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昨日からアブ・ダビで開催されている
ワクチン・カンファでビル・ゲイツが基調講演。

ポリオ撲滅のため、
新たなワクチン開発に向けた6年計画を作るとして、
さらなるワクチンへの投資を呼び掛けた。

途上国へのワクチン支援で最も多くの資金を提供しているのはゲイツ財団で、
その次が米国政府、とも。

その講演の後に受けたインタビューの記事。
記事タイトルは、ビル・ゲイツ「衛星とGPSがポリオと闘っている」

どういうことかというと、

In order to reach the most at-risk children, the Gates Foundation has helped implement a satellite mapping technique, to ensure house-to-house vaccinators use aren't missing any villages or settlements. In some cases, they also equip the vaccination teams with cellphone GPS devices to record where they've gone.
"We take the GPS tracks from cellphones and overlay that onto the assignment, to make absolutely sure that they've gone where they were supposed to go, which helps get the coverage level up," Gates says. "The difference between 85% coverage and 90% coverage is the difference between not succeeding and succeeding."


ゲイツ財団が集めた金で途上国の子どもたちにワクチンを打つのは、
どうやら担当者が一軒一軒ワクチンを持って家を回るらしい。
house-to-house vaccinators というわけだから。

で、その人たちが
紙にイチイチ記録していたのでは
村や集落を見落として回り損なうようなことが起こるから、
ゲイツ財団がお金を出して、衛星マッピング技術とGPSが使えるようにした。

ワクチンチームにGPSつきの携帯電話を支給して、
どこを廻ったか記録していけるように。

それで接種率85%ではなく、90%をめざす。

Bill Gates:Satellites and GPS are fighting Polio
Mashable, April 24, 2013


【関連エントリー】
「ゲイツ財団(の連携機関)が途上国の子どもに銃を突きつけワクチン接種(2011/7/29)

                 ―――――――


ビル・ゲイツはフォーラムで、
ポリオ撲滅にゲイツ財団から18億ドルの資金提供を約束。

ちなみに、
このニュースが掲載されているのは the Economic Times――。

Gates’ Foundation to fund $1.8 bn to eradicate polio
The Economic Times, April 25, 2013
2013.04.26 / Top↑
ビル・ゲイツが米国の教育改革、特に教師の評価方法について
継続して発言しており、

ゲイツ財団の米国公教育コントロール 1(2011/5/2)
ゲイツ財団の米国公教育コントロール 2(2011/5/2)
「生徒に生体データ・ブレスレットつけさせ教師の技量を評価」研究に、ゲイツ財団から100万ドル(2012/6/19)

最近では
生徒のテストスコアだけでなく
授業の評価もするために全米の学校のすべての教室に
50億ドルを投じてビデオカメラを設置すると言っていることを
当ブログでも拾っていますが、

そうしたゲイツの発言に対して、
米国の中学で科学を教えてきた教師でブロガ―のAnthony Codyという人が
ちょっと面白い批判をしている。

もともと教育の専門家でもないゲイツが
ただカネがあると言うだけで口を出したことが
現在の事態を招いているというのに、それを振り返ろうともせず、
さらに教師を評価する方法を云々していることへの批判のようなのだけど、

特に、教育改革や教師の評価以外にも当てはまる個所が
とても興味深いと思ったので、そこを以下に。

The concentration of wealth in the Gates and Walton families allows them to pay for research that supports their ideas, influence media outlets and funnel money through political action committees that advance their agendas ― all without accountability

ゲイツ一家やウォルトン一家への富の集中によって、
彼らは自分たちの考えを裏付ける研究にカネを払うことができるし
メディアに影響を及ぼし、
自分たちのやろうとすることを推進してくれる政治的団体や委員会にカネを回すことができる。
しかも、アカウンタビリティなど一切問われることもなしに。


If Mr. Gates demands that teachers be held accountable for their work, surely he must accept some accountability for his.

