールに委ねるのではなく、
むしろ医師らの裁量の圏外へと死や看取りを放つこと、

あくまでも死や看取りの重要な脇役として
医療を位置付け直すことの方が大事なんでは――?

個人的には、
医療現場での本当の意味でのチーム医療(本人と家族を含めた)と、
地域の在宅支援での本当の意味での介護と医療の(本人と家族を中心とした)連携
(私自身は「十分で行き届いた介護とそれを支える医療」とイメージするのだけれど)が
実現されたなら、自殺幇助議論はずいぶん変わるんじゃないかという気がしている。

もっと大きく言えば、
安藤泰至氏がいうように

「終末期医療という営みが」
単に医学や医療の一つの専門領域の中だけで問われるのではなく、
人間の文化、社会や私たちの生き方の問題として問われ」るためには、

「医療が既存の医療の専門知の枠組みで人間の生(死)を切り取って」
そこに自足するのではなく、その限界を自覚しながら、
そのなかで医療に何ができるのかを模索していくことができるような
新しい医療の文化(原文は傍点)が必要」
ということだと思う。
2013.06.18 / Top↑
C&Cがモンタナ州でいかに巨額の資金を使って自殺幇助合法化ロビー活動をしているか、という記事。
http://www.lifenews.com/2013/06/09/assisted-suicide-advocacy-group-the-highest-spending-lobbyist-in-montana/

スイス Neuchatelカントンで、終末期でもない人に致死薬を処方したとして医師が起訴されている。:これ、何らかの変化の兆し??
http://www.thelocal.ch/19700101/doctor-charged-for-aiding-seniors-suicide

ナーシング・ホームでの相次ぐ虐待報道にカナダ、オンタリオ州が抜き打ちでの監査を強化。
http://kitchener.ctvnews.ca/ontario-to-increase-inspections-of-long-term-care-homes-1.1319893

子どもへの強制結婚を防止するGirls Not Gridesのサイト。毎年1400万人の少女たちが18歳になる前に強制的に結婚させられている。
http://www.girlsnotbrides.org/

【関連エントリー】
知的障害者の強制結婚、相手はビザ目的、親は介護保障で(2008/7/29)
親が知的障害のある子どもに強制国際結婚 介護のため金のため兄弟の結婚のため(2012/8/2)


青少年の矯正施設でレイプや性的暴行が横行している、とProPublica。
http://www.propublica.org/article/rape-and-other-sexual-violence-prevalent-in-juvenile-justice-system

イスラエルの幼児性愛者がインドの4歳の女児を養子にしていた事件で、NGOが法規制強化を呼びかけ。
http://www.business-standard.com/article/pti-stories/indian-girl-adoption-israeli-ngo-seeks-tougher-surrogacy-laws-113060900459_1.html

インドの空港に医療ツーリズムの顧客へのサービス・カウンター。
http://articles.timesofindia.indiatimes.com/2013-06-10/ahmedabad/39871902_1_tourism-counter-medical-tourists

【関連エントリー】
医療のネオリベ“医療ツーリズム”(2009/8/3)
医療ツーリズムでMRSAより厄介な抗生物質耐性菌(2009/8/13)
AJOB巡るスキャンダルには、幹細胞治療や日本の医療ツ―リズムも“金魚のウンコ”(2012/2/15)


実は英国政府も米国政府のプリズム・プログラムを通して情報をゲットしていた、と。
http://www.guardian.co.uk/technology/2013/jun/07/uk-gathering-secret-intelligence-nsa-prism

【関連エントリー】
「西側含め、各国政府からコンテンツ削除依頼が急増」とグーグル(2012/6/18)


G8サミットを前に、エルトン・ジョンがエイズ撲滅を呼びかけ。
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2013/jun/07/make-aids-history

毎年世界中で300万人以上の子どもが飢餓で死んでいる、というデータ。例によってランセットに。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/261533.php

おりしもロンドンでビル・ゲイツとRowan Williamsとキャメロン首相などが飢餓救済集会。
http://www.guardian.co.uk/global-development/2013/jun/06/campaign-child-malnutrition-rally-hyde-park

今年も、ビルダーバーグ会議。
http://www.guardian.co.uk/world/2013/jun/05/bilderberg-2013-goldman-sachs-watford

【関連エントリー】
“優生主義者ビル・ゲイツ、世界エリートの”陰のサミット“ビルダーバーグ会議に(2010/6/9)
ビルダーバーグ会議2010(6月3―6日)(2010/6/10)


子どもの肺移植リストに登録済みの我が子に大人のドナーから肺提供を受けられるよう提訴した両親に、裁判所が特例を認めて論争に。:見失ったけど、もう一人の子どものケースも報道されている。これが黒人親子だったとしたら判事はどういう判断をしたのだろう……と、つい考えた。アシュリー事件でも、そういう疑問が頭に浮かんだことがあった。
http://vitals.nbcnews.com/_news/2013/06/05/18779741-judge-orders-girl-added-to-adult-lung-transplant-list?lite

CTスキャンに、がんリスク。:前から言われているけど、日本ではあまり聞かない。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/261731.php

日本。抗ウツ薬6種 子どもへの投与注意 「国連の「子どもの権利委員会」は2010年、日本政府に「ADHDが、薬物によって治療されるべき障害とみなされてしまい、社会的要因が適切に考慮されていない」と勧告している」:日本の精神科医の方々は、米国でのスキャンダルや訴訟の数々を全くご存じなかったんでしょうか? なにを今さら。
http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20130605141448829

日本語。ADHDは作られた病であることを「ADHDの父」が死ぬ前に認める
http://gigazine.net/news/20130529-adhd-is-made-by-industry/

米国で緊急避妊薬、いわゆる「モーニング・アフター・ピル」が年齢制限も処方箋もなしで薬局で買えるように。:こうしてレイプの問題が女性の自己責任化していくような気がするのは、私がこの問題を理解していないからなんだろか。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/261805.php

ピーター・シンガーが女性の選択権を否定する発言で批判を浴びているらしい。
http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/10550#comments

