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両親のブログでは、医療処置ごとに項目を立てて、それを望んだ理由とその処置がいかにアシュリーのQOLの維持向上に貢献するかが詳細に説明されています。これから3回に分けてそれぞれの説明を眺めていきますが、個々の点について医師らが論文で書いていたこと、メディアで述べていたことを思い出しながら読んでみて下さい。医師と両親の発言内容だけでなく、情報を提示する姿勢にも、くっきりとした対比が感じられると思います。

まず最初は「エストロゲン大量使用による最終身長の制限」。

この処置を望んだ理由として先ず挙げられているのは、現在のアシュリーの体重65ポンド(約34キロ)は、両親が抱え挙げられる限界に近いという事実。さらに50ポンド体重が増えると状況は大いに違ってくる。(成長抑制によって減じられる見込みの身長分の体重が50ポンドです。)さらに、両親以外に介護を託されているのは2人の祖母で、彼女たちにとってはアシュリーの体重は両親以上の負担になる。探してはみたけれども、「有資格者で、信頼するに足り、なおかつ経済的にまかなえる範囲の介護者を見つけることは不可能です」とも。

現在の状態なら介護者一人で抱え上げられるが、この先もっと大きくなったとすると、2人がかりになったり器具を使う必要も生じてくる。小さいままだと、アシュリーも直接家族の腕で抱いて移動させてもらえるし、1日中寝たままテレビを見ているよりも旅行や家族行事にも参加しやすい。また体を頻繁に動かしてもらえれば、血行がよくなり消化器の機能も活発になる。体が伸びて関節も柔軟になる。

さらに子どもサイズの体であることの現実的な利点として箇条書きで挙げられているのは、以下の2点。

①座位がとれない子どもなので、通常サイズの浴槽で入浴させるのは今が限界であり、このまま背が伸びたら入浴方法を考え直さなければならない。

②アシュリーは横になっている方がラクなので、家の中の移動には双子用のベビーカーを改造し、そこに横にならせて使用しているが、このベビーカーの体重制限が限界にきている。

特に③として項目を立ててあるわけではありませんが、「最近になって、ある医師から聞いた」として、体が小さい方が感染症のリスクも低下することが付け加えられています。寝たきりの人は感染症を起こしやすいが、体が小さいことそのものもリスクを減じるし、動かしやすいと、それだけ動きが増えて血行がよくなるため、リスクが低下する。体が小さいことでリスクが低下するとして挙げられている感染症は、辱そう、肺炎、膀胱炎の3つ。ただし、現時点で裏付けるデータはないとの但し書きもあります。

(なお、その後の更新によってこの箇所にはかなりの分量の追加が行われ、その他のメリットも紹介されていますが、当事者の発言を検証するに当たっては、2006年10月の時点と、2007年1月時点という時期に非常に重要な意味があるため、両親のブログの内容については1月22日時点のものを使用しています。)

(また追加部分では、その後ほかの重症児の親のメールの内容から、在宅介護の期間を延ばせることも成長抑制の大きなメリットの1つだと考えるようになったと書かれています。しかし、この検証では論文が書かれた時点と、両親のブログが立ち上げられてメディアに両者の発言が報じられていた1月時点のそれぞれで両者が何を言っているかということが重大な問題なので、この両親の考えの変更については検証の対象外としました。今後も触れませんが、追記の中にそう書かれていることは、ここで紹介しておきます。)
2007.06.18 / Top↑
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