2ntブログ
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当時は英語ニュースをチェックし始めて間もなくで
まだ何もかもが目新しかった頃のニュースだったのと、
とてもきれいな人だったので、
まだブログを始める前だったけど、
この人のニュースはくっきりと記憶にある。

2006年に66歳で双子を産んで、当時世界で最高齢の出産としてニュースになった。
もちろん精子も卵子も匿名ドナーによるもの。

シングル・マザーだった。

家を売って、米国で生殖補助医療を受ける資金を作り、
医師に55歳だと年齢を偽ってまで子どもを産んだ。

その Maria Carmen del Bousada de Laraさんが癌で亡くなった。69歳。

以下の記事によると、2006年に双子を産む前に
腫瘍があることは分かっていたとのこと。

孤児となった2人の養育は、彼らの従兄弟(現在30~40代)などに託される見込みで、
養育費についてはマスコミとの高額な契約があるらしい。

スペインでは、現在、生殖補助医療には年齢制限がないが
必要だとの声が上がっている。



この人に生殖補助医療で子どもを産ませたカリフォルニアの医師は
本当の年齢を知らなかった、知っていたらやらなかった、と言っていますが、

Maria Carmenさんの世界最高齢出産の記録は
確か、そのすぐ後に破られたという記憶があります。

また、それとは別に、
去年の暮れ、インドで70歳の女性が出産したニュースがありました。



「科学とテクノの閉じた世界の論理」という表現を
ここしばらく、このブログで使っているのですが、
これも、その1例ではないでしょうか?

世界のどこかで66歳の出産に成功した医師がいるとなれば、
よし、じゃぁ、次は自分の手で、70歳の出産を成し遂げてみせよう……と。

そして、どこかで自分のクリニックよりも先に70歳の出産が行われたと聞けば、
70歳をはるかに超えて産みたい患者がどこかにいないか……と心待ちにするような……。

出産が無事に行われれば、それでいいのであって、
母体にどんな無理を強いようと、それは患者の自己選択だし
その後の子どもたちがどうなろうと、親の自己責任だし
そんなことは自分の業績には関係ないわけだし、

例えば、
ドナーの家族がその後どういう葛藤を抱えているかとか、
生体肝・腎移植のドナーのその後の体調がどうかということは
移植医としての自分の業績には無関係だから、さほど興味も無く、
だから調査研究する必要など感じない移植医のように。

そして例えば、Johns Hopkins大学病院が2005年から
4方向、5方向、6方向の同時生体間腎臓移植に相次いでチャレンジし成功させ
ついにこのたび、いくつもの病院を巻き込んで8方向に成功してみせたように。

科学とテクノの専門分野の中の人だけに共有されている論理──。
前に、前に、先へ、とにかく先へ──。
今の地平よりも更なる高みに──。
チャレンジ。そして記録――。
誰よりも早く──。

だからこそ、そういう閉じた世界の論理に対して

「でも、生まれてくる子どもの福祉は? 権利は?
 それは本当に倫理にもとることではないの?
 それが社会全体に直接、間接に及ぼす影響は?」と

もっと広い世界の常識・見識・知恵でもって慎重を求めブレーキをかけるのが
倫理規範であり、法だろうと思うのに……。
2009.07.16 / Top↑
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