上野千鶴子氏 売春は強姦商品化でキャバはセクハラ商品化:「男社会」への批判を個々の男への批判と混同したバッシングが起こっているみたいな……。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130609-00000012-pseven-soci

緊急声明:女性の人権の大幅な後退につながる生活保護「改正」法案の廃案を求めます:上の記事、こういう文脈なんでは? と思うんだけれど、差別する側にいる人たちはすぐに「そんなのどっちの側にいたって同じ問題」と言う。そして、構造的な差別がないものと前提した議論にすり替える。
http://ajwrc.org/jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=803

日本。<規制改革原案>「混合診療」今秋に拡大 まず抗がん剤 「計画は規制改革を「経済再生の阻害要因を除去し、民需主導の経済成長を実現するために不可欠」と位置付け……」:ここでもまた、保健医療の問題としての装いは表向きで実際は経済再生の問題。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130612-00000009-mai-pol

毎日社説:混合診療 全面解禁には反対だ 「高齢化や医療技術の革新に伴って公的医療費は年々増えている。医療費抑制への圧力が強まる中で混合診療を解禁したら、患者負担の自由診療が広がるのは目に見えている」「今でさえ医師不足や医療崩壊が叫ばれているのだ。保険診療しか受けられない患者は医師探しに苦労することになりはしないだろうか」:米国ではメディケア、メディケイドの患者を引き受けてくれる医師が減っていると聞く。安倍総理はTPPに参加するにあたって、国民皆保険を守ると約束したはずだったんでは? 
http://mainichi.jp/opinion/news/20130304k0000m070107000c.html

【関連エントリー】
「なぜ大国アメリカで?」と医師が憤る無保険者の実態(2009/8/13)
この10年で医療を受けられない米国人が急増(2012/5/31)
NYT社説「メディケア拡大拒否は貧困層の健康を損ない、救急医療コストを安全網と納税者につけ回す」(2012/8/3)


<日仏首脳会談>原発輸出促進へ協力 共同声明:すごく不思議だったのは、この晩のNHKでは両国首脳が経済協力で合意したことだけが報道されて、原発での協力については一言も触れなかった。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130607-00000048-mai-pol

フィナンシャル・タイムズのオピニオン欄に「竹島の領有権を放棄して韓国との関係改善を図れば安倍首相はノーベル平和賞が取れる」という趣旨の提言。
www.ft.com/cms/s/0/d22d9bb2-cc2e-11e2-bb22-00144feab7de.html
2013.06.18 / Top↑
前のエントリーで紹介したNJPの3月の記事の流れで、
6月7日付の記事『ビル・ゲイツ、ビッグ・ファーマ、まやかしの慈善』。

グローバルな人口抑制策に関与しているという陰謀説はともかく、
アフリカを中心とした途上国で先進国が行ってきた同意なき人体実験の歴史には
IMF―世銀―WTOの国際カルテルも関わり、もはやビッグ・ファーマのみならず
資本主義経済そのものが貧困層の搾取を基盤としている、と。

ビル・ゲイツは2006年6月にマイクロソフトを退く際から
何度かに渡って同社の株を売却しながら、以下の企業に投資してきた。

Walmart, Coca Cola, McDonalds, British Petroleum, Toyota,
Nimbus Discovery, Foundation Medicine

しかし、2006年にMS社を退いた時の真っ先の投資先は、Glaxo Smith Klineだった。
それ以前にも2002年にはEli Lilly(プロザックの製造元)250万株。この時、MerckとPfizerにも投資。
2002年5月17日にはJ&Jその他のビッグ・ファーマ9社に2憶500万ドル相当を投資。

As an investor in Merck & Co., Pfizer Inc., Johnson & Johnson and others, the Gates foundation shares financial interests with the makers of AIDS drugs, diagnostic tools, vaccines and other drugs.

メルク、ファイザー、J&J社その他への投資家として、ゲイツ財団はエイズの治療薬、診断ツール、ワクチンその他の薬のメーカーと金銭上の利益を同じくしている。


最近では、ウォーレン・バフェットがBerkshire Hathaway社の株を大量に
ゲイツ財団に寄付するなど、世界中のスーパーリッチの富がゲイツ財団に集められて、
同財団の掛け声によってポリオやマラリア撲滅につぎ込まれているが、

これまでの調査研究から
これらの感染防止への最適な方法は教育と生活水準の向上であることが明らかとなっており、
実際にエリトリアでは防虫剤を塗布した蚊帳の無料配布や
地域の診療所の整備などを通じてマラリアを80%も抑え、

公衆衛生でマラリア死8割減のエリトリアから「製薬会社株主ビル・ゲイツのワクチン開発」批判(2011/8/2)

またエリトリアでは、
エイズ感染も性教育とコンドーム配布によってここ10年で40%も減じたにもかかわらず、
世界中のメディアがこれらについて報道することない。

Bill Gates is a pretty smart guy. So why did he embark on a massive vaccination campaign when the same funds could have been invested in genuinely sustainable community-development and public-health programs? Because that does not make money.

ビル・ゲイツは頭のいい男である。その彼が、同じカネを真に持続可能な地域開発と公衆衛生プログラムに投資もできたはずなのに、どうして大がかりなワクチン・キャンペーンに乗り出したのか? 前者は金にならないからだ。


記事はその後、グラクソが最近、Avandiaスキャンダルでの30億ドルの和解金を支払ったこと、

製薬会社資金に信頼性を失っていく治験データ……Avandiaスキャンダル(2012/11/30)

2002年にアフガニスタンの裁判で、07年から08年にかけて親の同意書を偽造して
乳児をワクチンの治験に参加させたことで有罪判決を受けたことを紹介。

マラリア・ワクチンは効果が減っていくため「失敗」だとする研究や
却ってマラリアにワクチン耐性をつけて劇症化させているとのエビデンスも多い、と。
(ただし情報源は示されていない)

ポリオについては前エントリーで紹介した3月の別記事と同じく
先進国では禁じられている活性ワクチンが途上国では使われていることや
インドでの「撲滅」の裏でNPAFPが増加していることが指摘されている。

さらにゲイツ財団がグローバル・ヘルスへの貢献を謳いながら
マクドナルドやコカコーラに投資していることの怪を指摘。

ゲイツ財団がコークとマックに投資することの怪、そこから見えてくるもの(2011/3/9)

この記事の結論は以下のパラグラフと思われ、これもまた当ブログが指摘してきた通り。

The Bill & Melinda Gates “Foundation” is essentially a huge tax-avoidance scheme for enormously-wealthy capitalists who have made billions from exploiting the world’s people. The foundation invests, tax free, money fr0m Gates and the “donations” from others, in the very companies in which Gates owns millions in stocks, thus guaranteeing returns through both sales as well as intellectual-property rights. To add insult to injury, the system perpetuates the spread of disease rather than aids in their eradication, thus perpetually justifying his endeavors to “eradicate” them (solving a problem they are creating).

