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1990年に制定されたthe Americans With Disabilities Act( 米国障害者法)から10年。
ブッシュ政権はパブリックオピニオンの募集を経て近く
障害者のバリアフリー整備についてのこれまでの規定を拡大、厳格化する予定とのこと。

たとえば裁判所の証言台に車椅子用のリフトまたはスロープをつける、
一定の座席数を越えるスタジアムや劇場には一定数の車椅子席を義務付けるなど。

企業向けの救済策として、
小規模のビジネスの場合は総収入の1%以上を
バリアの解消に使えばよいとの規定があるものの、
企業サイドからは厳しすぎるとの批判、
障害者サイドからは不十分との批判が出ている様子。

Plan Seeks More Access for Disabled
The New York Times, June 16, 2008

この記事を読んで、「ほぉ?」と思ったのは、

・こうした動きを後押しした社会的な事情として、
高齢者人口の増加ともう1つ挙げられているのが、
戦争で障害を負った若い世代の増加だということ。
記事を読んでいて、そこで、ちょっとつまづく感じで
立ち止まってしまった記述でした。

・ガイド犬など、障害者の支援を役目とする動物は
公共の場で受け入れなければならないという規定は現在もあるわけですが、
あんまり何でもかんでも受け入れなくてもいいという規定が
今度新たに作られることになった、とのことなのですが、
そこで挙げられた動物にびっくり。

例えば「介護猿」は受け入れなくてもいいし、
その他に介護を役目にする爬虫類、両生類、ウサギ、イタチ、ネズミ系って……。
わざわざこんな規定を設けなければならないような現実が
アメリカの障害者の周辺にはあるってことなんでしょうか。
分からないなぁ……。

それに、猿はともかく、爬虫類とかネズミが
障害者の支援をするように訓練できるもの???

    ――――――

上の記事の内容とは直接つながらないのですが、
戦争で障害を負った人たちの増加によって、こうした動きが出てきたという点から考えたこと。

確かアメリカでは第2次世界大戦時に障害を負った退役軍人たちの存在によって
リハビリテーション医学が一気に発展したのだったと記憶しているので、
なるほど今、人の脳とコンピューターを繋いだインターフェースで動く人造の手足が
盛んに研究されていることが現在ではきっとそれに当たるのだなぁ……ということが、
この記述からとてもリアルに感じられました。

しかし、四肢切断患者を対象に発達してきた「治す」ためのリハ医療は、
発達障害児・者の機能障害や高齢者の廃用性の機能低下のリハ医療には
必ずしも適切ではありませんでした。
その後のリハ医学のなかで反省されてきた点でもあったはず。

戦争で四肢を失った若い層の中途障害者のためのテクノロジーの応用と、
例えば脳性まひなど生まれついての障害児・者への支援、
四肢切断以外の中途障害者への支援、
また高齢者を支援するためのノウハウとは
別立てで考えなければならないはずだということが気になります。

発達障害ですら「医学モデル」で「治す」「正常にする」ことだけに
ひたすら邁進したリハ医学の誤りを、
ここでまた「機能を最新テクノロジーで置き換える、そっくり取り戻す」というモデルで
繰り返すようなマネはしないでもらいたいなぁ……と。
2008.06.16 / Top↑
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