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ついこの前、英国で潜入ルポ番組が知的障害者施設の施設ぐるみの虐待を暴いて首相官邸が介入するほどの騒ぎになったと思ったら、米国でも自閉症の13歳の少年の死をきっかけにNYTが調査を行い、NYの9つの障害児・者施設の、こちらも施設ぐるみというか「まるでカルト教団のように」既に施設内の文化となりはてた、おぞましい虐待と、その隠ぺい体質を詳細に報道している。:今日エントリーにしようと思って長大な記事を昨夜プリントアウトして読んだのだけど、私自身が重い障害のある子どもを施設に入れている身なので、あまりの事態にいろんな思いに惑乱して記事にするどころではない精神状態に陥った。それほどに酷い。

虐待の実態も酷いし、経営サイドの姿勢も酷いし、行政の監督姿勢も酷いのだけど、低賃金で休みなしに働かなければ食べていけない直接処遇職員の労働条件や、無資格で資質を欠き犯罪歴や施設の失職歴まであるようなスタッフで補充せざるを得ない職場の状況が、まるで、そこに米国の弱肉強食社会の矛盾が寄せ集められているかのようで。強者が弱者を、その弱者がさらに自分よりも弱いものを、と階層をたどって連鎖していく「弱い者いじめ」の構図。その連鎖の最後のところに、強者から順々に踏みつけにされるすべての階層の人の痛みや憂さのはけ口として、言葉を持たない無抵抗の障害児・者がいる。そのことの惨さ――。

科学とテクノで簡単解決文化や、そこから派生する能力至上の価値観や、その背景にあるお金さえ儲かれば人の命なんてどうでもいいかのような新自由主義経済や、それらを正当化する功利主義のあからさまな弱者切り捨て論などが、結局は人の心をここまで荒廃させているのではないのか、と。

ただ、これだけは追記しておかなければならないけど、NY州と連邦政府とで、障害児・者施設にはメディケアから1人当たり年額で140万ドル、日本円にしてざっと1000万円が下りている。実際にはその中から近隣のグループ・ホームなどに回っている部分もあるようだけれど、カネが使われていないから起こっていることとも思えない。ただ、それがなぜ人件費に回らないのか。……そこで、「失業者がいっぱい出ているから、そういう人を介護に回せばいい」という日本で聞いた声が頭に浮かんだ……。
http://www.nytimes.com/2011/06/06/nyregion/boys-death-highlights-crisis-in-homes-for-disabled.html?_r=1&nl=todaysheadlines&emc=tha23


先月、the Human Bodyという番組で癌患者の男性が幇助を受けて自殺する映像を流して物議をかもしたBBCが、今度は70歳の重病のある男性が毒物を飲んでソファで倒れる映像を放送することに。ここでもプレゼンターは作家のTerry Pratchett。:前回の放送については当ブログでは4月26日の補遺などで拾っている。
http://www.mirror.co.uk/celebs/tv/2011/06/07/assisted-suicide-to-be-shown-on-bbc-115875-23184586/

テリー・シャイボ財団がKevorkian医師の死に際して声明を発表。
http://www.lifenews.com/2011/06/06/terri-schiavos-family-jack-kevorkian-was-obsessed-with-death/

デトロイトのカトリック組織からも同医師の死に際して声明。
http://stlouisreview.com/article/2011-06-06/catholics-pray-jack

以下の人のブログによると、Kevorkian医師の半生を描いたHBOの映画“You Don’t Know Jack”は、日本でもWOWOWで放送されていたらしい。邦題は「死を処方する男ジャック・ケヴォーキアンの真実」だそうな。K医師の真実はKevorkian医師の“患者”の6割はターミナルではなかった?ことにあると私は思うけど、日本であの映画がこんなタイトルで流されてしまうこと自体が、これもまた既にできたシナリオに沿って物事が進められていく感触。そこではもはや本来の真実であるはずの事実関係は問題にならない。そして人々は、この映画を見てこんなにもたやすく「意見」を形成していく。
http://blogs.yahoo.co.jp/steelleaf89/25546262.html

10歳から24歳の間のウツ、統合失調症、双極性障害などの精神障害が、多大なグローバルな負担となっている、とLancetでWHOの研究者らが。この年齢層では、死のリスクよりも障害リスクの方が大きい、予防プログラムに力を入れる必要がある、予防で重視すべきは安全なセックス、避妊、鉄欠乏症、とアルコール。:Lancet とWHOとくるとIHMEがらみか……と思ったら、やっぱりGlobal Burden of Diseaseの論文だった。つまり背後にいるのはお馴染みゲイツ財団。いかにも薬臭い記事……という読み方もできないわけでもないですが、読み方によっては、いっそ死ぬのなら負担にはならないが障害リスクだから余計に負担が大きいではないか、とも。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/227449.php

昨日の補遺(3番め)で拾ったニュースの別ヴァージョンかもしれないけど、ゲイツ財団の音頭によってビッグ・ファーマがロタ・ウィルス・ワクチンを値下げ。:ゲイツ財団はあちこちのビッグ・ファーマの株主さんなんだから、慈善パフォーマンスでわざわざ音頭をとってみせて、それに企業が賛同して値下げするような回りくどいやり方をしなくても、企業の内部で株主として値下げを求めれば済むことなのでは?
http://www.medicalnewstoday.com/articles/227626.php

Guardianも、ビッグ・ファーマがこぞって値下げしている一方で、途上国にワクチンを届けるための資金が未だ22億ポンドも不足している、と。:でも、そうやって世界中からかき集めたお金で届けられたワクチンが、11カ国で大量にどこかへ消えていたりもすることの不思議。ちなみに、Guardianもゲイツ財団のメディア・コントロール傘下。
http://www.guardian.co.uk/society/2011/jun/06/vaccine-price-cuts-aid-agencies?CMP=EMCGT_070611&

英国で、テロリストを発見する役割を医師に求めようとの動き。英国医師会は守秘義務にもとる、と懸念。:これも一種の「医療化」? どこまでゆくのか、英国のビッグ・ブラザー化?
http://www.guardian.co.uk/politics/2011/jun/06/doctors-identify-potential-terrorists-plans?CMP=EMCGT_070611&

「アメリカ帝国の衰退と終焉」。Guardianの経済欄の編集長。:「文化の腐敗、構造の弱点、金融依存」というのが印象的。その米国の病、でもグローバルに伝染しているのでは?
http://www.guardian.co.uk/business/2011/jun/06/us-economy-decline-recovery-challenges?CMP=EMCGT_070611&

肥満はアルツハイマー病リスクの一つだが、胃のバンディング手術の後で体重が減ると、アルツハイマー病の遺伝子の発現が変わる。:だからアルツハイマー病予防で肥満の人は胃のバンディング手術を……?
http://www.medicalnewstoday.com/releases/227544.php
2011.06.09 / Top↑
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