ゲイツ財団は本質的に、世界の人々を搾取することで憶万の富を手に入れてきた、極めて富裕な資本家のための巨大な租税回避の仕組みである。

ゲイツ財団はゲイツやその他の富裕層からの「寄付」という免税された金を、ゲイツ自身が何百万ドル相当の株を所有する企業に投資することによって、売上からも知的財産権からも利益が保証されるという仕組みだ。

さらに酷いことには、こうしたシステムによって病気は撲滅に向かうどころか永続的に拡がったままとなり、彼が「撲滅」すると言い続けることに(自分が創出した問題を自分で解決することに)永続的な正当性を与えてしまう。


著者は最後に、
では、ゲイツ財団やゲイツ氏のような慈善家がいないほうが世界はベターな場所になるのか、と問い、
彼らがやっているようなまやかしではなく正直でまっとうな慈善が行われればそうなるだろう、と
書いた後で、以下のように記事を締めくくっている。

It is quite certain that if the enormous investments (or “donations”) had been focused on community-based nutrition programs, public-health programs and sustainable enterprises, the world would be better.

これらの多額の投資(「寄付」と呼ばれているが)が地域基盤の栄養改善事業や、公衆衛生事業、持続可能な試みに焦点化して使われるならば、世界はベターな場所となるだろう。


――賛成。

Bill Gates, Big Pharma, Bogus Philonathropy
News Junkie Post, June 7, 2013


で、ここ数日にも出てきているニュースとして、

① 英国が27憶ポンドを世界の飢餓救済でゲイツ財団に。
http://www.express.co.uk/news/uk/406067/Britain-and-Bill-Gates-sign-up-to-2-7bn-international-fund-to-tackle-world-hunger

② 英国が中心となって呼び掛け、G8もグローバルな飢餓の問題に多額の資金提供を約束。
http://www.ibtimes.co.uk/articles/476474/20130609/g8-hunger-summit-bill-gates-david-cameron.htm

③ EUがエイズ、結核、マラリアその他、貧困地域に広がる病気研究で、ゲイツ財団と提携。
http://www.euractiv.com/innovation-enterprise/eu-bill-gates-sign-disease-resea-news-528455


つまり、この領域でマーケット参入、国際競争への参加資格を得るためには
そういう道を選ぶしかない世界がすでに出来上がっているということなんでは?
例えば、以下のエントリーで紹介した記事が指摘していたように、
科学とテクノロジー研究の国際競争では以下のような実態があるから?

ゲイツ財団がカネを通じて
国際機関や医療系の研究所に影響力を行使していることによって、
科学者から多様な意見が出なくなり、国際機関の方針決定のプロセスにも影響して
意思決定プロセスが閉鎖的なものとなって透明性を失っている、

ゲイツ財団がインドでもくろんでいるのワクチン普及だけでなくGM農業改革も(2011/4/16)
2013.06.18 / Top↑
なるほど「人道(主義的)帝国主義」……。
慈善資本主義に新たなネーミングが登場――。

News Junkie Postというサイトに
関連のたいへん興味深い記事が2本あったので、このエントリーと次で。


『人道主義的帝国主義:権力志向の慈善』と題されたこちらの記事は冒頭、
2月28日、前ローマ法王が辞任したのと同じ日に
ニューヨーク市長のブルームバーグ氏が
自らの財団Bloomberg Philanthropiesとゲイツ財団との
協働をスタートさせたことに触れて、
宗教の慈善に企業の慈善が勝利した時代の象徴である、と。

そこで提起されているのは
当ブログがかねて指摘してきたのと同じ問題で、

With the world’s thirteenth richest man Michael Bloomberg on board, the Bill & Melinda Gates Foundation represents an unprecedented and rapidly growing collaboration of the world’s wealthiest men, including Carlos Slim, Bill Gates, Warren Buffet, and Cyrus Poonawalla: all of whom have devoted most of their lives to acquiring their billions. Does this signal late-onset altruism or something else?

世界で13番目の金持ち、マイケル・ブルームバーグを理事に迎え、

ビル&メリンダ・ゲイツ財団は、
これまでに例のない速度で成長する世界の最富裕層の共同体となっており、そこには
カルロス・スリム、ビル・ゲイツ、ウォレン・バフェット、サイラス・プーナワラと、
生涯をかけて憶万の富を手にしてきた顔ぶれがずらりと並ぶ。

これは果たして、遅ればせながらの愛他行為なのだろうか
それとも何か別のものを意味するのだろうか?


著者は
19世紀の終わりから20世紀にかけて
ロックフェラーやカーネギーが悪どいショーバイで巨万の富を築いて
robber barons(盗人男爵)とあだ名されつつも
慈善家として歴史に名前を残したことに触れて、

例えばバフェットが2006年にゲイツ財団に310万ドルを贈ったことを始めとして、
(その後バフェットは資産の半分をゲイツ財団に提供したんじゃなかったかと思うんだけど)

The collaboration of today’s super rich in their philanthropy is a kind of humanitarian imperialism meant not only to rehabilitate their names but also impose their views on a global scale.

