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昨日のエントリーで
英国はある段階まで支援した後は、すっぱり切るのかなぁ……みたいなことを書いたばかりですが、
こんなニュースが。

英国で
現在、肺炎で集中治療を受けているテイ・サックス病の6歳の少女Amber Hartlandを巡って、
Amberは末期状態にあり、この先の治療については裁判所の判断を仰ぐことになると
病院が両親に通告したとのこと。




Amberは肺炎にかかりやすく、これまでの4年間で5回集中治療が必要になったほど。
現在も肺炎で6月26日から小児科の集中治療室に入っています。
このたび、両親は医師から今後は集中治療での救命を見合わせたいと言われたとのこと。

テイ・サックス病のため、ほぼ全身が麻痺しており、
話すことが出来ないほか、重症のてんかんもあるものの、
音声と顔の表情で意思疎通はできると両親は言っています。

Amberの介護のために両親共に仕事を辞めて、
昼間は父親が、夜間は母親が介護に当たっているとのこと。
肺炎などの病気になることは多いけれど、
その合間には楽しく暮らしていて、スペインに旅行にいった事もある、とか。

(2人が仕事を辞めた時期や生活費はどうなっているのかについては不明。)

両親が言っていることは基本的に
「まだ本人が頑張っている。
ちゃんと気持ちを表現できているし、
まだ終わりだと思えない。
助けてやって欲しい」ということで

頻繁に病気はするけれども、
テイ・サックス病で末期状態にまでなっているとは両親は考えていないようです。

医師らが家庭での生活を考慮の外におき、
病院でのAmberの姿だけから子どもの命をジャッジしている、と
両親が批判していることから推測すれば、

集中治療で肺炎さえ治れば、まだ家庭でそれなりの生活ができる状態なのに
「普通なら2、3歳までしか生きられない病気の子がここまで生きたのだし、
どうせテイ・サックス病でこの先長くは生きられないのだから、
何度も救命治療で苦しめるのも……費用もかかるし……」などと考えて
医師らが「無益な治療」論を主張しているのか、

それとも
娘がついに末期だという現実を両親が受け入れられないでいるのか。

実際、病院がこの先は集中治療を見合わせたいとする理由が
記事からははっきりしないのです。

地元のNHSトラストのmedical directorの発言をTelegraphから引くと、

うちの献身的な医療チームは質の高い温かい医療をAmberに提供しており、
常に彼女のニーズを最優先しています。

Amberは現在小児専門ICUで積極的な治療を受けており、
これからも我々は彼女の最善の利益を最優先にしていくつもりです。

そのために、現在我々は今後のAmberの治療をどうするべきかについて
裁判所に判断を求めています。

これは明らかに非常に複雑でセンシティブな状況です。
我々はこのような困難な状況に直面される全てのご両親をお気の毒に思っています。

治療に関する決定についてはご家族にしっかり相談しながら軽々には行いませんし、
困難な決断を行わなければならない時が訪れた際には
できる限りのお手伝いと支援をいたします。


「治療差し控えが本人の最善の利益だ」と遠まわしに言っているのでしょうが、
何も説明していないに等しい政治的言辞では一体その根拠が何なのかが分からない。

ある病院スタッフから「治療が本人を苦しめている」という話も出ていると
記事にはあるのですが、
肺炎そのものは治療可能な病気なのだし、
木曜日に入院した理由だった肺炎は改善しつつあるとも母親は話していて、
これでは両親が「結局お金の問題なのよね」と反発するのも無理はないような……。


これもまた
去年のテキサスのEmilio Gonzalesのケース
カナダのGolubchukのケースを髣髴とさせる事例です。
これら2つのケースでは裁判所が取りあえずの治療続行を命じて
最終的な判断を下すのに時間がかかっている間に患者が亡くなりました。

Amberの場合は現在の肺炎治療ではなく
将来的に同じようなことが起きた場合の救命治療を巡る判断であることと
記事を読み、写真を見る限りEmilioよりも意思疎通ができている印象があるので、
上記の事件とは、その2つが大きく異なっていますが、
英国の裁判所がどのような判断を下すのか、見守っていきたいと思います。
2008.07.03 / Top↑
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