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オバマ大統領が作った医療制度改革法 the Affordable Care Act(ACA)に対する
最高裁の判決と次の大統領選挙の行方が注視される中、

Health Affairs誌に発表された
Urban Institute研究者らの大規模な調査によって、

2000年から2010年の10年間に
メディケイドとs-CHIPの拡充により子どもの医療アクセスは改善されてきたものの

ACAの主たる対象である19歳から64歳の成人では
歯科を含め、医療を受けることができない米国人が激増している実態が明らかに。

費用を理由に必要な治療を受けていない65歳未満の米国人は
2000年には8人に1人だったが、2010年には5人に1人に。

ACAの下では2014年からスタートして医療保険が3000万人に拡大されるが

医療費の自己負担分が上がっているために
個人で医療保険に加盟している人の中にも受診を控える人が増えてきていること、

メディケアの患者を診る医師が減っていること
歯科受診へのメディケア給付の判断が州に任されていること、などを考えると、

同法によってアクセス問題がすべて解決はできないだろうが、
しかし基本的には保険のある人の方が無保険の人よりもアクセスは良く、
同法が撤回されたり縮小されることになれば、
すべての成人において事態はさらに悪化する、と結論

元論文はこちら ↓
http://content.healthaffairs.org/content/31/5/899.abstract


また、別の分析では、
米国の4人家族世帯の医療費は2002年以降、倍増しているとのデータもあり、

地域によっては医療費よりも医師不足が要因となっている場合も。

また手早く稼ぎを増やしたい医師らが
慢性病患者の定期診断など、回転の良い患者の予約をなるべく入れたがっている傾向もあり、

貧困で無保険の成人患者は医療費の支払いの問題だけでなく
診てくれる医師を探すのにも苦労する事態となっている。

無保険の成人のうち費用を理由にすぐに受診できなかった人は2000年には25%だったが、
2010年には4100万人のうち3分の1に増加。

治療を必要としているのに受けられていない人も2000年の33%から
2010年には約半数に増加した。

地域の医療センターにこの10年間、連邦政府の予算が注がれているにもかかわらず、
家庭医や地域の医療センターといった「かかりつけの医療機関」がある無保険者は
2010年には38%で、2000年の44%を下回った。

メディケイドなど、公的な医療保険プログラムに登録している成人でも
必要があるのに受診していないと答えた人が2010年に26%もおり、
2000年の20%から増加。

費用以外の理由で受診を先延ばしにした経験がある人も2010年には19%で
2000年の14%を上回った。

歯科受診の必要がありながら受診していない人は2010年には4人に1人。
2000年には15%だった。

専門家は
メディケイドの患者を診る医療提供者が少なすぎること、
歯科医療をメディケアの対象外とする州が増えてきていることなどを
その要因として挙げる。

米国の医療費の総額はこの10年で倍増しているというのに
多くの米国人は治療を受けられないでいるのが実態、と専門家。

Health Care Increasingly Out of Reach For Millions Of Americans
Kaiser Health News, May 7 2012


【関連エントリー】
「なぜ大国アメリカで?」と医師が憤る無保険者の実態(2008/11/11)

上記の記事を別記事のショッキングな写真と一緒に再掲したものが以下。
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/54711663.html

子どもたちに経済不況の影響、深刻(米国)(2009/4/23)
自己決定と選択の自由は米国の国民性DNA?(2009/9/8)
2012.05.31 / Top↑
来年、自殺幇助合法化に向けた住民投票を実現しようとの
キャンペーンが着々と進むマサチューセッツ州で、
それに抗う運動をしている団体のサイトに、

住民投票によって尊厳死法を作ったワシントン州に住む
高齢者施設の経営者がBoston Globe紙に投稿した書簡が転載されている。

全文を以下に。


編集長さま

妻と私は自殺幇助が合法となったワシントン州で高齢者介護施設を運営しており、読者のみなさんに住民投票では反対されるようお薦めするべくお便りしております。

ワシントン州の尊厳死法は08年11月の住民投票で決まりました。その投票の4日後、私たちの施設のクライアントの一人の、すでに成人した子どもさんから「あの薬」を手に入れたいとの相談がありました。父親を殺すために手に入れたいというのです。その方の父上ご自身が死にたいと望まれていたという話ではありません。

尊厳死法ができて以降、医療職の中には最初から治療など考えず、さっさとモルヒネを持ちだして緩和ケアを始める方が目につくようになっています。時には、クライエント本人にも代理人である家族にも言わずに、独断でそういうことをやられる医療職もあります。

またQOLが低すぎるから高齢者は治療しないと一律に切り捨ててしまう医療職も見てきました。かつては、たいていの医療職が高齢者のケアに喜びを感じ、クライエントもまたそれに喜びと敬意で応えていたものでしたのに。

いつの日か、私たちも老います。その時に、私自身は治療しケアしてほしいし、自分の選択を尊重してもらいたいと思います。このような事態の推移に私は心を痛めており、そちらの皆さんが自殺幇助の合法化を止められるものなら、と願っております。

Juan Carlos Benedetto


Benedetto Letter to Boston Glove
Mass. Against Assisted Suicide, May 26, 2012
2012.05.31 / Top↑
WHOの試算によると
闇での腎臓売買は年間10000件にのぼり、
1時間に1個が売買されている計算に。

世界中で糖尿病、高血圧、心臓病が増加していることなどを背景に、
移植用腎臓の需要は常に供給数を上回っていることから
中国、インド、パキスタンへ行って腎臓を買う患者が増えており、
患者が支払うのは最高20万ドルだけれど、
弱者である売る側が手にするのはせいぜい5000ドルだとか。

先週イスラエルの警察が闇売買で10人を逮捕した事件では
国際的な臓器売買組織の存在と、それに加担する医師の存在が明らかになったが
同様の組織はインドとパキスタンにも。

Guardianは
「腎臓を売ってiPadを手に入れよう」というキャッチで
腎臓一つで2500ドル、手術は10日以内にできます、と
商売している中国のブローカーと接触したという。

WHOの関係者によると、
2006年から07年にかけて移植ツーリズムはいったん下火になったが、
受容の増加と利益の大きさから、またぞろ違法な臓器売買が増えているのでは、と。

国によって警察の取り締まりや法規制の緩さも影響している。

世界中の違法な臓器売買の75%が腎臓。

中国では営利目的の臓器移植は法で禁じられてやれないはずなのだけれど、
ここ2,3年の間にまた増えてきており、中東、アジア、時にヨーロッパからも
10万から20万ドルを払って患者が移植にやってくる。

中国陸軍病院の中に移植を手掛けているものがあると見られている。

(この情報は以下の新疆プロトコルのエントリー情報に通じている ↓
政治犯から生きたまま臓器を摘出する「新疆プロトコル」(2011/12/13))

中国政府はこうした移植を違法とし
死刑囚からの臓器摘出も2017年までに取りやめにすると約束したばかり。

移植ツーリズムのメッカの一つ、フィリピンでも
イスタンブール宣言以降に法律改正が行われたとはいえ、
売買は今なお続いているばかりか増加すらしている。

Leicester大学病院 NHS トラストのJim Feehally腎臓病科教授は
売買で利益を得ているのはカネ持ちのレシピエントと医師、病院経営者、それに
仲介者やブローカーで、貧しい弱者が搾取されている、
この状況は道徳的に問題である、と。

WHOの関係者は各国に向け、
死者、生者からの臓器提供件数を増やし、
糖尿病など予防のための健康的なライフスタイルを推進することを呼び掛けている。

Illegal kidney trade booms as new organ is ‘sold every hour’(2012/5/27)


【関連エントリー】
バイオ企業と結託した葬儀屋が遺体から組織を採り放題(2009/7/30)
被災地に“救助”ではなく“臓器狩り”に人が駆けつける“腎臓バザール”パキスタン(2009/7/31)
医療のネオリベ“医療ツーリズム”(2009/8/3)

イスラエルの貧困層から米国の富裕層へ、腎臓を闇売買(2011/10/29)
ウクライナで広がる闇の臓器売買(2011/10/29)
エジプトでアフリカ難民から生きたまま臓器を採って闇売買(2011/11/7)

【中国の死刑囚からの摘出問題】
A・Caplanが、死刑囚の臓器に依存する中国の移植医療ボイコットを呼びかけ(前)(2011/10/12)
A・Caplanが、死刑囚の臓器に依存する中国の移植医療ボイコットを呼びかけ(後)(2011/10/12)
「囚人を臓器ドナーに」は実施面からも倫理面からもダメ、とCaplan論文(2011/10/14)
2012.05.31 / Top↑
重症児の母親が医療系サイトに5年前の“アシュリー療法”論争について記事を投稿して、自分自身はやらないが利益があるのだからやろうと決断する親は責めるべきではない、と。:いかにも今さらだし、いかにも唐突。
http://healthmad.com/children/child-sterilization-and-growth-attenuation-human-rights-violation/

カナダの無益な治療訴訟 Rasouli事件の続報。Betancourt訴訟が避けた「決めるのは誰か」の明確な指針をカナダ最高裁は出すのでは、とGlobe & Mail。判決は12月の予定。
http://medicalfutility.blogspot.jp/2012/05/rasouli-going-where-betancourt-refused.html
http://www.theglobeandmail.com/news/opinions/editorials/the-supreme-court-is-right-to-hear-life-support-case/article2441604/

テキサスの無益な治療法の利用実態に関しては実はデーターがないんだとか。そこでテキサスの病院協会が各病院の倫理委を対象に調査を始めた。
http://www.tha.org/HealthCareProviders/AboutTHA/Publications/HealthCareAdvocate/MayCEC0BC/AdvanceDirectivesSu0992.asp

英国でまた著名作家が自殺幇助合法化支持を表明。PD Jamesさん。
http://www.telegraph.co.uk/culture/9291945/PD-James-I-would-help-a-loved-one-die.html

インドの著名映画監督Srijitの最新作は“ヘムロック・ソサエティ”。ヘムロック・ソサエティとは、現在のC&Cの前身。
http://articles.timesofindia.indiatimes.com/2012-05-24/news-interviews/31839928_1_suicide-hemlock-society-new-film

米国で低所得の高齢者と障害者をナーシング・ホームから地域に戻す取り組みが、予算をつけたにもかかわらず目的達成に至っていない。
http://www.mcclatchydc.com/2012/05/24/150049/feds-struggle-with-getting-elderly.html

米国で遺伝子組み換え技術を使った食品の表示の必要性を巡るバトルが激化している。:ワクチン忌避の構造と同じ気がする。共通点は確かに多い。科学や技術への不信というより、グローバル経済の利権構造への不信と捉えないと問題を見誤るという気がする。
http://www.nytimes.com/2012/05/25/science/dispute-over-labeling-of-genetically-modified-food.html?_r=2&nl=todaysheadlines&emc=edit_th_20120525

ビル・ゲイツが「動物を食用にするのは、高価だし健康にも悪いし残酷だし地球環境にも良くないので、科学とイノべーションで植物性の代用物を作ろう」と、ゲイツ財団が進めるGM農業改革に沿って提言。
http://www.ecorazzi.com/2012/05/22/bill-gates-on-why-eating-plants-is-good-for-the-world/

東南アジアとアフリカのサブ・サハラ地域に出回っているマラリアの治療薬の42%がニセ薬だったり品質の悪いものだったり、とのデータ。:途上国への医療支援、特に製薬会社の利益に結びつく領域がゼニになる、というトレンドの中で、実際に何が起こっているかが国際社会から見えにくい途上国でこういうことが起こるのはある意味で必然なんでは? 途上国への医療支援を訴えてはビッグファーマの株主として利益を得ている慈善資本主義の帝王たちが、その現実を知らないわけではないだろうに。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/245714.php

Savulescuが今度は、「人類の進化に伴い離婚率の上昇は避けられないので、そこは愛情ピルで問題解決を図り、みんなが結婚して子どもを作って子育てにいそしむ社会を維持しよう」と。
http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/10075