今日のスーパーリッチの慈善での協働は一種の人道帝国主義であり、
自らの名前のイメージアップのみならず、
自らの考え方をグローバルな規模で強引に実施させていくことを狙ったものである。


それには彼らからの資金提供を享受するNPRなどの大手メディアも一役買って、
ゲイツ財団の“ポリオ撲滅運動”が途上国で展開されていく。

ゲイツ財団のメディア・コントロール(2010/10/21)


この記事によると2001年段階で
栄養改善と水の衛生状態改善によってポリオは世界中で500例までに減少していた。

そこで始まったのがゲイツ財団のワクチンによるポリオ撲滅運動。

これまでにインドだけで2011年に80億ドルが費やされてきて、
ゲイツ財団はインドをポリオ撲滅のモデル国として称賛するが、
実際にはポリオの症状のある感染症は47500例もあり、
死亡率は2倍に上がっている。

ところがこの感染症は「非ポリオ急性弛緩性マヒ(NPAFP)」と名付けられ、
ポリオとしてはカウントされない。

NPAFPの発症には
活性ポリオ・経口ワクチン(OPV)を飲んだ回数が関係しているとされ、
インドでは10回以上もOPVを飲んでいる人が多数いることがNPAFP増加の要因とされる一方、
米国軍の兵士へのOPVは一回のみとされている。

また、不活性ポリオ・ワクチン(IPV)も開発されているものの、
コスト高のために先進国でのみ使われており、
途上国のワクチンは未だにOPVのままでNPAFPの発症を招き続けている。

こちらをポリオとしてカウントしなければ
2012年のポリオの発症は世界で291例で、
それらは反ワクチン運動が激しい急進的なイスラム圏に集中している。

パキスタンでは12年12月にポリオワクチンを子どもに飲ませていた
医療職(医療職ではなくボランティアだったと思うのですが)が殺害される事件も。
パキスタンの人々はOPVを飲むことを拒否している。

この後の1節、私にはちょっと理解不能ですが、
人造のポリオ・ウイルスが2002に作られて以来ポリオ撲滅は不能となったのだから、
限られた資源を不可能な撲滅に費やすのは非倫理的である、とする
Neetu VashishtとJacob Puliyelの以下の論文に言及している。
http://www.issuesinmedicalethics.org/202co114.html

(私がこれまで読んできた情報では
ポリオ・ウイルスは素早い遺伝子変異でワクチンへの抗耐性をつけるため、
いくらワクチンを開発しても撲滅は不可能と言われている、と理解していたので
上記論文未読の現在、人造ウイルス云々の個所が意味不明)

この記事の結論パラグラフで興味深い個所は以下。

The Bill & Melinda Gates foundation also seems determined to control cholera, malaria, and other presumed scourges with vaccines of questionable efficacy. It hardly matters that clean water and other simple measures might work better than vaccines. When one is rich and powerful enough to control all the discourse about a vaccine project and smooth its path from the laboratory to publication, to approval by WHO and purchase by UNICEF and heads of state, one is always right.

ゲイツ財団はコレラ、マラリアその他の病気を、
効果のほどが定かでないワクチンでコントロールすると意を決しているようでもある。

清潔な水やその他のシンプルな方法の方が
ワクチンよりも効果がある可能性は歯牙にもかけない。

金と権力があれば、ワクチン計画に関する言論の一切をコントロールし、
研究機関から論文発表までのプロセスを牛耳り、WHOの賛同を取り付け、
UNICEFや各国首脳に買わせることもできて、

そういう人物の言うことは常に正しいことになる。

Humanitarian Imperialism: Charity for Power
News Junkie Post, March 10, 2013


5枚目の写真は、
ソフトクリームの帽子をかぶって大きなボウタイをしたビル・ゲイツが
片手に「モンサントのトウモロコシ種子」を持ち、
もう一方の手に「ワクチン」と書いた大きな注射器を持って、
国際会議を思わせる背景を前にこれらを売り込んでいる図。


【17日追記】
2011年5月8日の補遺で
私自身がこの動きについて「慈善帝国主義」という表現を使っていた。

Bill GatesとWarren BuffetがGiving Pledgeなるキャンペーンでちょっと前から世界中の大富豪に資産の半分を慈善に差し出せ、と呼びかけているのは知っていたけど、その呼びかけに応えようかという人たち69人ほどがアリゾナ州に結集したとのこと。非公開で。:「世界のスーパーリッチ慈善資本家クラブ」の初会合ね。とはいっても、Gatesは去年の6月にもBuffetや何故かOpra Winfreyなど6人と完全非公開で集まって、世界人口抑制などを話しあっている。あれはこれの予行演習だったのか? いよいよ慈善帝国主義が本腰を入れて世界を席巻していく準備を始めている……。
http://lezgetreal.com/2011/05/buffett%E2%80%99s-billionaire-philanthropy-club-meets/
http://www.google.com/hostednews/ap/article/ALeqM5gVXN_8nZYKE0TwRPMa9w6pNHrM9A?docId=45130f0fc84547c890fcd16ffb557b5f


【関連エントリー】
JICA、ゲイツ財団とパキスタンのポリオ撲滅で“戦略的パートナーシップ”(2011/8/20)
「衛生マッピングとGPSで、途上国の子ども一人漏らさずワクチンを」と、ビル・ゲイツ(2013/4/26)

2011年のまとめ:ゲイツ財団とグローバル慈善資本主義(2011/12/27)
最近のツイートから「少数の好みで富が再分配される慈善資本主義の世界」と「メディカル・コントロール」(2012/5/11)
2013.06.18 / Top↑
レベッカ事件とは、

双極性障害で抗精神病薬を処方される2―5歳児が倍増(2010/1/16)
2歳で双極性障害診断され3周対もの薬を処方されたRebeccaちゃん死亡事件・続報(2010/2/22)


