資料整理というのは、なんだか気重な仕事で、なかなか手がつかないのだけど、
いったん始めてみると、案外な“めっけもの”があるから、
まぁ気分としては報われる。
いったん始めてみると、案外な“めっけもの”があるから、
まぁ気分としては報われる。
Norman Fostに関する資料を整理していたら、ひょいと出てきたもの。
Current Controversies in Pediatric Research Ethics: Day Two Notes
The Seattle Children’s Hospital, July 23, 2005
The Seattle Children’s Hospital, July 23, 2005
シアトル子ども病院が
今のような大仰な生命倫理カンファをぶち上げる前年の2005年に、
もう少し地味にやったカンファで
Norman Fostが意外なプレゼンを行っている。
今のような大仰な生命倫理カンファをぶち上げる前年の2005年に、
もう少し地味にやったカンファで
Norman Fostが意外なプレゼンを行っている。
タイトルは、The SSRI Story: A Cautionary Tale。
前年の2004年9月にFDAが
子どもへのSSRIの処方への警告を検討し始めたことについて、
SSRIの副作用で自殺したとされる子どもの親たちのヒアリングがあったことや、
(希望者は100人以上だったと)
どのような議論が行われたか、などについて語り、
「深刻な問題だ」と締めくくっています。
子どもへのSSRIの処方への警告を検討し始めたことについて、
SSRIの副作用で自殺したとされる子どもの親たちのヒアリングがあったことや、
(希望者は100人以上だったと)
どのような議論が行われたか、などについて語り、
「深刻な問題だ」と締めくくっています。
この中で特にFostが取り上げているのは
・治験が製薬会社によってデザインされている
・論文掲載の可否判断も製薬会社
・記事を実際に書いているのは研究者ではなく製薬会社
・適用外処方が主たる利益を生むこととなる
・収益は主にマーケティングに使われている
・論文掲載の可否判断も製薬会社
・記事を実際に書いているのは研究者ではなく製薬会社
・適用外処方が主たる利益を生むこととなる
・収益は主にマーケティングに使われている
高額な顧問料、製薬会社による論文のゴーストライティング、
適用外処方の奨励、直接消費者に働きかけるコマーシャル手法への投資など、
適用外処方の奨励、直接消費者に働きかけるコマーシャル手法への投資など、
去年からGrasley上院議員の調査で指摘されて大スキャンダルを起こした諸々が
ここで既に指摘されているのだから驚きです。
ここで既に指摘されているのだから驚きです。
FostはFDAの研究関連の倫理委員会のメンバーなので、
(直接、2004年のSSRIの検討に参加していたかどうかは上記からは不明)
FDAのスタンスに沿ってしゃべっている、ということになるのだとしたら、
(直接、2004年のSSRIの検討に参加していたかどうかは上記からは不明)
FDAのスタンスに沿ってしゃべっている、ということになるのだとしたら、
去年から指摘されて大問題になっている製薬会社と研究者の癒着の実態について
FDAは2005年段階で十分に認識していたし、知っていながら、
去年、政治家が調査を行って証拠を突きつけるまで、
何もせず手をこまねいていた……ということにもなるのかも。
FDAは2005年段階で十分に認識していたし、知っていながら、
去年、政治家が調査を行って証拠を突きつけるまで、
何もせず手をこまねいていた……ということにもなるのかも。
――――――――――
これ、当初、資料として拾った時には、さほどの情報とも思わないまま
とりあえずFost関連としてファイルだけしておいたのは
まだ私はSSRIが何かすら知らなかったし、
Grasley議員の調査も、
Biederman医師のスキャンダルも、
まだなかったからで、
とりあえずFost関連としてファイルだけしておいたのは
まだ私はSSRIが何かすら知らなかったし、
Grasley議員の調査も、
Biederman医師のスキャンダルも、
まだなかったからで、
そういう経緯や知識を経て、初めてこの情報の持つ本来の意味が分かる。
同じ資料を同じ人間が見ても、
その時点での知識や関心によって
意味が違ってくるというのも面白いものだと思う。
その時点での知識や関心によって
意味が違ってくるというのも面白いものだと思う。
だから……なのかなぁ。
Ashley事件にはウラがあるという前提(これも、ある種の知識だとすれば)を持って読むと、
同じ情報を読んでも、いちいち、まるで違うものが見えてきて、
Diekema医師らの説明のように矛盾することなく、
きれいに全てが説明されるのだけどなぁ。
同じ情報を読んでも、いちいち、まるで違うものが見えてきて、
Diekema医師らの説明のように矛盾することなく、
きれいに全てが説明されるのだけどなぁ。
ただ、みんな、その前提の知識を欠いたまま読んだり聞いたりしているから、
うまいことノセられて、誘導されてしまうんじゃないのかなぁ……。
うまいことノセられて、誘導されてしまうんじゃないのかなぁ……。
今回の論文も、きっと、そうなんだろうな。
くっ……。
2009.06.08 / Top↑
| Home |