カナダ医師会雑誌CMAJのエディトリアルが、「安楽死」という用語をやめようと提言。肯定論、否定論の双方がお互いに自分のサイドに都合のよい解釈で、それぞれ別の意味で使い、議論が混乱している、と。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/183925.php
http://www.medicalnewstoday.com/articles/183925.php
Bioethics誌で倫理学者のStefan Erikssonが、認知症患者などインフォームドコンセントを与える能力が限られている人を実験の被験者とする際のガイドラインについて、見直しを提言している。夜の頭ではイマイチ理解できない。要再読。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/183867.php
http://www.medicalnewstoday.com/articles/183867.php
昨日の「乳がん遺伝子に特許は認めない」判決を受け、バイオテクノロジー関連の株価は思ったほど降下していない。しかし業界からの反発いちじるしい。:やっぱり上訴に向けて、この問題は政治的な色合いを帯びるのかも? ここでも経済施策の問題に影響されて研究倫理(?)の問題が変質していくような気がする。それにしても、ずっと前から素人としてはどうしても不思議なのだけど、なんで米国の裁判所に、その判断をする資格というか権限があるのか、よく分からない。誰か、教えていただけると嬉しい。
http://www.nytimes.com/2010/03/31/business/31gene.html?th&emc=th
http://www.nytimes.com/2010/03/31/business/31gene.html?th&emc=th
去年の豚インフルエンザ騒ぎの際のWHOの対応を評価するために中立の科学者らによる委員会が立ち上げられた。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/183918.php
http://www.medicalnewstoday.com/articles/183918.php
英国のNHSで、職員不足から癌の誤診や診断の遅れが患者の命にかかわる事態を招いている、との調査結果。
http://www.guardian.co.uk/society/2010/mar/30/cancer-blunders-nhs-report
http://www.guardian.co.uk/society/2010/mar/30/cancer-blunders-nhs-report
アムネスティの死刑に関する報告書で、09年に中国で死刑になった人が数千人。しかし、実態はそれをはるかに上回るのでは、と。
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/libertycentral/2010/mar/30/how-many-does-china-execute
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/libertycentral/2010/mar/30/how-many-does-china-execute
英国でおとり捜査に引っかかったペットショップのオーナーが、14歳の子どもに年齢を確かめることも世話についても確認せずに金魚を売ったとして、罰金刑に。16歳未満の子どもが保護者の付き添いなしにペットを買いに来ても売ってはいけないという法律。店にいた犬が劣悪なケアで安楽死させなければならないほど衰弱していたことも罪に問われた。未成年に対するたばこや酒の販売では、おとり捜査が行われてきたが、今後はペットの販売でも、という話。
http://www.guardian.co.uk/world/2010/mar/31/pet-shop-fined-over-goldfish
http://www.guardian.co.uk/world/2010/mar/31/pet-shop-fined-over-goldfish
2010.03.31 / Top↑
3月29日にオンラインで刊行された学会誌 Pediatrics の4月号で
米国小児科学会は臓器提供・移植に関する新たな方針
Pediatric Organ Donation and Transplantation を出した。
米国小児科学会は臓器提供・移植に関する新たな方針
Pediatric Organ Donation and Transplantation を出した。
子どもの死は突然、思いがけない形で起こることがあるために、
家族が臓器提供についても、それで救われる子どもや家族への利益についても
思いを致すことができにくいのだろう……として、
家族が臓器提供についても、それで救われる子どもや家族への利益についても
思いを致すことができにくいのだろう……として、
organ donation or transplantation should be an option for any family who may have to endure the tragedy of losing a child or having a child that may be a potential transplant recipient.
The number of children on the national transplant waiting list far exceeds the number of organs recovered and transplanted. Pediatricians, children's advocacy groups, and institutions that care for children need to promote awareness for increased organ donation and organ transplantation. In addition, pediatric medical specialists and transplant surgeons should discuss the benefits and risks of organ donation and transplantation with family members, and provide continued support during the donation process and in long-term follow-up with the donor family.