米国マサチューセッツ州(かのBiederman医師のおひざ元)で起きたこの事件で

2歳のレベッカちゃんに多動があるとして薬を処方し始めて、
3歳の時に双極性障害を診断し、3種類もの強力な向精神薬を適用外処方したのが
日本人の木藤香代子医師。

レベッカちゃんの死後、一時は医師ライセンスを停止されたのだけれど、
裁判では無罪となった。

その木藤医師が、日本に帰ってきて診療していることを
いつもお世話になっているkebichan55さんの以下のブログ・エントリーで知った。

子どもを狙え! 精神医療産業の戦略
ブログ「精神科医の犯罪を問う」 2013/5/29


米国の「ファーマゲドン」で起こってきた恐ろしいことの数々は
日本では全くと言っていいほど報道されることはない。

その一方で、アベノミクスは
最先端医療だ、創薬だ、農業改革だと
グローバル強欲ひとでなしネオリベ金融慈善資本主義に
政治の魂を――国民の生命を守る義務と一緒に――売り渡したと見える……。



【いわゆる“Biedermanスキャンダル”関連エントリー】
著名小児精神科医にスキャンダル(2008/6/8)
著名精神科医ら製薬会社からのコンサル料を過少報告(2008/10/6)
Biederman医師にさらなる製薬会社との癒着スキャンダル(2008/11/25)
Biederman医師、製薬業界資金の研究から身を引くことに(2009/1/1)

【その他、08年のGrassley議員の調査関連】
抗ウツ剤めぐる研究者と製薬会社の癒着スキャンダル報告書(米国)(2008/11/17)
抗ウツ剤めぐる研究者と製薬会社の癒着スキャンダル報告書 Part2(2008/11/23)
今度はラジオの人気ドクターにスキャンダル(2008/11/23)

最近のものでは例えば、↓
「製薬会社に踊らされて子どもの問題行動に薬飲ませ過ぎ」と英国の教育心理学者(2011/1/18)
ジェネリックを売らせないビッグ・ファーマの「あの手この手」が医療費に上乗せられていく(2011/11/15)

“オピオイド鎮痛剤問題”の裏側(米)(2012/10/20)
ファーマゲドン: オピオイド鎮痛剤問題のさらなる裏側(2013/1/4)

製薬会社資金に信頼性を失っていく治験データ……Avandiaスキャンダル(2012/11/30)


あと、この問題を一貫して調査し報道しているProPublicaのシリーズの一つがこちら。↓
(ここにも鎮痛剤関連のスキャンダルが出てきています)
ProPublicaが暴く「ビッグ・ファーマのプロモ医師軍団の実態」(2010/11/2)


ついでに追加で、

【骨減少症関連エントリー】
骨減少症も“作られた”病気?……WHOにも製薬会社との癒着?(2009/9/9)
更年期は、ビッグ・ファーマの提供でお送りしました……(2009/12/14)
ビッグ・ファーマが当てこむ8つの“でっちあげ病”(2010/4/17)

【米不整脈学会、高血圧学会を巡るスキャンダル関連エントリー】これもGrassley議員の調査で明らかに
学会が関連企業相手にショーバイする米国の医療界(2011/5/11)
1つの病院で141人に無用な心臓ステント、500人に入れた医師も(2011/5/15)
2013.06.07 / Top↑
以下のニュースによると、
以前よりPAS合法化に向けた動きが先鋭化しているカナダのケベック州では
来週にもケベック州政府の合法化法案が議会に提出される模様。

それを受けて、ケベックの医師ら500人ほどが連合を作り、反対声明を出している。

http://www.cbc.ca/news/canada/montreal/story/2013/06/05/montreal-dying-with-dignity-assisted-suicide-legislation-law-quebec.html

【ケベックのPAS合法化議論関連エントリー】
カナダ・ケベック州医師会が自殺幇助合法化を提言(2009/7/17)
スコットランド、加・ケベック州で自殺幇助について意見聴取(2010/9/8)
ケベックの意見聴取、自殺幇助合法化支持は3割のみ(2011/12/29)
ケベックの尊厳死委員会から24の提言:メディアは「PAS合法化を提言」と(2012/3/24)
ケベックの小児外科医「これほどの医療崩壊を放置してPAS合法化なんて、とんでもない」(2013/1/19)


メディアは騒がしくなりつつありますが、
その中で目を引かれた記事があったので、以下に。

WATCH: ALS quadriplegic says no to assisted suicide
CJAD 800 News, June 5, 2013


65歳の神学博士、Francis Humphreyは
ALSで全身まひとなり呼吸器を使用。

肺炎を起こした際に、医師から次のように言われ、
介護している妻と共に大きなショックを受けた。

Well, Frank, maybe you should consider that this is the end of the road for you.


フランク、この辺りで自分の生きてきた道も終わりだと考えてはどうなの。


Humphrey氏は残された時間を自宅で過ごすことを望んでおり、
夫婦は共に、合法化法案に反対する医師らの運動を支持している。

抵抗運動に参加している医師の一人 Dr. Paul Sabaは
法案が通ったら、医師にも家族にも患者を死なせる方向へ圧力がかかる、といい、

医師らの反対連合では
PASの前に在宅ケアと緩和ケアを充実すべきだと主張している。

           ―――――――――――


ちなみに、オーストラリア議会でも、
Ending Life with Dignity Bill 2013 が提出されて、
こちらでも医師らが反対運動を行っている。

http://www.lifesitenews.com/news/doctors-fight-to-kill-south-australian-euthanasia-bill/
2013.06.07 / Top↑
6月10日、尊厳死学習会 ~生きる時から死ぬまで障害者でいけないの!?~ 拓殖あづみさん、大塚孝司さん、川口有美子さん、堤愛子さん。東京都自立生活センター協議会主催。
http://tokyoilcenters.web.fc2.com/event_20130610.html

これは面白い必読情報。日本。中年夫婦212組 延命医療に対する意向が一致していたのは4割 配偶者による代理意思決定 患者本人の意向に沿わない可能性。
http://www6.plala.or.jp/brainx/2012-6.htm#20120630

豪のDr. DeathことDr. Nitschkeが、旅行会社に持ちかけてディグニタスへの自殺ツアーの売り出しを検討中だとか。
http://www.news.com.au/travel/news/swiss-clinic-the-final-destination-for-sick-australians-who-aim-to-end-it-all/story-e6frfq80-1226653204043

