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このエントリー、
前のHCRの重症児の親による成長抑制支持論文にClaireさんが見事な反撃の続きです。


私はもう長いこと、この人のブログを読んでいるけど、
Claireさんは、たぶんBill Peaceとの出会いあたりから、
ものすごい勢いで様々なものを吸収し、学んで、ぐんぐん変ったような気がする。

ここへきて、ついにPeaceを追い越しちゃったのかもしれない。

なにしろBill Peace氏の方は
Walker論文で「障害当事者から疎外された」と批判されたことに
かなりオタオタして、妙に中立的なところに逃げている。
障害児の権利が侵害されたと主張してきたくせに、それでは話の筋が通らない。

私自身は、
親と子の間、介護する者とされる者の間には
避けがたい利益の相克、権利の衝突があることをこそ、
Ashley事件・成長抑制の倫理問題は突きつけていると考えているので、

その相克や衝突を考える上では、障害者運動の人たちには、もちろん
親の置かれている立場や抱えているニーズや問題にも理解の目を向けてほしいけれど、
仮に、どちらかに自己同視して論じるしかない場面があるとしたら
私は障害当事者や運動には、親の側ではなく、断固として子どもの側に立ってほしい。

だから、Bill Peaceも、障害者運動のサイドも、
堂々と「自分たちは、もの言えぬ子どもの側に立つ」と言い切ればいいのだ、と思う。

そして、親の思いやニーズを考えても、
親が支援の手を借りつつ安心して子育てができ、
親が安心して子を託して死んでいける社会が作られることが必要なのだと、

それは、まったくClaireさんが言う通りなのだから、
そのことを一緒になって訴えていこうよ、と親に呼び掛けてくれれば、と思う。

私たち重症児の親も、障害者運動から学ぶ必要があるというのは
本当にClaireさんが言う通りだ。

子どもの障害を知った時から、
私も自分の主観では、ずいぶん頑張って闘い続けてきたつもりになっていたけれど、
そんなの、わずか20年程度のことだ。それに、本当は、ただ腹を立てていただけで、
私は何も知らず、知ろうともせず、何もしてこなかった。

Claireさんが言うように、目の前の我が子という一本の木、
我が子が通う施設、入所している施設、私たちの住んでいる町という木を眺めていただけのこと。

私が森の存在にやっと気付いたのは、Ashley事件と出会ってからだった。

そんな私でも、森が見えてくれば来るほど、
時々「なぜ、通じないのか!」と、やるせなく、歯がみする思いになることがある。

でも、このブログを始め、
いくつかのMLに参加させてもらって、いろんなことを知り、いろんな人と出会い、
最近、歯がみする思いになるたびに頭に浮かぶのは、

私などよりも、ずっとずっと前から、闘い続けてきた人たちがいる、ということ。

このやりきれない思いを抱えたまま、その思いにじっと耐えながら、
何十年も闘い続けてきた人たちがいる……ということ。

重症児の親として、私も障害者運動に対して思うことは様々にあるけれど、
その運動の長い歴史と、そこに参加した多くの人たちを思う時、

私よりもはるかに昔から、当事者として、私が想像もできないほど深く傷つき、
私よりももっとやり切れない思いを抱えて、それでも声を上げ、
闘い続けてきてくれた人たちに対して、深い敬意と感謝に包まれる。

長い年月の運動によって思考と心を鍛えられてきた人たちの声の強さ、明瞭さに打たれる。
その声が語る言葉に耳を傾け、私も学び、考えたいと思う。

私は私にしか語れない一本の“木”のことを語り続けながら
より大きな“森”を見る努力をし、森のことを一緒に考えていきたいと思う。

そのことを通じて、私も障害のある子をもつ親として、思考と心とを鍛えられ、
いつか、その時がきたら、託してゆく勇気を持てる親に成長していたい、と思う。

そして、その時には、
総じて信頼し、子を託していける人間社会だと、思える世の中であってほしい。



【関連エントリー】
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2010.11.17 / Top↑
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