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(前のエントリーからの続きです)

Dr. Jeffersonは問題のカイザー研究に関わった研究者の追跡を試みるが、
もともと当初の実験データは見ておらずロッシュの分析に基づいた研究だったとか、
研究ファイルをなくしたという話しか出てこなかった。

JeffersonとDoshiは、
医学研究は信頼に基づいて行われている、その信頼はヒエラルキーになっており、
自分で検証するすべを持たない患者は監視してくれる機関があるものだと信じているが、
林医師の指摘は、その信頼を揺らがせ、監視してくれる機関がないことを明らかにした、と。

そこでロッシュ社に直接、データを求めたJeffersonは
同社から守秘の同意文書に署名を求められた。
署名しない限り、協力はできない、と。

2009年12月にチームは
タミフルの合併症・入院予防効果は確認できないとBritish Medical Journalに発表。

その際、BMJも独自の調査結果を発表し、
ロッシュ社がタミフルに関する論文でゴースト・ライターを使っていたこと、
そのライター達が効果を強調するようプレッシャーを受けたと証言していることを
暴いた。

ロッシュ社はロッシュ社で2010年にハーバードの研究者らに
臨床実験データの再検証を依頼し、その検証からは
カイザー研究の結果を追認する結果が出されているのだけれど、

BMJの動きを受け、
ロッシュ社はデータの一部として、3000ページを超える資料を提供。

2011年にはEuropean Medicines Agencyも19の臨床実験報告、
22000ページ以上のコピーをチームに提供した。

BMJは昨年秋、
今後は製薬会社と研究者らが求めに応じてデータを提供することに合意した場合にのみ
臨床実験の結果報告を掲載する、との方針を発表。

ロッシュ社は今年2月に、
コントは求めに応じて外部研究者らにも治験データを公開する、と発表。

今年4月には
同社がスポンサーとなったタミフルの治験の全レポートを
コクラン・チームに公開すると約束。

Yale大の心臓科医 Krumholz医師は
「こんなに年数が経って、それでもまだタミフルが効くかどうかわかっていない。
何10億も売れているという薬の効果と安全性について
分かっていることを全部公開したくないというのは、理解に苦しむ」と。

こうした動きの中、
グラクソ・スミス・クライン(GSK)はロッシュ社に先駆けて、
今後、2007年以降のグローバルな臨床実験の詳細データをすべて公開する、
その後は2000年にまでさかのぼって公開する、と約束した。

背景には、同社が去年、
糖尿病薬Avandiaの治験で心臓病リスクがあるとのデータを隠ぺいした件と、
抗うつ薬パキシルの自殺企図の副作用データの隠ぺいの件とで
合衆国法務法に訴追されて、有罪を認め、
同種の罰金としては史上最大の罰金30億ドルの支払いで合意したばかりで、

イメージ回復の必要という事情もある。

Avandiaスキャンダルについては ↓
製薬会社資金に信頼性を失っていく治験データ……Avandiaスキャンダル(2012/11/30)

Paxilスキャンダルについては ↓
抗ウツ剤めぐる研究者と製薬会社の癒着スキャンダル報告書(米国)(2008/11/17)

その他の製薬会社のスキャンダルと罰金額の一覧は ↓
ビッグ・ファーマのビッグな罰金(2012/7/4)


the European Medicine Agencyは先週月曜日に
薬の認可の際に治験データの公開を義務付ける来年からの新方針の草案を発表。

ロッシュとGSKはこれを支持しているものの、その他の製薬会社も
The Pharmaceutical Reseach and Manufactures of America も
そんなことをさせられたら競争相手に手の内を明かすようなもの、
それならヨーロッパ市場から引き上げざるを得ない、と反発。

米国FDAも
ヨーロッパの動きを注視しつつも、
個人情報や企業の機密情報との関連で連邦法は
公開すべき情報を制限している、と。

Dr. Doshiらは、製薬会社が公開しないなら、自分たちで、と。


なお、タミフルとコクラン・グループに関しては
日本でも薬害オンブズパーソン会議が追いかけてくださっていました ↓

タミフルのインフルエンザ合併症予防効果は証明されていない - コクランレビューとその背景
(薬害オンブズパーソン会議 2009/12/16)
http://www.yakugai.gr.jp/attention/attention.php?id=272

コクラングループはあくまでタミフルに関する全臨床試験データの公表を求める -ロシュの「諮問委員会」設置の申し入れを拒否 
(薬害オンブズパーソン会議 2013/4/2)
http://www.yakugai.gr.jp/attention/attention.php?id=376


【いわゆる“Biedermanスキャンダル”関連エントリー】
著名小児精神科医にスキャンダル(2008/6/8)
著名精神科医ら製薬会社からのコンサル料を過少報告(2008/10/6)
Biederman医師にさらなる製薬会社との癒着スキャンダル(2008/11/25)
Biederman医師、製薬業界資金の研究から身を引くことに(2009/1/1)

【その他、08年のGrassley議員の調査関連】
抗ウツ剤めぐる研究者と製薬会社の癒着スキャンダル報告書(米国)(2008/11/17)
抗ウツ剤めぐる研究者と製薬会社の癒着スキャンダル報告書 Part2(2008/11/23)
今度はラジオの人気ドクターにスキャンダル(2008/11/23)

【その他、09年の製薬会社のマーケティングやスキャンダル関連エントリー】
FDAの科学者ら「認可審査あまりにも杜撰」と内部告発(2009/1/15)
ファイザー製薬ナイジェリアの子どもに違法な治験、11人が死亡(2009/2/1)
インターネットの医薬品情報、その陰にいるのは?(2009/2/14)
FDAと製薬会社の訴訟つぶしに待った(2009/3/5)
ICなしの外傷患者臨床実験、死亡者増で中止に(2009/3/30)
FDA委員会を前に精神障害当事者らから声明(2009/6/9)
製薬会社がゴーストライターに書かせた論文でエビデンス作り(2009/8/8)
巨大ファーマがかつてのゼネコンなのだとしたら・・・・・・(2009/9/29)
英米の医療スタッフから豚インフル・ワクチン接種に抵抗が出ている(2009/10/13)

最近のものでは例えば、↓
「製薬会社に踊らされて子どもの問題行動に薬飲ませ過ぎ」と英国の教育心理学者(2011/1/18)
ジェネリックを売らせないビッグ・ファーマの「あの手この手」が医療費に上乗せられていく(2011/11/15)
“オピオイド鎮痛剤問題”の裏側(米)(2012/10/20)
ファーマゲドン: オピオイド鎮痛剤問題のさらなる裏側(2013/1/4)

この問題を一貫して調査し報道しているProPublicaのシリーズの一つがこちら。↓
ProPublicaが暴く「ビッグ・ファーマのプロモ医師軍団の実態」(2010/11/2)

こんな話も ↓
Vytorinスキャンダルで被害被ったと株主に訴えられたメルク、6億8800万ドルで和解(2013/2/17)
2013.07.01 / Top↑
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