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Obama政権の医療制度改革案を巡る賛否の議論が過熱している中、
反対派の指摘する問題点を挙げ、1つずつ事実確認で反駁する趣旨の記事がAPにあって、

それを読むと、
共和党をはじめとする国民皆保険化への抵抗勢力が何を気に入らないと言っているのか
箇条書きにされているのが面白い気がしたので。

・高齢者の医療内容の是非を政府が決めるつもりでは? 安楽死への誘導も?
・不法移民の医療までカバーするつもりでは?
・官製医療制度にしてしまうつもりでは?
・納税者のゼニが中絶費用にまで使われてしまうのでは?

記事では、それぞれの懸念に対応する事実を挙げて
いずれも誤解であると述べているのですが、
煩雑なので悪しからず省略。

(米国の医療制度改革を詳細に追いかけて理解するのは私の力をはるかに超えているので)

興味のある方は以下の原文をどうぞ。



私は、またいつもの遅ればせで、
今頃になってクルーグマン先生の「格差は作られた」を読んでいる最中なので、

米国の格差は人種差別を根底にした保守ムーブメントによって意図的に作られたもので、
先進国の中で米国にだけ国民皆保険が存在しないのもそのためだという説と、

なるほど、話はきれいに繋がるなぁ……と腑に落ちる感じがしたし
クルーグマン先生がこのところNY Timesで援護しきりなのも、「なるほど」だった。
(7月24日と31日の記事は補遺に拾ってあります。その後もありましたが、スルーしました)

ただ、高齢者(と障害者)の医療切捨てについては、
こういう政治や制度を装置として進められるわけではない……
……ということに過ぎないのかもしれない、と思ったりもする。

もっと目に見えにくい形で、じわじわと、
科学とテクノロジーの狭い専門分野の論理が広く一般に共有されていくことや
そうした論理を一般化するための御用学問が活躍して、医療倫理の名の下に正当化されていくこと、

それと平行して
知的能力・機能でもって人間に線引きを行う、これまた科学とテクノと同根の価値観が
一般社会に広く受け入れられ根付いていくことなどを通じて、

(既にじわじわと社会の文化を内側から侵食し始めていると思うし)

生命倫理によって様々にご都合主義に規定される患者の“権利”と“利益”と
それを“サポートする”医学を含む科学・テクノロジーの専門性の間で

あくまでも個別に選択されて、
または選択させられて、
あるいは選択したことにされて
いくんじゃないのかなぁ……。

そういう、1国の医療制度とか政治をはるかに超えた、もっと大きな
そして、なにか、こう、証拠の残らない毒物のように内側からじわじわと効いてくるような装置が
世界規模で着々と準備されていっているような、そんな不気味さで……。
2009.08.20 / Top↑
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