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医学は進歩しても24週未満の未熟児が助かる確率はきわめて低いままである
……との調査結果が英国で今日発表されるとのこと。

1994年から1999年の5年間と、
2000年から2005年の5年間に生まれた未熟児の救命率を比較して、

いずれの期間でも救命できたのは
23週で生まれた児の18%
22週で生まれた児で救命できたのはゼロだった、と。



実は、この調査結果が今日発表されることには大きな意味があって、
現在英国議会ではヒト受精・胚法改正法案が議論されており、
その中で中絶のタイムリミットを妊娠24週から20週までに引き下げることが検討されている。
その審議が来週行われることになっているのですね。

当然、タイムリミット引き下げ支持・中絶反対派の議員は
プロ・ライフ派の大デマだとばっさり否定しているのですが、

この論文からの引用でちょっと気になるのは、

分娩室で死んだ新生児の中には、死産だったケース、重い病気を持って生まれたために蘇生しても成功しないケース、重い病気を持って生まれたために親とスタッフの合意で保存的治療を行わなかったケースがある。

英国の中絶法では
障害のある子どもであれば既に分娩が始まっていても中絶してもよいとされること、
また、障害児を排除しようとする世の中の空気がここ数年で色濃くなっていることを考えると、
親とスタッフの合意で保存的治療(つまり助ける努力)をしなかったケースというのが
実は増加しているというだけではないのでしょうか。

救命技術や救命の成功率は上がっているのだけれども、
敢えて救命しない慣行が増えた結果がこの調査結果なのだとすれば、

それは必ずしも、
これをわざわざこのタイミングで発表する人による
「医学が進歩しても24週未満の救命率は変わっていないから、
24週以前の中絶が助かる命を殺しているとは言えない」との主張を
サポートしてはいないんじゃないのかなぁ。

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それにしても、科学研究や調査というのは
どんな研究や調査が行われるかという仮説や企画の段階から
データの解釈や発表時期ですら
何らかの政治的意図と繋がっているものなのですね。

そういえば、
例えば生殖補助医療で生まれた多胎児に障害が起こる確率とか
代理出産で障害児が生まれる確率、
その場合に依頼した親と代理母との間に何らかのトラブルがあったか
生まれた子どもがどうなったかという調査などを耳にすることはなし、

臓器移植でレシピアントの生存率に関する調査研究は沢山あっても、
ドナーになった人のその後の健康状態に関する調査もあまり目にしないし、

脳死になった人からの臓器移植で
臓器提供に同意した家族がその後、
その時の決断をどのように捉えているかという調査も
行われているとは思えないし。
2008.05.09 / Top↑
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