The number of children on the national transplant waiting list far exceeds the number of organs recovered and transplanted. Pediatricians, children's advocacy groups, and institutions that care for children need to promote awareness for increased organ donation and organ transplantation. In addition, pediatric medical specialists and transplant surgeons should discuss the benefits and risks of organ donation and transplantation with family members, and provide continued support during the donation process and in long-term follow-up with the donor family.
臓器を待っている子どもの数は、
実際に採取されて(recovered)移植された臓器の数よりも
はるかに上回っているのだから、
実際に採取されて(recovered)移植された臓器の数よりも
はるかに上回っているのだから、
小児科医も子どもの権利擁護団体も、子どものケアに関わる組織も
臓器提供を増やすための啓発を推進しなさい。
臓器提供を増やすための啓発を推進しなさい。
加えて、
小児科専門医と移植医は、家族に対して、
臓器提供の話を、ちゃんと持ち出しなさいよ、
小児科専門医と移植医は、家族に対して、
臓器提供の話を、ちゃんと持ち出しなさいよ、
たとえ我が子の突然の死に直面し、何も考えられず呆然自失しているような親に対しても、
その気持ちに斟酌などせず、臓器提供という選択肢があることを話し、説得しなさいよ……と。
その気持ちに斟酌などせず、臓器提供という選択肢があることを話し、説得しなさいよ……と。
harvest 刈り取られるものだったはずの臓器が、いつのまにか
recover 回収・回復されるものとなっている。
recover 回収・回復されるものとなっている。
2010.03.31 / Top↑
5年前の今日、2005年3月31日に、Theresa Marie Schindler Schiavoは死んだ。
5年を経た今、多くの人がなお、アメリカはなぜ
あんなことを許してしまったのか、理解しようとして、できないでいる。
5年を経た今、多くの人がなお、アメリカはなぜ
あんなことを許してしまったのか、理解しようとして、できないでいる。
障害があり、夫と安楽死セクトが満足するほどQOLが高くないという理由で
Terri Shiavoの命がターミネイトされた2005年3月31日、
アメリカはまた新たな低みへと沈んだ。
Terri Shiavoの命がターミネイトされた2005年3月31日、
アメリカはまた新たな低みへと沈んだ。
ある障害者団体の指導者が言ったことがある。
極右は医療や公的住居、移動支援など必要な支援をカットすることによって
「ゆっくりと苦しめながら」障害者を殺そうとしている、
極左は「さっさと殺して、それを思いやりと呼び、
おそらくは、もっと価値があるとみなされる人たちのために
金を浮かせようとしている」と。
極右は医療や公的住居、移動支援など必要な支援をカットすることによって
「ゆっくりと苦しめながら」障害者を殺そうとしている、
極左は「さっさと殺して、それを思いやりと呼び、
おそらくは、もっと価値があるとみなされる人たちのために
金を浮かせようとしている」と。
記事はその後、
5年後の現在、障害者への差別はより悪化していることを憂慮し、
Obama大統領による医療制度改革は高齢者や障害者の切り捨て施策だと痛烈に批判。
5年後の現在、障害者への差別はより悪化していることを憂慮し、
Obama大統領による医療制度改革は高齢者や障害者の切り捨て施策だと痛烈に批判。
さらに同大統領が
下院議会によるShiavoケースへの介入に同意したことについて
家族の問題に政府が関与すべきではなかったと自己批判したことに対して、
(詳細は文末のリンクに)
下院議会によるShiavoケースへの介入に同意したことについて
家族の問題に政府が関与すべきではなかったと自己批判したことに対して、
(詳細は文末のリンクに)
Shiavo事件では最初からメディアが加担して同様の世論誘導が図られてきたし、
未だに多くの人がShiavo事件の事実関係を捻じ曲げ続けて
あの事件の正当化を図っている、と追及。
未だに多くの人がShiavo事件の事実関係を捻じ曲げ続けて
あの事件の正当化を図っている、と追及。
この事件の事実関係の誤解については
私も何度、確認してもしすぎることはないと考えているので、以下に。
私も何度、確認してもしすぎることはないと考えているので、以下に。
Terriはターミナルな状態でもなければ、昏睡状態でもなかった。
呼吸器をつけていたわけでも、それ以外の機械に繋がれていたわけでもない。
彼女が生きるのに必要なのは、栄養と水分だけだった。それなのに、
12年間の間、セラピーとリハビリテーションの一切を不当にも拒否され続けたのだ。
呼吸器をつけていたわけでも、それ以外の機械に繋がれていたわけでもない。
彼女が生きるのに必要なのは、栄養と水分だけだった。それなのに、
12年間の間、セラピーとリハビリテーションの一切を不当にも拒否され続けたのだ。
