HIV感染者で腎不全になる人は少なくない。
HIV感染そのものが原因で起こる場合もあれば治療薬が起因となる場合もある。
元々の健康状態が良くないとか、HIVで移植した臓器も痛む、
免疫抑制剤がHIVウィルスをさらに強力にする、などの理由で
以前はHIV感染者への臓器移植は認められていなかったが、
最近、感染者にも臓器移植が認められるようになった。
2000年には9人だったが、
去年は179人のHIV感染者が腎臓または肝臓の移植を受けた。
しかし相変わらずウエイティング・リストは長い。
そこで、こうした患者向けに、
1988年に禁じられたHIV感染者からの臓器移植を
解禁するべきだという声が出ている。
1988年当時はエイズと言えば死病だったが、
現在ではエイズは治療可能な病気になっているのだし、
最近の調査によれば解禁した場合には年間500から600の
HIV感染肝臓と腎臓が移植に使えることになる。
それらを一つ移植するごとに健康な臓器は別の人に回されて
リストはそれだけ短くできる、というのが理由。
さらに、腎不全や肝不全を起こすよりも
既に治療可能になったのだからHIVに感染する方がマシだという考え方もあるとして
HIV陰性の患者にも移植してもよいし、むしろ、医学的に考えて
そうすることが妥当だというケースもあると思う、と言うのは
UNOS(the United Network for Organ Sharing)の長であるCharlie Alexander氏。
こうした要請を受け、CDC他が近く新たなガイドラインを出して
陽性者から陽性者への臓器移植についての研究を奨励するとのこと。
DCDの血液、臓器、人体組織安全部局の長である
Dr. Matthew Kuehnertは、
「わざわざHIVを感染させるなんて、おぞましい、という声が聞こえる気がするが、
そういう人には分からないのだ。今の時代に移植のことが分かる人なら
それだけのニーズがあるということくらい分かっている」
稀ではあるが、誤って感染臓器が移植されたケースはある。
2007年、シカゴで
一人の死亡ドナーから移植を受けた4人の患者がHIVに感染。
ドナーへの検査は行われていたのだが、
感染してから検査までの期間が短かったために
検査では陰性と出ていたのだという。
これまでのところHIV陽性のドナーから同じく陽性のレシピエントへの移植は
南アフリカで2008年にDr. Elmi Mullerによって
「これらの腎臓を文字通りゴミ箱に捨てて無駄にするよりは」と行われた4例のみ。
直後にそんなことをしていいのかと疑問が呈され、
倫理委員会が検討。最終的に認められた。
Muller医師はこれまで10例を手掛け、
拒絶反応が起きたのは1例のみとのこと。
もっとも米国ではC型肝炎の患者がC型肝炎の患者の臓器を
移植して生きているというケースは多いとも。
今回の解禁論について
米国のHIV感染者の間では反応は分かれており、
ドナーが自分よりも強いウイルスに感染していたら、と懸念する人もいれば
健康な臓器をもらうまでに長い時間を待つよりも
それだけ早く移植を受けられるのなら、そちらをとりたいと考える人も。
また
スティグマによって
HIV感染者に移植するのは臓器の「無駄遣い」だと言われることもあるのだから
感染者同士で互いに助け合うという考え方でいい、
自分たちは生きるためにとにかく腎臓が必要なんだから、と言う人も。
A New Push to Let H.I.V. Patients Accept Organs That Are Infected
The NYT, April 11, 2011
【追記1】
これをアップした際に見つけた、ひと様のブログ記事。↓
万波医師、感染症患者から腎移植
骨髄バンク 2007年2月17日
【追記2】
上記、「最近の調査によると解禁した場合には」とある個所の元論文はこちら ↓
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1600-6143.2011.03506.x/abstract;jsessionid=8D3772C393DFAA2026C6FD18038D104C.d03t01
HIV感染そのものが原因で起こる場合もあれば治療薬が起因となる場合もある。
元々の健康状態が良くないとか、HIVで移植した臓器も痛む、
免疫抑制剤がHIVウィルスをさらに強力にする、などの理由で
以前はHIV感染者への臓器移植は認められていなかったが、
最近、感染者にも臓器移植が認められるようになった。
2000年には9人だったが、
去年は179人のHIV感染者が腎臓または肝臓の移植を受けた。
しかし相変わらずウエイティング・リストは長い。
そこで、こうした患者向けに、
1988年に禁じられたHIV感染者からの臓器移植を
解禁するべきだという声が出ている。
1988年当時はエイズと言えば死病だったが、
現在ではエイズは治療可能な病気になっているのだし、
最近の調査によれば解禁した場合には年間500から600の
HIV感染肝臓と腎臓が移植に使えることになる。
それらを一つ移植するごとに健康な臓器は別の人に回されて
リストはそれだけ短くできる、というのが理由。
さらに、腎不全や肝不全を起こすよりも
既に治療可能になったのだからHIVに感染する方がマシだという考え方もあるとして
HIV陰性の患者にも移植してもよいし、むしろ、医学的に考えて
そうすることが妥当だというケースもあると思う、と言うのは
UNOS(the United Network for Organ Sharing)の長であるCharlie Alexander氏。
こうした要請を受け、CDC他が近く新たなガイドラインを出して
陽性者から陽性者への臓器移植についての研究を奨励するとのこと。
DCDの血液、臓器、人体組織安全部局の長である
Dr. Matthew Kuehnertは、
「わざわざHIVを感染させるなんて、おぞましい、という声が聞こえる気がするが、
そういう人には分からないのだ。今の時代に移植のことが分かる人なら
それだけのニーズがあるということくらい分かっている」
稀ではあるが、誤って感染臓器が移植されたケースはある。
2007年、シカゴで
一人の死亡ドナーから移植を受けた4人の患者がHIVに感染。
ドナーへの検査は行われていたのだが、
感染してから検査までの期間が短かったために
検査では陰性と出ていたのだという。
これまでのところHIV陽性のドナーから同じく陽性のレシピエントへの移植は
南アフリカで2008年にDr. Elmi Mullerによって
「これらの腎臓を文字通りゴミ箱に捨てて無駄にするよりは」と行われた4例のみ。
直後にそんなことをしていいのかと疑問が呈され、
倫理委員会が検討。最終的に認められた。
Muller医師はこれまで10例を手掛け、
拒絶反応が起きたのは1例のみとのこと。
もっとも米国ではC型肝炎の患者がC型肝炎の患者の臓器を
移植して生きているというケースは多いとも。
今回の解禁論について
米国のHIV感染者の間では反応は分かれており、
ドナーが自分よりも強いウイルスに感染していたら、と懸念する人もいれば
健康な臓器をもらうまでに長い時間を待つよりも
それだけ早く移植を受けられるのなら、そちらをとりたいと考える人も。
また
スティグマによって
HIV感染者に移植するのは臓器の「無駄遣い」だと言われることもあるのだから
感染者同士で互いに助け合うという考え方でいい、
自分たちは生きるためにとにかく腎臓が必要なんだから、と言う人も。
A New Push to Let H.I.V. Patients Accept Organs That Are Infected
The NYT, April 11, 2011
【追記1】
これをアップした際に見つけた、ひと様のブログ記事。↓
万波医師、感染症患者から腎移植
骨髄バンク 2007年2月17日
【追記2】
上記、「最近の調査によると解禁した場合には」とある個所の元論文はこちら ↓
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1600-6143.2011.03506.x/abstract;jsessionid=8D3772C393DFAA2026C6FD18038D104C.d03t01
2011.04.14 / Top↑
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