もう何年もかけて知的障害児者に対する医療差別の問題と取り組んできた
英国のMencapが、以下のGetting it right キャンペーンのサイトに、
とても分かりやすい、そして胸が痛くなる医療差別のビデオをアップしています。
http://www.mencap.org.uk/campaigns/take-action/getting-it-right
「医療差別」といっても、
それは障害のある人と家族や介護者、支援者なら
誰しも経験のある、ちょっとした場面のことなのです。
そして、その日常的な医療のちょっとした場面で
医療職の対応が差別的であったり、知的障害への配慮を欠いていることが
障害児者の命を直接的に脅かすのです。
以下にトランスクリプトを全訳してみました。
それぞれ、母(母親) M(ミッシェル) 医(医師)です。
どうぞ、一人でも多くの人にビデオを見ていただけますよう、
拡散にご協力いただけると幸いです。
よろしくお願いいたします。
(ミッシェルは病院にいる。痛みに苦しんで落ち着かない)
母:大丈夫よ、ママがついているから。
M:おなか、ここが痛い。すごく痛い。
医:はい。ラクにして、どうしたのか言ってごらん。言わないと治療できないよ?
母:いま言いました。おなかだって。
医:そんなの本当かどうか分からないでしょう?
母:前の受診の時には骨盤の慢性痛だって言われました。
(医師が聴診器を手にミッシェルに近づく。
なにをしようとしているのか説明しない)
M:なにするの? そんなの嫌。
母:だいじょうぶよ、だいじょうぶ。
医:この子の名前は?
母:本人にお聞きになったら?
医:君の名前、言えるかい?
母:大丈夫よ、言ってごらん。
M:ミッシェル。
(医師はミッシェルに向かい、大きな声でゆっくりと)
医:ミッシェル、動かずにじっとしていてくれるね。
母:知的障害なんです。耳が聞こえないわけじゃありません。
(医師が聴診器を持って再びミッシェルに近づく。
怯えさせ、ミッシェルはパニックする)
M :いやだって言ったのに。おなか。痛いのは。
医:ミッシェル、診てあげようとしているのに
協力しないんだったら、他の人に代わるよ。
母:なにをするのか本人に説明してやってください。
いいですか。これって、ものすごく恐ろしい状況なんですよ。
この子だけじゃなくて、私にだってそうです。
でも、この子は苦しんでいるんです。
すぐに治療してもらわないと。
ナレーション:
ミッシェルのように、知的障害のある人たちは
平等な医療を受けることができずにいます。
NHSでのコミュニケーションのお粗末、
障害への理解の低さ、そして差別によって、
知的障害のある人々の命は危険に晒され、
健康が損なわれています。
今すぐ、この事態を止めましょう。
今すぐ、医療差別をなくしましょう。
Mencapの医療キャンペーンに賛同し、
行動への参加リンクをクリックしてください。
Mencapは私が06年に英語ニュースを読み始めた頃から
NHSでの知的障害者への医療差別の問題に取り組んでいました。
そして、2007年に“Deaths by Indifference”で
医療職の無関心と差別によって命を落とした知的障害者6人のケースを報告。
それを受けて調査に入った医療オンブズマンから
09年3月に報告書が出ています。
オンブズマンは2例を医療過誤事件として認定し、
事態の深刻を認め、関係各所に向けた改善の勧告を出しました。
「医療における障害への偏見が死につながった」オンブズマンが改善を勧告(2009/3/31)
オンブズマン報告書を読んでみた:知的障害者に対する医療ネグレクト(2009/3/31)
Markのケース:知的障害者への偏見による医療過失
Martinのケース:知的障害者への偏見による医療過失
Mencapはその後も医療差別との闘いを続け、
Getting it right(医療差別をなくそう)キャンペーンを行っています。
そのキャンペーンから出てきたメッセージのいくつかは以下のエントリーに ↓。
「NHSは助かるはずの知的障害者を組織的差別で死なせている」とMencap(2012/1/3)
助かったはずの知的障害児者が医療差別で年間1238人も死んでいる(英)(2013/3/26)
今年4月には、
医療機関と医療職に向けて、
このキャンペーンの趣旨への賛同と具体的な努力を謳うよう
Getting it right charter (医療差別をなくす憲章)を発表しました。
この憲章の全訳は次のエントリーに。
英国のMencapが、以下のGetting it right キャンペーンのサイトに、
とても分かりやすい、そして胸が痛くなる医療差別のビデオをアップしています。
http://www.mencap.org.uk/campaigns/take-action/getting-it-right
「医療差別」といっても、
それは障害のある人と家族や介護者、支援者なら
誰しも経験のある、ちょっとした場面のことなのです。
そして、その日常的な医療のちょっとした場面で
医療職の対応が差別的であったり、知的障害への配慮を欠いていることが
障害児者の命を直接的に脅かすのです。
以下にトランスクリプトを全訳してみました。
それぞれ、母(母親) M(ミッシェル) 医(医師)です。
どうぞ、一人でも多くの人にビデオを見ていただけますよう、
拡散にご協力いただけると幸いです。
よろしくお願いいたします。
(ミッシェルは病院にいる。痛みに苦しんで落ち着かない)
母:大丈夫よ、ママがついているから。
M:おなか、ここが痛い。すごく痛い。
医:はい。ラクにして、どうしたのか言ってごらん。言わないと治療できないよ?
