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9月9日、著名なクラシックの音楽家で作家でもある Pamela Westonさんが
スイスDignitasの幇助を受けて自殺。享年87歳。

Westonさんは慢性疲労症候群に長年苦しんでいたほか、
最近では2年間に4回の心臓麻痺を起こしているが
ターミナルな病気だったというわけではない。

Westonさんは死ぬ前に心境を書いた手紙を残しており、
それが The Sunday Times によって公開された。

死にたい以外の望みはない、
言葉もうまく出てこないし食欲もない、
プロとして文章も書けなくなった、
体力がなさ過ぎて、しんどすぎて……などのほかに、

他の人にも同じことを薦めるつもりはないが、
自分にとってはこれが正しい決断だと思っている、
英国もスイスのようになってほしい、濫用の可能性もあるかもしれないが
自分の見る限りスイスで濫用されているとは思えない、など。

Westonさんは今月初めに救急飛行機でスイスに飛んでホテルに入り、
そのホテルにDignitasの医師がきて、
Westonさんの精神状態が健全であること、自らの意思であることを確認した上で、
本人が致死量のバルビツレートを飲んだ。

しかし、慢性疲労症候群は
精神的な原因で起こるものとされているため、
その点を問題視する声も。

The Farewell of an assisted suicide
The Times, September 20, 2009/09/20


もう1つ、この記事から注目される情報として、
最近、英国ではCari Loder さんのヘリウム自殺で70歳の近所の男性、
ゲイの男性のDignitas行きに資金を出し付き添ったDr. Michael Irwinなど、
自殺幇助容疑での逮捕者が続いていますが、
いずれも11月まで保釈期間を延長して、
この水曜日にも出される公訴局長の法律の明確化を待っている、とのこと。


なお、昨日、今日と続いているニュースでは
Debby Purdyさんの訴えを受けた裁判所の命令によって作業が進んでいた
家族や知人による自殺幇助に関する公訴局長による法律の明確化のガイドラインは
この水曜日にも出される予定だとのこと。

それによって幇助する人に金銭的な利益があったと警察が証明した場合でなければ、、
誘導や強制がなく、本人の気持ちに沿って共感的に幇助したものについては罪に問わない、
という線が出される見込み、とのこと。


じゃぁ、例えば要介護状態になった人が、
家族からなんとなく迷惑視されるのを感じたり、
逆にみんなが善意であればこそ家族が介護で疲れていることに心を痛めたりして、
本当は死にたいわけではないのだけど、死んだ方が家族のためだと感じて、
家族に誘導されたわけでも強制されたわけでもなく“自らの意思で”死にたいと望んだ場合は……?

すごく貧しいから、みんなが働いていて、
とても病人の介護どころじゃないような家庭だったとしたら、
その人の自殺を幇助する家族には金銭的な利益はないのだけど……?

それから、上記3本のうちTimesの記事で、
「ターミナルな病状の人または不治の障害を負った人の自殺を幇助」となっているのが気になる。

誰か、たしか自殺幇助合法化支持の人たちが
非常に激しい口調で「ターミナルな状態と障害とは別概念で、混同するな」
言っていなかったっけ?

それに、障害は基本的に“病気”ではなくて“状態”なのだから
「不治の障害を負った人incurably disabled people」の自殺幇助を認めるなら
障害者は誰でも死にたければ手伝って死なせてあげていいことになる。

まぁ、公訴局長がそういったわけではなくて、
例によってメディアが意図してか無意識にか、不正確な表現をしているというだけなのですが。
2009.09.20 / Top↑
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