自己意識と共感に関与する脳細胞がサルで分かったんだそうな。:こういう研究はさきざき、道徳ピルとか愛情ピルと繋がって行くんだろうし。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/245681.php

スマート・ドラッグは依存性があり、社会から使用に向けたプレッシャーもかかるので非倫理的だとドイツの生命倫理学者。
http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/10084

ペンシルベニア大学生命倫理センターのArt Caplanが7月1日付けでNY大学の医療倫理のディレクターに。
http://www.newsworks.org/index.php/health-science/item/38545-art-caplan-reflects-on-a-career-in-bioethics-while-leaving-for-nyu&Itemid=3

英国の若い女性10人に4人に公共の場でセクシャル・ハラスメントを受けた経験。
http://www.guardian.co.uk/lifeandstyle/2012/may/25/four-10-women-sexually-harassed?CMP=EMCNEWEML1355

南米各国のソーシャル・インクルージョンを測る指標がAmerican Quarterlyから発表され、Government Responsivenessの点で米国はグァテマラに匹敵。
http://www.americasquarterly.org/images/images_spring2012-charticle/Spring_2012_Charticle.pdf

中所得国の認知症の患者数は、これまで思われていた2倍で、国所得国と発症率は変わらないことが明らかに。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/245760.php
2012.05.27 / Top↑
先週、この4月からミュウを担当してくださっている作業療法士さんから連絡があった。

年頃の女性なので、個別OTの時間に
化粧水をつけたり、ハンドクリームを塗って手をマッサージしたり、というのを
やってみたいがどうだろうか、

合う・合わないがあるものなので、もしもやってよければ、
そちらで用意していただけないか、

ハンドクリームはちょっと香りのついたものにしてもらえると
マッサージしながら、よりリラックス効果があるのではなかろうか、
ということだった。

ミュウは20歳の誕生日に、母の友人から
ファンデーションとピンクの口紅をプレゼントしてもらったのだけれど、
お出かけの際にさっそく使ってみたところ、もともと肌が弱いところに持ってきて
じゃぶじゃぶ洗顔できない彼女は拭いて落とすことしかできず、
ファンデーションにひどくかぶれてしまった。

その体験に親の方が臆してしまって、
そういえば、いつのまにか、お風呂上りにもヒルドイド保湿軟膏……。
確かに色気もへったくれもないよなぁ。

若いOTさんの提案が嬉しくて、
一応、肌が弱いことをお伝えすると共に
さっそくこの週末に本人と買いに行きます! とお返事した。

化粧水とハンドクリームなら近所の薬局でも用は済むのだけれど、そこは、やっぱり
ミュウにとっても楽しい「お化粧選び」のショッピングに盛り上げてやりたい。

そこで今日のお出かけは、日頃のTシャツ姿をやめて、
一昨年の夏にブティックで買った黄色のチュニックと、その下に
買ってまだ一度も袖を通していない大人っぽい白シャツで、バシッと決めた。

元の職員さんが成人のお祝いに手作りしてくれた
きれいな赤いネックレスもかけて。

横になっていることが多いため、常にてんで好き勝手な方角にバクハツしている髪の毛も、
丁寧に髪の付け根をまんべんなく湿らせて、車では帽子をかぶっておいたら
ショッピング・モールに着くころには、なんとか平和な頭になった。

「ミュウの化粧水を買うんだよ」と昨夜から何度も言われているから
いつもは買い物嫌いのミュウもまんざらでもない様子だった。

お店に入って、応対に出てきてくれた店員さんに
「この人の化粧水なんですけど……」と言って振りむいたら、
車いすのテーブルの上で自分の財布をしっかり握ったミュウは、
そう何度も見せたことのない緊張した顔になっていた。

そうだよね。
自分で自分の化粧品を買う、あんたの初体験なんだものね。

ありがたいことに超敏感肌用の化粧水というのがちゃんとあった。
ちょっとボトルが大きいのが気になったけど、ミュウがそれにするというので購入。

ハンドクリームは、何種類か出してもらった中に
バラの香りがするというヤツがあり(キャップもバラの形!)、
ミュウが気に入ったので、それに決めて、

ついでにボディ・ローションやリップクリームも物色。

そういうお店で(といってもDHCなんだけど)
そういうオネエサンに、そういうものをいくつも目の前に並べられて
手につけてみたり、匂いを嗅いでみたり、という体験は新鮮だった様子。

その後、そういうものを入れる小さめのバッグを求めてモール中をウロウロする。

なかなかピンと来るものがなく、ミュウも首を振り続けたのだけれど、
最後に入ったお店でキプリングのバッグを見ると、
即座に目を輝かせて大口を開けた。

やっぱり親子かしらね。キプリングは母が大好きなバッグ。
お母さんとお揃いになるね。しかも、ここ40%オフじゃん!

OTの時間の化粧品を入れるバッグにするにゃ、ちと高いけど、
な~に、あんたが気に入ったなら買ってしまいんさい。
今日は、女のオトナ買いよ。

レジに向かう途中で財布を握らせると、
白手袋をしたレジのお姉さんに、ミュウがまたちょっと緊張する。

「おかあさんといっしょ」DVDを買うのに何度もこのシチュエーションは経験しているのに、
そういうのとは、やっぱり勝手が違うらしい。
大丈夫よ。お母さんが一緒にやってあげるから。

無事に支払いを済ませ、ミュウは車いすのテーブルの上に
DHCのビニール袋とExellの紙袋とを大事に抱えて車に戻った。


夕方お風呂から上がって、ためしに化粧水をコットンでつけてみる。
さすが超敏感肌用だけあって、ぜんぜん大丈夫だった。

やっぱヒルドイド軟膏のべたべた感より、このしっとり感はいいね。
ボトルもちょっとオシャレだしね。

買ったばかりのバッグを開くと、
ミュウは気まじめな顔で化粧水のボトルに手を伸ばした。

化粧水と、バラの香りのハンドクリームと、
口紅みたいなリップクリーム、
コットンを入れた小さなポーチを、
一つずつ、自分で入れる。

それから、どこかの景品でもらってきたピンクの手鏡と
どこかのホテルで母がもらってきたレディスセットの中から、髪止めと、
パステルカラーのコットンボールやら、あぶら取り紙やらを、
ガサガサと家中から探してきては、バッグのポケットに詰め込んだ。

最後に、キプリングのゴリラの隣に、
裏にミュウと名前を掘った革製ウサギのマスコットを父がぶら下げて、
(これは養護学校時代に使っていた通学カバンから外してきた)
今日のイベントは終了。

そんなオトナの女の一日に疲れたウチの愛しい娘は、
さっき「世界で一番受けたい授業」の途中でいつの間にか眠りこけてしまい
父親に「あんた、もうちゃんと寝んさい」と優しい声をかけられて、
眠ったままテレ笑いを浮かべ「ふわぁ」と答えておりました。
2012.05.27 / Top↑
現代思想6月号 尊厳死は誰のものか 終末期医療のリアル
5月28日発売


特集の内容は以下。

特集=尊厳死は誰のものか 終末期医療のリアル
【討議 Ⅰ】
生きのびるための、女子会 / 川口有美子+大野更紗
【当事者】
生きよ。生きよ。 在宅人工呼吸療法の黎明期を生きた男の遺言 / 長岡紘司 [解題=川口有美子]
死に向けた 「自己決定権」 の異様さにおののくこと
 尊厳ある生をすべての人に保障する社会を求めて / 山本眞理
【エッセイ】
看取りの医療とは・・・・・・ / 町亞聖
尊厳死法の危険な可能性 / 山田真
【討議 Ⅱ】
尊厳死法制化をめぐる係争点
 日本尊厳死協会×全国遷延性意識障害者・家族の会 / 井形昭弘+桑山雄次
【臨床から】
尊厳死論を超える 緩和ケア、難病ケアの視座 / 中島孝
「在宅で看取る」 とはどういうことか 訪問診療の現場から / 佐々木淳
福島の医療現場から見えてきたもの / 小鷹昌明
【討議 Ⅲ】
尊厳死法における生権力の作動 / 小松美彦+市野川容孝
【死/終末期をめぐる政治経済】
死に場所を探して / 小泉義之
胃ろうの一〇年 ガイドライン体制のもとグレーゾーンで処理する尊厳死システム / 天田城介
「ポスト・ヒポクラテス医療」 が向かう先
 カトリーナ “安楽死” 事件・“死の自己決定権”・“無益な治療” 論に “時代の力動” を探る / 児玉真美
【生/死の 「選択」】
犠牲を期待される者 「死を掛け金に求められる承認」 という隘路 / 大谷いづみ
生と死の 〈情念的語り〉 についての覚書 / 荒井裕樹
意識障害における尊厳死で何が問われるか その予備的議論 / 戸田聡一郎
【医療×司法】
灰色の領域で太るもの 終末期医療と刑事介入の一〇年 / 岡本とをら



どう考えても、執筆者のうちで私だけが場違いな感じですが、

このブログで07年から追いかけてきた内容のうち、
「アシュリー事件 メディカル・コントロールと新・優生思想」にはあまり盛り込めなかった、
ブログの書庫でいうと「尊厳死」「無益な治療」のあたりのことを
カトリーナでの安楽死事件を中心に書かせてもらいました。

よかったら読んでいただけると嬉しいです。


【関連エントリー】
ハリケーン・カトリーナ:メモリアル病院での“安楽死”事件 1/5: 概要(2010/10/25)
ハリケーン・カトリーナ:メモリアル病院での“安楽死”事件 2/5: Day 1 とDay 2(2010/10/25)
ハリケーン・カトリーナ:メモリアル病院での“安楽死”事件 3/5 : Day 3(2010/10/25)
ハリケーン・カトリーナ:メモリアル病院での“安楽死”事件 4/5 : Day 4(2010/10/25)
ハリケーン・カトリーナ:メモリアル病院での“安楽死”事件 5/5 : その後・考察(2010/10/25)
2012.05.27 / Top↑
南アフリカで自殺幇助合法化に向けて活動家が運動を始める。:誰かと思ったら、Sean Davisonと言えば、06年にNZ在住の母親の自殺を幇助したとして、NZで有罪判決を受け(といっても自宅謹慎程度だった)、この前、自宅謹慎がとけたばかりの科学者さん。帰国するなり、合法化ロビーとして活動を始めた、ということですね。組織としては、Ethics South Africa と Dignity South Africa.
http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/10071#comments

介護者アセスメントが法制化されている英国で、でも自閉症児・者のケアラーのニーズには自治体がきちんとアセスメント対応していない、と抗議。
http://www.guardian.co.uk/society/2012/may/21/councils-failing-carers-autism-survey?newsfeed=true

アイルランドのヤング・ケアラー、28000人。女児だけでなく、6歳からMSの母親のケアをしている10歳男児も。
http://www.independent.ie/lifestyle/young-carers-the-stats-3113163.html

ProPublicaがFacebookで医療過誤の被害者フォーラムを立ち上げ。
http://www.propublica.org/article/introducing-the-propublica-patient-harm-community-on-facebook

カナダで、世界初の幹細胞薬を認可。Osiris Therapeutics Inc. から。骨髄移植後に起こるGvHDという症状の治療薬として。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/245618.php

NYTのエディトリアルも、アルツハイマー病のリスクが高い人が飲むと、症状が出る前に予防になる薬の治験を取り上げている。
A New Attack on Alzheimer’s:A bold research program will test whether a drug can prevent the onset of Alzheimer’s disease well before any symptoms appear.

