政治家がわざわざスタッフを置いて
毎日、インターネット上に流れる情報の中から
自分に関するものをチェックしている……って、ご存知でした?
米国カンザス州のBrownback知事の「コミュニケーション担当」スタッフ、
Sherrinene Jones-Sonagさんは毎日ツイッターとフェイスブックで流れる情報から
知事の名前を含むものををチェックしているんだとか。
そのカンザスでの出来事――。
11月21日、
子ども達に州政治について学んでもらおうという趣旨のプログラム
the Youth in Governmentに参加して4年目になるEmma Sullivanさん(18)は
いくつかの高校の生徒たちと一緒にトピカの州庁見学ツアーに参加した。
そして、知事の挨拶を黙って聞きながら、
「Brownback知事に酷いことを言うたった。
アンタなんかダメよって面と向かって言ってやったわよ」と
ツイッターで無邪気なホラを吹いた。
そして、もちろん、そのツイートは知事名を含むため、
「コミュニケーション担当」Jones-Sontagさんのアンテナに引っかかる。
「あのツイートには敬意というものがありませんでした。
ほんとうに建設的な対話をもつためには相互に敬意がなければ」と、
Jones-Sontagさんは見学ツアーを企画した the Youth in Governmentに連絡。
「だって生徒たちがツアーについてどんなコメントをしているか
企画した組織がちゃんと把握していることは重要だし、
生徒にしても、こうしたメディアの影響力をちゃんと知っていなければ。
インターネットにあれば、その影響力は続くんですから」
それを受けてThe Youth in Governmentは即座に高校に連絡。
Sullivanさんによると、
彼女は校長室に呼ばれ、約1時間に渡って叱責された。
学校と地域に「恥をかかせた」ので知事室との「関係修復」が必要だと言われ、
校長が示した要点を盛り込んで知事室に謝罪の手紙を書くよう迫られているとのこと。
メディアの取材に校長は
「(生徒の懲罰は)校内の問題で私的な問題。公的な問題ではないので」ノー・コメント。
なんの考えもなく、しょーもないツイートを流したSullivanさんは
「流したことは後悔してない。だって誰も傷つけてないじゃん。
知事が言ったことを実際に批判したわけでもないし」
「あたしたち、みんなリベラルだから、知事の考えの大半には反対なわけ。
たかが18歳だって、ちゃんと自分の信念はあるわ。知事の信ずるところだって分かってるし、
そこが相いれないんだから、それは何があったって変わらないわよ」
さも、いっぱしのことを口走ってみせるが、
来年度アーカンソー大学に入学予定の受験生としては
高校からの内申書に余計なことを書かれずに済むためなら、
謝罪文は書いたっていいと思っているんだそうな。
Teen’s joking tweet on Topeka trip creates a capital fracas
Kansas City Star, November 23, 2011
ウィチタ大で政治家学を専攻する大学生の19歳の姉が、
「自由に意見を述べろと言われても、これでは子どもはそんな気になれない」と言うほど
中身のあるツイートじゃないだろ、調子に乗んな、こら……とは思うけれど、
「こんなにチッコイことに時間と税金を無駄遣いして大騒ぎするのは
知事にとっても学校にとっても逆に恥ずかしいことだと思う」と
姉が言っているのは、ピンポン。
「知事が女子高生に面と向かって罵倒された」という事実無根の情報が
ネットで独り歩きするのが怖かったんだろうけれど、
実際にそれが拡散されたとか大騒ぎになったというわけでもないのに
その程度のデマがネットで流れることに神経をとがらせて反応する知事室スタッフって……?