米でベビー・ブーマーの自殺が増加している。12:44のコメントの人が「この国の社会政策の『自分のことは自分でね』姿勢」「我々はもっと互いの面倒をみなければ。慈善によってではなく政策によって」:この流れがそのまま米国でのPAS合法化に合流・後押ししていく、と見た。
http://www.washingtonpost.com/local/baby-boomers-are-killing-themselves-at-an-alarming-rate-begging-question-why/2013/06/03/d98acc7a-c41f-11e2-8c3b-0b5e9247e8ca_story.html

Ezekiel EmanuelがNYTで、自殺防止にはボトルで薬を売るのを辞めて、一錠ずつプチプチして取り出さなければならないシート方式にすべし、と面白い提言を。
http://opinionator.blogs.nytimes.com/2013/06/02/a-simple-way-to-reduce-suicides/

生命維持の差し控えと中止を決めるのは患者の状態よりも、たまたま運ばれたICUの文化(2013/5/23)のエントリーのコメント欄でえりさんが教えてくださった看護師サイトのホスピス・ケア議論。記事のコメント欄も興味深い。
http://allnurses.com/general-nursing-discussion/thoughts-hospice-care-647851.html

モンサントの未承認遺伝子組み換え小麦がオレゴンで見つかった事件のニュースを拾っておく。いちばん上がWP(5月31日)の記事。冒頭のパラグラフは日本が小麦の輸入を中止したことで始まっている。次がWPでヨーロッパの反応。3つ目はモンサントの株価下落。それから後は日本語記事。「自然界の遺伝子汚染は止められない」も。こんなチョ―重大ニュースを、なぜ日本のメディアはきちんと報道しない? TPPヤバいという話になるから?
http://www.washingtonpost.com/business/economy/unapproved-genetically-modified-wheat-from-monsanto-found-in-oregon-field/2013/05/30/93fe7abe-c95e-11e2-8da7-d274bc611a47_story.html
http://www.washingtonpost.com/business/economy/european-union-urges-testing-of-us-wheat-imports-for-unapproved-strain/2013/05/31/eaaefcdc-c9fc-11e2-8da7-d274bc611a47_story.html
http://www.washingtonpost.com/business/economy/monsanto-shares-fall-as-south-korea-joins-pause-in-wheat-imports/2013/05/31/5df79a3a-ca2c-11e2-8da7-d274bc611a47_story.html?wpisrc=nl_cuzheads
http://mainichi.jp/select/news/20130531k0000m020054000c.html
http://commonpost.info/?p=68571
http://blog.knak.jp/2013/06/post-1260.html
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2947651/10843262
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201305310000/

ビル・ゲイツは世界の貧困層を養うにはグローバルなバイオテクノロジーによる農業改革が必須、と相変わらずのグリーン・レボリューション路線。
http://www.theland.com.au/news/agriculture/agribusiness/general-news/ag-research-vital-gates/2659315.aspx

アフリカに対する先進国の援助が、ちっともアフリカの長期的利益になっていない、と批判した本をビル・ゲイツが批判。著者のDr.Dambisa Moyo(ザンビア人。オックスフォードとケンブリッジで学位を取得した経済学者)が激怒。
http://www.spyghana.com/african-scholar-attacked-by-bill-gates/

問題の本はこれ ⇒ http://www.amazon.co.uk/Dead-Aid-working-another-Africa/dp/0141031182

翻訳も出ていた ⇒  http://www.amazon.co.jp/%E6%8F%B4%E5%8A%A9%E3%81%98%E3%82%83%E3%82%A2%E3%83%95%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%81%AF%E7%99%BA%E5%B1%95%E3%81%97%E3%81%AA%E3%81%84-%E3%83%80%E3%83%B3%E3%83%93%E3%82%B5%E3%83%BB%E3%83%A2%E3%83%A8/dp/4492211888/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1370435174&sr=8-1&keywords=%E3%83%A2%E3%83%A8

ビル・ゲイツがどれほどの金持ちかに関する10のキャハハな事実。「ビル・ゲイツが国家だったとすると、世界で37番目にお金持ちの国」。
http://www.policymic.com/articles/45397/10-ridiculous-facts-about-how-rich-bill-gates-is

マイケル・ダグラスが咽頭がん(だと思うだけど)になって、オーラル・セックスでHVPに感染したためだと言ったとか言わないとかで騒ぎになっている。:アンジェリーナ・ジョリーと言い、ハリウッドは「科学とテクノで簡単解決」利権の広告塔みたいな……。読みたいんだけど、たぶん読めない。
http://www.guardian.co.uk/film/2013/jun/02/michael-douglas-oral-sex-cancer
http://www.guardian.co.uk/film/2013/jun/02/michael-douglas-liberace-cancer-cunnilingus
http://www.guardian.co.uk/film/audio/2013/jun/03/michael-douglas-cancer-cunnilingus-transcript

母親が減量手術を受けると、子どもに肥満の遺伝子を引き継ぐことを防げるんだって。:アンタら、ええかげんにせーよ。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/261122.php

ロボット兵器の非人道性について国連が懸念、開発のモラトリアムを呼びかけ。
http://www.guardian.co.uk/science/2013/may/29/killer-robots-ban-un-warning

【関連エントリー】
英国王立協会が脳科学の軍事応用に警告(2012/2/8)


NYT。FBには女性蔑視のヘイト・スピーチがあふれているのに、それに対応しようとのFBの意識が低すぎる、という問題。
http://www.nytimes.com/2013/05/31/opinion/misogynist-speech-on-facebook.html?_r=0

遺伝子と学校での成績の相関。こういうのをマジに研究している人もいるのかぁ……と思ったら、多国籍の研究者チームだって。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/261255.php

日本。訪問介護先の老夫婦宅をチェーンで施錠 2事業所を営業停止処分:地域包括ケアシステムを誰かが「施設でのサービスを地域に展開する」と言っていたけど、あれがこういうこと? 施設での拘束文化を地域でも展開?
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130604-00000553-san-soci

