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「スーパーリッチの勃興により新たなグローバル・ルールが必要になるか?」
と題した、富裕層による支配(plutocracy)に関するAtlantic誌の記事。

1月に始まった米国の第113回下院議会では、
535名の議員のうち、48%に当たる257人がミリオネア。

グローバル・エリートの急速な勃興によって、
富と政治的権力との境目が曖昧になってゆく。

1970年代には、
米国の最も富裕なトップ10%が
米国の富の10%を所有していたものだが、

現在では
最も富裕な1%のうちのトップ10%が
米国の富のほぼ8%を所有している。

しかも、こうした現象は、
自分1代で富を築いた、たたき上げの人々(self-made wealth)の増加と重なってきた。

1982年にはForbesの金持ちトップ400人のうち40%だけがself-madeだったのに対して、
2011年までには69%を占めるようになった。

しかし叩き上げだから実力主義だとは言え、
富裕層にのし上がれば、そこに富裕層同士の身内優先資本主義が生まれるのは避けがたく、

その問題点として指摘されているのは、

① アップルなど、成功していて様々な資源も豊富な企業は
税制や懲罰制度を自社に有利なように操作することができるし、

影響力の大きな個人や企業によって政治的影響力を行使して、
特定の問題で自分たちに有利なようにルールを変更することもできる。

例えば、最近ザッカ―バーグらがやろうとしている移民に関する規制緩和のように。

② こうした特定の個人や企業の強い政治的影響力には
社会におけるスーパーリッチの正当な役割は何かという認識を
ゆがめてしまうリスクもある。

例えば、大統領選でリック・サントラムの応援演説をした企業家は
インタビューで以下のように語っている。

スティーブ・ジョブズが我々のためにしてくれたこと、ビル・ゲイツが社会のためにしてくれたことを考えると、政府は彼らに謝礼を支払うべきだ。どちらが世の中をより良い場所にするために貢献しているかといえば、それは恐らく99%ではなくトップ1%だろう。私は貧しい人がビル・ゲイツのような仕事をなしたところを見たことがない。貧しい人々が多くの人を雇うのも見たことがない。だから私は最も富裕な1%に感謝し称賛すべきだと思う。価値を生み出してきたのは彼らなのだから。

また、別のある金持ちは以下のような発言をしている。

他の人よりも高い給料をもらいたいというけれど、
人より10倍多い給料をもらいたいなら人の10倍の価値をもたらさなければならない。

厳しい言い方になるが、
中流階級の人々にはむしろ給与引き下げを飲むかどうか、という話ではないか。

(そういえば、これって、日本でも Y とか W とかの
ブラック企業のトップが似たようなことを言っていますね)

③ 極端な富の偏在は次世代の格差につながる。

教育資金の格差を通じて次世代の格差に通じるだけでなく、
貧困国の安い労働力を企業が利用することによって
米国内での雇用が失われ、次世代の格差を広げる。

その一方で、雇用が創出される、その貧困国の方では
生活水準が上がる可能性がある。
(そうかなぁ。むしろ、その他の形で弱みにつけ込む形の
搾取が広がっていると思うから私はそう単純ではないと思うけれど)

だからといって、
すぐに世界に平等主義的なものの考え方を広げていける方策もないように見える……

という、タイトルの割になんとも尻すぼみの論考。

でも、そこに問題がある、ということは間違いのない真実だというのこそ、
このブログでもずっと書いてきたこと。

ただ、新たなグローバル・ルールが必要だとしても、
それ以前に、もはや国家がまともに機能できない Plutocracy そのものが
まさに、その新たなグローバル・ルールとなり果てているんじゃないか……という気がしてならない。

Does the Rise of the Super-Wealthy Require New Global Rules?
Emma Green,
The Atlantic, June 28, 2013
2013.07.11 / Top↑
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