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2005年に提供者の匿名制が廃止されたことと
金銭の支払いは上限250ポンドの必要経費のみと定めた2006年の厳格なルールとによって
2006年に卵子の提供を受けた不妊治療の件数は2004年の件数の30%もダウンし
生殖補助医療の危機を招いて、

英国の不妊夫婦が生殖補助医療を求めて海外へ渡航する“生殖ツーリズム”を引き起こしている。

この事態を解消するためには2006年ルールを見直し、
卵子のドナーに金銭支払いを認めるべきだ、と
ヒト受精・胚機構(HFEA)のLisa Jardine教授がTimesに語った。

法律的には配偶子と胚は既に法的にその他の臓器とは別の扱いとなっているので、
腎臓のような臓器売買の心配はない、と教授は主張するが、
米国、スペイン、ロシアなど、金銭支払いが認められている国では
女性が借金返済や学費のために卵子を売る例が多く、女性への搾取に繋がるとの懸念も。

また、卵子の提供には女性の体への侵襲とリスクを伴うため、
倫理問題についても論議を呼びそうな気配。


つい先ごろ、日本でもしきりに振り回された論法ですが、

移植医療では“臓器不足”――。
生殖補助医療では“卵子不足”――。

それらを“不足”と捉えるのは、本当は、
その医療の専門性という、とても小さく閉じた世界にいる人たちだけの感覚なんじゃないのだろうか、

その世界の外側の、もっと広い一般社会にいる我々は
本来はそんな感覚を共有してなど、いないのではないのだろうか、

いつのまにか共有しているように錯覚している、
もしくは、いつのまにか錯覚させられているだけじゃないのだろうか……ということを
先の衆参両議院での臓器移植法改正議論の時から、ずっと考えている。


【関連エントリー】
精子250㌦、卵子1000㌦で、どう?(2008/5/26)
2009.07.27 / Top↑
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