この衝撃的なNYTの記事を書いているのはMinnesota大学の生命倫理学者。
こういう生命倫理学者もいると知ると、ほっとしますが、
それにしてもショッキングな「タネまき治験」の実態――。
「タネまき治験」とは表向きは通常の治験を装いつつ、
その実、既に認可されていて、さらに治験を行う必要もない薬を
ただ医師らに周知させるためのマーケッティング戦略として行われるもので、
通常、数百人の医師を選んで参加させ、
リクルートした患者一人当たりで報酬が支払われる。
研究期間が長くなれば、それだけ医師はその薬に馴染んで、
研究終了後にも処方する確率が上がる。それが狙い。
しかし、
科学的な必要もメリットもほとんどない研究に参加させられる患者の中には
犠牲になる人もある。
例えば先月、内科学会誌に報告された
Pfizerによるてんかんの治療薬 Neurontinの「タネまき実験」では、
研究者らが未熟だったことに加えて研究デザインにも問題があり、
2700人の被験者の内、11人が死に、73人以上が「深刻な副作用」を経験したという。
それでも大きなニュースになることもなく、懲罰も謝罪もなく
国の生命倫理委員会が調査に入るという動きもない。
その理由1つは「タネまき治験」に過ぎないから。
そんな「タネまき治験」がこのところ急増しているという。
しかし、DFAが「タネまき治験」は研究とみなさないので、
恐ろしいことに、どの程度行われているか実態は誰にも分からない。
例えば、2004年度の抗うつ薬Lexaproの「マーケティング計画」では、
「マーケティング戦略」の項目に102件のフェーズ4治験が挙げられている。
(「タネまき治験」は登録上はフェーズ4として扱われる)
また、メルク社のやった悪名高いAdvantage実験なるものもある。
訴訟の文書によると
メルク社のマーケッティング部門が行った鎮痛剤Vioxxの「タネまき治験」Advantageは
考案も運用もメルク社のマーケティング部によるものだった。
3人の被験者が死に、5人が心臓マヒをおこした。
それでもVioxxが認可済みであり違法な治験ではないことから、
DFAはこれを研究スキャンダルとはみなさず、
タネまき治験の憂慮すべき実態が明らかになっても懲罰も行っていない。
私はぜんぜん読めていないけど、
Advantage実験についてはこちら。
どうやら、あれこれ曰くつきの骨粗鬆症がらみ?
かつて、治験は研究機関が行うものだったが、
1990年代から製薬会社は民間に請け負わせてコスト削減を図り始めた。
そこで、治験を進める動機が知見から利益へと移っていく。
それにつれて、被験者の人権を守るための機関であるはずの組織内審査委員会IRBまでが
それ自体が営利団体となり、果ては研究のスポンサーによって雇われる始末。
あるIRBの審査が厳しければ、別のIRBの審査を受ければよい、というのが実情。
連邦政府が被験者保護のための規制を見直すといっているが
IRBには膨大なカネが絡んだグローバルな民間企業の研究を監督する力がないことを
そろそろ正面から認めて、金銭的にも政治的にも独立した監査システムを作るべきだ、と
著者は提言している。
記事タイトルは「何の役にも立たない研究、リアルな害」。
Useless Studies, Real Harm
The New York Times, July 28, 2011
IRBが既に民間企業の営利事業になって、
研究対象になる薬や技術の販売元が直接雇っていたり、
カネによってどうにでも影響・操作できる存在に堕している実態の詳細は
2007年に以下の事件で読み、衝撃を受けた記憶があります ↓
遺伝子治療で死者(2007/8/6)
遺伝子治療で死者 続報(審査委員会は民間企業?)(2007/8/7)
死者出た遺伝子治療実験に再開許可(2007/1126)
以下は、関係があるかもしれないエントリー ↓
GSKが日本で7~17歳を対象にパキシルの臨床実験、現在“参加者をリクルート”中(2010/6/12)