「裁判所による殺人」とか「公開処刑」、wrongful deathなど
非常に激しい表現が使われている点には、ちょっと抵抗感も覚えつつ、
非常に激しい表現が使われている点には、ちょっと抵抗感も覚えつつ、
シャイボ事件は実際にはTerriさん自身の望みや家族による代理決定の問題ではなく、
実は社会保障や医療費の問題だったのだという指摘、
実は社会保障や医療費の問題だったのだという指摘、
シャイボ事件で米国社会は障害者や高齢者にかけるコストを拒み、
切り捨てる方向にかじを切ったのだという分析、
切り捨てる方向にかじを切ったのだという分析、
この5年間の安楽死論争で
compassion (共感・おもいやり)がdirty word にされてしまった
などの指摘には、うなずけるものも。
compassion (共感・おもいやり)がdirty word にされてしまった
などの指摘には、うなずけるものも。
そして、この文章から何よりも強く響いてくるのは、
これから、ますます障害者に向けて強まるであろう死への圧力への懸念と、
そのことへの強い危機感。
これから、ますます障害者に向けて強まるであろう死への圧力への懸念と、
そのことへの強い危機感。
それは、日本でも、現在ひしひしと感じられる危機感でもある。
【シャイボ事件関連エントリー】
シャイボ財団「無益な治療」批判のラジオ番組をスタート
シャイボ財団の奮闘
Obama候補がShiavo事件について発言
Shiavo事件めぐるObama発言に批判
シャイボ事件のドキュメンタリー映画:新事実も
「いまや栄養と水分は無益な治療」とテリー・シャイボさんの弟(2009/7/22)
シャイボさんの生きる権利求め闘った父、死去(2009/8/31)
シャイボさんは「ターミナルでもないのに名ばかり夫に死なされた重症障害者」(2009/8/31)
シャイボ財団「無益な治療」批判のラジオ番組をスタート
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「いまや栄養と水分は無益な治療」とテリー・シャイボさんの弟(2009/7/22)
シャイボさんの生きる権利求め闘った父、死去(2009/8/31)
シャイボさんは「ターミナルでもないのに名ばかり夫に死なされた重症障害者」(2009/8/31)
2010.03.31 / Top↑
シンガポールでも安楽死の合法化を、との声が上がっている。法学者から、というのは新しい。記事のタイトルが、あまりにもミもフタもない“まんま”の真実だけに、ぎくりとさせられる。Killing the Dying 死にゆく人を殺すこと。
http://theonlinecitizen.com/2010/03/killing-the-dying/comment-page-1/
http://theonlinecitizen.com/2010/03/killing-the-dying/comment-page-1/
英国の保健相、ケアホームは入所2年目からは無料にする、と。近く白書が出るらしい。
http://www.guardian.co.uk/society/2010/mar/30/andy-burnham-death-tax
http://www.timesonline.co.uk/tol/life_and_style/health/article7080754.ece
http://www.guardian.co.uk/society/2010/mar/30/andy-burnham-death-tax
http://www.timesonline.co.uk/tol/life_and_style/health/article7080754.ece
2月のエントリー「遺伝子に特許やるな」という米国の訴訟の続報。却下されるだろうとの大方の予測を裏切り、地方裁判所の判事は乳がんに繋がる遺伝子に特許を認めない判決を出した。しかし、このままで終わるとは思えない。
http://www.nytimes.com/2010/03/30/business/30gene.html?th&emc=th
http://www.nytimes.com/2010/03/30/business/30gene.html?th&emc=th
2007年に東京で「生命特許を考えるシンポジウム」が開かれ、生命特許に反対するアピール文が採択されていた。
http://blogs.yahoo.co.jp/monkeys2007h19/1443774.html
http://blogs.yahoo.co.jp/monkeys2007h19/1443774.html
でも、そんな日にも、遺伝子診断による心臓血管障害の治療法に特許が認められたと米国のARCA バイオファーマ企業が発表。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/183834.php
http://www.medicalnewstoday.com/articles/183834.php
スウェーデン、デンマーク、フィンランド、イスラエルでは既に非合法となっている”合法麻薬” mephedroneが、数週間のうちに英国でも非合法に。
http://www.guardian.co.uk/politics/2010/mar/29/mephedrone-ban-m-cat-miaow
http://www.guardian.co.uk/politics/2010/mar/29/mephedrone-ban-m-cat-miaow
自殺を考えている患者の治療の参考に、精神科医が本人の同意なしに患者のブログを読んでもいいものか?