女性の更年期障害の治療法として大人気だったホルモン補充療法に発がん性が指摘されたのが2002年。その後、療法を受ける女性が激減し、乳がんの件数も減ったが、10年の節目に改めて同療法の効果とリスクが検証され、比較的若い層では利益がリスクを上回る、との結論。
http://www.washingtonpost.com/blogs/the-checkup/post/hormone-replacement-therapy-10-years-after-claims-of-a-cancer-link/2012/05/21/gIQAx8RMgU_blog.html?wpisrc=nl_cuzheads

前立腺がんの血液検査は利益よりもリスクの方が大きいと、米国政府のタスクフォースが指摘。
http://www.washingtonpost.com/national/health-science/government-task-force-discourages-routine-testing-for-prostate-cancer/2012/05/21/gIQAhFMFgU_story.html?wpisrc=nl_cuzheads

英国NHSでIVF給付年齢を42歳まで引きあげ。
http://www.guardian.co.uk/society/2012/may/22/ivf-nhs-age-42-fertility?CMP=EMCNEWEML1355

生殖ツーリズムのメッカ、インドで、2人の我が子を養うために米国人女性の代理母となったPremila Vaghelaさん(30)が定期健診に訪れた際にけいれんを起こして倒れ、緊急帝王切開が行われるも、死亡。
http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/10062#comments

女性が襲われる事件が増えているインドで、富裕層の女性が銃を携帯し始めている。
http://www.guardian.co.uk/world/2012/may/21/indian-women-take-up-firearms?CMP=EMCNEWEML13
2012.05.27 / Top↑
最終第8章の内容の大まかのところは、
以下のエントリーにある通り。

Ouellette「生命倫理と障害」概要(2011/8/17)

「うわわわっ! 」というほど驚いたのは、

あんなに「女性器切除と同じくらいの慎重なセーフガードを」と
09年の論文では徹底的に批判していたウ―レットが、なんとなんと、

アシュリー事件でのシアトルこども病院が組織したWGの検討と提言を
障害に配慮した生命倫理の手続きのモデルにしろ、なんて
言いだしちゃっていること。

どどどーしたの?

どうやら、
WGに障害学の学者が入っていて、
セーフガードにもインフォームドコンセントやら手続きがちゃんと盛り込まれていて、
その歩み寄りと丁寧な検討と障害学からの提言を盛り込んだ姿勢がよい、ということみたい。

そう言えばBill Peaceも、
WGの論文が出た時にブログでそんなことを書いていた。

私は、Peaceはへースティング・センターに弱いからなぁ、と思っていたんだけど、
Ouelletteよ、おまえもか……と、がっくり。

私の独断的な推理では、
やっぱり生命倫理学そのものが、基本的にプロセス重視だから、というのが1点。

もう1点は、アシュリー事件はやっぱり複雑すぎる。コワすぎる。

それから、やっぱりOuelletteさんは、ナイーブ過ぎる。

その証拠に、
3月に出てきた“アシュリー療法”の新規12ケースのうち、
WG論文でウ―レットが誉めているセーフガードが採用されたケースがどれだけあったと?

多くは担当医の独断で決まっていたようだったけど?????


【「生命倫理と障害」】

Alicia Ouelletteの新刊「生命倫理と障害:障害者に配慮ある生命倫理を目指して」(2011/6/22)
Ouellette「生命倫理と障害」概要(2011/8/17)

エリザベス・ブーヴィア事件: Quellette「生命倫理と障害」から(2011/8/9)

幼児期
Sidney Miller事件: 障害新生児の救命と親の選択権(2011/8/16)
Ouelletteの「生命倫理と障害」:G事件と“無益な治療”論について(2011/12/17)ここから3本。

児童期
Ouellette「生命倫理と障害」:人工内耳と“Ashley療法”について(2011/12/19)ここから2本。

生殖期
Ouellette「生命倫理と障害」第5章:「アリソン・ラッパーの像」(2012/1/17)ここから3本。

成年期
Ouellette「生命倫理と障害」第6章 成年期: Maryのケース(2012/3/31)
Ouellette「生命倫理と障害」第6章 成年期:Larry McAfeeのケース(2012/3/31)
Ouellette「生命倫理と障害」第6章: Scot Matthewsのケース(2012/3/31)

終末期
Ouellette「生命倫理と障害」第7章: 人生の終わり(2012/5/18)


【今年3月に公になった“アシュリー療法”実施事例について】
論争から5年、アシュリー父ついに動く(2012/3/16)
「アシュリー療法」やった6ケースのうち、2人は養子(2012/3/16)
広がる“Ashley療法”、続報をとりあえずピックアップ(2010/3/17)
“Ashley療法” Tomのケース(2012/3/28)
“Ashley療法”Ericaのケース(2012/3/28)
成長抑制をやったEricaの母親の意識について(2012/3/30)
2012.05.27 / Top↑
Alicia Ouellette“Bioethics and Disability”最終の2章を読んだ。
読み始めたのが去年の夏だから、ほぼ1年かけて読んだことになる。
ほとんど内容を覚えていないはずだわ。エントリーにしておいて、よかった。
(これまでのエントリーは、次のエントリーの末尾にリンクします)

以下、書いておかないと週明けには忘れていそうなので
ごくごく簡単にメモ。

第7章は「人生の終わり」

障害者の終末期医療を巡る判断の倫理問題がテーマ。

取り上げられているのは
当ブログでも何度か触れているTerri Shiavo事件と、Sheila Pouliot事件。

後者はあまり広く議論になったものではなく、
恐らく、Ouellette自身が検察サイドで関わり、
この本の冒頭、障害者と生命倫理の溝に気付いたきっかけとなった事件として
触れられているものではないかと思うけど、そう断ってあるわけではない。

前者は健常者の女性が心臓発作から植物状態と診断され、
生命維持中止を求める夫と、継続を求める両親が対立して、訴訟へ。
政治が介入する騒ぎにまで論争が発展した有名なケース。

事前指示書のようなものはなく、
元気な頃のエピソードからの本人意思の確認が大きな論点となった。

後者は、生まれて以来一度も自己決定能力を有したことのない重症障害のある女性が
州立のグループホームで暮らしていた42歳の時に重い肺炎となり、
NYの州法が硬直的だったために、悲惨な延命治療で本人が苦しみ続け非業の死となった。

この2つのケースを通じてウ―レットが解説するのは
大きく言えば、障害者運動は障害のある生を価値なきものとみなすなとの観点から
原理的にone-fit-for-all な法的措置を求めるが、それは後者のケースように
本人を苦しめるだけなのだ、という点。

それから
生命倫理の側では、既にクインラン事件、クルーザン事件から
いくつかのスタンダードができていて(両事件についてはエントリーあります)、

・自己決定能力のある患者には治療を拒否する権利がある。
・自己決定能力のない患者には治療を拒否してもらう権利がある。
・終末期の意志決定は裁判所ではなく医療現場で行う。
・決定能力のない患者の医療決定では近親者に代理決定者として行動する権利がある。
・終末期の意志決定において代理人は患者の望みの根拠に事前指示書をおいてよい。
・医療的に供給される栄養と水分は治療である。
(障害者運動は基本的なケアと捉えている)

その他、生命倫理学者らの議論を紹介した後に、
たぶん自身が関わったからだろうと思うのだけれど、
さすが法学者の本領発揮の詳細な法学的分析が行われています。
私には手に余るので、ここはパス。

この章を読んで、一番気になったのは
この人が生命倫理学の政治性みたいなものに気付いていないらしいこと。

米国に「御用学者」がいないはずもないんだけれど。

本当に生命倫理学者は全員が
患者の利益と自己決定権を守るべく公正な分配のために尽くしていると信じてるみたい。
「ピーター・シンガー問題」とウ―レットが称する辺りを別にすれば。

ちょっと、その世界観はナイーブ過ぎないかなぁ……? 
2012.05.27 / Top↑
英国で画期的な障害児医療と教育と社会ケアの統合支援策。特別教育予算枠で親が地元自治体のサービスと専門家の支援とを選べるように。
http://www.guardian.co.uk/education/2012/may/15/parents-special-educational-needs-budgets?CMP=EMCNEWEML1355

日本語。「性別の選択」と「死ぬ権利」を合法化、アルゼンチン:タイトルが紛らわしいけど、前者は異性装者やトランスジェンダーの人が公式な性別を選べるようになった、という話(生殖補助かと思った)。後者も英米で進むPAS合法化の話ではなく、どちらかというと日本で進んでいる尊厳死法案に近い。それだけに、それで植物状態の人が家族同意で死なされることになるらしいことは重要ポイントか。安楽死は違法。
http://www.afpbb.com/article/politics/2877851/8942052?ctm_campaign=txt_topics
http://blog.goo.ne.jp/rose429/e/0414b9f1cb778791d14957a42daa7413

CA州で84歳の女性の自殺幇助で夫を逮捕。家に帰ったら妻が椅子に座ってビニール袋を顔にかぶっていた、机に遺書があって苦痛耐え難く死ぬことにした、臓器はなるべく早く取れるだけ取ってほしい、と書かれていたので、助けずに見ていた、と。:こういうケースで、夫の証言以外に目撃者がいない時に、どうやって殺人と自殺幇助の区別がつくんだろう、といつも思う。
http://myhealthbowl.com/latest-health-news/an-marcos-calif-88-year-old-arrested-on-suspicion-of-assisted-suicide-of-his-wife/

09年のFEN事件のミネソタ州でおきた事件部分について、金曜日にFENの4名を起訴。:GA州は不起訴になっています。アリゾナもあったんだけど、関連ニュースが多すぎて、すぐには思い出せません。有罪はまだ出ていないような気が……。
http://kaaltv.com/article/stories/S2618484.shtml?cat=10728
http://kennesaw.patch.com/articles/grand-jury-indicts-assisted-suicide-group
http://rosemount.patch.com/articles/final-exit-organization-insists-actions-were-legal

バチカン新聞に、「障害胎児の安楽死と中絶の論理はナチの優生思想と同じ」
http://www.washingtonpost.com/national/on-faith/vatican-newspaper-says-nazi-eugenics-still-alive/2012/05/04/gIQATkQz1T_story.html

重症心身障害者:ショートステイ、受け入れ施設不足 看護師足りず、体介護報酬も要因/
岐阜
http://mainichi.jp/area/gifu/news/20120513ddlk21100002000c.html

英国の社会サービス予算カットで、地方自治体から無料の在宅介護サービスを受けられる人は11%も減。
http://www.guardian.co.uk/society/2012/may/16/free-home-care-elderly-people?CMP=EMCNEWEML1355

米国の認知症患者ではナーシング・ホームよりも自宅で亡くなる人の方が多い。死因は心臓病、がん、肺炎など。認知症の人は進行した人も含めて、自宅と病院とナーシング・ホームを行き来している。入院後にNHにいったんは入るが、4分の1は再入院となり、残りの多くは自宅に戻っている。認知症患者の多くは地域で家族の介護を受けている。:どう解釈するか、難しそうなデータ。なにしろ、次のような情報も。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/245396.php

米国の高齢者に飢餓の危機。米国の高齢者の14.85%、7人に1人、総勢八百三十万人に飢餓の危機。:日本にもないはずがないですね、この危機は。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/245409.php

米国8州で、失業保険の給付縮小へ。
http://www.washingtonpost.com/business/economy/extended-jobless-benefits-cut-in-eight-states/2012/05/10/gIQAX8X4GU_story.html?wpisrc=nl_cuzheads

またスタチンの心臓病予防効果で何百万人が助かる可能性。
http://www.guardian.co.uk/society/2012/may/17/statins-benefit-millions-heart-health?CMP=EMCNEWEML1355

アルツハイマー病リスクのある人に発症前から発症を止める治療薬の治験が始まった。
http://www.nytimes.com/2012/05/16/health/research/prevention-is-goal-of-alzheimers-drug-trial.html?_r=2&nl=todaysheadlines&emc=edit_th_20120516

ビル・ゲイツがブルガリアの大統領と会談。:この人が既に世界中どこへ行っても一国家元首以上の「要人」になっていることの危うさって、どうして言われないのだろう?
http://www.focus-fen.net/index.php?id=n278093

スーダンの紛争で、南スーダンに飢餓。
http://www.guardian.co.uk/global-development/2012/may/17/south-sudan-border-conflict-sudan?CMP=EMCNEWEML1355
2012.05.27 / Top↑
WA州保健省からの報告で、
2011年に尊厳死法を利用して死んだ人は70人。

