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優れた終末期ケアの手順書として日本でも採用されているリヴァプール・ケア・パスウェイ(LCP)が
高齢者を機会的に消極的安楽死へと導くツールと化しているとして
英国でここ数年問題となり、ついには保健省が調査に乗り出した流れについては
以下のエントリーで追いかけてきましたが、

“終末期”プロトコルの機会的適用で「さっさと脱水・死ぬまで鎮静」(英)(2009/9/10)
「NHSは終末期パスの機会的適用で高齢患者を殺している」と英国の大物医師(2012/6/24)
英国の終末期パスLCPの機会的適用問題 続報(2012/7/12)
LCPの機械的適用でNHSが調査に(2012/10/28)


以下の報道によると、
エジンバラで開催された英国医師会(BMS)会議で
LCPの理念の意義は再確認されたものの、
適用方法には問題がある、と。

指摘された問題点としては、

・一旦LCPの対象となると、
 再評価もないまま何週間もLCPが続行されている。

・患者がLCP適用となったことを
 家族が知らされていない。

・患者がLCPになったことを
 時には医師も知らされていない。

・チェックリスト文化が、機会的な思考につながっている。

・LCP対応になった患者のパーセントに応じて病院に報酬が支払われる
 金銭的なインセンティブが設けられている。

・その結果、患者と家族の間に、
 LCPを死への一方的なパスウェイ(細道)だという恐れが生じ、
 終末期医療そのものへの不信を招いている。

英国医師会は
医療職に向けてLCPの適切な用い方の研修が必要であること、
NHSの数値目標とインセンティブの廃止を求めることを決議。

自殺幇助合法化に一貫して反対してきた議員で、
緩和ケア医、次期BMA会長でもあるIlora Finlay氏は、

LCP対応となった患者の中にも
3%程度、症状が改善するケースがあるのに、
パスウェイという単語を含むLCPという呼称の
一方通行というイメージに患者も家族も怯えてしまっているので、
この呼称はやめた方が良い、と。

Doctors warn Livepool Care Pathway seen as ‘one-way ticket to death’
The Telegraph, June 28,2013

‘Don’t call it the Liverpool Care Pthway’: Doctors admit it sounds like a one-way ticket to the grave
The Daily Mail, June 28, 2013


【Finlay議員関連エントリー】
英国医師会、自殺幇助に関する法改正支持動議を否決(2009/7/2)
BMJの副編が「生きたい障害者が死にたい病人のジャマするな」(2009/9/6)
Campbellさん率いる障害者団体連合が自殺幇助ガイドラインを批判(2009/12/22)
Warnock, Finlay, Purdy他が自殺幇助で円卓討論(2010/1/31)
「PAS合法化なら年1000人が死ぬことに」と、英シンクタンクが報告書(2010/10/26)
英国上院に自殺幇助に関する検討委員会(2010/11/30)
Dignitasで英国人がまた自殺、今度は「老いて衰えるのが怖いから」(2011/4/3)
2013.07.01 / Top↑
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