日本。緩和マネーで右往左往 「米の思惑」市場は動揺「株高を演出してきた米国と日本の金融緩和だが、米国における緩和縮小の思惑をきっかけに売買が交錯。…(略)…巨額資金の流れの方向感が見えなくなっている」:だから演出されたバブルなんだってば。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130605-00000120-san-bus_all
2013.06.07 / Top↑
「レスパイト・ケアラー求む!」介護シェア週間

 英国のサウスウォーク在住のペドラー夫妻には子どもはいない。が、家には色とりどりのオモチャや絵本が入った大きな箱がある。夫婦は日頃はしまってあるそのオモチャ箱を、月に1度か2度、日曜日の朝になると出してくる。11時にやってきて一日を共に過ごす小さな女の子を迎えるためだ。障害のあるその子とコミュニケーションが取れるよう、パソコンには意思伝達のためのスイッチを繋ぐ。夫婦はボランティアのレスパイト・ケアラーなのである。

3月9日から16日はthe Shared Care Networkが主催するShare the Care Week(介護シェア週間)だった。The Shared Care Networkは1990年創設の全国チャリティ。毎年3月にShare the Care Weekでキャンペーンを行い、親のレスパイトのために障害のある子どものケアを1日か2日、主として週末に定期的に引き受けるボランティアを募っている。

自治体が提供するデイ・サービスだけでは、24時間介護を要する障害のある子どもたちの親は、なかなか十分な休息を取ることができない。そこで養子縁組を担当する部局を中心に自治体がFamily Linkプログラムを実施し、レスパイト・ケアラー(short-break carer)の登録、養成、研修、利用者とボランティアのマッチングなどの運営を行っている。

オックスフォードシャーでは現在、26人(組)のレスパイト・ケアラーが23家族の子どもを引き受けている。そのうちの1組、ベイツ夫妻は2009年からレスパイト・ケアラーをやっている。共に30代で2人の子どもがいる。特に理由はなく、ただ社会に何か還元できることをやりたいと思って始めたという。「親御さんが感謝してくれたり、お世話をする子どもさんたちから好い反応が返ってくると、こういうことをやっていてよかったなぁ、とすごく嬉しいですね」。

冒頭のペドラー夫妻はもうちょっと年配。レスパイト・ケアラーになった動機は、余暇を使って子どもと関わるボランティアをしたいと思いつつ、里子を引き受けるのはちょっと荷が重いと感じたことだった。しかし、こちらも責任の大きな役割であるため、登録には自治体の審査が必要で時間もかかる。ただ子育ての経験があることは必須条件ではないので、子どもがいないペドラー夫妻でもOK。登録すると、障害のある子どものケアについて、しっかり研修がある。マッチングは、登録している子どもたちについて自治体の担当者とボランティアの間で十分な相談をしながら、養子縁組と同じ手法で行われる。子どもの家族に紹介され、何度も訪問したり一緒に過ごしながら互いに知り合い、子どもがどういう生活を送っているか、好きなもの嫌いなものなどを聞いていく。

ペドラー夫妻はそうして2年前から幼い女の子のレスパイト・ケアラーになった。彼女がやってくると、まずはパソコンでゲームをするなどして、のんびり過ごす。お昼を食べて午後は、お天気が良ければ近所の公園に行き、車椅子のまま使えるブランコで遊んだり、他の子どもたちと一緒に遊んだりして楽しむ。近くの美術館の庭に魚を見に行くこともある。外出せず、本を読んだり音楽を聞いて過ごす週もある。

夕方お母さんが迎えに来ると、その日あった出来事を話し、お昼をどのくらい食べたかなどを記録したノートを渡す。撮った写真を見せたりあげたりもする。お母さんの方も、もう一人の子どもを映画に連れて行って楽しく過したことなどを話してくれる。そういうことを聞かせてもらうと、役に立てているな、家族に喜んでもらえているなと感じて、やりがいになる。女の子が帰っていくと、夫妻は後片付けをしながら、その日の出来事を振り返り、うまくいったこと、次にやってみたいことなどを語り合う。女の子の家族ともだんだんと信頼関係ができているので、できればそのうちに一泊で引き受けてもいいよと提案してみようかと考えている。

この仕組みは、親のレスパイトになるだけでなく、障害のある子どもたちが地域の人々と知り合い、つながるきっかけにもなる、とShare the Care Weekではボランティア参加を呼び掛けた。

介護者支援ラジオ

上記週間について検索していて偶然見つけたのが、Carers World Radio。ケアラ―に関連する時事問題に特化したラジオ番組だ。収録日時とテーマを予め告知し、ケアラーと支援関係者の参加を促している。これまでの番組10本の一部と、YouTubeを通じて聴ける1時間34分の最新番組は以下のサイトから。
http://www.carersworldradio.com/
「世界の介護と医療の情報を読む」
『介護保険情報』2013年5月号
2013.06.07 / Top↑
米国のAging Careという高齢者介護の支援組織が
高齢者の介護者らは医師による自殺幇助(PAS)合法化についてどう考えているのか
調査を行ったところ、

・5月の調査に参加したのは老親または家族を介護している1200人以上の介護者。

・PASを合法化すべきと考えているのは 65%。反対は 35%。

・PAS支持の51%は、その時には介護している家族が薬を飲む時にはその場にいる、と回答。
 16%は薬を飲ませることによって自分も参加する、と。

・もしも立場が逆で、自分が介護される方だったら、との問いには63%以上がPASを求める、と回答。
 そのうち72%の人が、その場合には家族も自分の決定を支持してくれるだろう、と回答。

・立場が逆だったとしたら自分はPASを選択肢の一つとして求めない、と回答したのは37%。
 そのうちの78%が道徳的または宗教的な理由を挙げた。


NPRが12年に行った世論調査では
PAS合法化を支持したのは55%だったので、

今回の調査になった介護者は高齢者の終末期の苦しみを目の当たりにしていることが
支持率が高い要因だと、Aging Care では分析。

もっとも、Aging Care のHPでの意見交換フォーラムでも、
この問題に関する議論は真っ二つに分かれている。

ちなみに、この記事によると
現在米国の7州でPAS合法化に関連した法案が審議されているとのこと。

More Than 65% of Family Caregivers Support the Legalization of Physician-Assisted Suicide
PR Newswire, June 5, 2013


