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Wisconsin州でリンパ腫を患う63歳の男性が自殺。
遺言状には自殺を手助けした妻と娘に財産を相続させると書かれており、
その有効性を問題にして前妻の子どもたちが訴えていた裁判で、

同州の法律では
意図的に殺した人間が被害者の財産を相続することは禁じているものの
「自分の意思で意図的に自らの命を断つ人の手助けをする者が
他者の命を奪っていないことは明白である」として、
男性の妻と娘に遺言状どおりの財産相続を認めた、とのこと。

Court: Relatives who assist in suicide can inherit
AP (The Chicago Tribune), September 28, 2008


妻と娘は男性を病院から連れ出して男性所有の山小屋へ連れて行き、
自殺念慮があることを知りながら弾が入った銃を手渡して立ち去った…
…というのが、訴えた前妻の子どもたちの主張。

それに対して裁判所は
弾の入った銃を提供したことが男性の命を奪ったわけではなく
男性はその銃を使って自分を撃つことによって自らの命を断ったのである、と。

ただし、Wisconsinの法律では自殺幇助そのものが認められておらず、
他者の自殺を手伝う者には重罪として最高6年の懲役の可能性があります。

妻と娘が山小屋に運んだことは認めても自殺幇助の事実まで認めていないのは
恐らくそちらの法律を意識したものと思われますが、
この裁判は遺言状の有効性を問うもので、
自殺幇助を違法とする法律は該当しないようです。


しかし、文末の関連エントリーをみていただくと
ここ暫くの間に当ブログが拾っただけでも、
世界で自殺幇助を巡る動きがどれほど大きいかが一目瞭然と思いますが、

Oregon州では自殺幇助が認められているし、
Washington州にも同様の法律を求める運動が行われているところ。
米国以外でもオランダを始め、いくつかの国が合法化しています。
外国人に自殺幇助を行っているスイスのDignitas クリニックには、
合法化されていない国の自殺希望者が次々に訪れています。

闇で自殺幇助を請け負うプロも現われてきています。

こうした状況の中で自殺幇助をした人にも財産相続権が認められるということになると
自殺したい人が財産と引き換えに幇助を依頼することも起こってくるだろうし、
財産目的の親族に自殺を装って殺される人だって出てくるのでは?



2008.09.29 / Top↑
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