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前のエントリーで触れている英国保健省のグリーンペーパーについては
いつもの「介護保険情報」に書いていたのを思い出したので、
とても簡単なまとめですが、これを機に以下に。

英国保健省から「社会ケア緑書」
ナショナル・ケア・サービス創設を提言

英国保健省が今年の春に予定していた社会ケア緑書=グリーンペーパー(3月号の当欄で一部既報)が、7月14日に Shaping the Future of Care Together とのタイトルで発表された。

緑書はまず英国の成人(高齢者と障害者)の介護サービスの現状について、地方自治体ごとの施策に負うため、限られた資源が最もニーズの大きな人に集中して多くの人がサービスを受けられていない、ケアホームに入所すると持ち家を売らなければならない事態も生じている、などと問題点を整理。今後、高齢化に伴って2026年には介護の必要な成人が170万人に達する見込みであることから、抜本改革として英国初のNational Care Service(NCS)創設を提言する。

国民の様々な権利を保障し、一人ひとりが自分のニーズに応じた介護と支援を受け、自分の望むところで望むとおりの暮らしを営めるようにエンパワーするべく、掲げられるNCSのサービス理念とは以下の6つ。①介護予防サービス、②全国同一アセスメント、③多様なサービスの連携、④情報とアドバイス、⑤本人が選択できる個別のケアと支援、⑥公平な財源。

緑書は、これら理念の実現に向け、他職種協働を可能にする作業班を作りサービス統合に向けた制度を見直すなど、具体的な施策方針をいくつか挙げた上で、万人に公平でシンプルで財政的に維持可能なNCSの創設に向けて、財源の選択肢として3つのモデルを提示する。

(1)パートナーシップ。介護と支援コストの3分の1を政府が負担する。所得の低い人には負担割合を上げる。

(2)任意加入の保険制度。介護と支援コストの4分の1から3分の1を政府が負担し、残りを支払いやすくするために希望者が保険に入れるようにする。

(3)強制加入の保険制度。国民全員が費用を負担する代わりに、介護と支援が必要となった人は支払い能力に関わりなく無料でサービスを利用する。保険料は資産額に応じて決まるが、資産の限度額までは基本保険料とし、65歳以上の保険料は下げる。

現在、65歳以上の高齢者1人当たり介護費用の平均は3万ポンド。これを基準に試算すると、任意保険の場合でも、強制保険制度の基本的な負担額でも、だいたい2万ポンド程度になる。なお、全額自費方式はサービスを受けられない人が出て公平を欠くとの理由で、全額税方式は現役世代への負担が大きすぎるとして、ともに選択肢から外された。

これら理念、施策方針、財源モデルについて保健省は7月14日から11月13日の間、国民から広く意見募集(コンサルテーション)を行い、その結果を来年、白書によって発表する。

「介護保険情報」2009年9月号
「世界の介護と医療の情報を読む 39」(p.81)
2009.12.03 / Top↑
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