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今朝の朝日新聞「私の視点」欄で紹介されていた、
カナダ「オタワ健康調査研究所」の
「高齢患者の長期経管栄養の意思決定支援ガイドライン」を探してみました。

Making Choices: Long Term Feeding Tube Placement in Elderly Patients
Division of Geriatric Medicine
Clinical Epidemiology Program
Ottawa Hospital – Civic Campus
Ottawa Health Research Institute


以下、今朝の新聞から、ざざざっと頭に浮かんだ雑駁な感想に過ぎませんが、


ざっと目を通してみて、
確かに丁寧に作られたもののようには思えるし、
聖路加看護大学助教の野田有美子氏は、これをもとに
日本の実情に合わせた改良版を作っているとのことなので、
カナダのものをそのまま持ってくるというわけでもないのだけど、

このブログを通じて、
カナダという国の医療が「無益な治療」論では最先端にあり、
医療文化そのものが「QOLの低い生は生きるに値しない」という価値意識を
たいへん濃厚にしていると思われる国だけに、
(詳細は「無益な治療」書庫に)

ここでもまた「先進国のモデルにならって」という
情報の使われ方がされることに、ちょっと抵抗がある。

そもそも日本の医療では、
ICの理念すら今だに徹底しておらず形式優先で
実はまだまだパターナリズム……という傾向が根強いと私は感じていて、

「家族の代理決定」を云々するよりはるか手前のところで、その土台となるべき
治療の実施や選択についての「自己決定」すらが確立されていないのに、
なぜか死ぬ話や治療停止や臓器提供の話でだけ
家族の代理決定のガイドラインが持ち出されてくるというのは、
ものすごく倒錯しているような印象を受ける。

すごく素朴に疑問に思うのは、

例えば、
癌治療の選択肢を前にした患者さんの意思決定支援ガイドラインとか、

脳卒中後にリハビリを打ち切られた患者さんの
非常に限られているかもしれないけど選択肢を巡る意思決定支援ガイドラインとか、

脳性マヒと診断されたばかりの子どもを持つ親への
療育や支援サービス利用選択肢を巡る意思決定支援ガイドラインとか、

ALSで在宅生活を希望している人への
その実現に向けた医療や介護の選択肢を巡る意思決定支援ガイドラインとか、

なにしろ「医療を受ける」「医療を選択する」ための
意思決定支援ガイドラインの整備の方が先のはずでは……?

でも、私が知らないだけかもしれないけど、
「受ける」「選ぶ」ための「自己決定」や「代理決定」の支援ガイドラインは
あんまり目につかなくて、

せっせと作られて出てくるのは、
医療を「やめる」「死ぬ」「死なせる」ための、
または、その方向の議論が主流となった医療に関する、
自己決定や代理決定の支援ガイドラインばっかり……。

それって、やっぱり倒錯してません?
2011.03.10 / Top↑
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