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世界中の人たちが病気やけがや障害のインパクトをどのように受け止めているか調べようと
Washington大学のIHME(ゲイツ財団の私設WHOとも言われる)が
去年から世界のあちこちで調査を行っており、

IHMEとHarvard大、Johns Hopkins大、Queensland大、そしてWHOによる
Global Burden of Disease, Injuries and Risk Factors Study 2010の一環として、
現在インターネットでのアンケート調査を実施中。

責任者はIHMEの所長でDALYの考案者でもあるMurray医師と
Harvard 大の国際医療の助教授 Joshua Salomon医師の2人。

グローバル・ヘルスに莫大な資金が投入されている以上、
正確なデータが必要だ、として

例えば、以下のような質問に答えが求められている。

ここに2人の人がいます。一人は全く目が見えません。もう一人は絶え間のない強い腰痛に苦しんでいます。総じて言えばどちらの人が健康でしょう?

申し分のない健康状態で5年しか生きられないことと、重症障害を負って15年生きることのどちらかを選ぶとしたら、どちらがいいですか?



Institute for Health Metrics and Evaluation launches landmark survey to discover the impact of disease worldwide
W UNIVERSITY WEEK, August 19, 2010


今現在全く健康だからといって、この先5年間そのまま生きられると
誰かに保障してもらえる人間なんか、世界中どこにもいないし、

健康だろうが、持病があろうが、重症障害があろうが、
人がこの先何年生きるかなんて、見通すことのできる人もいない。

どっちがいいかという質問に答えることはできても、
その選択を実際に生きることのできる人はどこにもいない。

みんな、「今ここに生きている自分」を生きていくだけじゃないか。

じゃぁ――
大恋愛で結婚したら、思いがけない事故ですぐに死んでしまう人生と、
大恋愛で結婚したら、子ども3人のうちの1人がグレて一生苦労させられる人生と
大恋愛で結婚したら、何となくうまくいかなくなってズタズタに傷つけあって離婚する人生と、
大恋愛で結婚したら、自分が難病にかかって、相手の会社が倒産してしまう人生と、
大恋愛で結婚したら、きまぐれで始めたビジネスが大当たりして世界中を飛び回って暮らす人生と、
上記のうち、死ぬの以外がどこかで全部起きてしまう人生と、
どれがいいですか?

選ぶことができない性格のものを並べて
あたかもそれが選べる性格のものであるかのように選ばせ、
あまつさえ、その結果を何かの施策の参考データとして使おうというのは、
質問することそのものが、どこかいかがわしくはないだろうか。

それより――

あなたが脳卒中の後遺症で半身が不自由になったとします。
急性期はもちろん維持期まで個別計画にのっとったリハビリを受けられる国と、
急性期だけでさっさと打ち切りにされて、後は事実上見棄てられる国と、
どっちに住みたいですか――?


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2010.08.21 / Top↑
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