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/03/29/AR2010032902942.html?wpisrc=nl_cuzhead
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/03/29/AR2010032902942.html?wpisrc=nl_cuzhead
マサチューセッツ州の高校で、3カ月に及ぶ壮絶なイジメから1年生の転校生Phoebe Princeさんが首をくくって死んだ事件で、同じ高校の16歳から18歳の男女9人を訴追。イジメ防止法が間もなく州議会を通過する見込み。教職員に対して、いじめを校長に通報することを義務付ける。他に41の州で同様の法律ができているとのこと。:26日の補遺にも英国でのティーンエジャーの集団暴行による殺人事件があったばかり。大した理由もなく、ただターゲットさえ見つければ、そこに向かって一気に噴き出さないではいないような凶暴なものが圧縮された蒸気のように満ちている。大人の中にも子どもの中にも。
http://www.nytimes.com/2010/03/30/us/30bully.html?th&emc=th
http://www.nytimes.com/2010/03/30/us/30bully.html?th&emc=th
アパルトヘイト時代の南アフリカで「同性愛は治療できる」として白人の同性愛男性に電気ショックや薬物療法を行い、人権侵害に問われたものの、その後15年前にカナダに帰国しCalgary大医学部で働いていたDr. ShockことDr. Aubrey Levinが、今度はCalgaryで男性患者への性的虐待で起訴された。他の数十人への同様の容疑でも捜査中。
http://www.guardian.co.uk/world/2010/mar/28/aubrey-levin-charged-sexually-abusing-patient
http://www.guardian.co.uk/world/2010/mar/28/aubrey-levin-charged-sexually-abusing-patient
大腸がんのスクリーニングにルーティーンで強力なCTスキャンを使うことの危険性について、科学者らからの警告があったのにもかかわらずFDAが無視してきたことが明らかに。
http://www.nytimes.com/2010/03/29/health/policy/29fda.html?th&emc=th
http://www.nytimes.com/2010/03/29/health/policy/29fda.html?th&emc=th
2010.03.30 / Top↑
Ashley事件を追いかける過程で、
いろんな人の反応を見て感じてはいたことだけど、
いろんな人の反応を見て感じてはいたことだけど、
最初に、この疑問をはっきり意識したのは、去年1月に
日本で「クローン肉の安全宣言」が出された時のことだったと思う。
日本で「クローン肉の安全宣言」が出された時のことだったと思う。
どう考えても、
長期に食べ続けても安全だという科学的エビデンスが示されているとは思えなかったし、
ネットでいろいろ検索してみても、科学者の方々の間でも
懐疑的な見方をする人が多いように思えた。
長期に食べ続けても安全だという科学的エビデンスが示されているとは思えなかったし、
ネットでいろいろ検索してみても、科学者の方々の間でも
懐疑的な見方をする人が多いように思えた。
それなのに、なぜかテレビや新聞などの、いわゆる“表”に出てくる科学者には、
ネットで「あぶない」と書いている人たちのような歯切れの良さがない。