気になるのは、
「致死薬をadministerして自分も参加する」という回答は
「自殺幇助」の概念とか既存の法律が理解できていないとしか思えないし、

また記事の冒頭では
終末期で回復の見込みがない人のみを対象にした調査のように書かれていながら、
読み進んでいくにつれて、「終末期のstruggle」という表現が出てきたり、
「終末期」が非常に広く捉えられているという印象もあったり。

この辺りはAging Careのサイトで元情報を読んだ方が良いかもしれないけれど、
当面ちょっと余裕がなさそうです。


それにしても、ショッキングな調査。

結果もショッキングだけど、
こういう調査を介護者支援団体がすることそのものが――。
2013.06.07 / Top↑
いつもお世話になっているBioEdgeのニュース・レターで
Michael Cookがとてもよい論考を書いている。

インドの貧しい靴職人Abdul Rahimが
サラセミアという貧血のある3人の息子(9歳、14歳、16歳)の
治療費を出してやれないので、3人を安楽死させる許可を裁判所に求めた、
というニュースを受けて、

Cookは
こうしたニュースがインドからは繰り返し報道されており、
安楽死が合法化されていないインドではそのつど司法は要望を却下していることに触れ、

こうした事例を
病気の息子の苦しみを見かねて親が安楽死を希望するという文脈で解釈してはならない、
これらは十分に熟考した上での患者の自律や自己決定ではなく、
息子には生きてほしいのに、それ以外にどうしてやることもできなくなった親の
絶望からの叫びなのだ、と。

そして、以下のように書いている。

Similarly, in our societies the demand for euthanasia seems strongest where the social fabric is weakest. Care is expensive, time-consuming and exhausting. But the real solution is not euthanasia, but more support, both financial and social. If we were to legalise euthanasia, the poor and the isolated would eventually be the ones who take most advantage of it.

同様に、我々の社会でも、社会機構が最も脆弱なところで安楽死を求める声は最も大きい。
医療も介護もお金と時間がかかり、周囲を消耗させる。

しかし真の解決は安楽死ではなく、
財政的・社会的な支援をもっと整備することだ。

もし我々が安楽死を合法化すれば、
結局は安楽死をもっとも利用するのは、最も貧しく、最も孤立させられた人々ということになる。


私はちゃんと読めていませんが、インドの父親に関する元記事はこちら ↓
http://www.hindustantimes.com/India-news/Guwahati/Father-seeks-euthanasia-for-3-sons/Article1-1068077.aspx

【関連エントリー】
父親が知的障害のある3人の息子の慈悲殺を希望(インド)(2009/2/16)
2013.06.07 / Top↑
30日に、気になるニュースに遭遇。

米西部の農場で無認可の遺伝子組み換え小麦
読売新聞 5月30日


これ、目立たないニュースですが、
実はものすごく深刻な事態を知らせていると思う。

ただ、今しばし英語で詳細を調べてみる余裕がないし、
日本の新聞記事はすぐに消えるので、とりあえず以下にコピペしておく。

 【ワシントン=中島達雄】米農務省は29日、米西部オレゴン州の農場から、無認可の遺伝子組み換え小麦が見つかったと発表した。

 この品種は米モンサント社が1998年から2005年にかけ、同州など16州で試験栽培していた。米食品医薬品局(FDA)が04年に安全性を確認しており、食べても問題はないが、同省はこの小麦がどこから来たのかを調べる。

 モンサント社は「農務省の調査に全面的に協力する」との声明を出した。同社はこの品種には商業的な魅力がないとみて、試験栽培だけで開発を中止。栽培や販売は認可されていない。

 オレゴン州の農家が農薬を散布した農場に小麦が生えているのを見つけ、4月末に地元のオレゴン州立大に検査を依頼、遺伝子組み換え小麦と判明した。農務省も独自の調査で、モンサント社の遺伝子組み換え品種と確認した。


田中宇が今日、この問題について
遺伝子組み換えの政治懸念という文章を出している。

田中氏の文章の趣旨からすれば前提説明のところに過ぎないけど、
以下のように書かれている。

遺伝子組み替え品は、食品としての安全性が確立していない。事実上、全人類を対象に人体実験の最中といえる。モンサントや、その息のかかった「専門家」や 政府筋の人々は「安全だ」と言うが、その宣言は、モンサントのロビー活動の結果であるという疑いをぬぐえない(除草剤抵抗小麦は、枯れないというだけで、 除草剤をたっぷりかけられている。殺虫剤をかけても死なないゴキブリを粉にして焼いたクッキーを食べるイメージだ)。最近、欧米をはじめとする世界の52 カ国436都市で、モンサントの遺伝子組み替え種子の使用に反対する市民団体のデモや集会が開かれている。特に欧州人が強く反対している。
(ゴチックはspitzibara)


当ブログでモンサントについて情報を集めてあるのは、こちらのエントリーで、
上の文章のゴチック部分がまさに「同じ構図」と思えるところ ↓

「アグリビジネス」の後ろにはワクチン推進と同じ構図が見える(2011/10/5)


またモンサントについて、
とても詳しく分かりやすい日本語の記事を書いてくださっている方のブログがこちらの ↓
モンサント社は何をしようとしているのか
yamachanblog, 2011.06.22

田中康夫もブログでモンサントのあくどいショーバイについて書いている。
http://ch.nicovideo.jp/yassy/blomaga/ar108115




【その他、関連エントリー】
ゲイツ財団がインドで目論んでいるのはワクチン普及だけでなくGM農業改革も(2011/4/16)
“大型ハイテクGM強欲ひとでなし農業”を巡る、ゲイツ財団、モンサント、米国政府、AGRAの繋がり(2011/10/27)
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2012年9月17日の補遺(the African Green Revolution Forumでアナン、ゲイツ夫妻が基調講演)
2013年2月18日の補遺(ゲイツとスリム、GM種子開発に2500万ドル)
2013.06.07 / Top↑