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英米のメディアがこぞって報じていますが、
さすがに地元紙のこちらが一番詳しいようです。

Sequim woman first known assisted-suicide patient in state
The Seattle Post-Intelligencer, May 22, 2009


昨年11月に住民投票で決まり、
今年3月に施行されたWashington州の尊厳死法により
21日に医師に幇助を受けて自殺したのは
Seattleの北にある Sequim というの町の女性 Linda Fleming さん(66)。

死の自己決定権のアドボケイトである Compassion & Choiceが発表した。
(この点に私は強い違和感を覚えるのだけれど)

自殺幇助を行った医師には30日以内に州の保健局への届出が義務付けられており、
22日時点で州保健局はまだ確認していない。

Flemingさんはホームレスや精神障害者の支援をしてきた女性で、
一月ほど前にステージ4のすい臓癌を診断された。
その直後に、口頭で自殺幇助を希望したという。

WA州の尊厳死法では15日間の間を置いて口頭で2回、
その後に証人2人の立会いの下で書面で希望することが求められている。

Flemingさんが最後の書面によるリクエストを行ったのは5月15日。
その6日後の21日、自宅アパートで家族と犬、医師にかこまれて、自分で薬を飲み自殺した。

癌の進行とともに痛みが激しくなって、
最後は意識を落とすほど痛み止めの薬を増やさなければならなくなるのがイヤだったという。

記事にある、死の前のFlemingさんの発言を以下に。

「痛みが耐えがたくなりました。
これからもっとひどくなる痛みです」

「私はスピリチュアルな人間なので
意識があって清明で、ちゃんと分かっている状態で死ぬということが
私にとっては大事だったのです」

「ずっと望んでいたような生き方が最近になってやっとできるようになったところでした。
それなのに、もう生きられないことになってしまって、
癌は最悪のタイミングでやってきました」

「強い痛み止めを使われると、死ぬ時に保っていたい意識状態が維持できなくなります。
でも痛み止めを増やすしかないのも分かっています。
尊厳死法のおかげで私の個人的な信念に沿った死に方を選ぶことができて嬉しい」

保健局が把握しているところでは、
これまでに少なくとも致死薬の処方6件が薬局で購入された、とのこと。

Oregonでは尊厳死法ができてからの12年間で
約400人が医師による幇助を受けて自殺している。

           ―――――――

記事を読んで、とても単純に疑問に思ったのは、

WA州の尊厳死法の規定では、確か
2人の医師によって余命が6ヶ月以内であることが確認されなければならないはず。

癌だと分かった患者さんが、その診断の直後に口頭で自殺幇助を求めた場合に、
いかにステージ4であっても余命6ヶ月以内だと言い切れるものなんだろうか?

すい臓癌は治療が難しくて転機が悲惨なものになりやすいと聞いたことがあるけど、
どちらかといえば余命よりも、そちらへの配慮が先に立ったということはないのだろうか。

万が一にも第1例目から「余命6ヶ月以内」要件がおろそかにされたとしたら
やっぱり由々しい「すべり坂」だと思うのだけど。

それに、全米に尊厳死法を広げていく運動をしている C&C から
第1例目が公表されて、それがプロパガンダに利用されるというのが気に食わないし、

地元紙で、Ashley事件でも偏向を感じさせたSeattle Post-Intelligencerが
「この法律はターミナルな患者さんにコントロールと尊厳を与え
それによって心の平安をもたらすものです」というC&C医療ディレクターの発言を紹介しつつ
C&Cのことを「終末期のより良いケアと選択」のアドボケイトだと書いているのも、
まったく気に入らない。

それにしても、

終末期の延命治療中止と脳死臓器移植法の改正について熱心に報道している日本のメディアは、
英米を中心にした自殺幇助合法化の動きを、なんで無視し続けるのだろう――?
2009.05.23 / Top↑
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