その操作性の背景にある幼児性に目を向けると、
「恥ずかしい」というより、それは、いっそ「恐ろしい」。
権力を我が手に握った喜悦を節操もなくダダ漏れに、
涎でも垂らした3歳児みたいな政治家の破顔一笑を
自分の国で見てしまった直後だけに、
「オトナの顔をしたコドモの政治家」が
なおさら生々しく、恐ろしい。
そういう人は、
オトナの顔をした冷たく汚いオトナだった「コイズミ劇場」の仕掛け人とは
また一味違うんではないか、という気がする。
オトナの顔をしたコドモは恐ろしい。
コドモは自分の思い通りにならないことがあったら暴れる。
ほんものの子どもは暴れたって大した力をもたないけれど、
オトナの顔をしたコドモが気に入らないことに暴れると犠牲者が出る。
オトナの顔をしたコドモは自分の力を確認し安定するために
常に他者をコントロールしていなければ気が済まないから、
たまたま他者コントロールの手段というオモチャを手にすると、
たちまちコドモらしい全能感の虜になってコントロールをエスカレートさせていく。
監視し、操作し、干渉し、コントロールする。
そして世の中がまた虐待的な親やDV夫のような場所になっていく……。
【監視社会関連エントリー】
従業員をパソコンで監視・管理する世界へ(2008/2/12)
スパイウエアで子どもを監視しようって?(2008/3/17)
英国
中学の成績が一生データベースに?(2008/2/13)
国民DNAデータベースめぐり論争再燃(2008/2/24)
国民の電話とEメールの全記録を国が管理って?(2008/5/24)
NHSの患者データから研究者が治験参加者を一本釣り?(2008/11/18)
「無実の人のDNAサンプル保管は人権侵害」と欧州人権裁判所(2008/12/6)
情報で国民を監視・管理する社会へ(英)(2009/1/11)
100万人以上の子どものDNA情報が国のデータベースに(英)(2009/2/27)
「英国政府のデータベース4分の1は人権侵害」と報告書(2009/3/24)
国民データベース諦めて、代わりに「ネットと電話利用歴みんな残せ」と英国政府(2009/4/28)
DNAサンプル目的で何でも逮捕、既に黒人の4分の3がデータベースに(2009/11/24)
米国
米国でも逮捕時採取のDNAサンプルを保管してデータベースに(2009/4/20)
米国でも犯罪者のDNAサンプル廃棄進まず(2009/6/10)
教育委員会が生徒にパソコンを配り、カメラでこっそり遠隔監視?(2010/2/22)
毎日、インターネット上に流れる情報の中から
自分に関するものをチェックしている……って、ご存知でした?
米国カンザス州のBrownback知事の「コミュニケーション担当」スタッフ、
Sherrinene Jones-Sonagさんは毎日ツイッターとフェイスブックで流れる情報から
知事の名前を含むものををチェックしているんだとか。
そのカンザスでの出来事――。
11月21日、
子ども達に州政治について学んでもらおうという趣旨のプログラム
the Youth in Governmentに参加して4年目になるEmma Sullivanさん(18)は
いくつかの高校の生徒たちと一緒にトピカの州庁見学ツアーに参加した。
そして、知事の挨拶を黙って聞きながら、
「Brownback知事に酷いことを言うたった。
アンタなんかダメよって面と向かって言ってやったわよ」と
ツイッターで無邪気なホラを吹いた。
そして、もちろん、そのツイートは知事名を含むため、
「コミュニケーション担当」Jones-Sontagさんのアンテナに引っかかる。
「あのツイートには敬意というものがありませんでした。
ほんとうに建設的な対話をもつためには相互に敬意がなければ」と、
Jones-Sontagさんは見学ツアーを企画した the Youth in Governmentに連絡。
「だって生徒たちがツアーについてどんなコメントをしているか
企画した組織がちゃんと把握していることは重要だし、
生徒にしても、こうしたメディアの影響力をちゃんと知っていなければ。
インターネットにあれば、その影響力は続くんですから」
それを受けてThe Youth in Governmentは即座に高校に連絡。
Sullivanさんによると、
彼女は校長室に呼ばれ、約1時間に渡って叱責された。
学校と地域に「恥をかかせた」ので知事室との「関係修復」が必要だと言われ、