母:いま言いました。おなかだって。
医:そんなの本当かどうか分からないでしょう?
母:前の受診の時には骨盤の慢性痛だって言われました。
(医師が聴診器を手にミッシェルに近づく。
なにをしようとしているのか説明しない)
M:なにするの? そんなの嫌。
母:だいじょうぶよ、だいじょうぶ。
医:この子の名前は?
母:本人にお聞きになったら?
医:君の名前、言えるかい?
母:大丈夫よ、言ってごらん。
M:ミッシェル。
(医師はミッシェルに向かい、大きな声でゆっくりと)
医:ミッシェル、動かずにじっとしていてくれるね。
母:知的障害なんです。耳が聞こえないわけじゃありません。
(医師が聴診器を持って再びミッシェルに近づく。
怯えさせ、ミッシェルはパニックする)
M :いやだって言ったのに。おなか。痛いのは。
医:ミッシェル、診てあげようとしているのに
協力しないんだったら、他の人に代わるよ。
母:なにをするのか本人に説明してやってください。
いいですか。これって、ものすごく恐ろしい状況なんですよ。
この子だけじゃなくて、私にだってそうです。
でも、この子は苦しんでいるんです。
すぐに治療してもらわないと。
ナレーション:
ミッシェルのように、知的障害のある人たちは
平等な医療を受けることができずにいます。
NHSでのコミュニケーションのお粗末、
障害への理解の低さ、そして差別によって、
知的障害のある人々の命は危険に晒され、
健康が損なわれています。
今すぐ、この事態を止めましょう。
今すぐ、医療差別をなくしましょう。
Mencapの医療キャンペーンに賛同し、
行動への参加リンクをクリックしてください。
Mencapは私が06年に英語ニュースを読み始めた頃から
NHSでの知的障害者への医療差別の問題に取り組んでいました。
そして、2007年に“Deaths by Indifference”で
医療職の無関心と差別によって命を落とした知的障害者6人のケースを報告。
それを受けて調査に入った医療オンブズマンから
09年3月に報告書が出ています。
オンブズマンは2例を医療過誤事件として認定し、
事態の深刻を認め、関係各所に向けた改善の勧告を出しました。
「医療における障害への偏見が死につながった」オンブズマンが改善を勧告(2009/3/31)
オンブズマン報告書を読んでみた:知的障害者に対する医療ネグレクト(2009/3/31)
Markのケース:知的障害者への偏見による医療過失
Martinのケース:知的障害者への偏見による医療過失
Mencapはその後も医療差別との闘いを続け、
Getting it right(医療差別をなくそう)キャンペーンを行っています。
そのキャンペーンから出てきたメッセージのいくつかは以下のエントリーに ↓。
「NHSは助かるはずの知的障害者を組織的差別で死なせている」とMencap(2012/1/3)
助かったはずの知的障害児者が医療差別で年間1238人も死んでいる(英)(2013/3/26)
今年4月には、
医療機関と医療職に向けて、
このキャンペーンの趣旨への賛同と具体的な努力を謳うよう
Getting it right charter (医療差別をなくす憲章)を発表しました。
この憲章の全訳は次のエントリーに。
2013.05.02 / Top↑
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