ちなみに最初の年09年は36人で、10年が51人。
着実に増加している。

103人が致死薬の処方を希望し、
80人の医師が書いた。

その処方薬で死んだ71人(1人増加したのは?)のほかに、
薬は受け取ったものの自然死だった人が19人。
薬を飲んだかどうか情報がない人が5人。

死にたいと願った理由は、
自立(autonomy自己決定能力?)、尊厳、人生を楽しむ活動に参加する能力を
喪失することへの不安。

90%が白人で、
75%が何らかの大学教育を受けており、
80%がガン患者だった。

この報告書について
True Compassion Advocatesでは
医師から処方線を書いてもらった後の患者については不明なので
この報告書の正確性は疑問、

この報告書からは、法により安全と自発性が守られているか不明、と指摘。

また、
WA州で住民投票した人たちは、選択を保障してもらえると思ったはずだけれど、
我々のところに届く声は全く違って、場合によっては
高齢者虐待や金銭目的での強要ツールともなっている。

州政府と連邦政府の双方が高齢者施策、介護者施策、障害者施策の予算を削減した影響で、
要介護状態になった人が自殺幇助を求めるのでは、と心配する声が
医療職や家族や友人らから多く寄せられている、と。

経済的な理由でうつ病の治療を受けられないままの人が尊厳死法で自殺したり、

シアトル地域の病院からマヒのある重病患者が早期に退院させられて
介護資金の手持ちもなく家族の負担になることを案じて自殺幇助を希望したケースも
報告されている。

また、他の家族は反対しているのに若い妻(相続人)が夫に自殺幇助を勧め、
自殺パーティまで開いたという話や、

無保険で治療費を払えないし家族に迷惑もかけられないと
希望したうつ病男性の話も。

そして、OR州の報告書で指摘されたのと同じく、

死後報告は処方した医師が書き、そこには
どのような状況で薬を飲んだか、死ぬまでにどれくらいかかったかの情報が
盛り込まれることになっているが、

実際には、薬を飲む際に同席した処方医は4%のみ。

それで、どうして死後報告を書けるのか、と疑問を呈している。

Washington Assisted Suicide Increase, 71 Died in 2011
Life News.com, May 14, 2012


オレゴン州の2011年についてはこちら ↓
OR州2011年に尊厳死法を利用して死んだ人は71人の最高記録(2012/3/14)
OR州の尊厳死法報告2011についてBioEdge(2012/3/28)

去年のWA州報告書については、こちら ↓
WA州から2010年の尊厳死法報告:処方を受けた人は前年より22人増加(2011/3/11)
WA州とOR州の2009年尊厳死法データ(2010/3/5)


【WA州尊厳死第1例、第2例ほか関連エントリー】
WA州の尊厳死法で初の自殺者をC&Cが報告(2009/5/23)
WA尊厳死法に反対したALS患者、第1例女性と同日死去(2009/5/28)
WA自殺幇助第2例:またもC&Cが報告、詳細は明かさず(2009/6/4)
WA州とOR州における尊厳死法の実体(2009/7/6)

【その他関連エントリー】
Oregon尊厳死法による自殺者増加(2008/3/21)
2008年にオレゴン州で医師による幇助受けて自殺したのは60人(2009/3/4)
C&Cが移植医と一緒に「尊厳死法に参加しましょう」と医師らに呼びかけ(2009/4/16)
オレゴン州の尊厳死法、セーフガードは機能せず(2010/8/17)
WA州の尊厳死法、殺人の可能性あっても「問わず語らず」で(2010/9/16)
WA州尊厳死法の「すべり坂」、エビデンスがまた1つ(2010/11/2)
2012.05.27 / Top↑
オーストラリアで学生生活を送っておられる日本人の女性のブログに
アシュリー事件に関するアンケートのお願いという記事が出ているのだけれど、

(お願い)“アシュリー事件”生命倫理に関するアンケート
南十字星の下で☆☆オーストラリア的生活☆☆ (2012年5月9日)

大学の授業で統計の課題として出されたものらしい。

アンケート本文はこちら ↓
https://docs.google.com/spreadsheet/viewform?formkey=dElSZ0c0WXVvTFk0cE0xVC1QdzVYNXc6MQ#gid=0

かなり詳細な質問になっています。

性別、出身、年齢層、宗教のほかに、
質問は、ざっと訳したものが以下。

選択肢にチェックするもの以外は
すべて「絶対にNO」から「断然YES」までの5段階のいずれかをチェック。

アシュリーの親の生活は非常に困難となるだろう。

思春期以降、彼女のケアはより困難となるだろう。

アシュリーと親のQOLは密接に関連している。

あなたにアシュリーのような子どもがいるとして、介護が難しくなってきたらあなたは度の選択肢を選びますか。
・家族支援を得て家でケアし続ける
・施設に入れる
・家族の負担を軽減する選択肢を探して在宅を続ける
・その他

“アシュリー療法”はあなたの子どもの健康にリスクが少なく、合法で親・介護者にとっても実際的また効果的だと医師が言ったら、あなたはこの選択肢を選びますか。

子どもに決定能力がないとしたらこのような重症障害のある子どもの医療決定を行う法的権利は親が有するべきだ。

以下があれば“アシュリー療法”は必要ない。
・デイケアや特別な介護者など
・経済的な支援
・親の抱える問題を話し合える支援ネットワーク

介護者の便宜ではなく生命の尊厳が最優先事項である。

この話は大変グロテスクで複雑である。気がめいるので、このような問題については出来れば考えたくない。


質問設定が誘導的だと感じるのはわたしの偏見でしょうか。


アンケート冒頭の事件の解説の事実関係にも問題がいくつかあるのですが、

日本語エントリーでこの人が紹介している事件の概要はさらに誤りだらけなので、
アンケートそのものはこの人が作成したものとも思えません。

統計の授業で、既に出来上がったアンケートが学生に配られて、
それぞれにネットで回答を集め、集計するようになっているのでは、と推測。

オーストラリア、というところが気になります。
2012.05.27 / Top↑
「施設解体」がしきりに言われている頃だったと記憶している。

ある男性と話をしている時に、
「施設解体のみが善だ」といった話の流れに違和感を覚えたので、

「でも、個々の親にとっては、自分たち親子が暮らしている地域に
現に今すぐ自分たち親子が利用できる制度やサービスがなければ、
または自分が死んだ後に子どもの安全な生活が保証される受け皿がなければ、
日本のどこかにどんなに優れた実践があったとしても
それは存在しないのと同じなんです」と言ったら、

相手が激昂されたことがあった。

立ちあがり、本棚に寄ると、
そこから次々に本をとりだしては

「今はもう時代が違うんだ。
アンタがそれを知らないだけなんだよっ。
ほら、こんなことをやっているところも、
こんなことをやっているところだって今はちゃんとあるんだよっ」

激しい口調で言いながら、立ったまま、
私の目の前のテーブルに次々に本が投げつけられていった。

読んだことのある本もあったし、
タイトルや内容くらいは知っている本もあった。

その人は、向かい側の席に戻ってくると、
「だいたい、親はすぐに、親が死んだら、死んだら、と言うけど、
そんなことを言って実際に死んだ親なんか、いないんだよっ」

いますよ。親だって死にますよ――。

そう思ったけど、言えなかった。

私が専門家や父親だったら、この人はこんな態度は取らないんだろうな……と
ぼんやり考えながら、目の前の本を見ていた。

投げつけられて私の前に乱雑に積まれている本は、
身体障害者または知的障害者の周辺での実践について書かれた本ばかりで、

その中には、
ミュウのような重症重複障害のある人の生活を支える話は1冊もなかった。


       ――――――――


昨日、突然、ツイッターをやめました。

ここしばらく、ずっとやめようかと考えてはいたのですが、
昨日、ついに限界がきてしまいました。

多くの方と交流させていただき、たくさん学ばせていただき、
「その節」にも「あの節」にも、言葉で尽くせないほどにお世話にもなったり
またご迷惑をおかけした方々も多々あったのに

だから、やめるならやめるで
それぞれの方にそれぞれに言いたいお礼もお詫びも沢山あったのに、

それもせずに突然にアカウントを削除して大変申し訳なく思っております。
本当にありがとうございました。それから、いろいろ、ごめんなさい。


「アシュリー事件」という本を書いたこと、
その直後にツイッターを始めたことの2つによって
私は自分でその覚悟が十分に決まっていない内に
障害者運動の方々との距離を急速に縮めてしまうことになりました。

そういう方々が障害者の権利や自立生活を勝ち取ってこられた
運動や闘いには深い敬意を持っていますが、

そういう方々のナマの言葉と思いがけない近さで接することは
私にとっては上で書いた日の体験が何度も繰り返されるに等しいものがありました。

あの日、私はあの後なにも語れなくなり、黙りました。

あの時に投げつけられた本の中の1冊で、
福岡寿さんという人が以下のような発言をしておられます。

……自分は、親御さんから「自分たちは福岡さんのホームヘルプや支援センターやグループホーム施策のために、親をやっているんじゃない」と言われたことがあります。だから「施策のための本人」なのか「本人のための施策」なのかを混同してしまうとダメだと思うんです。
……(中略)ホントに変わるためには、「この方を何とか支援しなくては」「この家族を何とかしなくては」という生のリアリティが必要なんですね。


さっき、これを書くために改めてざっと目を通してみて、
ああ、でも、この人たちは「親御さん」と言ってくださるんだな、ということ、
親も支援の対象に含める眼差しを持ってくださっていたのだな、ということに、
改めて救われる気持ちがします。

アシュリー事件で親と障害者運動の対立の構図が利用されていることに気を揉んで以来、
ずっと「でも対立ではないはずだ」と、考え続けようとしてきたし、

だから、そのために誹謗中傷を受けることは承知の上で、
娘の施設やその周辺の人に対しても、ことあるごとにそれを言ってきたし、

どちらに向いても、どんな議論の中でも、
そこに立ち続け丁寧に説明し続けようと自分なりに努力してきたつもりだったけれど、

今は、あの日、投げつけられた本を前に座っていた時とまったく同じ気分です。
何かを語りかけてみようとする気力が完全に萎えてしまいました。

もちろん、これだけだという単純な話ではなく、少しずつ積み重ねられてきた思いですが、
「支援者」の方による「麻薬」「常習化」という言葉の選択に、トドメを刺されました。

根本解決でなければレスパイトは麻薬で常習化して施設入所になるからダメだと言うなら、
その根本解決まで現に今も目の前の現実を生きている介護者に一体どうしろというのか。

……というよりも何よりもメゲるのは、
「支援者」を名乗る人が「麻薬」「常習化」という言葉で親に向ける断罪の視線と、そのゴーマンさ。

その人がどんなに優れた仕事をしてきた人なのか私は知らないけれど、
なぜ親が支援者から、こんな断罪の視線を向けられなければならないのか。

地域移行や自立生活が実現すれば問題は解決するのだから、
それに逆行する家族介護を肯定する介護者支援はダメだ、という主張も同じく、

では現に今も目の前の現実に生きあぐねて心身の健康を害している介護者は
それまでどうしろ、と?

