1月早々の両親のブログ立ち上げから、メディアの報道は概ね批判的だったように思われました。そんな中、はっきりと全面擁護に回った新聞があったことをご存知でしょうか。
報道が最も過熱していたさなかの1月16日、the Seattle Times 紙は社説でこの問題を取り上げています。A careful decision to comfort an angel (天使を慰める慎重な決断)と銘打ったタイトルからして、擁護の意図をはっきりと打ち出しています。アシュリーを“Pillow Angel”と呼ばわることに対してはinfantilization(赤ちゃん扱い) ではないかと疑問の目を向けるメディアが多い中で、ここではニックネームですらない、引用符すらない「天使」。そして、またもお馴染みのcareful。もちろん内容も、タイトルが示唆する通りです。
この社説は「テレビでアンダーソン・クーパーやポーラ・ザーンが枕の天使アシュリーのケースを論じている映像には、どこか不快な(unsavory)ものがある」との1文で始まります。アンダーソン・クーパーとポーラ・ザーンはCNNの看板キャスター。執筆者は自分自身の不快感を多くの新聞読者も共有していることを前提に書いているようですが、多くの読者は私と同じく、なぜそれが執筆者にとって不快なのか理解できないのでないでしょうか。この冒頭の1文から受け取る印象は、タイトルと同じく「執筆者は完全にアシュリーの両親と同じ視点に立って書いている」というメッセージでしょう。実際、それほど長くもないこの社説の論点は以下の2点なのです。
アシュリーに行われた処置を批判する人の多くは障害児を抱えた家族の苦難など何も知らない。他人の事情をすべて分かるわけでもないのに親を批判すべきではない。
医療の専門家の倫理を疑う人もいるが、40人ものメンバーからなる倫理委員会が承認した以上、医師を批判するには当たらない。
倫理委のメンバーが40人もいたというのは、既に指摘したように、プレゼンを行った際に父親が誤解したものであり、 実際は18人だったようです。が、それよりも目を引かれるのは、They shouldn’t. という1文に象徴されるような、どことなくヒステリックなトーン。要するにこの社説は、アシュリーの両親と処置に関わった医師らを批判する人たちに対する、強い非難なのです。
しかも社説で。
社の公式見解として。
社をあげて、批判するなと金切り声を上げているかのように。
社の公式見解として。
社をあげて、批判するなと金切り声を上げているかのように。
ちなみに結びは、「両親はアシュリーに可能な限りの最善の生活をと望んでいる。そして一番よく分かっているのも両親なのである(両親のブログを読んでみてほしい)」。
最後のカッコ部分は、「両親のブログさえ読んでもらえれば、そのことが理解できるから、誤解が解けるから」と言っているかのようです。
次回に続きます。
2007.07.08 / Top↑
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