さらにイヤ~な匂いのする話が出てきた。
Lancet Neurology誌の5月号に発表された論文で、
無料で読めるのはアブストラクトだけですが、要するに
無料で読めるのはアブストラクトだけですが、要するに
てんかん手術は患者によってはコスト効率がよい。
これは基本的な薬物治療が既に行われている国でのみ言えることかもしれないが、
貧困国においても、てんかん手術をもっと受けやすくできるのではないか。
その方策を考察する、と。
これは基本的な薬物治療が既に行われている国でのみ言えることかもしれないが、
貧困国においても、てんかん手術をもっと受けやすくできるのではないか。
その方策を考察する、と。
このアブストラクトにくっついている「現代てんかん手術」の説明にも
「コスト効率がよい」という言葉が繰り返されており、
「コスト効率がよい」という言葉が繰り返されており、
「英国ロンドンで1886年にVictor Horsley卿によって行われたのが初めて。
(薬物治療が効かない)発作のある患者へのコスト効率のよい療法として受け入れられている」。
(薬物治療が効かない)発作のある患者へのコスト効率のよい療法として受け入れられている」。
しかし、上記3月の乳幼児のてんかん手術の記事でも、
手術は「最後の手段」と捉えられているという話は紹介されていた。
手術は「最後の手段」と捉えられているという話は紹介されていた。
薬品が不足していたり衛生面や技術面でも決して万全と思えない途上国での手術を
なんでわざわざ推進する方策が検討されなければならないのか。
なんでわざわざ推進する方策が検討されなければならないのか。
それは露骨に書かれているように「コスト効率がよい」からであり、
どう考えても患者の身の安全なんて省みられていないような……?
Epilepsy surgery: challenges for developing countries
Jane Qiu, the Lancet Neurology, Volume 8, Issue 5, Pages 420-421, May 2009
Jane Qiu, the Lancet Neurology, Volume 8, Issue 5, Pages 420-421, May 2009
この論文がLancetに掲載されていることが、そもそも「いかにも」だなぁ……と思うのは、
読んで字のごとく
病気を世界が背負い込む負担と捉え、それを軽減しようとのプロジェクトなのですが、
病気を世界が背負い込む負担と捉え、それを軽減しようとのプロジェクトなのですが、
そこで使われているのは、DALY(Disability Adjusted Life Years)という新基準。
障害を負った状態もカウントする生存年数データの見直しを行い、
貧困などの社会的ファクターをまるきり無視した「科学的な検証」によって
貧困などの社会的ファクターをまるきり無視した「科学的な検証」によって
世界中の保健医療施策全体をコスト効率で見直し、立て直すぞ、と意気込んでおられます。
こういう背景の中に、上記の論文を位置づけてみると、
今から世界中の医療が向かっていこうとしている方向がなんとなく見えてくるような……。
今から世界中の医療が向かっていこうとしている方向がなんとなく見えてくるような……。
世の中の重荷・厄介者(つまりburden)になっている高齢者、障害者、貧乏人は
安全だの丁寧だの全人的だのと贅沢を言わず、
安全だの丁寧だの全人的だのと贅沢を言わず、
リスクは少々高くてもコスト効率のよい医療を受けてくださいよ、とね。
……なんてことを考えていたら、
時々お邪魔している精神科医の方のブログで、
米国の精神科医療といえば、もっぱら薬漬け医療のように見えるけれど、
実はお金持ちだけは以前の通りに精神療法を受けている、という話が紹介されていた。
米国の精神科医療といえば、もっぱら薬漬け医療のように見えるけれど、
実はお金持ちだけは以前の通りに精神療法を受けている、という話が紹介されていた。
やっぱり……。
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2009.04.21 / Top↑
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