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法の明確化を求めて裁判を起こし、
ここ数年の英国での急激な「死の自己決定権」議論の高まりと
09年の公訴局長のガイドライン制定のきっかけを作り、
その後もすっかり合法化ロビーの広告塔として存在が定着した
MS患者のDebbie Purdyさんが興味深い方向転換の様子を見せている。

NICE(医療技術評価機構)が治療ガイドラインを2003年から更新していないため、
英国NHSでMS患者が使える薬の種類は地方によって格差があり、
国際的に見てもMS治療薬へのアクセスでは英国は最下位に近い。

英国MS協会はこの状況に改善を求めて運動を始めているが、
そこにPurdyさんも行動を共にして議会に訴えることに。

で、以下のGuardianでの彼女の発言は、

MSの人たちの自殺率は高すぎます。
必要な薬とサービスを得るために彼らはたいへんな思いをしているのです。
それらがあれば生活は改善できるというのに。

多くの人が誤解していますが、
MSは克服不能な障害ではありません。
正しい手助けと支援があれば何年も生きることが可能です。
選択肢がないからという理由で酷い選択をせざるを得ないとしたら
それは間違っています。

    ――――

生きることが耐え難くなったら自分で終わらせる
権利を求めるMS患者として私は知られています。
私が生きることを耐えられるものにしてください。

Debbie Purdy presses MPs to improve access to multiple sclerosis drugs
The Guardian, March 28, 2011

Access to MS treatment criticised
Press Association, March 2, 2011


だ・か・ら、
あなたが今言っている、そのことをこそ
自殺幇助合法化に反対する人たちは
あなたが自分と自分の夫のことだけを念頭に
せっせと死ぬ権利を求めて広告塔をやっていた間も、
ずっと主張し続けてきたんですけど……?

それにしても、まったく、この人らしいと思うのは、

自分が使いたい薬があって、
でも、それは他の薬が効かなくなった際の最後の手段とされている薬なので、
自分が住んでいる自治体のトラストが認めてくれるかどうか分からないという
個人的な問題に直面して初めて、

こういうことを考え、言い始めたらしいこと。

自分の病気以外の病気や障害には相変わらず想像力が及ばず、
一般化して問題を考えることは相変わらずできないらしいこと。

まぁ、理由はともかく、
転換してくれるのならありがたいですが、

あなたが転換したら、
メディアはこれまで通りには、もてはやさなくなりますよ。きっと。

あ、もう1つの「権力が批判を抑える場合によく使う姑息な手段」で
あなたの求めている薬だけは、もしくは、あなただけは使えるようにしてもらえれば、
転換するのは引っ込める……なんてことは、あなた、まさか、しませんよね?


【Purdyさん関連エントリー】
MS女性、自殺幇助に法の明確化求める(2008/6/27)
親族の自殺協力に裁判所は法の明確化を拒む(2008/10/29)
自殺幇助希望のMS女性が求めた法の明確化、裁判所が却下(2009/2/20)
Debby PurdyさんのBBCインタビュー(2009/6/2)
自殺法改正案提出 Falconer議員 Timesに(2009/6/3)
MSの教育学者がヘリウム自殺、協力者を逮捕(英)(2009/6/26)
作家 Terry Pratchett ”自殺幇助法案”を支持(2009/7/1)
英国医師会、自殺幇助に関する法改正案支持動議を否決(2009/7/2)
英国上院、自殺幇助に関する改正法案を否決(2009/7/8)
Purdyさんの訴え認め、最高裁が自殺幇助で法の明確化を求める(2009/7/31)
Purdy判決受け、医師らも身を守るために方の明確化を求める(2009/8/15)
法曹関係者らの自殺幇助ガイダンス批判にDebbie Purdyさんが反論(2009/11/17)
Debbie Purdyさんが本を出版(2010/3/22) 
2011.03.28 / Top↑
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