家族からの暴力を受けている介護者がいるというデータがあるというだけの話に、
「でも本人の方がより被害者じゃないか」と反射的に反応されることも同じ。

家族や介護者が加害者でしかありえなかった事実はあるでしょう。

でもそれは家族や介護者個々人の悪意だったのか。
彼らがまさに支援を必要とするのに得られない状況が
加害者にならざるを得ないところへ親や家族や介護者を負い詰めていたのではないのか。


あなたがたの言う社会モデルが
親や介護者だけは個人モデルに置き去りにした社会モデルであり、

あなたがたの言う社会的包摂が
親と介護者だけは除外した上での包摂でしかないのなら、

共に考えることは、私にはできない。
2012.05.27 / Top↑
オーストラリアでWesley Mission により
精神障害のある人をケアする1000人のケアラーを対象とした調査結果が報告されている。

それによると

自身の心身の健康に有害な影響を報告したケアラーはほとんど90%で、

家族や友人との関係に悪影響があったとするケアラーは4人に1人。

仕事や経済状況が悪化したとする人が60%。

43%が10年以上、ケアラー役割を担っている。

気がかりなデータとして、
約3割のケアラーが家族の暴力を経験していることで、

特に統合失調症や双極性障害などの複雑な障害のある人をケアしている人でリスクが高い。
また女性のケアラーが特に被害に遭いやすい。

さらにケアラーの3分の1が
助けを求めることに憶したことがある、と答えた。

報告書 Keeping minds well: caring till it hurts では
ケアラー・サポートに関して、

GPその他の専門職にケアラーについてもっと教育を行う、
緊急時のレスパイトサービスを増やす、
自らの法的権利についてケアラーに教育を行う、など、

8点の提言を行っている。

Sticking with you:carers in the spotlight
The Sydney Morning Herald, May 14, 2012


報告書のサイトに行ってみようと yahoo!7 で検索をかけてみたのですが、
今の段階でヒットするのは報道のみのようです。
2012.05.27 / Top↑
最近のツイートから、「重症重複障害」と「支援」について


ウチの娘のけいれんは、眠っている間しか出ないのと小発作なので一緒に寝ていないと気付けず、昔から見たことがあるのは親(特に母親)だけで。昔の主治医とは信頼関係が良かったので、丸ごと信じてもらって、常に相談しつつ治療できたのですが、

成人して再発後はスタッフも変わり、薬の増量だけにものすごいエネルギーを要しました。いろいろあった挙句、今は担当看護師さんと協働できるようになり、親の観察を元に対応してもらえていますが、ここまでがしんどかったです。

ミュウは重症重複だから今まさにけいれんが起きていても訴えるすべを持たないし、「昨夜発作があった」と伝えることもできず、親以外には代弁者がいない。 今は医療機関でもある施設だから、親がしつこく代弁してなんとかなっているけど、そこのところにはものすごく複雑な問題がいろいろある。

「施設か自立生活か」という二者択一的な議論を聞くたびに、そのことを思って、そう簡単に割り切れないものが沢山あるような気がして悩ましい。

ついでに言うと「施設職員は志も問題意識も低く、個々のニーズや個性に向ける意識も感性も低い。地域で自立生活を支える支援者はその逆」という前提も議論によっては、ある気がするのだけど、前者にも後者にも志も意識も高く感性の良い人はいるし、どちらにも一定数しかいないんでは、とも。


私は重症障害のある子どもを持つ親として、「支援」という雑誌について、ものすごく偏った読み方をしているのだろうと思うけど、「身障者と介助」を中心に 考えられてきたことと、それではうまく行かない「知的障害者と支援」との隙間を埋めていこうとする試みが丁寧に行われることによって、そこから

さらにその先の「重症重複障害者と介護+支援(ということでいいのかどうかは別にして)」という、これまであまり視野に入ってこなかった人たちとその周辺にまで、広がっていく(何が?)と嬉しい……などと、考えたりしている。

私が「アシュリー事件」の中で「親は一番の敵」という言葉に触れたのは、重症重複障害のある子どもを持つ親としての私自身が敵にもなり得る自分とどう向き 合うかという問題で、青い芝の思想を否定する意図はないし、そもそも云々できるほどの知識もなければ立場にもないのは承知なのだけれど、

それでも、やっぱり否定したと受け止められると、時代背景というものがあったという、これは私自身も十分に承知しているつもりの1点と、もう1点「だから親を敵だと言った障害者らはその後の自立生活を通じて親との関係を切り結びなおしてきたんだ」という「反論」があったと

いう記憶があって、この2点目については、正直いうと「やっぱり身障者の自立生活運動の文脈に引き戻されてしまうんだなぁ」というところが悩ましかった。その辺りで文脈を引き戻さずに「その人」の文脈に沿ったまま考えるところが「支援」という雑誌に私が感じる魅力かな。

昨夜「支援2」のトークセッションを読み始めたら、面白くてやめられなくなって、仕方がないからお風呂に持って入った。ずっと疑問だったことのいくつかについて、本当のこと語ってくれてありがとう、てな。

このセッションに限らないのだけど、「介助者」「支援者」「介護者」という言葉が、それぞれの人の定義というのか文脈というか思い入れというのか、によっ て使い分けられているのも興味深い一方、それらと「ヘルパー」の使い分けが一番興味深い。「運動」か「仕事」かということとも関わって。


【関連エントリー】
「支援」創刊号を読む(2011/4/17)
2012.05.13 / Top↑
最近のツイートから「虐待的な親」

ああ、これ、本当にそうですね。(虐待的な親とか社会は)「私に愛されるように行動しなさい」なんだわ。でも、子どもが誰にどう見えるかなんて意識にもないほど自分自身にとってオモロイことに熱中している姿とか、そういうヤツであることが、「オモロく愛おしい」んだもんねー。

あれから考えたんですけど、「私に愛されるように行動しなさい」という基準は、実は「状況次第で変わる私の気分に適宜沿って、その時々に愛されるように行動しなさい」という、まったく不確実な基準なんですよね。それが子どもを翻弄し、結果として

子どもは常に自分以外の誰かの承認を意識して行動することを強いられる。そして自分自身は何を望んでいるのか、どうしたいのかの感覚を喪失していくんじゃないか、と。

また「私に愛されるように」は、例えば「私が認め、誇りに思えるだけ優秀な存在であれ」でありつつ、場面によって「しかし、その優秀さで私のコンプレックスを刺激したり、私に優越してはならない」という矛盾した内容を含んでいたりのダブルバインド。
2012.05.13 / Top↑



Y先生が来られて制作活動を行いました。

筆をしっかりと握って、
楽しそうに描いておられました。

特に、Y先生がミュウさんの方に近づいてこられると
より一層、手を動かしておられましたよ。

「ステキな作品ね」と誉めてもらうと、
とても嬉しそうにしておられました。

とっても意欲的なミュウさんでした。
2012.05.13 / Top↑
ダブリン市の「社会的包摂週間」
http://blog.templebar.ie/?p=5581

8月に英国ケンブリッジ・シャーで「ソーシャル・インクルージョン・カップ2012」開催。メンタル・ヘルスとホームレスの問題への包摂的アプローチが対象。
http://www.aboutmyarea.co.uk/Cambridgeshire/Huntingdon/PE28/News/Whats-On/222069-24-May:-Open-Meeting-re-The-Cambridgeshire-Social-Inclusion-Cup-2012

WHO等による早産の割合についての各国比較。日本は比較的好成績とのこと。
http://bioethics.com/?p=11347&utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed%3A+bioethicscom+%28bioethics.com%29&utm_content=Google+Reader

WHO等による報告書は以下。
http://www.who.int/maternal_child_adolescent/documents/born_too_soon/en/index.html

【関連エントリー】
早産・死産撲滅に、シアトル子ども病院がゲイツ財団、ユニセフ、WHOと乗り出す
未熟児を産ませず、生まれても救命しないための科学的エビデンス作りが進んでいる


ビル・ゲイツがEcolabという、病院なんかの清掃関連の企業の株を大量に取得することで合意、というニュースがやたらと流れている。:その意味するところがちょっと読めない。いずれにせよビル・ゲイツの投資行動が世界経済のトレンドを決める。
http://www.techflash.com/seattle/2012/05/bill-gates-stake-in-ecolab-could-get.html 

ゲイツ財団が10年間継続してきたインドのHIV対策への資金提供を来年で打ち切る、と。財団関係者「永遠に出し続けるわけにはいきません。いつだって責任は政府と地域に渡す方が良いわけだし」
http://www.telegraphindia.com/1120510/jsp/frontpage/story_15472911.jsp#.T6upqFKFByI 

「ビル・ゲイツ」が軽井沢に別荘を建設中!?
http://matome.naver.jp/odai/2133423618952754801

この10年間で医療を受けられない米国人が急増。
http://www.kaiserhealthnews.org/Stories/2012/May/07/health-affairs-care-increasingly-out-of-reach-for-millions.aspx

米国のペット・ホスピス。週当たりの基本料金75ドル。もちろん各種医療はそれに上乗せ。:ちゃんと読んでいませんが、富裕層のペットの方が貧困層の人間よりもはるかに良質の医療を受けている、というお話?
http://www.detroitnews.com/article/20120504/METRO/205040357/1409/metro/Cats-get-end-life-care-pet-hospice 

あなたの体は闇市場でおいくら? 体の各パーツごとのお値段。「心臓売るか 5,6年は働かなくても済むだろ」「死体からいくらでもとれる臓器は安いのな」
http://blog.livedoor.jp/himasoku123/archives/51714938.html

英国で初の臓器売買のケース。First ‘organ trafficking’ case found in UK
http://bit.ly/JTNBBO

Toni Morrisonの新刊 HOME。Harriet Washington's book MEDICAL APARTHEID http://usat.ly/JZPaAd

グラクソがなにやら強硬な手段でHuman Genome Sciences の買収に出ているらしい。
http://www.washingtonpost.com/business/capitalbusiness/glaxosmithkline-to-take-human-genome-sciences-buyout-offer-to-shareholders/2012/05/09/gIQAnShuDU_story.html?wpisrc=nl_cuzheads

更年期後の女性の骨粗しょう症予防に使われてきたbisphosphonatesには副作用リスクが大きいという指摘は前からあったたけど(例えば http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/60009643.html)、長年の使用で逆に骨が弱くなる副作用等がFDAの検証で。:冒頭のところしか読んでいないけど、これまでの一連の情報を念頭において眺めると、「女性が飲んでいる骨の薬」という曖昧な書き方も、なんだか、なぁ……。さらに言えば、扱いも「女性の健康」欄。骨粗鬆症予防で、その前段階とされる骨減少症については、いろいろ妙な話がいっぱい流れていた。⇒ 骨減少症も“作られた”病気?……WHOにも製薬会社との癒着? 。
http://well.blogs.nytimes.com/2012/05/09/new-cautions-about-long-term-use-of-bone-drugs/?nl=todaysheadlines&emc=edit_th_20120510

FDAが認可した後になって回収される薬が相次いでいることから、認可後にも安全性のフォローを、と。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/244940.php

米オクラホマ州最高裁が胚に人格を認める州憲法修正条項提案に全員一致で違憲判断
http://p.tl/xiWY USAtoday:Oklahoma's top court rejects 'personhood' for embryos.

商業・善意モデルでの代理母でなく契約専門家的モデルで保護をと。
http://www.bioedge.org/index.php/bioethics/bioethics_article/10024

米でアジア系卵子の売り手が少なく供給不足でドナー報酬高騰。他$6k報酬だがアジア系で$10~20kに。
http://www.latimes.com/business/la-fi-egg-donation-20120504,0,2997335.story?track=rss&utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed%3A+latimes%2Fbusiness+%28L.A.+Times+-+Business%29

共和党の大統領候補者指名争い中のロムニーの子が代理出産で双子をもうけた。Money Changes Everything
http://bit.ly/IYeULo

粥川準二さんのブログ・エントリー「体外受精児の健康コストを考えるとき」
http://d.hatena.ne.jp/KAYUKAWA/20120511

「次世代高速遺伝子シークェンシング」で、原因不明の発達障害が解明される? :私にゃよくわからんけど。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/245130.php
2012.05.13 / Top↑
アルゼンチンの上院が「尊厳死法案」を可決。安楽死は否定し、ターミナルと不治で不可逆な病気の人について事前指示書により手術、水分と栄養、蘇生、生命維持の拒否を認める。記事の一部に「ターミナルな人と永続的植物状態の人」との記述あり。反論も記載。
http://www.cbsnews.com/8301-504763_162-57431820-10391704/argentinas-senate-votes-for-dignified-death-law/

米国ミネソタ州と、スコットランドで自殺幇助合法化議論が再燃。:もう世界のどことどこで議論が沸騰しているんだったか、ワケが分からないほど世界的同時多発減少。
http://medicalxpress.com/news/2012-05-debate-flares-suicide.html http://www.heraldscotland.com/news/health/call-for-debate-on-assisted-suicide.17536662 

オレゴン州の自殺希望者にヘリウムなど自殺キットを販売したとして問題になっていたカリフォルニア州の高齢女性が起訴された罪状は、なんと脱税。執行猶予つきで。:拙ブログ補遺で何度か追いかけてきた話題。自殺キット販売はこの件を機に違法とされたはず。
http://www.examiner.com/article/court-gives-92-year-old-california-suicide-kit-maker-probation-for-tax-evasion 

「新小児科医のつぶやき」ブログの尊厳死法関連エントリー2つ。:コメント欄に唸る。
「尊厳死法案とインフォームド・コンセント」http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20120501
「尊厳死法案・現場からの論点整理」http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20120502 

介護施設、終末期の意思確認9割 本紙調査 |下野新聞「SOON」
http://bit.ly/IJVdHH
2012.05.13 / Top↑
1%に過剰に集中した富が、その1%個々人の好みや考え方に応じて恣意的にばらまかれるという形で分配されていく世界ができ上っている。公的機関は、そうしてばらまかれるカネに群がり、慈善資本主義の帝王たちの歓心を買い、彼らの望むマーケット創出に協力していく。

粥川さんがいう「バイオ化した社会」とは、詰まるところ「保健医療の問題が、”グローバル金融ネオリベひとでなし慈善資本主義”経済を背景に、むしろ政治経済の問題そのものになってしまった社会」のことなのでは? 