ゲイツ氏が教師に自分たちの仕事への説明責任を問うのなら、
彼だって自分の仕事に説明責任を引き受けるべきである。


Codyは、ビル・ゲイツが主張する教師評価の基準に沿って
「億万長者の慈善評価」を試みていて、原文はこちら ↓
 http://blogs.edweek.org/teachers/living-in-dialogue/2013/04/accountability_for_mr_gates_th.html

私はイマイチぴんとこないので、これについてはパス。

Many approve of Bill Gates’ latest words on education, but some question their source – Gates himself
Deseret News, April 22, 2013


【関連エントリー】
世界中の研究機関に流れていくゲイツ財団のお金(2008/8/28)
ゲイツ財団の指摘研究機関が途上国への医療支援の財布を管理しようとしている?(2009/6/20)
ゲイツ財団の慈善ネオリベ医療グローバリズム賛歌(2009/6/20)
公衆衛生でマラリア死8割減のエリトリアから「製薬会社株主ビル・ゲイツのワクチン開発」批判(2011/8/2)


  ――――――――――

ちなみに、22日に韓国へ行き、朴大統領と会談したGates氏、
大統領と握手する際に左手をパンツのポケットに入れたままだったことから
韓国でえらい不興を買ったらしい。

今日もまだニュースがちらほら見かけるくらいだから、
このニュース、世界中を駆け回っている模様。

朴大統領は
科学を発展させ「クリエイティブな経済」をめざすため
アドバイスをよろしく、と。

なお、ゲイツ氏の韓国訪問は、
次世代型原発のベンチャー企業 Terra Powerのチェアマンとしてのお仕事だったとのこと。
(既に中国とはこの件で連携の約束ができている。⇒http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/64541183.html)

以下の記事に問題の握手の写真と、
その写真をでかでかと掲載した韓国の新聞各紙の写真が共にあります ↓

Bill Gates ‘disrespects’ South Korean president with casual handshake
The Telegraph, April 23, 2013
2013.04.26 / Top↑
Facebookの創設者 Mark Zuckerbergが
諸々のチャンネルを握っておりカネも人気もあるビル・ゲイツなどIT長者らを結集して、

一大政治勢力となるべく、
The Political Action Committeeの創設に動いている、という噂。

組織作りを引き受けたザッカーバーグの元ルームメートの
メール内容が漏れたことから。

別情報として、
ビル・ゲイツが Human Capitalという団体の創設に加わっている、とも。

ただし、組織名は既に変わっている、とも。

で、まず手掛けようとしているのは
移民問題と教育問題なんだとか。

‘People in tech represent one of the most powerful political forces’: Arrogant beliefs of Mark Zuckerberg’s Silicon Valley Political Action Committee
Mail, April 6, 2013

Bill Gates, Marc Andreessen joining Mark Zuckerbeerg’s super PAC?
Silicon Valley Business Journal, April 6, 2013



若干28歳のザッカーバーグがこんなことを言うと、
傲慢だとか何だとか反発されているみたいなのだけれど、

でも、
IT長者と金融長者(両者はもちろん重なっている)による「世界政府」みたいなのは、
もうずっと前からできて、とっくに着々と機能しているんでは……?


【関連エントリー】
ゲイツ財団の慈善ネオリベ医療グローバリズム賛歌(2009/6/20)
人類は2040年に滅亡、でもグローバル福祉国家は通産相兼務の厚生相が御活躍だから大丈夫?(2010/3/18)
ビル・ゲイツの音頭で米国の長者たちが各国政府の頭越しに世界人口抑制に取り組もうと合意(2010/6/9)
国家的権威から市場主義的権威による超国家企業の政治制度へ(2012/1/25)
2013.04.16 / Top↑
このニュース、AFPが日本語で2月8日に流していたもの ↓
避妊手術した女性を次々野外に放置、インドの病院

この「不妊手術キャンプ」について、ちょっと遅ればせだけど、
昨日のBioEdgeが動画入りで取り上げている。

州立病院のガイドラインでは1日25件までと定められているのに、
4人の医師が1日に106人の女性の不妊手術を行い、
(それも一人20分から30分という素早さで)

ベッドが30床しかないものだから、
終わるなり次々に屋外に運んでは道路上に放置したとして、
批判を浴びているもの。

さらに、任意・自発的な不妊手術だということになってはいるものの
実際には地方自治体が車や電化製品などの見返りで釣って誘導している、と。

Horror in a mass sterilization camp in India
BioEdge, March 2, 2013


しかし、これは実は
もうずいぶん前から言われてきていることでもある ↓

特に英国政府の資金が振り向けられている、インドの特に貧しい州、
Madhya Pradesh と Bihar から聞こえてくる実態とは、

貧しい人たち、ことに少数部族の男女が騙されたり脅されたりして連れてこられ、
水道もなく器具の消毒もできない劣悪な衛生環境で乱暴に手術され、
術後のケアもされずに放置されている、というもの。

