子どものワクチン接種に懐疑的な親が少数ながら着実に増えていることは
米国で麻疹の流行がぶり返していることもあって、
ずいぶん前から米国で議論になっている。
そんな中、
シカゴのNorthwestern Children’s Practice (NCP)の8人の小児科医など一部の小児科医から、
CDCと小児科学会推奨スケジュール通りにワクチン接種をしていない子どもの
診療を拒否する動きが出ている。
この記事でずっとコメントを延々と引用されているのはDouglas S. Diekema医師。
D医師はゲイツ財団と密接な関係にあるシアトルこども病院の所属であり、
ワクチン打たせない親には法的責任を問えとまで主張するほど
実はワクチン推進派なのだけど、この記事での発言はあざといほどに中立的で
彼の発言の要旨は、
確かにここ10年、米国の親の中にワクチン拒否が広がっているのは事実だけれど、
ワクチン懐疑の発端となった自閉症ワクチン犯人説のWakefield論文をLancetが抹消してから
1年以上が経過しているので、この傾向がどこまで広がるかは
まだ様子を見ないと分からない。
ワクチン拒否が医師を深く懸念させているのは事実で
教育と説得にも応じない親の場合、診療の対象から外したことのある医師が5~10%いる。
ただ、小児科学会もイリノイ支部も以下のように
スケジュール通り接種していない子にも診療は提供し、
関係を継続する中で親の説得を続けるよう求めている。
"Families with doubts about immunization should still have access to good medical care, and maintaining the relationship in the face of disagreement conveys respect and at the same time allows the child access to medical care," the AAP policy states. "Furthermore, a continuing relationship allows additional opportunity to discuss the issue of immunization over time."
で、D医師の結論は、
「小児科医は、ワクチン接種しないことのリスクを親に理解させる努力をもっとしなければ。
今の親は、こういう病気の直接体験が少ないのだから」と。
Some pediatricians taking stand for vaccine program
The Chicago Tribune, July 6, 2011
シカゴのNCPが6月1日に施行したワクチン方針本文はこちら。
「医療提供者として、我々には出来る限り多くの子どもを病気から守る責任があります」。
また「多くの場合、ワクチンは
開発されてからルーティーンで使われるようになるまでに
少なくとも10年の検査期間を経ている」とも書かれていますが
う~ん……でも、
HPVワクチンは異様に短期間で認可されたという話だったような……。
それに「ワクチンの10年」祭りと、その経済施策としての意味合いを考えると、
これから数年の間に次々に開発されるといわれる新ワクチンは
HPVワクチンと同じくらいのスピードで認可されていくんじゃないかという予感も
私個人的にはあったりもして、
この記事でも指摘されているように
最も多くの親が拒絶しているのがHPV子宮頸がんワクチンであるということは、
Wakefield論文が招いた不信から親が拒絶している……という時代は実はもう終わっていて、
むしろビッグ・ファーマと研究者やFDAとの癒着など、向精神薬スキャンダルに象徴されるような
ワクチンの周辺や背景にある、もっと構造的な問題に対して
今の親は不信を募らせている……ってことじゃないのかなぁ……?