だけど、個々の問題について考えている人の多くは、それを今だに保健医療の枠組みの中だけで捉えて議論している、というところに、私はすごく悩ましいものを感じたりします。○○○○もその一つですが。

フランスとギリシャの選挙のニュースを聞きながら思うのだけど、各国経済の行き詰まりを招いているのはニュースで描かれているような特定政権の失策とかいう次元ではもうなくて、国家にはどうにもできないグローバル金融ひとでなし強欲ネオリベ経済の暴走で世界経済の仕組みが破たんしているためでは?

経済が活発に回っているのは「”科学とテクノで簡単解決”文化」とその利権構造周辺だけ。そうしてスーパー富裕層の思惑の範囲内でしかカネが回らなくなっているなら、それは各国規模や経済圏規模では、もはや政治は彼らの思惑に奉仕する以外の機能を持てないってことでは?


10年以上前に、ミュウの施設で医療の過剰な管理が子どもたちの生活を圧迫した不幸な時代があった。あの時に私が闘ったのは、「安全と健康」が錦の御旗に なる医療(というよりあの時は「看護」だったけど)の管理的な姿勢だった。別の言い方だと医学モデルになるのかもしれない。

科学や医学といった狭い専門領域特有の価値意識はより大きな社会の価値意識の一部に内包されるもののはずなのに、科学とテクノの発展がグローバル経済と直 接的に結びついて、科学とテクノの潜在的可能性に人々の過剰な期待があおられることから、その大小が逆転し、社会の方が科学とテクノの価値意識を

広く踏襲していこうとしている、みたいな気がする。これが粥川さんのいう「市民のバイオ化」「社会のバイオ化」でもあるんだろうし、それは社会に医学モデル的な管理・コントロールと操作主義が蔓延していく、ということかもしれないし。

医学を含めた科学とテクノロジーという狭い専門世界の特殊な価値意識が、より広い社会の文化としての価値意識との間で大小を逆転させて、社会からのシビリ アンコントロールを失い、むしろ社会へのメディカル・コントロールが敷かれつつあるのでは? というのが「アシュリー事件」の一つのテーマ。

妄想ならいいけど、そのうち一定の知的レベル以上の白人男性だけが選別・誕生し、道徳的地位のある存在として振る舞う世の中がやってきて、女性と管理・支 配されることに慣れた従順な民族がそれぞれの「特性に応じて」その社会に奉仕する奴隷として必要数のみ生産される世界になる…とか?

科学とテクノで可能になることが増えるにつれて、それ以前のお馴染みの差別がどんどん強化されていくというのも、ものすごい皮肉のような、実はそうでもないような。「バイト化する社会」の「痛点」……。
2012.05.13 / Top↑
米国と英国のFacebookが利用者に臓器提供意志の掲載を呼び掛け、
そのままドナー登録サイトへのリンクを設けたフォーマット変更を行ったことについては
以下のエントリーで紹介しました。

Facebookが臓器不足解消のため、英米の利用者に臓器提供の意思表示を呼び掛け(2012/5/2)


それから1週間。続報です。

そのニュースに大いに沸いたというファーマ系のサイトが、
この1週間の変化についてチェックしたところによると、

FBを通じてドナー登録した人は6000人を超え、
FBの本拠地カリフォルニアでは提供数(donations)が5000%を超えて増加。

(このdonationsが実際に行われた提供数なのか、
ドナー登録の意味なのかは?)

しかし、このサイトの主は
6000人なんて、米英でのFB利用者総数の0.01%にもならない、
こんなんじゃダメダメ、と大いに不満。

What’s holding people back from participating?
なにが参加をためらわせているんだろう?

と、改善策を早くも提言している。

ドナー登録しようと思うとFBからその州の登録サイトに行くこととなり、
そこで長々とあれこれの入力を求められてしまうのがいけない。

かったるくなって途中で「や~めた」となってしまうからね。

そんなことはネットで商売しているZapposとかAmazonなら
とっくに周知のことで、だからクリック一つでOKが常識。

まぁ臓器提供はお買いものの決断とは違うけど、
でも意思決定のプロセスそのものが違うわけじゃない。

それなら、FBとしては
せめてそのプロセスに guided sale というアプローチを導入したらどう?

ドナー登録をサクサクと済ませるためのアドバイスをしてあげるのよ。

このプログラムに批判的な立場からは個人情報への懸念も出ているから
そこのところの手当てもちゃんとして。

そうすればこのプログラムももっと人気が出て、
せっかくFBが始めてくれたイイコトがもっとずっと広がっていくんじゃない?

なぜか、このサイトに書かれていることを訳していると
頭の中で芸人のカバちゃんがしゃべり始めてしまったので、そのノリのまま、
次に書かれている一節を以下に。

We would love to see this kind of behavior become a part of people’s everyday actions online. Want to sign up for a Facebook account? Why not include the organ donation option as part of the registration process? Similarly, we think it would be great if this was also expanded to other worthy causes like the bone marrow registry.

あたしたちとしてはさ、みんながネットで毎日そういうことをしてくれるようになったらいいな、と思うわけね。FBのアカウントを作りたい人には、いっそ、アカウント登録の際にもう臓器提供はどうされますかという質問を入れちゃったら、どう? ついでに、骨髄提供の意志なんかも、そこに含めたっていいんじゃない? だって、ほら、そういうのとかも大切な社会問題よ? 


Facebook’s Organ Donor Initiative- One Week Later
pixels & pills, new directions in digital pharma, May 7, 2012


そりゃ、製薬業界ですもん……。
2012.05.13 / Top↑
スイス在住者を対象に自殺幇助を行っているExitからの報告で、

自殺幇助を選択しているフランス語話者の5人に1人、ドイツ語話者の3人に1人が
特に命にかかわる病気にかかっているわけではなく、

自殺希望の理由としては
健康問題のほかに「人生が嫌になった」を挙げる人が増えているという。

ターミナルなわけではないが、加齢とともに視力が衰え、
排泄が自立できなくなったり思うように動けなくなるなど
QOLが低下することに苦しんでいる。

それでも自殺幇助を受ける要件は満たしているので、幇助は出来る、とExit.

記事によると、その要件とは
死または障害に至る不治の病を診断されていて
身体的そして心理的な苦痛がある、の2つが共に満たされること。

スイス西部のExitのトップSobel氏は
「それに加えて、高齢者が人生の冬を迎えて、
既になくなった人の元へ行きたいという最後の大きな望みというのがあります」

Sobel氏は、
そうした高齢会員の要望を受けて
幇助するケースの対象範囲が広がってきたという説明するのだけれど、

それはどこまで法的な規定の範囲内なのか、
単にExitの解釈に過ぎないのではないか、と
ちょっと疑問。

もちろん批判の声は出ていて、

たとえば
法的拘束力はないにせよ、
スイス医学会(? The Swiss Association of Medical Sciencees)の中央倫理委員会の綱領では
PASはあくまでもターミナルな患者に限定すべきだとしている。

しかしSobel氏は
「盲目的に医療倫理綱領に従っていたら
合法的な中絶も自殺幇助も今でもあり得ない」

The Swill Medical Reviewの編集長 Bertrand Kiefer氏は、

「こうした高齢者の自殺要求にあまり安易に答えてしまうと、
社会に美や若さやパフォーマンスを中核的な価値として確立してしまう。

死の希望に応える前に、
様々な問題はあっても人生に意味を見いだせるのではないかと、我々は問わなければならない」

World-weary Swiss seniors seek suicide help
The Local, May 9, 2012


スイスの自殺幇助に関する法律については、私は
幇助する人が個人的な利益のためにすることでなければOK、という解釈しか知らず、

例えば精神障害者の場合の判例がいくつかあるのは知っているけど、
具体的な要件については報道ごとに内容が異なっている気がして、よくわかりません。

実際にDignitasでは、
ターミナルでない人や、全く健康な人が幇助を受けていて
それでも法的に取り締まりが行われたわけではないので、

記事の中にある
「死または障害に至る不治の病を診断されていて
身体的そして心理的な苦痛がある、の2つが共に満たされること」との要件も、

その後に「それに加えて」とExit側の発言が続くことから
ちょっと曖昧な書き方になっているし、

以下のエントリーで紹介したように、
Exitは去年、高齢者の基準を緩和しているので ↓
スイスの自殺幇助団体Exit、高齢者の要件を緩和(2011/5/9)

記事中の上記2つの要件とはスイスの法的基準ではなく
単にExitが設定した基準ではないかと思われます。


なお、今年2月には以下のようなニュースもありました。 ↓
スイスでの自殺幇助、DignitasでもExitでも急増。その多くは女性(2012/2/20)
2012.05.13 / Top↑
「生命倫理」VOL.21 NO.1 2011年9月に掲載の加藤太喜子さんの論文
「『医学的無益』はいかなる場面で有効な概念か」を、
とても興味深く読んだ。

シュナイダーマン、ヤングナー、ウィルソン、バーナット、ルビン、
トゥルオグ、バゲーリ、ブレット、ラントスの見解を紹介しつつ、

「医学的無益」がきちんと定義されていないこと、
線引きの恣意性、コスト論との関連などの問題点を指摘。

最後にバゲーリの提言が具体化されたものとして
米国医師会医療倫理・司法問題評議会が提案する「公正プロセスアプローチ」を
取り上げつつ、

このプロセスが本人同意なき治療の中止または差し控えを
正当化するとは限らない、とも。

(このアプローチについては、拙ブログでも見た記憶があるのですが
たぶん、これ? http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/62583980.html)


「医学的無益」という概念を使って説明せざるを得ない場合には、どの治療がどんな目的に対してどの程度「無益」かについて丁寧に注意深く明示する必要がある。

医療現場で語られる「無益」は、必ずしも事実についての判断として述べられているとは限らず、専門家の間でも無益かそうでないかについての見解が分かれる可能性があることに注意を払う必要がある。


で、結論としては、

医学的無益とは、無益であるにもかかわらず患者の要請に応じて治療を継続することが、医療従事者としてのインテグリティを棄損するといわざるを得ないような事態においてのみ、はじめて有効となる概念であろう。


この論文を読んで思うことはいくつかあって、

まず、日本の尊厳死法制化について、現場の医師の方々から
「無益な治療の中止と差し控えは既に国際標準」という発言を時に見るのだけれど、
こういう論文で英語圏の医療倫理の議論を概観すると、
そう簡単に言っていいんだろうか……と。

次に、トゥルオグについて。

トゥルオグが無益な治療論に批判的なことは
拙ブログでもGonzales事件関連など、いくつか情報を拾っているけど、

TruogのGonzales事件批判(2008/7/30)
Truogの「無益な医療」批判への批判(2008/7/31)
「無益な心肺蘇生は常に間違いなのか?」とTroug医師(2010/3/4)


加藤論文でも、Truogは、
蓋然性の基準が恣意的だとか、そこに価値判断が含まれていることを根拠に
無益な治療論を批判している、とされている。

それなのに彼はどうして小児の臓器移植についてだけは
「一方にどうせ死ぬ子どもがいて、もう一方に
その子どもの臓器で助かる子どもが複数いるなら、
倫理判断の答えは既に出ている」んだから
DCDドナーが死んでいるかどうかなんて関係ない、てなことを言うんだろう?

