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もともと自分勝手な人間が権力を握りやすいのではなくて、
権力を握ることによって、
人間は自分本位にものを考えるようになるのだとか。

そういう心理学の実験を行ったのは
Northwestern University of Kellogg School of Management。

自分の思い通りになった体験を思い出させ、
権力を行使する体験をさせた学生のグループと、

自分の思い通りにならなかった体験を思い出させ、
権力を行使される側の体験をさせた学生のグループとに、

マーカーを渡して額にEの字を書いてもらったところ、

権力を行使する体験をした学生は
自分の内側から見て正しくEになる文字を書いたのに対して、

権力を行使される体験をした学生は、
自分の正面にいる人から見てEに見える文字を書く傾向があった

という報告が Psychological Scienceに掲載された、と。
(Washington Post 11月26日)

WPの記事のタイトルも、まさしく
With Power Comes a Selfish Point of View
「権力には自分勝手な視点がついてくる」

この程度の実験ですら、
権力を体験した学生は
あっという間に他者の視点からものを見る能力を失ったのだから、

ムシャラフとかフセインなど非道な独裁者は最初から人間性に問題があって、
そういう人間だからこそ権力を握ったのだという通説は
間違っているのかもしれない、

むしろ集団というものは
多数の意見に耳を傾ける、人間関係の巧みな(socially intelligent)人をリーダーに選ぶので、
権力を握るために必要なのは他者の立場を理解する能力なのだけれども、

そういう人がいったん権力を握ると、
他者の立場を理解する能力が失われて、
ものの考え方が単純になり、
自分の利害ばかりを考えるために、
衝動的に見えるのではないか、と。

別の実験では、
自分が権力を握っていると感じるように操作された人は、
みんなで平等に食べた後1つだけ皿に残ったクッキーに
平気で手を伸ばしたそうで、

しかも、そのクッキーを口をあけたまま、
ぼろぼろとシャツにこぼしながら食べたのだとか。

権力を握ると、
他者の目に自分がどう見えるかというのも気にならなくなって、
だから愚かしいセリフを恥ずかしげもなく吐けるようになるんだとか。

……なるほど。
2007.12.09 / Top↑
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