以下のエントリーやいくつかの補遺で追いかけてきたカナダのRasouli事件の続報。
「“治療停止”も“治療”だから同意は必要」とOntario上位裁判所(2011/5/17)
「患者に選択や同意させてて医療がやってられるか」Razouli裁判続報(2011/5/19)
カナダのRasouli事件、最高裁へ(2011/12/23)
これまで永続的植物状態だと診断されてきたRasouliさん(60)ですが、
この度、裁判所に提出された医師の供述書によると、
家族に対して意識はあるとの意志表示で
親指を上げて「サムズアップ(OKとかGoodなどの意)」のサインをすることができるなど、
ある種の行為を自発的に制御することができ、
「最少意識状態(MCS)」である、と。
延命は無益として治療停止の許可を求めてこの訴訟を起こしたのは
トロントのSunnybrook病院の医師2人なのだけれど、
もともと植物状態と診断した同病院の脳神経科の医師は
最初の診断から11カ月後の1月に既に「症状は明らかに変わった」と述べたとのこと。
今回、意識があるとさらに確認されるならば、
延命治療についても自己決定が可能とみなされるため、
裁判の行方に影響があると見られる、とGlobe の記事。
この記事で、ちょっと興味深いと思うのは
一昨日火曜日に、ケンブリッジ大のAdrian Owen医師がRasouli氏のもとを訪れていること。
Owen医師は、ここ数年、脳画像診断によって
植物状態と診断された人に意識があることを確認したり、
そういう人とコミュニケーションをとる方法を研究している。
Owen医師の研究については、以下に。
「植物状態」5例に2例は誤診?(2008/9/15)
植物状態の人と脳スキャンでコミュニケーションが可能になった……けど?(2010/2/4))
さらに11月11日の補遺で以下
脳スキャンで植物状態の人の意識状態を確認しコミュニケートできる可能性。前からこの研究をやっているケンブリッジのAdrian Owen教授ら。
http://www.guardian.co.uk/society/2011/nov/10/brain-scanner-hope-patients-vegetative?CMP=EMCNEWEML1355
Globeの記事は、
Owen医師の診断結果については何も語っていないけれど、
この訴訟については
無益な治療ブログのPopeも歴史的な意味を持つ訴訟と指摘しており、
今後の展開に注目。
Vegetative patient now able to give “thumbs up,” fuelling debate over life support
The Globe and Mail, April 24, 2012
このところ「植物状態」や「脳死」からの回復事例が相次いでおり、
去年1年間に話題になったものだけで、以下。
またも“脳死”からの回復事例(豪)(2011/5/13):07年から10年の回復事例のリンク一覧はここに
NZで「無益な治療」論による生命維持停止からの回復例(2011/7/17)
臓器摘出直前に“脳死”診断が覆ったケース(2011/7/25)
睡眠薬で植物状態から回復する事例が相次いでいる:脳細胞は「死んで」いない?(2011/8/31)
アリゾナで、またも“脳死”からの回復事例(2011/12/24)
睡眠薬による「植物状態」からの「覚醒」続報(2011/12/7)
「“治療停止”も“治療”だから同意は必要」とOntario上位裁判所(2011/5/17)
「患者に選択や同意させてて医療がやってられるか」Razouli裁判続報(2011/5/19)
カナダのRasouli事件、最高裁へ(2011/12/23)
これまで永続的植物状態だと診断されてきたRasouliさん(60)ですが、
この度、裁判所に提出された医師の供述書によると、
家族に対して意識はあるとの意志表示で
親指を上げて「サムズアップ(OKとかGoodなどの意)」のサインをすることができるなど、
ある種の行為を自発的に制御することができ、
「最少意識状態(MCS)」である、と。
延命は無益として治療停止の許可を求めてこの訴訟を起こしたのは
トロントのSunnybrook病院の医師2人なのだけれど、
もともと植物状態と診断した同病院の脳神経科の医師は
最初の診断から11カ月後の1月に既に「症状は明らかに変わった」と述べたとのこと。
今回、意識があるとさらに確認されるならば、
延命治療についても自己決定が可能とみなされるため、
裁判の行方に影響があると見られる、とGlobe の記事。
この記事で、ちょっと興味深いと思うのは
一昨日火曜日に、ケンブリッジ大のAdrian Owen医師がRasouli氏のもとを訪れていること。
Owen医師は、ここ数年、脳画像診断によって
植物状態と診断された人に意識があることを確認したり、
そういう人とコミュニケーションをとる方法を研究している。
Owen医師の研究については、以下に。
「植物状態」5例に2例は誤診?(2008/9/15)
植物状態の人と脳スキャンでコミュニケーションが可能になった……けど?(2010/2/4))
さらに11月11日の補遺で以下
脳スキャンで植物状態の人の意識状態を確認しコミュニケートできる可能性。前からこの研究をやっているケンブリッジのAdrian Owen教授ら。
http://www.guardian.co.uk/society/2011/nov/10/brain-scanner-hope-patients-vegetative?CMP=EMCNEWEML1355
Globeの記事は、
Owen医師の診断結果については何も語っていないけれど、
この訴訟については
無益な治療ブログのPopeも歴史的な意味を持つ訴訟と指摘しており、
今後の展開に注目。
Vegetative patient now able to give “thumbs up,” fuelling debate over life support
The Globe and Mail, April 24, 2012
このところ「植物状態」や「脳死」からの回復事例が相次いでおり、
去年1年間に話題になったものだけで、以下。
またも“脳死”からの回復事例(豪)(2011/5/13):07年から10年の回復事例のリンク一覧はここに
NZで「無益な治療」論による生命維持停止からの回復例(2011/7/17)
臓器摘出直前に“脳死”診断が覆ったケース(2011/7/25)
睡眠薬で植物状態から回復する事例が相次いでいる:脳細胞は「死んで」いない?(2011/8/31)
アリゾナで、またも“脳死”からの回復事例(2011/12/24)
睡眠薬による「植物状態」からの「覚醒」続報(2011/12/7)
2012.04.26 / Top↑
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