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先週末辺りまではブログやローカル紙で繰り広げられていた
ハリウッド映画 Tropic Thunderを巡る批判が
ぼつぼつメジャーなメディアにも登場し始めている様子です。

言葉の問題だけに留まらず選別的中絶の問題や
また日本で起こったばかりの若者による知的障害者への暴力とも繋がって
特に目を引いたのが以下のGuardianの記事。

この映画は劇場に足を運ぶ若者を中心に
「障害者はいじめても構わない」というメッセージを送るものである、

また中には
親はどんなことをしても障害児を持つことは避けたほうがいいとのメッセージを
送るに等しいシーンもあって、
障害新生児の切り捨てや選別的中絶の容認にも繋がると指摘。

キング牧師の死後40年も経って、
米国史上初めての黒人大統領が誕生するかもしれないという時代に、
過去50年間に米国社会が作り上げてきた万人の平等を目指すシステムを
こんな不用意な作品が逆行させてしまってはならない、と。

Tropic Thunder sets back a movement
By David Tolleson
The Guardian, August 22, 2008


どっちが先なんだろう……と、ふっと思った。

この映画が「障害者は差別してもいいジャマ者」だというメッセージを世の中に送る
というのは確かにそうだろうけれども、
もともと世の中にそういう空気が既にじわじわと蔓延しつつあって、
だからこそ、こんな映画が出てくる、そして映画がさらにメッセージを強化する……という、
もはやどっちが先とも言えないサイクルが始まってしまっているのかもしない。

そういえば、先週だったか朝日新聞の新刊書の広告の中に、
「オバハンでもわかる○○」というタイトルの本があったっけな。

数年前までは確かこういうのは「サルでもわかる」だったと思うのだけど、
「みんなで誰かをバカにしてエラソーにしよう」という空気が
ここにも確実に漂い始めている。


2008.08.25 / Top↑
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