ネットで「あぶない」と書いている人たちのような歯切れの良さがない。
科学者が出てくると、そのコメントはたいていの場合、言外に
「安全性には疑問を感じますけど、でも、なにを言ったって、
やる方向で既に決まりみたいだから、それなら……」と前置くようなニュアンスで
「少なくとも消費者が選べるように情報提供だけはしっかりしてほしい」と
せめてもの注文を出す……という路線のものが多かった。
「安全性には疑問を感じますけど、でも、なにを言ったって、
やる方向で既に決まりみたいだから、それなら……」と前置くようなニュアンスで
「少なくとも消費者が選べるように情報提供だけはしっかりしてほしい」と
せめてもの注文を出す……という路線のものが多かった。
私たち素人には、本当に安全なのかどうかという判断はできないのだから、
その判断ができる科学者の中に「あぶない」と感じている人たちがいるのなら
表に出てきて「あぶないと思う」と、はっきり言ってくれればいいのに、
その判断ができる科学者の中に「あぶない」と感じている人たちがいるのなら
表に出てきて「あぶないと思う」と、はっきり言ってくれればいいのに、
少なくとも、すべての科学者が「安全だ」と考えているわけではない
という事実が明らかになるだけでも、一般国民にとっては
1つの重要な判断材料になるはずなのに……と思ったし、
という事実が明らかになるだけでも、一般国民にとっては
1つの重要な判断材料になるはずなのに……と思ったし、
安全宣言を出した内閣府食品安全委員会の専門家ワーキンググループの座長が
実はクローン推進の旗振り役の近畿大薬学総合研究所長だという妙な事実を
関係分野の方々が知らないわけはないとも思ったのだけれど、
なぜか、そのことを指摘してくれる科学者もいなかった。
実はクローン推進の旗振り役の近畿大薬学総合研究所長だという妙な事実を
関係分野の方々が知らないわけはないとも思ったのだけれど、
なぜか、そのことを指摘してくれる科学者もいなかった。
それは、その妙な事実を“知っているにも関わらず指摘しない“のではなくて、
もしかしたら、“知っているからこそ指摘しない”のかもしれない……と
考えがそこに至ったのは、ずいぶん後になってからだったけれど。
もしかしたら、“知っているからこそ指摘しない”のかもしれない……と
考えがそこに至ったのは、ずいぶん後になってからだったけれど。
次に、同じ疑問を感じたのは、
去年の夏の脳死・臓器移植法改正議論の時。
去年の夏の脳死・臓器移植法改正議論の時。
国際競争とか市場原理とか、経済対策としての産業創出とかマーケット形成とか
本当はそういう力学によって作られている方向性だという面があって
そのことは、関連業界の人たちには、とっくに共通認識になっていて、
そして、そこに一定のリスクや問題があると感じている専門家や学者さんだって
本当はいないわけじゃない……んではないだろうか。
本当はそういう力学によって作られている方向性だという面があって
そのことは、関連業界の人たちには、とっくに共通認識になっていて、
そして、そこに一定のリスクや問題があると感じている専門家や学者さんだって
本当はいないわけじゃない……んではないだろうか。
どの問題にせよ、
たぶん、我々一般国民が広く見せられているヴァージョンとは違う物事の様相を
関係分野の専門家や学者さんたちは見ているし知っている。
たぶん、我々一般国民が広く見せられているヴァージョンとは違う物事の様相を
関係分野の専門家や学者さんたちは見ているし知っている。
知っているけど、もうその方向に流れが決まっていることも同時に知っているから
言っても無駄なことは言っても仕方がないと口をつぐんでいる……なんてことはないのだろうか?
言っても無駄なことは言っても仕方がないと口をつぐんでいる……なんてことはないのだろうか?