手術を受けないと食料の配給を受けさせないと脅したり、
手術を受けたら7ポンド程度の現金とサリーをあげると金品で誘ったり、
不妊手術をした人には車や冷蔵庫が当たる宝くじまで運営する州もあるという。

一方で、Biharのクリニックには不妊手術1件につき1500ルピーの報酬のほか、
1日に30件以上をこなした場合には患者1人に500ルピーのボーナスまで出る。

医師には患者1人につき75ルピー、
NGO職員にも手術を受けさせた人数に応じて
一人あたり150ルピーが支払われるという仕組み。

Biharでは、1月に強制的に連れてきた53人の女性を学校の校舎に集め、
焚き火の明かりのもとで、たった2時間で一人の医師が全員に手術を行った、
術後は全員が痛みに苦しむまま放置されていた、との目撃談もあり、
その被害者の中には妊婦も含まれていた、という。

2009年にインド政府が報告したところによると、
それまでに50万人に不妊手術が行われたとのこと。

インドの貧困層への不妊プログラム、英国政府の資金で「温暖化防止のため」(2012/6/12)


また、この前後には、こういうニュースもあった ↓
米・英政府とゲイツ財団とUNPFにより優生施策、7月には国際会議も?(2012/6/7)


実はBioEdgeのMichael Cookはニュースレターの先週号で、
上記12年7月の国際会議について触れている。

これがたいへん興味深いコメントなので、
以下に関連個所を抜いてみると、

You may recall that in July last year, Melinda Gates, one of the world's richest women, and the British government, organised a family planning summit in London. Rich nations and NGOs pledged US$2.6 billion to meet the unmet need for contraception in the developing world.
(中略:ここに上記ニュースの概要が入っている)
As far as I can remember, no one ever mentioned "sterilization camps" at the London summit which was applauded so enthusiastically in the world media. It would be interesting to see if some of this $2.6 billion is flowing into the pockets of the doctors who treated these women like animals in the hinterland of India.

去年7月に、世界で最も裕福な女性の一人、メリンダ・ゲイツと英国政府がロンドンで家族計画サミットを開催したことを記憶している人もいるだろう。途上国での避妊のニーズに応えるために、富裕な国々とNGOが26億USドルを提供することになった。
(中略)
私の記憶では、世界中のメディアが熱狂的に称賛したそのロンドン・サミットで、「不妊手術キャンプ」が話題になったことは一度もなかった。約束された26億ドルの中から、インドの奥地でこうした女性にまるで動物みたいな扱いをした医師のポケットに流れ込んでいるカネはないいのか、調べてみると面白いだろう。


Cookは、以下のような情報を知っているだろうか――?

ゲイツ財団資金で超音波による男性の避妊法を開発、途上国向け?(2010/5/12)
ゲイツ財団がインドのビハール州政府と「革新的な家族保健」の協力覚書(2010/5/17)
2010年5月29日の補遺:G8での途上国の母子保健関連記事。ここでも「家族計画」に言及。
ゲイツ財団が途上国の「家族計画、母子保健、栄養プログラム」に更に150億ドルを約束(2010/6/8)
「途上国の女性に安価な薬で簡単中絶“革命”を」の陰には、やっぱりゲイツ財団(2010/8/3)
注目集めるインド発・男性向け避妊法、「女性にも」とゲイツ財団(2011/6/3)

ビル・ゲイツの音頭で米国の長者たちが各国政府の頭越しに世界人口抑制に取り組もうと合意(2010/6/9)
“優生主義者”ビル・ゲイツ、世界エリートの“陰のサミット”ビルダーバーグ会議に(2010/6/9)
2013.03.07 / Top↑
去年は、こんな話まで出てくるほど ↓
「生徒に生体データ・ブレスレットつけさせ教師の技量を評価」研究に、ゲイツ財団から100万ドル(2012/6/19)

米国の教育改革は徹底した成果主義で、
生徒の成績アップ率など、教師を評価するシステムを作って
ダメ教師を排除するということのみが、
どんどん目的化してきた印象があったのですが、

ニューヨーク市で、
「ダメ教師を何%クビにするべきか」を巡って
知事、市長、教育局と教員組合とが火花を散らしている。

なんでも州知事からは
成果出す(effective)教師と成果出せない(ineffective)教師を
ちゃんと判別できるだけの教師評価システムを1月17日までに作れなかったら、
州からNY市への教育助成の4%増はお預け、という話があったのだけれど、
両者の反目でデッドラインを外してしまったらしい。
(それで割を食うのが子どもたちというのも何とも)

