当ブログでもいくらか追いかけてきたように
米国上院のGrassley議員率いる調査はこれまでに
製薬会社と精神科医や研究者らとの恐るべき癒着ぶりを暴きだしてきましたが、
(詳細は文末にリンク)
今度は医療機器メーカーの怪しげなお金の動きをターゲットにしている模様。
つい先日のProPublicaの報道でも
米国不整脈学会や高血圧学会の周辺の関連企業との蜜月ぶりが取り上げられて
その中でGrassley議員の調査から出てきた情報が参照されていました ↓
学会が関連企業相手にショーバイする米国の医療界(2011/5/11)
今回のProPublicaの記事は
ステント・メーカーと心臓病医療との関係を取り上げています。
それによると、
ピッツバーグの病院が今年初め、141人の患者に対して
あなたの受けた血管造影とステント挿入は無用だった可能性がある、と
通知した、とのこと。
また、そんな必要もない患者500人にステントを入れたとして
医師免許のかかったヒアリングに臨むことになっている
メリーランド州の心臓専門医もいる。
さらに、別途明らかになった調査では
ガイドラインではまず薬物療法を推奨しているというのに
血管造影をやってステントを入れた患者の半数以上が
その前に薬物療法を受けていなかった、という結果が出たばかり。
どうやらステントの過剰使用は、
調査だけでなく訴訟も多発して問題となってきたらしいのだけれど、
一方、米国血管造影インターベンション学会(SCAI)の09年の歳入820万ドルの内
57%に当たる4700万ドルが医療機器会社と製薬会社からのカネ。
金額のトップ3は、ステント業界のビッグ3。
SCAIの直前会長は学会がカネをもらっているからといって
スポンサーの製品のプロモをやったりリスクを過小に言うことはないと言い、
会員が現に無用なステントを患者に使っていた事実を指摘されると、
学会は「取り締まり機関」ではない、と抗弁しつつ、重大に受け止め
不適切なステント治療を行う医師は追放処分にする、と。
なにしろステントは儲かるんだそうで、
2005年から2009年に米国のメディケアで心臓ステント挿入に支払われたのは
24万8116件で13億ドル。
ガイドラインでは、まず薬物療法を試した後に血管造影やステントを、と推奨しているが、
無用なステントへの抑制の努力はあまり行われている形跡がない。
Grassley議員は8年と09年にかけて
ステントと心臓カテーテルの最新情報を現場に流してきた心臓血管研究財団についても
調査の対象とし、関連企業から財団が提携しているコロンビア大学へのカネの流れを
ディスクローズしていないことを問題とした。
しかし、それに対して、コロンビア大は
09年に金銭的な利益の相反については新しい方針を採択してはいるが、
医師らは大学職員となる前にカネを受け取っているので
ディスクローズする必要はないと答えたとのこと。
Cardiac Society Draws Bulk of Funding From Stent Makers
ProPublica, May 13, 2011
Biedermanスキャンダルを始め、
ビッグ・ファーマと精神科医らの間であったことが
全くそのまま、ここでも繰り返されている感じがしますが、
世界中に衝撃が走った、あのBiedermanスキャンダルから3年の間に
次々に同様のスキャンダルが暴かれ続けているというのに
その一切が日本では微塵も報道されないのは、一体なぜ?????