そういう話は科学とテクノの分野の専売特許かと思っていたら
東南アジアからの看護師・介護士の受け入れについての議論でも同じらしい……と
つい最近になって気がついた。
東南アジアからの看護師・介護士の受け入れについての議論でも同じらしい……と
つい最近になって気がついた。
「これは経済協定で、介護士の人手不足を補うものではない」とタテマエが繰り返されつつ、
その一方では「受け入れておきながら、それなりの待遇で報いないのはどうか」との
批判の声にじわじわと押される形で少しずつ制度を緩和して
結局は定着させていく方向に動いていこうとしている。
その一方では「受け入れておきながら、それなりの待遇で報いないのはどうか」との
批判の声にじわじわと押される形で少しずつ制度を緩和して
結局は定着させていく方向に動いていこうとしている。
東南アジアの国々が家事・育児・介護労働力を先進国に輸出しているのは
グローバル化した弱肉強食ネオリベ世界を生き延びるためには、
それ以外にないところに追い詰められているからであり、
輸出された人たちの欧米諸国での扱いが事実上の奴隷労働と化していることについては、
誰もが知っているはずなのに、正面から議論されることは滅多になく、
その事実は誰もが知っていながら、ないこと、知らないことにされたまま
「彼女たちはスキルアップのために日本に来る」とか
「自国の介護の素晴らしさを日本の人たちに見せるために来る」と言われ、
介護現場で働いている候補者たちが如何に素晴らしいかばかりが強調される。
グローバル化した弱肉強食ネオリベ世界を生き延びるためには、
それ以外にないところに追い詰められているからであり、
輸出された人たちの欧米諸国での扱いが事実上の奴隷労働と化していることについては、
誰もが知っているはずなのに、正面から議論されることは滅多になく、
その事実は誰もが知っていながら、ないこと、知らないことにされたまま
「彼女たちはスキルアップのために日本に来る」とか
「自国の介護の素晴らしさを日本の人たちに見せるために来る」と言われ、
介護現場で働いている候補者たちが如何に素晴らしいかばかりが強調される。
(もちろん、それが全くの嘘だと言うつもりは私もないけれど
問題は、そういうことじゃないはずだろう、と思う)
問題は、そういうことじゃないはずだろう、と思う)
先日、某所で、ある学者さんが
候補者の人たちが資格を取りやすいように
国家試験そのものを易しく変えるべきだと主張するのを聞いて、たまげた。
候補者の人たちが資格を取りやすいように
国家試験そのものを易しく変えるべきだと主張するのを聞いて、たまげた。
「だいたい看護師の国家試験に出てくる日本語は、あれは一体、日本語なんですか。
あんな難しい日本語は、私たち普通の日本人でも使わない。
褥瘡って日本語、みなさん、知っていますか? 私は知りませんでした。
褥瘡なんて、何故ふつうに“おでき”ではいけないのか。
国家試験の日本語を、我々日本人が普段使っている易しい日本語に変えていく必要がある」
あんな難しい日本語は、私たち普通の日本人でも使わない。
褥瘡って日本語、みなさん、知っていますか? 私は知りませんでした。
褥瘡なんて、何故ふつうに“おでき”ではいけないのか。
国家試験の日本語を、我々日本人が普段使っている易しい日本語に変えていく必要がある」
そのためには、現場で看護師とコミュニケーションが齟齬をきたさないよう、
医師の国家試験の日本語からも専門用語を排除して、
我々一般人が使っている普通の平易な日本語に置き換えていく必要が出てきますね。
医師の国家試験の日本語からも専門用語を排除して、
我々一般人が使っている普通の平易な日本語に置き換えていく必要が出てきますね。
「褥瘡」とは「おでき」のことだと本当に信じているような人は
看護師の国家試験を軽々しく云々すべきではないだろう、と思う。
看護師の国家試験を軽々しく云々すべきではないだろう、と思う。
もしも本当は同じでないことを知っているのだけれど知らないフリで言っているのだとしたら、
これは、いくらなんでも恥知らずな提灯の振りまわし方ではないのか? と思う。
これは、いくらなんでも恥知らずな提灯の振りまわし方ではないのか? と思う。
学者という人たちは、
この動きは、もはや止めがたいものになったらしい……と読んだら、
真実を語る口をつぐむものなのか?
