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前の4つのエントリーで読んできた論文の著者、
Alicia Quellette がこうした論文による考察をさらに進めて、

生命倫理学と障害者コミュニティの歩み寄りを模索・提言する著書を上梓しています。


Bioethics and Disability: Toward a Disability-Conscious Bioethics (Cambridge Disability Law and Policy Series)
Alicia Quellette


Amazonの内容説明は

Bioethics and Disability provides tools for understanding the concerns, fears and biases that have convinced some people with disabilities that the health care setting is a dangerous place and some bioethicists that disability activists have nothing to offer bioethics. It wrestles with the charge that bioethics as a discipline devalues the lives of persons with disabilities, arguing that reconciling the competing concerns of the disability community and the autonomy-based approach of mainstream bioethics is not only possible, but essential for a bioethics committed to facilitating good medical decision making and promoting respect for all persons, regardless of ability. Through in-depth case studies involving newborns, children and adults with disabilities, it proposes a new model for medical decision making that is both sensitive to and sensible about the fact of disability in medical cases.

障害のある人の中には医療現場は危険なところだと信じ込んでいる人がいる一方、生命倫理学者の中には障害者運動の活動家から学ぶことなど何もないと考えている人がいる。そう考えさせてしまう背景にある懸念や不安や偏見を理解するためのツールを提供するのが本書である。

生命倫理学は原理的に障害者の生の価値を認めていないとの批判を考察し、障害者コミュニティの懸念と自己決定権アプローチを基本とするメインストリーム生命倫理学との競合関係を調整することは、可能であるだけでなく、生命倫理が良質な医療決定を支援し、障害の有無を問わずあらゆる人を尊重していくために、不可欠なことでもある、と説く。

本書は、障害のある新生児、子ども、成人に関わるケースを詳細に検証することを通じて、医療において障害という事実をきちんと踏まえ、その事実に即した意思決定ができるよう新たなモデルを提言する。




5月18日に出されて、あちこちのメディアに出ているリリースは以下 ↓

Professor Quellette’s New Book Seeks to Unite Disability Rights Advocates with Bioethicists to Improve Quality of Lilfe for People with Disabilities


この中で引用されているQuelletteの言葉で
私が強く惹かれるのは、

「交通事故で四肢まひになり、人工呼吸器をつけることになった男性が、
病院のICUとナーシング・ホームで何カ月も外とは孤絶したまま
生きる気力をなくしました。

彼は裁判所に訴えて、人工呼吸器のスイッチを切る権利を認められました。

生命倫理学者たちは、自分の命を終わらせる選択は彼本人のものだと主張しましたが
そこに障害を巡る専門家らが介入し、家で生活しながら働く手段を見つけ出しました。
彼の生活は改善し、彼はついに呼吸器のスイッチを切らない決断をしたのです」

「生命倫理学者、障害者の権利アドボケイト、医師と看護師が一緒に考えることによって、
障害の向こうに、このケースのように、もっと大きな絵を見ることが出来ます。

そうすれば、誰にとってもQOLがポジティブなものであるような
適切かつ包括的な治療・処遇を作り出していくことができます」
2011.06.22 / Top↑
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