校長が示した要点を盛り込んで知事室に謝罪の手紙を書くよう迫られているとのこと。
メディアの取材に校長は
「(生徒の懲罰は)校内の問題で私的な問題。公的な問題ではないので」ノー・コメント。
なんの考えもなく、しょーもないツイートを流したSullivanさんは
「流したことは後悔してない。だって誰も傷つけてないじゃん。
知事が言ったことを実際に批判したわけでもないし」
「あたしたち、みんなリベラルだから、知事の考えの大半には反対なわけ。
たかが18歳だって、ちゃんと自分の信念はあるわ。知事の信ずるところだって分かってるし、
そこが相いれないんだから、それは何があったって変わらないわよ」
さも、いっぱしのことを口走ってみせるが、
来年度アーカンソー大学に入学予定の受験生としては
高校からの内申書に余計なことを書かれずに済むためなら、
謝罪文は書いたっていいと思っているんだそうな。
Teen’s joking tweet on Topeka trip creates a capital fracas
Kansas City Star, November 23, 2011
ウィチタ大で政治家学を専攻する大学生の19歳の姉が、
「自由に意見を述べろと言われても、これでは子どもはそんな気になれない」と言うほど
中身のあるツイートじゃないだろ、調子に乗んな、こら……とは思うけれど、
「こんなにチッコイことに時間と税金を無駄遣いして大騒ぎするのは
知事にとっても学校にとっても逆に恥ずかしいことだと思う」と
姉が言っているのは、ピンポン。
「知事が女子高生に面と向かって罵倒された」という事実無根の情報が
ネットで独り歩きするのが怖かったんだろうけれど、
実際にそれが拡散されたとか大騒ぎになったというわけでもないのに
その程度のデマがネットで流れることに神経をとがらせて反応する知事室スタッフって……?
その操作性の背景にある幼児性に目を向けると、
「恥ずかしい」というより、それは、いっそ「恐ろしい」。
権力を我が手に握った喜悦を節操もなくダダ漏れに、
涎でも垂らした3歳児みたいな政治家の破顔一笑を
自分の国で見てしまった直後だけに、
「オトナの顔をしたコドモの政治家」が
なおさら生々しく、恐ろしい。
そういう人は、
オトナの顔をした冷たく汚いオトナだった「コイズミ劇場」の仕掛け人とは
また一味違うんではないか、という気がする。
オトナの顔をしたコドモは恐ろしい。
コドモは自分の思い通りにならないことがあったら暴れる。
ほんものの子どもは暴れたって大した力をもたないけれど、
オトナの顔をしたコドモが気に入らないことに暴れると犠牲者が出る。
オトナの顔をしたコドモは自分の力を確認し安定するために
常に他者をコントロールしていなければ気が済まないから、
たまたま他者コントロールの手段というオモチャを手にすると、
たちまちコドモらしい全能感の虜になってコントロールをエスカレートさせていく。
監視し、操作し、干渉し、コントロールする。
そして世の中がまた虐待的な親やDV夫のような場所になっていく……。
【監視社会関連エントリー】
従業員をパソコンで監視・管理する世界へ(2008/2/12)
スパイウエアで子どもを監視しようって?(2008/3/17)
英国
中学の成績が一生データベースに?(2008/2/13)
国民DNAデータベースめぐり論争再燃(2008/2/24)
国民の電話とEメールの全記録を国が管理って?(2008/5/24)
NHSの患者データから研究者が治験参加者を一本釣り?(2008/11/18)
「無実の人のDNAサンプル保管は人権侵害」と欧州人権裁判所(2008/12/6)
情報で国民を監視・管理する社会へ(英)(2009/1/11)
100万人以上の子どものDNA情報が国のデータベースに(英)(2009/2/27)
「英国政府のデータベース4分の1は人権侵害」と報告書(2009/3/24)
国民データベース諦めて、代わりに「ネットと電話利用歴みんな残せ」と英国政府(2009/4/28)
DNAサンプル目的で何でも逮捕、既に黒人の4分の3がデータベースに(2009/11/24)
米国
米国でも逮捕時採取のDNAサンプルを保管してデータベースに(2009/4/20)
米国でも犯罪者のDNAサンプル廃棄進まず(2009/6/10)
教育委員会が生徒にパソコンを配り、カメラでこっそり遠隔監視?(2010/2/22)
2011.11.30 / Top↑
| Home |