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NHSは知的障害者に適切な医療を提供しておらず、
英国の医療は知的障害者を差別しているとして、

2007年には知的障害者のアドボケイト団体Mencapが
障害があるために本来受けられるべき医療が受けられずに
落とさなくても済んだはずの命を落としてしまった知的障害者6人のケースを取り上げて
報告書 ”Death by Indifference(無関心による死)”を刊行。
(こちらからダウンロードできます)

また、去年7月にはJohathan Michae卿による独立の調査の結果が
報告書”Health Care for All” (万人のための医療)にまとめられ、
(こちらからダウンロードできます)

NHSでは知的障害のある人を保護する法律が守られていない実態が明らかになったことから、
英国保健省は知的障害者が医療において不当な死を迎えている実態の調査に乗り出すことに。

Vulnerable deaths inquiry set up
The BBC, January 19, 2009

なお、英国保健相は
Valuing People Nowと題した今後3年間の知的障害者の処遇改善施策に関するコンサルテーションを終え、
その結果を1月19日に発表したばかり。

"Death by Indifference"で報告された6人のケースのうち
Emmaの場合を簡単にまとめた Mencap のページがこちら

癌の痛みがあるにもかかわらず
知的障害のためにコミュニケーションがとれずパニックもあったため
治療に同意が出来ないとして病院が治療を拒否、
何度も母親が病院に連れて行ったにもかかわらず
病院は痛みを止める治療すらせずにEmmaを施設に帰し
そのうちに手遅れになったEmmaは25歳で亡くなった、とのこと。


私がネット上で英語ニュースをチェックするようになった2年半くらい前から
英国ではNHSの医療で知的障害者が平等な医療を受けることが出来ていないと訴える声が
頻繁に上がっていました。

それがやっとこういう調査に結びついたのだと思うと、とても嬉しいニュースです。

が、もちろん報告書に挙げられているのは氷山のごくごく一角のはず。
知的障害児・者に限らず、認知障害のある高齢者も含め、
こうした医療ネグレクト(そういう表現は使われていませんが)の被害者は
実は非常に多いのではないでしょうか。


日本での実態も気になります。

娘の腸ねん転の際、私たち親子も同じような体験をしました。
外科スタッフは、いくら訴えても娘の痛みに全く対応してくれなかったし、
「何が起こるか分からないから、なるべく手を出したくない」という姿勢や
「重症児だから、どうせ本人は何も分からないし」という思い込みがとても露骨でした。

重症児の命は障害のない子どもよりも軽んじられているとも感じました。

この時の体験については、
カナダの障害当事者コラムニスト Helen Hendersonさんが書いたコラムに併せて
こちらのエントリーに簡単にまとめています。
2009.01.27 / Top↑
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