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カリフォルニア州サン・ガブリエルに、不思議な家があったという。

瀟洒な作りのその家には、若いアジアの女性が何人も頻繁に出入りする。
どの女性も裕福そうである。しかも、どの女性も妊娠していたり、
生まれたばかりの赤ん坊を連れていたりする。

サン・ガブリエルそのものがアジア系の移民の集まる町で、
それも定住するよりも通り過ぎる人たちのニーズに応える場所になりつつある。
1つの家に臨時に住んでいる人たちが40人ばかりも、ということだって
決して珍しくはないのだけれど、

妊婦ばかりというその家の異様さは
そんな町でも人目を引いて、近所ではずいぶん前から噂になっていたという。

近所の苦情を受けて建築調査官と警察官とが家に入ったところ、
そこには何人いるのかわからないほど沢山の中国人女性がいた。

そのうち赤ん坊を連れていた10人は
とりあえず近所のモーテルに移されたが、

一体何人がいたのか、これまで何人がそこにきたのかは不明。

彼女らは何万ドルものお金を払って、
米国内で出産するためだけに中国からやってきた女性たち。

米国憲法の修正第14条により
米国内で出生した子どもには米国籍が与えられる。
子どもが成人すると両親にも米国籍を求めることが可能となる。

裕福な中国女性たちは旅行者ビザで米国に入国し、
出産、子どもに米国籍を得て自国に帰っていく。

そのどこにも違法性はない。

そうした「出産ツーリズム」が米国内で
どこまでビジネスとして広まっているのかは不明だが
中国、メキシコ、韓国には医師、保険、産後のケアをパッケージにした
「出産ツーリズム」ビジネスがあるという。

女性たちの行動に違法性がない以上、
今回のサン・ガブリエルの家も
部屋ごとの仕切りが建築法に違反だとして閉鎖されただけで
当局は今後の対応に頭を痛めているという。

しかし、こうして表面化した以上、今後の対応が必要となることは必定。

去年、移民法の厳格化を求める議論はあり、
修正14条の廃止まで説く議員もいたが、
それは不法移民を念頭に置いたものだった。

Arriving as Pregnant Tourists, Leaving With American Babies
The NYT, March 28, 2011
2011.03.31 / Top↑
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