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以前、複数のエントリー(文末にリンク)で取り上げたDiekema & Fost のAshley論文は、
掲載予定の the American Journal of Bioethics誌が
かねて広く一般からもコメンタリーを募集していましたが、
いよいよ12日付の1月号に、当該論文とコメンタリーが掲載されたとのこと。

What Sortsブログで Dr. Sobsey が論評しています。

Sobsey氏の指摘は、おおむね私が指摘した点と同じですが、

重大な指摘が1つあって、
当初06年の論文では乳房摘出を隠蔽していた著者らが今回は
成長抑制のホルモン療法には乳房が大きくなるという影響があるので、
成長抑制をするなら、あらかじめ乳房摘出をしておいた方がよい、と書いていると。

もともと06年の論文はホルモン療法の子宮からの出血という副作用の予防で
あらかじめ子宮を摘出したという論法でしたから、

それらを総合すると、結局、成長抑制療法はいわゆる”Ashley療法”3点セットということになります。

いかに Diekema、Fost 両医師が
成長抑制だけでなく、セットで”Ashley療法”を一般化する必要を感じているかを、改めて思います。

(去年1月に病院が開いたシンポでは、とりあえず成長抑制だけを一般化して収めたかったようですが、
それではどうにも気が済まない人が Diekema、Fost 両医師の背後にいるのではないでしょうか)

また、この2人が他の著者らと去年6月に発表した成長抑制論文では
ホルモン療法の副作用の予防策として子宮摘出に言及すると同時に、
こちらのエントリーで書いたようにカロリー・コントロールも併用しろと言っています。

ここまで無茶苦茶な、論理にもならないヘリクツを振りかざして、
成長抑制をなにがなんでも一般化しなければ気が済まない――。

もはや論争としても、議論など成り立っていないと私は思うのですが……。


Sobsey氏のエントリーで、もう1つ面白いと思ったのは、
「著者らは、自らが負っている証明責任を批判する側に背負わせている」と私が指摘したのに対して、
Sobsey氏は「著者らは正当化し、批判し、その裁定を下すという3役を演じている」という表現で、
同じ点を突いていること。

また、ただ論文を掲載するのではなく、
それに対するコメンタリーも同時掲載するという今回のAJOBの姿勢を評価。

Ashley Revisited…American Journal of Bioethics
By Dick Sobsey
What Sorts of People, January 12, 2010


コメンタリーの一覧がSobsey氏のエントリーの最後につけられており、
Sobsey氏自身のものも含めて9本。

――おや? と思うのは、

Adrienne Asch と Sara Goeringの2人は
シアトルこども病院が組織した/成長抑制ワーキンググループのメンバーであること。

こんなところに批判コメンタリーを書くなら
あのWGはどうして「成長抑制は倫理的に妥当で他の重症児にも一般化できる」との
“妥協点”に達してしまったのでしょうか。

この事件、本当に奇怪なことだらけです。


2010.01.13 / Top↑
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