それについて、去年書いてみたのがこちら ↓
「米国のワクチン不信と、そこから見えてくるもの」を書きました(2010/7/5)
Wakefield論文抹消の前後の報道については、以下の補遺に ↓
2010年1月28日の補遺
(Wakefield医師って、裁判にもなっているらしい)
2010年6月10日の補遺
(英国で「これから次々に新しいワクチンが開発され、安全性が確立されていくのに備えて、個人レベルで人々の不安に対処すべく医療職がちゃんと意識を持つよう教育しなければならん、そもそも医療職でちゃんと季節性インフルエンザの予防接種を受けているのが7人に1人以下とは何事か」の声)
2011年1月6日の補遺
(BMJの論文がLancetの論文抹消を受けてWakefield叩き)
2011年1月14日の補遺
(Wakefieldの論文抹消に関するNYTの社説)
2011年1月21日の補遺
(DiekemaらがLancetの論文で改めてWakefield叩き)
2011年1月23日の補遺
(NYTがWakefield論文以前からワクチン不信はあった、と指摘)
米国で麻疹の流行がぶり返していることもあって、
ずいぶん前から米国で議論になっている。
そんな中、
シカゴのNorthwestern Children’s Practice (NCP)の8人の小児科医など一部の小児科医から、
CDCと小児科学会推奨スケジュール通りにワクチン接種をしていない子どもの
診療を拒否する動きが出ている。
この記事でずっとコメントを延々と引用されているのはDouglas S. Diekema医師。
D医師はゲイツ財団と密接な関係にあるシアトルこども病院の所属であり、
ワクチン打たせない親には法的責任を問えとまで主張するほど
実はワクチン推進派なのだけど、この記事での発言はあざといほどに中立的で
彼の発言の要旨は、
確かにここ10年、米国の親の中にワクチン拒否が広がっているのは事実だけれど、
ワクチン懐疑の発端となった自閉症ワクチン犯人説のWakefield論文をLancetが抹消してから
1年以上が経過しているので、この傾向がどこまで広がるかは
まだ様子を見ないと分からない。
ワクチン拒否が医師を深く懸念させているのは事実で
教育と説得にも応じない親の場合、診療の対象から外したことのある医師が5~10%いる。
ただ、小児科学会もイリノイ支部も以下のように
スケジュール通り接種していない子にも診療は提供し、
関係を継続する中で親の説得を続けるよう求めている。
"Families with doubts about immunization should still have access to good medical care, and maintaining the relationship in the face of disagreement conveys respect and at the same time allows the child access to medical care," the AAP policy states. "Furthermore, a continuing relationship allows additional opportunity to discuss the issue of immunization over time."
で、D医師の結論は、
「小児科医は、ワクチン接種しないことのリスクを親に理解させる努力をもっとしなければ。
今の親は、こういう病気の直接体験が少ないのだから」と。
Some pediatricians taking stand for vaccine program
The Chicago Tribune, July 6, 2011
シカゴのNCPが6月1日に施行したワクチン方針本文はこちら。
「医療提供者として、我々には出来る限り多くの子どもを病気から守る責任があります」。
また「多くの場合、ワクチンは
開発されてからルーティーンで使われるようになるまでに
少なくとも10年の検査期間を経ている」とも書かれていますが
う~ん……でも、
HPVワクチンは異様に短期間で認可されたという話だったような……。
それに「ワクチンの10年」祭りと、その経済施策としての意味合いを考えると、
これから数年の間に次々に開発されるといわれる新ワクチンは
HPVワクチンと同じくらいのスピードで認可されていくんじゃないかという予感も
私個人的にはあったりもして、
この記事でも指摘されているように
最も多くの親が拒絶しているのがHPV子宮頸がんワクチンであるということは、
Wakefield論文が招いた不信から親が拒絶している……という時代は実はもう終わっていて、
むしろビッグ・ファーマと研究者やFDAとの癒着など、向精神薬スキャンダルに象徴されるような
ワクチンの周辺や背景にある、もっと構造的な問題に対して
今の親は不信を募らせている……ってことじゃないのかなぁ……?
それについて、去年書いてみたのがこちら ↓
「米国のワクチン不信と、そこから見えてくるもの」を書きました(2010/7/5)
Wakefield論文抹消の前後の報道については、以下の補遺に ↓
2010年1月28日の補遺
(Wakefield医師って、裁判にもなっているらしい)
2010年6月10日の補遺
(英国で「これから次々に新しいワクチンが開発され、安全性が確立されていくのに備えて、個人レベルで人々の不安に対処すべく医療職がちゃんと意識を持つよう教育しなければならん、そもそも医療職でちゃんと季節性インフルエンザの予防接種を受けているのが7人に1人以下とは何事か」の声)
2011年1月6日の補遺
(BMJの論文がLancetの論文抹消を受けてWakefield叩き)
2011年1月14日の補遺
(Wakefieldの論文抹消に関するNYTの社説)
2011年1月21日の補遺
(DiekemaらがLancetの論文で改めてWakefield叩き)
2011年1月23日の補遺
(NYTがWakefield論文以前からワクチン不信はあった、と指摘)
2011.07.08 / Top↑
| Home |