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カナダ、アルベルタ大学のDick Sobsey氏がWhat Sorts ブログで
標題の通りの、たいそう面白い、そして極めて重大な指摘をしています。

06年のGunther&Diekema論文には乳房芽の切除が触れられていない点は
多くの人が指摘しているが、実はもう一つ、触れられていない情報がある、というのです。

それは、Ashleyの体重に関するデータ。

このまま重くなったら親が介護できなくなるという理由で
成長抑制療法が正当化されているというのに
論文はAshleyの体重について具体的な情報を一切明かしていない。

ところが親のブログは、例によって極めて率直で正確で正直ですから
ホルモン療法前から療法の途中、その2年後までのAshleyの身長と体重が
きちんと記録されている。

そのAshleyの身長と体重のデータを、Sobsey氏は、
米国の女児の平均的な伸びグラフの中に位置づけてみているのです。

すると身長については
治療前には平均値の75パーセンタイルだったものが、治療中には50パーセンタイルに、
さらに治療から2年経過したところでは25パーセンタイルの位置へと
確かに抑制効果がはっきりと見られます。




しかし、それなら体重も同様に抑制されているかというと、
なんと治療開始直後に増加しているのです。

06年のG&D論文は一切触れていませんが、
エストロゲンに体重が増えるという副作用があることは
更年期治療のホルモン療法をめぐって広く女性の間で共有されている常識でもあります。

体重を抑制する目的で、体重が増える副作用のある療法を行うことの怪は
Sobsey氏が当初から指摘していた矛盾でした。

このたび氏は、みごとに、かねてからの指摘をグラフ化して見せてくれたわけです。




もともと22キロと、年齢からすると重いほうではなかったのですが、

治療開始直後にぐんと増加した体重は
治療中は順調に(女児一般の成長曲線をなぞるかのように)増え続けます。
そして2年半の治療終了間際になって下がり始めるのですが、
その結果、治療終了から2年後のAshleyの体重は平均値の25パーセンタイルあたり。

(Sobsey氏は療法がおこなわれた期間を「2年」と書いていますが、実際は2年半)

ホルモン療法をしなくても、だいたいそこらに収まっであろう位置で
4年前のパーセンタイルのまま移行した場合との差はわずか2,5キロ。

2,5キロなら、子宮と乳房の摘出のせいだとも言えるのではないかとSobsey氏。

もちろん、このように効果がないから反対するわけではない、
反対するのは、もっと重大な理由があるからだ、とエントリーは締めくくられています。

Ashley…effects of estrogen on weight
Dick Sobsey
What Sorts of People, January 13, 2010


ホルモン療法での成長抑制効果については当初から疑問視する声はありましたが、
これほど明確に効果のなさを提示してくれたSobsey氏に、スタンディング・オベーションを。

こんな程度の効果しかないものを、
ただ、こういう医療介入を思いついた親の自己満足のためだけに
倫理委員会がリスクや侵襲に目をつぶって重症児の権利や尊厳を侵し
やらせてあげただけでなく、

さらにまだ一般化して、多くの重症児に広めようと
ワーキング・グループを作ったり、シンポまで開いたシアトルこども病院――。

いまなお次々に、無茶苦茶なヘリクツと詭弁とマヤカシを並べた論文を書いては
父親の望み通りの“Ashley療法”3点セットを一般化しようと
やっきになっているDiekema、Fost の両医師――。

(さすがに病院はここまではついていけないので、例のWGによる一般化の線はいつのまにか消滅して、
父親の意を受けた2人がどこまでも過激にゴリゴリとやっているのではないか……と
今のところ私は推測しているのですが)

いいかげん、この茶番を終わらせなければならないと感じる人は、いないのでしょうか。
2010.01.14 / Top↑
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