Robert Truog「心臓死後臓器提供DCDの倫理問題」講演ビデオ(2009)(2010/12/20)

加藤論文によるとトゥルオグは
「無益は隠された配分の問題を正当化するために不適切に用いられるかもしれない」と
指摘しているんだけど、

上記の講演では彼自身が臓器の配分の問題に
ものすごく乱暴に「”どうせ死ぬ患者”の無益」を持ち出している感じがしてたので、
ここのところが??? 

そうかと思うと、ホームレスで十分な医療を受けられずにきた親が、
無益でも心肺蘇生をしてあげたことで感謝してくれたといって、
家族のための無益な治療の意義を説いたりもする。

Truogの「無益な治療」講演(2011年11月10日) 前(2011/12/15)

結局、生命倫理学者/医師も、自らの直接体験の範囲内で、
決して論理だけでは片付かない矛盾したものを抱えながら揺らいでいる……ということなんだろうか。

それにしても、Maraachli事件でのシンガーの発言などを考えると、
「隠された配分の問題」も既に「隠されなくなってきた」感じがする。


ちなみにバーナットの一方的DNR指定の考察は
つい先月、当ブログで拾ったばかりで、その中でも
Truogの無益な治療論批判への批判が出ていたので、以下に。

「医師は患者本人の同意なしにDNR指定してもよいか」Bernat論文(2012/4/11)
2012.05.13 / Top↑
英国のケアラー支援チャリティ the Carers Trustが
ケアラー実態調査の結果を発表している。

なお、英国のケアラー支援の老舗、the Princess Royal Trust for Carers が
4月1日をもって Crossroads Careと合併し、the Cares Trust となった、とのこと。

このニュースについては、以下に。
http://www.carers.org/news/princess-royal-trust-carers-and-crossroads-care-merge-become-carers-trust


そのCarers Trustがこの度行った500人の成人の調査データによると、
成人ケアラーの60%が介護負担から、またその他の責任との両立の困難から
メンタル・ヘルスの問題を抱えていると報告。

身体的な健康問題と精神的な健康問題の両方を経験した人は
4分の1を超え、主な訴えは筋肉痛や不眠、疲労など。

介護によりキャリアが損なわれたという人は、ほとんど60%。

現在、英国では600万人、成人の8人に1人がケアラーで
彼らの無償のケア労働によって、毎年ざっと1190億ポンドの公費が節減されている。

2037年には900万人に達する見込みで、

この調査結果は
英国政府に誰もが受けられる支援サービスの整備を促すものだ、と。

今回の調査では、ケアラーのほとんど3分の2が
カウンセリングもレスパイトも福祉サービスも使ったことがないという結果となったが、
これらのサービスはケアラーの負担とストレス軽減につながることが知られている。

これまでの研究では
ケアラーはその他の人に比べて健康を害する確率が2倍になるし、
約4分の3のケアラーで経済状況が悪化するとのエビデンスがある。

150万人以上のケアラーが60歳以上の高齢で、
介護をこなしながら、自らも支援を必要とする場合が多い。

今回の調査結果を受けて、
野党の陰の保健相などから地域による格差を解消するためにも
ケアラー支援に関する全国レベルのミニマル・スタンダードと予算確保を
呼びかける声が上がっている。

The Carers Trustのトップは
「多くのケアラーは
自分のことをケアラーであるとは意識しないまま
社会にどんな支援があるか気づいていないのです」

またCares UKの幹部からは
成人の社会ケア緊縮策の影響が廻り回ってケアラーに付け回されている、との指摘も。

ケアラーの58%が女性で、42%が男性。

300万人が仕事と介護の両立に苦労しており、
ケアラーの5人に1人が仕事を諦めざるをえなくなっている。

1週間に50時間以上の介護を行っているケアラーは125万人。

Britain’s army of unpaid carers ‘being pushed to breaking point’
The Independent, May 8, 2012


The Carers Trust の 当該調査のページは以下。
http://www.carers.org/news/new-research-finds-unpaid-carers-struggle-without-support


その他、関連報道の一部を以下に。

http://www.yorkshirepost.co.uk/news/at-a-glance/main-section/charity-claims-carers-suffer-health-and-career-problems-1-4524296
http://www.guardian.co.uk/social-care-network/2012/may/08/gp-need-more-carer-aware?newsfeed=true
http://www.guardian.co.uk/society/2012/may/07/elderly-care-funding-duncan-smith?CMP=EMCNEWEML1355



多くのケアラーが
自分はただ家族の世話をしているだけと考えて、特に介護者として自分を捉えず、
そのために社会に存在する支援サービスに繋がれていない問題は

去年の英国のケアラーズ・ウイークでも
「隠れたケアラーを発見する」というキャッチで取り上げられていました ↓
ケアラーの本当の顔: 英国ケアラーズ・ウィーク2011(2011/7/5)


ちなみに日本のケアラー実態調査については ↓
日本のケアラー実態調査(2011/6/14)
2012.05.13 / Top↑
英国で一方的なDNR指定が問題化してきていることについては、
去年1年間だけでも、以下のエントリーで取り上げていますが ↓

肺炎の脳性まひ男性に、家族に知らせずDNR指定(英)(2011/8/3)
「本人にも家族にも知らせず“蘇生無用”」はやめて一律のガイドライン作れ、と英国で訴訟(2011/9/15)
高齢者の入院時にカルテに「蘇生無用」ルーティーンで(英)(2011/10/18)
高齢者には食事介助も水分補給もナースコールもなし、カルテには家族も知らない「蘇生無用」……英国の医療(2011/11/14)


また新たにケア・ホームに入所している男性のカルテに
無断でDNR(蘇生不要)指定が書きこまれていることに気付いた家族が抗議し、
NHSトラストが謝罪するという事件があり、

NHSではケア・ホームの入所者のケアに当たるGPらに対して
DNR指定に関する規制とガイドラインを遵守し、
指定に際しては本人や家族と相談するよう呼びかけた、とのこと。

(この記事でも上記の去年9月の訴訟に触れられています)

Care homes warned to discuss ‘do not resuscitate’ forms with families
The Guardian, May 6, 2012


男性は77歳で、ロンドン南部の
身体障害があり要介護状態の人を対象としたケアホームに入所している。

米国ラスベガス在住の娘が面会に訪れた際に、まったくの偶然から
カルテにDNR指定を見つけ、抗議。

NHSトラストが調査を行ったところ、
ホームでは男性にはDNR指定の決定に参加できるだけの能力がないと判断したと説明。
しかし家族はこれに強く反論。

娘は米国で言語療法士として働いてきた人で、
CPRのリスクについては十分に承知しているが
「父はターミナルなわけでも進行した病気があるわけでもなく
QOLも良好で、ハッピーに暮らしています」と。

このケースについての詳細は
ホーム側もNHSトラスト側も患者のプライバシーを理由に語らないが、

とりあえず指定は撤回され、
NHSトラストが家族に謝罪した。

また今回の問題提起にも感謝の意を表明。

ただし、DNR指定自体は
今後また復活する可能性はある、とも。

トラストのトップの感謝の言葉がなかなかに意味深で、

Whilst it is important that doctors do not place the burden o f decision-making on close relatives, you have made us aware it is important to try and involve relatives even if they live abroad and are only able to visit their family member infrequently.

医師が近親者に意志決定の重荷を負わせないことは重要ではあるものの、例え家族が海外在住で頻繁には面会に訪れられない場合であっても、親族に関わってもらうよう試みることも重要だと、あなたは私たちに気づかせてくれた。

もう一つ、このケースに関する説明もさらに意味深といえば意味深で、

In a care home setting, CPR has a very small chance of successfully returning the patient to their previous state of health. If successful, there is a high risk that the patient will suffer rib or sternum fractures as well as internal organ injuries. If consciousness is regained, there is a risk that patient will be left with brain damage and not regain their pr-morbid level of health.
Because of these concerns, it is considered a mark of good practice that consideration is given to whether patients requiring long-term residential care and support would benefit from a CPR attempt in the event of a cardiac arrest. These decisions need time and careful consideration and are best not left to an emergency situation.

ケアホームの環境では、CPRによって患者を以前の健康状態に戻せる可能性は非常に低い。CPRが成功したとしても、ろっ骨や胸骨骨折、内臓損傷の高リスクがある。意識が戻ったとしても、脳損傷を負い以前の健康レベルには戻らないリスクがある。
こうした懸念から、長期的な入所施設ケアを必要とする患者が心臓マヒを起こした際に心肺蘇生を試みることの是非については慎重に検討することが good practice の証とされている。こうした決断には時間と慎重な検討が必要で、緊急医療の判断のままに任されるべきではない。


なんとなく、患者個々の状態よりも
長期的に入所施設ケアが必要な患者かどうか、の方が
心肺蘇生の是非の判断において重視されているような印象が……?
2012.05.13 / Top↑
刑務所で認知症患者が増加、介護も囚人に(米国)

英語圏のニュースを拾い読みしていると、思いもよらない事態の出現に驚きつつも、「考えてみれば、こういうことが起こるのも必然だった」と深く納得させられることがある。そして「必然ならば、近く日本でも起こる……」と、しばし考え込んでしまう――。ニューヨーク・タイムズの“Life, With Dementia”(2月25日)は、まさにそういう記事だった。
タイトルのLifeは「人生」の他に、ここでは「終身刑」の意も重ねられている(Dementiaは認知症)。終身刑を受けた囚人に認知症を患う人が増え、カリフォルニアやペンシルベニアなど一部の州では、同じく終身刑の囚人に介護を担わせている、というのだ。  
近年の厳罰化傾向で囚人が増え刑期も長期化し、現在、全米の刑務所に収容される囚人の1割が終身刑だ。1995年からの15年で55歳以上の囚人の割合は4倍になった。もともと教育レベルが低いとか様々な疾患があるなど認知症リスクが高い人が多いうえ、刑務所暮らしは刺激も少なく、認知症発症率は一般よりも高い。
認知症がなくとも高齢の囚人には若年層よりも3倍から9倍もの医療費がかかるため、認知症ケアにまで多額のコストをかけられない州には悩みの種となっている。ナーシング・ホームに移すところもあるが、犯した犯罪が残虐なだけに保釈になりにくく、ホーム側が受け入れないことも。
そこで、リスクは高いが安上がりな方法を編み出したのがカリフォルニア州だ。同州のある刑務所では、黄色のジャケットを着て「ゴールド・コート」と呼ばれる囚人が認知症の仲間を介護する。彼らはアルツハイマー病協会の研修を受けて、認知症マニュアルを支給され、食事、入浴の介助など日常の介護を担う。エクササイズ教室や記憶を刺激するイベントの実施も担当する。ただし爪はやすりをかけるまでなど、できる行為には制約がある。介護報酬は月50ドル。
彼らもまた残虐な殺人を犯した犯罪者だが、過去5から10年問題行動がなかった人が選ばれる。不適切な行為で外されたのは、09年にこの制度が導入されて以来、一人だけとのこと。導入以前には、認知症に無理解な職員が患者の行動を誤解して乱暴な扱いをしたり、囚人同士のもめ事も多かったが、知識のある「ゴールド・コート」は適切にケアすることができるため、刑務所内の雰囲気が落ち着いてきた。今では初期の兆候に気付くのも「ゴールド・コート」だ。プログラムを監修している医師によると、複雑な感情が絡まる家族介護者よりも患者へのレスポンスが良いとか。
しかし収監中に認知症を発症した人の家族に「保釈を望みますか」と尋ねると、「いえいえ、こちらで受けている介護はとても家族にはできません」と断られた、というエピソードには考えさせられる。
もう1つ、気になったので調べてみたところ、米国では1998年にできた「介護職犯罪歴スクリーニング法」により、殺人などの重罪歴のある人を介護職として雇うことは禁じられている。同法が要介護者の虐待防止のセーフガードと位置づけられていることを考えると、安全な介護を受ける認知症の囚人の権利という視点からは、この辺りがどう整合するのか、疑問も残る。
一方、ニューヨーク州は資金を投入する道を選んだ。認知症の囚人専門のユニットを独立させ、プロの介護職に介護させている。コストは通常の囚人なら一人年間41000ドルのところ、93000ドル。
既に当欄で何度か紹介したように、英語圏では、回復の見込みのない終末期の患者や重症障害者への治療は社会のコストに値しないとする“無益な治療”論が広がりつつある。ニューヨークの数字を眺めていたら、イヤな予感が胸に広がってきた。まさか次に台頭するのは“無益な介護”論……?

