2ntブログ
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- / Top↑

元空軍兵士でナース・プラクティショナー、
元UNOSの移植コーディネーターのPatric McMahonさん(50)が

米国の病院職員に対して、まだ救命可能性がある患者について
UNOS(全米臓器配分ネットワーク)から「脳死」判定の圧力がかかっている、

ドナー登録しない患者の家族を説得するための
マーケッティングとセールスの専門家が「コーチ」として雇われている、
人数「割り当て」制まである、などと提訴。

訴状には4つの事例が告発されているという。

① 2011年9月に交通事故でNassau 大学メディカル・センターに搬送された19歳男性。
まだ呼吸をしようとしていたし脳の活動の様子は見られたが
UNOSからの圧力で医師らが脳死を判定。

電話会議(?)ではUNOSのディレクターが
「この人は死んでいるんだ。分かったか?」と発言した、とも。

家族が臓器提供に同意。

② 同じく2011年9月。
ブロンクスのSt. Barnabas 病院に入院した女性。

まだ生きている様子が見られたが、
女性がかつて腎臓移植を受けていた事実をUNOSの職員は
女性の娘に臓器提供への同意に向けて圧力をかける材料に使った。

McMahonさんは抗議し、セカンド・オピニオンを得ようとしたが、
神経科医は無視して脳死を判定した。

③ 2011年10月。
ブルックリンのKings County 病院に入院した男性。
脳の活動の様子は見られたという。

ここでもMcMahonさんの抗議は無視されて、
男性は脳死と判定され臓器が摘出された。

④ 2011年11月。
薬物のオーバードースでStaten 島大学病院に入院した女性。

脳死判定が行われて、臓器が摘出されようとする直前に
McMahonさんは女性の体がまだけいれんしているために
「マヒを起こす麻酔」がされていることに気付いたという。

McMahonさんが抗議すると、他のUNOS職員から病院職員に
「ささいなことを問題視して大騒ぎをする未熟なトラブル・メーカー」だと言われた、とのこと。
もともと異議申し立てをする職員として目立ってはいた。

さらに、去年11月4日にMcMahonさんはUNOSのCEOに
「脳死を宣告される患者の5人に1人は脳死宣告書が発行された時点で
脳活動の徴が見られる」と告げたところ、
「世の中そういうものだよ」との答えだったとのこと。

McMahonさんは抗議した4カ月後にクビになったという。

UNOSのスポークスウーマンは、この件について
訴状を見ていないとしながらも、脳死判定ができるのは医師のみだ、と言い、
割り当て制なんかありません、「バカバカしい」と。


Organ taken from patients that doctors were pressured to declare brain dead: suit
The New York Post, September 26, 2012


そういえばUNOSは、昨年、
以下のような驚くべき提言を行っていた ↓
 
UNOSが「心臓は動いていても“循環死後提供”で」「脊損やALSの人は特定ドナー候補に(2011/9/26)



【2011年の関連エントリー】
「“生きるに値する命”でも“与えるに値する命”なら死なせてもOK」と、Savulescuの相方が(2011/3/2)
WHOが「人為的DCDによる臓器提供を検討しよう」と(2011/7/19)
UNOSが「心臓は動いていても“循環死後提供”で」「脊損やALSの人は特定ドナー候補に」(2011/9/26)
「DCDで生命維持停止直後に脳波が変動」するから「丁寧なドナー・ケアのために麻酔を」という米国医療の“倫理”(2011/11/24)
「丁寧なドナー・ケア」は医療職の抵抗感をなくしてDCDをさらに推進するため?(2011/11/24)

これまでの臓器移植関連エントリーのまとめ(2011/11/1)

【2012年の関連エントリー】
「重症障害者は雑草と同じだから殺しても構わない」と、生命倫理学者らが「死亡提供ルール」撤廃を説く(2012/1/28)
米国の小児科医らが「ドナーは死んでいない。DCDプロトコルは一時中止に」(2012/1/28)
英国医師会が“臓器不足”解消に向け「臓器のためだけの延命を」(2012/2/13)
「臓器提供の機会確保のための人工呼吸、義務付けよ」とWilkinson(2012/2/22)
臓器マーケットの拡大で、貧困層への搾取が横行(バングラデシュ)(2012/3/15)
闇の腎臓売買、1時間に1個のペースで(2012/5/28)
経済危機で臓器の闇市、アジアからヨーロッパへ拡大(2012/6/10)
脳損傷の昏睡は終末期の意識喪失とは別: 臓器提供の勧誘は自制を(2012/7/20)
2012.10.08 / Top↑
Secret

TrackBackURL
→http://spitzibara.blog.2nt.com/tb.php/3089-f94cce7a