この動きは、もはや止めがたいものになったらしい……と読んだら、
真実を語る口をつぐむものなのか?
ただ、口をつぐむだけでなく、
学者としての良心をかなぐり捨ててでも、その動きに自ら乗っていくものなのか?
学者としての良心をかなぐり捨ててでも、その動きに自ら乗っていくものなのか?
もしかして、その動きに乗らなければ、学者としてメジャーになれないとか――?
それは、もともと学問の世界がそういうものだったのか、
それとも昨今の世の中が学問の世界もそういうところにしてしまったということなのか、
一体どっちなんだろう?
それとも昨今の世の中が学問の世界もそういうところにしてしまったということなのか、
一体どっちなんだろう?
しかし、メディアを通じて、我々一般国民のところに届くのは、
概してメジャーになった学者さんの発言ばかりなので、
それでは我々一般国民は真実を知るすべがないことになってしまうのだけど?
概してメジャーになった学者さんの発言ばかりなので、
それでは我々一般国民は真実を知るすべがないことになってしまうのだけど?
――あ、そうか、もしかしたら、
メジャーな学者さんのいうことは提灯である可能性が大きいと
あらかじめ心得ておいた上で、ちょっと距離を置いて聞くことにする……というのも
今の時代に必要な情報リテラシーなのか……。
メジャーな学者さんのいうことは提灯である可能性が大きいと
あらかじめ心得ておいた上で、ちょっと距離を置いて聞くことにする……というのも
今の時代に必要な情報リテラシーなのか……。
Ashley事件での学者さんたちの立ち廻り方を見て
私はつくづく感じてきたのだけれど、
私はつくづく感じてきたのだけれど、
そういう学者さんだらけになっていく世界で
一番語られなければならないのに誰にも語られなくなっていくのは、
たぶん、人権……なのだ、ということも
一番語られなければならないのに誰にも語られなくなっていくのは、
たぶん、人権……なのだ、ということも
もしかしたら国を問わず、
情報リテラシーの基本として、
念頭に置いておく方がいい時代なのかもしれない。
情報リテラシーの基本として、
念頭に置いておく方がいい時代なのかもしれない。
【追記】
誤解を招きそうなので、書き足しておくと、
流れが決まってしまった中で、「それでも、やっぱり」とか「せめて」との思いで
その流れに抗うために、またはせめてものセーフガードを確保するために
熱く研究や発言を続けてくださっている学者の方々がおられることは、
Ashley事件であれ、その他の問題であれ、私も直接体験として知っているので、
「学者という人たち」と一くくりにするべきではないことは重々分かってはいるのですが、
誤解を招きそうなので、書き足しておくと、
流れが決まってしまった中で、「それでも、やっぱり」とか「せめて」との思いで
その流れに抗うために、またはせめてものセーフガードを確保するために
熱く研究や発言を続けてくださっている学者の方々がおられることは、
Ashley事件であれ、その他の問題であれ、私も直接体験として知っているので、
「学者という人たち」と一くくりにするべきではないことは重々分かってはいるのですが、
ここでは、とりあえず、それ以外の表現を思いつけなかったので、
悪しきアカデミズムと、それを象徴するような学者の方々のことだと
了解・ご寛容いただきますよう、よろしくお願いいたします。
悪しきアカデミズムと、それを象徴するような学者の方々のことだと
了解・ご寛容いただきますよう、よろしくお願いいたします。
【関連エントリー】
“現代の奴隷制” 輸出入される介護労働(2009/11/12)
事業仕訳の科学研究予算問題から考えること(2009/12/12)
「パリの女は産んでいる」から考えたこと(2010/2/23)
“現代の奴隷制” 輸出入される介護労働(2009/11/12)
事業仕訳の科学研究予算問題から考えること(2009/12/12)
「パリの女は産んでいる」から考えたこと(2010/2/23)
2010.03.30 / Top↑