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6月13日にロンドンで行われたGAVIのワクチン・カンファについては
多くのニュースが流れており、当ブログでも補遺で何度も拾ってきました。

これまでの流れを補遺から抜き出してみると(ソースはそれぞれの補遺にリンクしてあります)、

5月30日の補遺

緊縮予算への批判が高まる中、英国のCameron首相が途上国へのワクチン支援の増額を約束。



6月6日

途上国の予防接種普及に向けた資金調達会議がロンドンで開催されるのを前に、製薬会社がワクチンの値下げを発表。

:社会保障の大幅カットで批判を浴びているキャメロン首相が途上国のワクチン支援を増額すると、そういえば発表したばかりでもある。なにやら世界中で、既に出来上がったシナリオ通りに役者が演じているって感じがしない?




13日

2015年までにGAVI(ワクチンと予防接種のための世界同盟)が必要とする37億ドルを調達するために開かれた 国際資金提供カンファで、米、英、仏、独、日ほかが協力を約束。オーストラリアも2013年までの3年間にGAVIに2億1000万ドルを提供することを 約束。Bill Gatesも23億ドルを約束。

:これは各国にとって、「ワクチンの10年」という経済と金融の祭りに参加するための通行税みたいなもの? GAVIについては、上記ビルダーバーグ会議関連の最後にリンクした去年6月29日のエントリーに。

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Cameron首相が国内の社会保障サービスや給付を大幅にカットして、多くの高齢者や障害者から非難を浴びながら も、途上国への支援を増額したことについて、Bill Gatesが称賛。

:こうして慈善資本主義に方向づけられていくグローバル経済で生き残るためには、各国政府はなによりも慈善資本王国の帝王サマの歓心を 買い、そこで次々に消費されるマーケットに漏れなく参入させていただくために、たとえ自国民を飢えさせ見殺しにすることになろうとも多額の資金を使って次 なる新たなマーケット作りにも積極的に参加しなければ……って?



14日

英国首相は昨日これでBill Gatesからおほめの言葉をいただいていたのだけど、途上国のワクチンに8億1400万ポンドを出すと明言したことで国内で非難を浴びている。本人が 「国内で厳しい予算削減を敢行している時だから論議を呼ぶ」と認めつつも「途上国の8000万の子どもにワクチンを打ち140万のいのちを救うことには人 道上の意味がある」と。

:人道上というよりも、英国が「ワクチンの10年」祭りに取り残されないために、経済・産業施策上の生き残り策なのよ、だから、国 内の社会保障はカットできても、こっちはカットできないんだ……とは、やっぱり言えないかぁ。

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日本で、ワクチン同時接種で死亡する子どもが8人になったにも関わらず「因果関係は不明」と言い続けなければならないことのカラクリも、英国首相の事情と同じなんだろうか?




ゲイツ財団の音頭で世界中からかき集められる途上国へのワクチン資金については
ネガティブなコメントがメディアに登場することはほとんどないのですが、

昨日のCBSに、面白い記事がありました。

冒頭、13日のサミットで400億ドルを集め、
提供者らの偉業をほめたたえるBill Gatesのスピーチを紹介。

英国やオーストラリアからの巨額の資金提供について触れた後で、
「こうしたキャンペーンに疑義をはさむ人もいる」として
以下のコメントを紹介しています。

まずは国境なき医師団のワクチン専門家 Daniel Berman医師は
命を救うためにこれほど多くの資金が約束されることは心躍ることではあるが
もとは何100万もの人々が納めた税金であり、それが本当に適切に使われるのかどうか疑問だ、として

「なんだって、我々はこうしてビッグ・ファーマに儲けさせてやっているんですか?
我々に言わせれば、利益の相反があることは歴然としているし、
こんなの、企業の利益でしかない」

また、医療制度そのものが崩壊している国にワクチンを届けても、
倉庫で眠っておしまいだと指摘する専門家もいる。

ロンドンのCity大学の公衆衛生の専門家 Sophie Harman医師は
「肺炎や下痢などのグローバル・ヘルスへの対応として
ワクチンへの投資が奇跡の解決策ではないという事実は知っておくべき。

医療のインフラ整備にきちんと資金を回さない限り、
ワクチンにいくら資金を投入しても、それは無駄になるばかり」と。

またこの記事は、
2009年にLancetに報告された調査で
途上国の多くがワクチン接種率を実際よりも高く申告していたことが判明したことに触れ、
これらの国が実際には申告の半分の子どもにも接種していないと
指摘する研究者もいる、と。

Vaccine summit raises $4 billion, but will it be wasted?
CBS, June 14, 2011


この記事が触れているLancet論文については、
当ブログでも以下のエントリーでとりあげています。

「貧困国はワクチン接種した子どもの数を水増ししている」とIHME論文(2008/12/13)


それから、Harman医師の懸念を裏付けするように、最近、
途上国で大量のワクチンが行方不明になっているとのニュースも出てきています。

こちらは4月21日の補遺で拾っていて ↓

ゲイツ財団が力を入れている途上国でのマラリア撲滅運動で、2009年から2011年にかけてアフリカを中心にした11カ国でマラリア・ワクチンが盗難に遭い、どこかに消え去ったことが判明。消えたのは、250万ドル相当の大量のワクチン。

:世界中のカネもちからカネを集めて、そのカネでワクチンを大量に買うことができれば、そのワクチンを作っている会社の株主さんはそこまででも全然OKなのかもしれない。



なによりも、国境なき医師団のワクチンの専門家というのは
実際に現地のワクチン事情を肌身で見聞・体験している人ですよね。

その人が「なんでビッグ・ファーマを儲けさせているんだ?」と言い、
このキャンペーンには利益の相反がある、と指摘している言葉には
ものすごい説得力があるという気が私にはしますが。


【関連エントリー】
ゲイツ財団はやっぱりビッグ・ファーマの株主さん(2011/3/28)
“プロザック時代”の終焉からグローバル慈善ネオリベ資本主義を考える(2011/6/15)
2011.06.16 / Top↑
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