Bloomberg市長のスタンスは当初から明確で、

成果出す教師と成果出せない教師を判別して、常にダメ教師でしかない連中はクビ。
代わりに、優秀教師を雇えば子どもたちの成績は上がるし、
新採用の教師の給料が前任者よりも安ければ、さらに良し。

教員組合の方もスタンスは明確で、

教師を評価するシステムは教師の力量を正確に反映した公正なものであること。
また満足な成果を上げていないと評価された場合には、改善のチャンスが与えられること。
不当にダメ教師の烙印を押されてクビになることがないようセーフガードを作ること。

しかし、どんなに公正かつ正確な評価を心がけたところで、
一体どれほどの教師をクビにするのかによっては
いくらでも恣意的にできてしまう。

例えば、Bloomberg市長は1年ほど前に、
できることならNY市の教員の半数をクビにして、
残った優秀教師で、給料もクラス規模も2倍にしたい、と発言。

以前にNY市が評価システムのパイロット・スタディをやった際には
18%の教師がダメ教師と判定されたことを思うと、半数とは思い切った発言。

一方、類似のシステムを既に先駆的に採用しているワシントンDCでは
「ダメ ineffective」教師と判定されるのは2%で、
その他に14%が「ほとんどダメ minimally ineffective」と判定される。
で、2回続けて「ほとんどダメ」と判定された教師はクビになる、というシステムなんだとか。

How many ineffective teachers are actually out there?
WP, February 19, 2013


ちなみに、私は11年段階で、以下の2つのエントリーを書いた際に、
次のように書いたのだけれど、その最後の1行が
まさかこんなに早く現実になるとは思っていなかった……。

オンラインの教材で学習し、そこでの生徒のパフォーマンスはリアルタイムで自動登録・管理され、
またはオンラインで統一テストを行い、そのパフォーマンスも自動登録・管理され、
担当する生徒たちのパフォーマンスのCommon Core達成率と向上率がはじき出されて、
それがそのまま各教師のパフォーマンスということにされていく……んでしょうね。

まるで、チェーン展開している外食産業で各店舗の営業状況がPCで一括中央管理され、
毎月どころか毎日、毎時の成績がはじき出されて数値化され可視化され、
逐次それに対して誰かが責任を問われ、尻を叩かれ、首を切られるように、

きっとPCが逐次はじき出す数値がそれぞれの教師の能力と同意となり、
その数値に対して責任を問われ、数値を上げよと尻を叩かれ、
数値を上げることができなかったり、数値に踊らされることを拒めば
ただシンプルに「無能」の烙印を押されて首を切られていくのでしょう。

ゲイツ財団の米国公教育コントロール 1(2011/5/2)
ゲイツ財団の米国公教育コントロール 2(2011/5/2)


そういえば、こんなのも08年段階で提案されていた ↓
従業員をパソコンで監視・管理する世界へ(2008/2/12)


なんだか、悲しくなるなぁ……。

私たちが子どものころを振り返って「あの先生、いい先生だったよなぁ……」と
しみじみ懐かしく思い出すような先生って、たいてい、
優秀だったりeffective だったりする先生とは違う気がする。

ていうか、教師を effective かどうかで評価するというのが
そもそも感覚としてなじまない。

教師は子どものテストの点数を上げるための機械じゃないんだし、
そもそも教育ってテストの点数を上げることでもないし。

「成果主義」というよりも、むしろガチガチの「因果主義」とでも呼びたいような、
「○○すれば必ずこうなる」デジタル思考のコントロール・フリークたちが
本来ぜんぜんデジタルであってはならない領域を、お金と権力によって
がんがん独善的に仕切っていく、という気がするんだけど、

なんとなく、
07年にトランスヒューマニストの人間観にゲンナリして、
「持ち味」とか「芸」とか「えもいわれぬコク」とか
「円熟」とか「照り」とか「艶」とかについて書いたことを思い出した ↓

持ち味と芸、そして「かけがえのなさ」(2007/11/17)


人間は一人ひとりが、
「置き換え可能な機能・能力の総和に過ぎない存在」なんかじゃない。

アンタら、教育も文化も、そうやって殺すよ……。
2013.03.04 / Top↑