英国医師会から「選択的人工呼吸」の提言

予防医療や治療技術の向上で、脳死者の発生件数が減少しているらしい。移植臓器の減少を懸念する英国医師会は2月13日、ラディカルな臓器不足解消策をいくつか提言した。最も物議をかもしているのが選択的人工呼吸(elective ventilation)。いったい何のことかと思ったら、通常なら“無益な治療”として延命治療が差し控え・停止されるケースで、臓器ドナーとなる可能性がある場合は、本人または家族の意志確認ができるまでの間、人工呼吸を行おうとの提言。
保健省は「死より前に行われる一切は患者の最善の利益にかなうものでなければ」。しかし“死”も“無益”もこれほど操作可能な概念となった時代に、そのコメントも玉虫色に見える。

「世界の介護と医療の情報を読む」
「介護保険情報」2012年4月号


【関連エントリー】
英国医師会が“臓器不足”解消に向け「臓器のためだけの延命を」(2012/2/13)
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「臓器提供の機会確保のための人工呼吸、義務付けよ」とWilkinson 2(2012/2/22)
2012.05.13 / Top↑
尊厳死が合法となっており、
すでに「安楽死後臓器提供」が行われているベルギーで

The Belgian Liberal Humanist Association (HVV)という組織から
知的障害者、すべての子どもと認知症患者に安楽死を求める権利を認めよう、との声が上がっています。

HVVの会長で現在の尊厳死法の草案を作った中の一人、
前上院議員、Jacinta De Roeck氏は、

「ある種の人たちが、
生きるか死ぬかの自己決定から完全に排除されているのは、受け入れがたい」

知的障害者を迫害したナチスの歴史を持つドイツの隣国だけに
ベルギーでも難しい問題だが、

「精薄のある人でも専門家チームにより成熟しているとみなされれば
安楽死を求めることは可能とするべき」

またHVVは
あらゆる年齢の子供に安楽死を求める権利を認めるべきだ、とも主張しており、
そのHPには以下のように書かれている。

「救いがたい状況下にある子どもたちは
その他の健康な子供に比べて成熟している確率が高い。
したがって年齢制限を設けることは、まったく不適切である」

De Roeck氏は
今権下ではないにせよ、最終的にはベルギーで
未成年も認知症患者も安楽死の権利を認められるだろう、と予測。

Let’s give intellectually disabled the right to euthanasia, say Belgian humanists
BioEdge, April 27, 2012


ちなみに、隣国オランダでは
去年3月に認知症が進んだ女性の積極的安楽死が行われたことが明らかになっています。

「IC出せない男児包皮切除はダメ」でも「IC出せない障害新生児も認知症患者も殺してOK」というオランダの医療倫理(2011/11/12)


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2012.05.13 / Top↑
08年(たぶん)にFEN事件の舞台となり、その後FENが言論の自由訴訟を起こして勝訴し、メディアがまるでPAS合法化のように騒いだGA州でPASを違法とする法律が成立。:議会の対応は早かった。FEN事件については、こちらにリンク一覧。http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/64721179.html
http://www.atlawblog.com/2012/05/deal-signs-abortion-assisted-suicide-bills-into-law/

英国でALSの男性について、まばたきで延命治療拒否の事前指示があったとみなして、裁判所が治療停止を認めた、というケース。
http://www.google.com/hostednews/ukpress/article/ALeqM5iSwfAdFXTYG5opZcUAZ8ECXxxGfA?docId=N0028021335882810418A

「ガタカ」の世界は実現するか? 遺伝子診断の倫理問題。
http://www.slate.com/articles/health_and_science/future_tense/2012/04/noninvasive_prenatal_diagnostic_tests_ethics_abortion_and_insurance_coverage_.html

カナダの生殖補助医療は違法か? とHCRに。
http://www.thehastingscenter.org/Bioethicsforum/Post.aspx?id=5815&blogid=140

不況で、貧困層や無保険者に医療を提供するセンターを受診する人が08年から11年の間に18%も増加。パンク状態に。米。
http://www.reuters.com/article/2012/05/01/us-usa-healthcare-centers-idUSBRE8401JL20120501

そういうことを背景に、チャリティ医療がどこまで無料で提供されるべきかを巡って訴訟が起きている。
http://www.npr.org/blogs/health/2012/04/27/151537743/nonprofit-hospitals-faulted-for-stinginess-with-charity-care?ft=1&f=1027

アルツハイマー病の祖母を介護する43歳女性の日常。
http://www.npr.org/2012/05/01/151472617/discovering-the-true-cost-of-at-home-caregiving?ft=1&f=1027
2012.05.02 / Top↑
日経が早速に今日、記事にしたようですが、

フェースブックにドナー情報公開 い臓器移植を促進 まず英米で


昨日のNYTに、以下の記事があり、
SNSのFacebookが米国の利用者に臓器提供意志の表示を呼び掛ける、と。

Facebook Is Urging Members to Add Organ Donor Status
NYT, May 1, 2012


1日に明らかにされた計画によると、

FBの健康セクションに臓器提供意思の有無と、
誕生日、出身校を一緒に公開できるようにする、と。

出身校を一緒に公開させるのは、
それによって同窓生同士のピア・プレッシャーがかかり、
提供希望者が増えることを狙ったもの。

もちろん、FBでの意志表示は法的な効力を持つものではないが
このセクションの意志表示欄には州のオンライン・ドナー登録サイトへのリンクが貼られ、
誘導効果が期待されるほか、

本人の意思確認ができず家族が提供を決断するよう迫られる場合に、
本人意思がFBに表記されていれば、同意の根拠となる、と
今回のFBの動きの発端となったジョンズ・ホプキンス病院の肝臓移植部門トップ、
Andrew M. Cameron医師は語る。

「臓器移植の歴史的な日となるでしょう。
(現在は臓器不足で死ぬ人が沢山いるが)この統計はがらりと変わるだろうし、
(臓器不足という)問題がなくなることすらあるかもしれない」

発端となったのはCameron医師がFBに
臓器移植医療での尽力とドナー不足に苦慮する現状について書きこんだものを
かつての同級生でもあり、たまたまFBの運用責任者であるSheryl Sandbergが読み、
これなら自分にも手伝える、と同窓会で申し出た、こと。

米国のFB利用者は1億6100万人で、
現在のところドナー登録者は米国の成人の半分に満たないが
移植医療関係者は一夜にして登録が増えるのでは、と期待している。

3000万人の利用者がいる英国でも同様の変更が行われ、
FB社では数カ月の内に他の国々でも導入するとしている。

FB社の創設者でCEOのZuckerberg氏と
運用責任者のSheryl Sandberg氏は声明を発表し、

「小さなネットワークとして始めたものが
こんなに強力なコミュニケーションと問題解決のツールに発展するとは
夢にも思わなかった。

でも、こうなった以上、
世界的な規模の社会問題をみんなで解決できるよう
これまでとは違う方法を可能とするツールを作っていきたい」

移植医療界には
FBが文化変容の強力なツールとなることに期待しつつも
ウェブは公式な登録ではないので家族が合法性を争った場合には問題はあるとして、
あくまでも正式な登録が重要、との声も。

スタンフォード大のthe Persuasive Technology Labのディレクターとして
テクノロジーが人々の態度にいかに影響を及ぼすかを研究しているBJ Fogg氏は

「(FBで臓器移植が大きな話題となれば)ドナーになるかどうかという、
たいていの人が考えたことすらなかった、大事な決断を促すでしょうね。

友達がみんな意志表示しているのを見たり、
あるいはみんなが意思表示しているという幻想をもつと、
そこにある種の期待が設定されて、社会的ノームとなる可能性はあります」

                  ------

このニュースを受けて、WPにスライドショー。
タイトルは「FBのザッカ―バーグは次の慈善家ビル・ゲイツになるか?」

Will Facebook’s Zuckerberg be the next Bill Gates of philanthropy?


ザッカバーグとビル・ゲイツだけでなく、
IT長者たちによる慈善資本主義がどっと全開になろうとしている有様が描かれている。

2008年にこういうことを予測してこういうのを書いたことがあった。↓
デジタル・ネイティブ”は慈善資本主義よりもTHニズムよりも怖いかも

まずはデジタル・ネイティブ長者たちが
ビル・ゲイツが敷いた慈善資本主義経済を踏襲しようとしている?

でも、それが意味することは、たぶん
1%に過剰に集中した富が、その1%個々人の好みや考え方に応じて
恣意的にばらまかれるという形で分配されていく世界ができ上っている、ということであり、

また、公的機関は、そうしてばらまかれるカネに群がり、
慈善資本主義の帝王たちの歓心を買い、彼らの望むマーケット創出に協力していくしかなくなっている
ということでもあり……。


【関連エントリー】
ゲイツ財団の慈善ネオリベ医療グローバリズム賛歌(2009/6/20)
2012.05.02 / Top↑
VT州のPAS合法化法案、上院で否決。今期2回目って?
http://www.crosswalk.com/blogs/religion-today-blog/vermont-senate-rejects-assisted-suicide-effort.html

Lancetに障害者への暴力が広がっている、という調査結果 
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2811%2961851-5/fulltext?elsca1=ETOC-LANCET&elsca2=email&elsca3=Other

ルワンダの障害者らが社会的包摂を求めて声を上げている。
http://allafrica.com/stories/201204270055.html

毎日アスピリンを飲むとがん予防になる、という実験結果。:ここ何年もこういうのは出続けている。アスピリンとスタチンとビタミンDについて。 
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2812%2960209-8/fulltext?elsca1=ETOC-LANCET&elsca2=email&elsca3=Other 

【関連エントリー】
「40過ぎたらガン予防で毎日アスピリンを飲みましょう」って
「健康な人も5種混合薬を毎日飲んで将来の心臓病リスクを半減しよう、って」


ビル・ゲイツが国連の食糧関連機構が集まるローマで、「デジタル農業」によってグローバルな飢餓問題を解決し途上国を支援しようと説いている。記事は、「いったいそれは誰を利するのだ?」と。 冒頭のところで、「世界第2位の長者ビル・ゲイツが口を開けば、世界中が耳を傾け、神のような扱いをする」http://www.ctv.ca/generic/generated/static/business/article2413679.html

英国の親のワクチン忌避にGAVIが手を焼いている。”amid fears of side effects and mistrust of the pharmaceutical industry ” 現在のワクチン忌避は、おそらく副作用懸念よりビッグ・ファーマ不信によるものでは? でも、今だにウェークフィールド論文のせいだとする印象操作が行われているような気がする。
http://www.independent.co.uk/life-style/health-and-families/health-news/doctors-slam-mothers-who-refuse-vaccines-7696950.html 

07年に性転換した男性が妊娠したとして話題になったThomas Beatieさんが3人の子どもをもうけた後で妻と別居状態であること、その後、完全に性転換したことを告白。
http://abcnews.go.com/blogs/health/2012/04/20/pregnant-man-thomas-beatie-separates-from-wife/

【Beatieさん関連エントリー】
性転換した男性が妊娠、7月に出産予
妊娠男性オプラ・ウインフリー・ショーに出演
Beatieのテレビ出演に思うこと
2012.05.02 / Top↑