Obama大統領の大統領生命倫理問題調査委員会のメンバー13人が選出され、
委員長にペンシルバニア大学学長Amy Gutmann氏を任命。
一問一答がWPに。
Q&A with Gutmann of Presidential Commission for Study of Bioethical Issues
The WP, June 9, 2010
非常に曖昧な答えに終始していますが、
目を引くところでは、
クリントン大統領の委員会は、立ち上げ直後にクローン牛のドリーが誕生し、
クローニングについて答申するよう求められたが、それと同じように
今回、オバマ大統領の委員会でも、立ち上げられたかというように、
Craig Venterが人造生命体を創り出した、
我々も6カ月以内にこの問題で答申するよう大統領に求められている、と。
その辺りについて、もうちょっと具体的に語ってくれと言われて
答えているのが以下。
ゴチックはspitzibara。
つまり、この人たちの仕事とは、
その分野の研究の利益とリスクを見極めて、
リスクを最小に抑えて利益が最大になるところに線引きをすること、
その線引きを政府がどのように実施すべきかを考えること……という認識と思われ、
私は、この人のことは何も知らないけど、
この部分からだけで、ちょっと知ったかぶりに言わせてもらえば、
ものすごく、いわゆるバイオエシックス(英語圏の生命倫理)的……な印象。
「利益vsリスク」というお馴染みのツールが、また使いまわされるんだろうなぁ……。
でも、
「倫理的である」ということは、
「リスクを最小にして、利益を最大にする」ことと本当にイクオールなのか。
それは、倫理的検討じゃなくて功利的検討に過ぎなくて、
「利益vsリスク」論そのものが、実際には
本当の意味での倫理検討をすっ飛ばすところから問題設定しているんじゃないのか、
……と、Ashley事件の初めから、ずっと、いつも思うことを、また考えた。
なお、The Presidential Commission for the Study of Bioethical Issuesの公式サイトはこちら。
そのトップページにあるObama大統領の言葉は以下。
【関連エントリー】
「利益vsリスク」論は前提がおかしい(2008/3/6)
「尊厳は定義なしに使っても無益な概念」をぐるぐる考えてみる(2009/6/29)
大統領生命倫理評議会の「人間の尊厳と生命倫理」と「おくりびと」(2009/6/30)
生命倫理が「治外法権的な聖域なき議論の土俵」に思えてきた(2009/07/7)
「いのちの選択」から「どうせ」を考える(2010/5/21)
あと、もしかしたら、これなんかも?
Obama政権の功利主義医療改革を懸念する記事エントリー一覧(2009/7/18)
委員長にペンシルバニア大学学長Amy Gutmann氏を任命。
一問一答がWPに。
Q&A with Gutmann of Presidential Commission for Study of Bioethical Issues
The WP, June 9, 2010
非常に曖昧な答えに終始していますが、
目を引くところでは、
クリントン大統領の委員会は、立ち上げ直後にクローン牛のドリーが誕生し、
クローニングについて答申するよう求められたが、それと同じように
今回、オバマ大統領の委員会でも、立ち上げられたかというように、
Craig Venterが人造生命体を創り出した、
我々も6カ月以内にこの問題で答申するよう大統領に求められている、と。
その辺りについて、もうちょっと具体的に語ってくれと言われて
答えているのが以下。
The president has asked us to investigate the field of synthetic biology. Not just the recent discovery but the field and related science and technology with an eye toward its benefits and risks and what ethical boundaries we would recommend as the field develops.
Ultimately, we've been asked to develop recommendations about actions that the federal government should take to maximize the benefit, minimize the risk and identify appropriate ethical boundaries.
ゴチックはspitzibara。
つまり、この人たちの仕事とは、
その分野の研究の利益とリスクを見極めて、
リスクを最小に抑えて利益が最大になるところに線引きをすること、
その線引きを政府がどのように実施すべきかを考えること……という認識と思われ、
私は、この人のことは何も知らないけど、
この部分からだけで、ちょっと知ったかぶりに言わせてもらえば、
ものすごく、いわゆるバイオエシックス(英語圏の生命倫理)的……な印象。
「利益vsリスク」というお馴染みのツールが、また使いまわされるんだろうなぁ……。
でも、
「倫理的である」ということは、
「リスクを最小にして、利益を最大にする」ことと本当にイクオールなのか。
それは、倫理的検討じゃなくて功利的検討に過ぎなくて、
「利益vsリスク」論そのものが、実際には
本当の意味での倫理検討をすっ飛ばすところから問題設定しているんじゃないのか、
……と、Ashley事件の初めから、ずっと、いつも思うことを、また考えた。
なお、The Presidential Commission for the Study of Bioethical Issuesの公式サイトはこちら。
そのトップページにあるObama大統領の言葉は以下。
As our nation invests in science and innovation and pursues advances in biomedical research and health care, it’s imperative that we do so in a responsible manner.
我が国が科学とイノヴェーションに投資し、
生命医学研究と医学の進歩を追い求める以上、
責任のあるやり方をすることが不可欠である。
【関連エントリー】
「利益vsリスク」論は前提がおかしい(2008/3/6)
「尊厳は定義なしに使っても無益な概念」をぐるぐる考えてみる(2009/6/29)
大統領生命倫理評議会の「人間の尊厳と生命倫理」と「おくりびと」(2009/6/30)
生命倫理が「治外法権的な聖域なき議論の土俵」に思えてきた(2009/07/7)
「いのちの選択」から「どうせ」を考える(2010/5/21)
あと、もしかしたら、これなんかも?
Obama政権の功利主義医療改革を懸念する記事エントリー一覧(2009/7/18)
2010.06.10 / Top↑
| Home |