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なだいなだ氏の「こころ医者講座」を読んで、すぐに思いだし、
切り抜きを引っ張り出してきた。

今年3月18日の朝日新聞の地方版で、
鳥取県の「野の花診療所」の徳永進医師の
在宅ホスピスの取り組みを取材した記事。

最後まで家でなるべく快適に過ごせるかどうかは
痛みのコントロールがうまくいくかどうかにかかっている、
痛みがあると心も落ち込みやすいが、
「痛みが消えれば谷底からはい上がろうという希望が生まれる」と語り、

医療麻薬を適切に使える医師を増やして行かなければならないと
徳永医師は、今後の課題を述べているのだけれど、

そこまでなら、緩和ケアの専門医があちこちで言っていること。

私がこの記事を切り抜いたのは、そこのところではなくて、
その後に、付け加えられた数行。

それと「痛みを引き受ける」というメッセージを、
患者さんにきちんと伝えること。

「自分は見放されていない」と分かってから渡される薬と、
ただポンと渡されて飲む薬とでは効き方が違う。



こころ医者、ですねぇ。徳永先生――。


90年代の脳死論争の直後に“転向”して以来、
誰よりも熱心な「科学とテクノ」信者だった立花隆氏が
自身がガンになって、世界中の治療研究の最先端を巡り歩き、
最後に徳永医師の診療所にたどり着いて、

「人間には、きっと、ちゃんと死んでいく力が備わっている」と言ったのは
ものすごく示唆に満ちた言葉だったと思う。


そういえば、
やはり緩和医療で有名な柏木哲夫先生の講演を聞いた時に、

末期がんで寝たきりになって、もう身体のどこも動かせなくなっていたおばあさんに、
最期のお別れをさせてあげようと、ずっと可愛がっていた犬を家族が家から連れてきて
胸の上においてあげたら、

ずっと動かせなくなっていたはずの腕が胸のところまで上がってきて、
犬を抱いた……と。

もう何年も前に聞いた話なのだけど、
今でも、その話を思い出したら涙が出そうになる。

人の思いの強さというものに――。

「人間には、科学では説明できないことが起こる」と
その時に柏木先生が言われたのも心に残った。

医者のくせに。

こんな非科学的なことを平気で言うのだから、
こころ医者ですねぇ。柏木先生も――。



ちなみに、去年、アメリカの医学雑誌上での、
認知症患者の終末期医療を巡る、こころ医者と、ただの医者の論争がこちら。

「認知症患者の緩和ケア向上させ、痛みと不快に対応を」と老年医学専門医(2009/10/18)
「認知症はターミナルな病気」と、NIH英米では資金の終末期認知症ケア研究(2009/10/18)
NYTもMitchell, Sachsの論文とり上げ認知症を「ターミナルな病気」(2009/10/21)


英国ではこんな実態も。

“終末期”プロトコルの機械的適用で「さっさと脱水・死ぬまで鎮静」(英)(2010/9/10)

2010.06.04 / Top↑
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