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たまたま昨日、「これからの『正義』の話をしよう」
代理出産の契約は市場に馴染むか、という問題の下りを読んだばかりだった。

10月14日に標題の通りのニュースがあったらしい。

Abortion of surrogate fetus with DS sparks ethics debate
Disability News, October 14, 2010


カナダで、ある夫婦の精子と卵子を使って代理母が妊娠している胎児に
出生前診断でダウン症の可能性が高いことが分かった。

(こういう場合、本当は「代理母が妊娠している」という表現は、おかしいですね。
代理母は「妊娠している」というよりも「胎児をおなかの中で育てている」と言う方が、より正確。
まさにサンデル教授の言う「借り腹」。でも、それは行為全体を指す名詞だから
代理母のそういう行為を表わす動詞としては英語だったら carryingで済むのだろうけど、
日本語では……? 「育てている」というのも、やっぱり違うような気がする)

ダウン症の確率が高いなら、と、
夫婦は代理母に妊娠中絶を要求し、
代理母はそれに抵抗した。

しかし、3人が署名した契約では、
代理母が夫婦の意思に逆らって産むことを選んだ場合には
生まれてくる子どもの養育に関して夫婦には経済的な責任が全くないことになる。

やがて代理母は折れて、中絶を受け入れたという。

カナダの生殖補助医療カンファレンスでこのケースを報告した(ただし匿名)医師は
代理母契約が増えている中、このような倫理問題を考えると、
代理出産契約に法的な規制が必要なのではないかと問題提起。

生命倫理学者らから、
人間の生命は工場の物品じゃないのだから
ビジネスの契約法は代理母契約にそのまま当てはまらない、との声が出ている。

Calgary Herald紙も社説で
代理母とその他IVFの問題には決定的な議論が必要、と。


あー、でも、きっと、こういうこと、
表に出ないだけで、今までにも実際には結構あったのでしょうね……。



【追記1】
この記事をアップした際に、Yahoo!が自動的に拾ってきた記事に、
2007年の同じような話題があったので、その方のブログ記事を以下にTBしました。
「この中絶は、代理母のあなたが中絶するのではなく、
あくまで我々に代わって中絶する代理中絶」と
依頼者夫婦は主張したとか。


【追記2】
ついでに、今日の補遺に拾った気になる話題を2題、以下に。

オーストラリアで、出生前遺伝子診断でダウン症の可能性が出たことを理由にする妊娠中絶手術が、
2006年までの10年間で3倍に。
http://www.patriciaebauer.com/2010/07/29/australia-ds-related-abortions-29941/

聾の関連の全遺伝子をチェックするスクリーニングが可能に。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/208133.php
2010.11.18 / Top↑
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