【Grassley議員の調査など関連エントリー】
抗ウツ剤めぐる研究者と製薬会社の癒着スキャンダル報告書(米国)(2008/11/17)
抗ウツ剤めぐる研究者と製薬会社の癒着スキャンダル報告書 Part2(2008/11/23)
今度はラジオの人気ドクターにスキャンダル(2008/11/23)
FDAの科学者ら「認可審査あまりにも杜撰」と内部告発(2009/1/15)
製薬会社がゴーストライターに書かせた論文でエビデンス作り(2009/8/8)
【いわゆる“Biedermanスキャンダル”関連エントリー】
著名小児精神科医にスキャンダル(2008/6/8)
著名精神科医ら製薬会社からのコンサル料を過少報告(2008/10/6)
Biederman医師にさらなる製薬会社との癒着スキャンダル(2008/11/25)
Biederman医師、製薬業界資金の研究から身を引くことに(2009/1/1)
【その他関連エントリー】
子どもへの抗精神病薬でFDAと専門家委員会が責任なすり合い(2008/11/19)
FDAと製薬会社の訴訟つぶしに待った(2009/3/5)
米国上院のGrassley議員率いる調査はこれまでに
製薬会社と精神科医や研究者らとの恐るべき癒着ぶりを暴きだしてきましたが、
(詳細は文末にリンク)
今度は医療機器メーカーの怪しげなお金の動きをターゲットにしている模様。
つい先日のProPublicaの報道でも
米国不整脈学会や高血圧学会の周辺の関連企業との蜜月ぶりが取り上げられて
その中でGrassley議員の調査から出てきた情報が参照されていました ↓
学会が関連企業相手にショーバイする米国の医療界(2011/5/11)
今回のProPublicaの記事は
ステント・メーカーと心臓病医療との関係を取り上げています。
それによると、
ピッツバーグの病院が今年初め、141人の患者に対して
あなたの受けた血管造影とステント挿入は無用だった可能性がある、と
通知した、とのこと。
また、そんな必要もない患者500人にステントを入れたとして
医師免許のかかったヒアリングに臨むことになっている
メリーランド州の心臓専門医もいる。
さらに、別途明らかになった調査では
ガイドラインではまず薬物療法を推奨しているというのに
血管造影をやってステントを入れた患者の半数以上が
その前に薬物療法を受けていなかった、という結果が出たばかり。
どうやらステントの過剰使用は、
調査だけでなく訴訟も多発して問題となってきたらしいのだけれど、
一方、米国血管造影インターベンション学会(SCAI)の09年の歳入820万ドルの内
57%に当たる4700万ドルが医療機器会社と製薬会社からのカネ。
金額のトップ3は、ステント業界のビッグ3。
SCAIの直前会長は学会がカネをもらっているからといって
スポンサーの製品のプロモをやったりリスクを過小に言うことはないと言い、
会員が現に無用なステントを患者に使っていた事実を指摘されると、
学会は「取り締まり機関」ではない、と抗弁しつつ、重大に受け止め
不適切なステント治療を行う医師は追放処分にする、と。
なにしろステントは儲かるんだそうで、
2005年から2009年に米国のメディケアで心臓ステント挿入に支払われたのは
24万8116件で13億ドル。
ガイドラインでは、まず薬物療法を試した後に血管造影やステントを、と推奨しているが、
無用なステントへの抑制の努力はあまり行われている形跡がない。
Grassley議員は8年と09年にかけて
ステントと心臓カテーテルの最新情報を現場に流してきた心臓血管研究財団についても
調査の対象とし、関連企業から財団が提携しているコロンビア大学へのカネの流れを
ディスクローズしていないことを問題とした。
しかし、それに対して、コロンビア大は
09年に金銭的な利益の相反については新しい方針を採択してはいるが、
医師らは大学職員となる前にカネを受け取っているので
ディスクローズする必要はないと答えたとのこと。
Cardiac Society Draws Bulk of Funding From Stent Makers
ProPublica, May 13, 2011
Biedermanスキャンダルを始め、
ビッグ・ファーマと精神科医らの間であったことが
全くそのまま、ここでも繰り返されている感じがしますが、
世界中に衝撃が走った、あのBiedermanスキャンダルから3年の間に
次々に同様のスキャンダルが暴かれ続けているというのに
その一切が日本では微塵も報道されないのは、一体なぜ?????
【Grassley議員の調査など関連エントリー】
抗ウツ剤めぐる研究者と製薬会社の癒着スキャンダル報告書(米国)(2008/11/17)
抗ウツ剤めぐる研究者と製薬会社の癒着スキャンダル報告書 Part2(2008/11/23)
今度はラジオの人気ドクターにスキャンダル(2008/11/23)
FDAの科学者ら「認可審査あまりにも杜撰」と内部告発(2009/1/15)
製薬会社がゴーストライターに書かせた論文でエビデンス作り(2009/8/8)
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著名小児精神科医にスキャンダル(2008/6/8)
著名精神科医ら製薬会社からのコンサル料を過少報告(2008/10/6)
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Biederman医師、製薬業界資金の研究から身を引くことに(2009/1/1)
【その他関連エントリー】
子どもへの抗精神病薬でFDAと専門家委員会が責任なすり合い(2008/11/19)
FDAと製薬会社の訴訟つぶしに待った(2009/3/5)
2011.05.15 / Top↑
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