ゲイツ財団がコークとマックに投資することの怪、そこから見えてくるもの(2011/3/9)
(ビッグ・ファーマが途上国を人体実験場にしている実態が、ここに少し)
“エレファントマン薬物実験”の怪(2008/6/30)
ファイザー製薬ナイジェリアの子どもに違法な治験、11人が死亡(2009/2/1)
こういう生命倫理学者もいると知ると、ほっとしますが、
それにしてもショッキングな「タネまき治験」の実態――。
「タネまき治験」とは表向きは通常の治験を装いつつ、
その実、既に認可されていて、さらに治験を行う必要もない薬を
ただ医師らに周知させるためのマーケッティング戦略として行われるもので、
通常、数百人の医師を選んで参加させ、
リクルートした患者一人当たりで報酬が支払われる。
研究期間が長くなれば、それだけ医師はその薬に馴染んで、
研究終了後にも処方する確率が上がる。それが狙い。
しかし、
科学的な必要もメリットもほとんどない研究に参加させられる患者の中には
犠牲になる人もある。
例えば先月、内科学会誌に報告された
Pfizerによるてんかんの治療薬 Neurontinの「タネまき実験」では、
研究者らが未熟だったことに加えて研究デザインにも問題があり、
2700人の被験者の内、11人が死に、73人以上が「深刻な副作用」を経験したという。
それでも大きなニュースになることもなく、懲罰も謝罪もなく
国の生命倫理委員会が調査に入るという動きもない。
その理由1つは「タネまき治験」に過ぎないから。
そんな「タネまき治験」がこのところ急増しているという。
しかし、DFAが「タネまき治験」は研究とみなさないので、
恐ろしいことに、どの程度行われているか実態は誰にも分からない。
例えば、2004年度の抗うつ薬Lexaproの「マーケティング計画」では、
「マーケティング戦略」の項目に102件のフェーズ4治験が挙げられている。
(「タネまき治験」は登録上はフェーズ4として扱われる)
また、メルク社のやった悪名高いAdvantage実験なるものもある。
訴訟の文書によると
メルク社のマーケッティング部門が行った鎮痛剤Vioxxの「タネまき治験」Advantageは
考案も運用もメルク社のマーケティング部によるものだった。
3人の被験者が死に、5人が心臓マヒをおこした。
それでもVioxxが認可済みであり違法な治験ではないことから、
DFAはこれを研究スキャンダルとはみなさず、
タネまき治験の憂慮すべき実態が明らかになっても懲罰も行っていない。
私はぜんぜん読めていないけど、
Advantage実験についてはこちら。
どうやら、あれこれ曰くつきの骨粗鬆症がらみ?
かつて、治験は研究機関が行うものだったが、
1990年代から製薬会社は民間に請け負わせてコスト削減を図り始めた。
そこで、治験を進める動機が知見から利益へと移っていく。
それにつれて、被験者の人権を守るための機関であるはずの組織内審査委員会IRBまでが
それ自体が営利団体となり、果ては研究のスポンサーによって雇われる始末。
あるIRBの審査が厳しければ、別のIRBの審査を受ければよい、というのが実情。
連邦政府が被験者保護のための規制を見直すといっているが
IRBには膨大なカネが絡んだグローバルな民間企業の研究を監督する力がないことを
そろそろ正面から認めて、金銭的にも政治的にも独立した監査システムを作るべきだ、と
著者は提言している。
記事タイトルは「何の役にも立たない研究、リアルな害」。
Useless Studies, Real Harm
The New York Times, July 28, 2011
IRBが既に民間企業の営利事業になって、
研究対象になる薬や技術の販売元が直接雇っていたり、
カネによってどうにでも影響・操作できる存在に堕している実態の詳細は
2007年に以下の事件で読み、衝撃を受けた記憶があります ↓
遺伝子治療で死者(2007/8/6)
遺伝子治療で死者 続報(審査委員会は民間企業?)(2007/8/7)
死者出た遺伝子治療実験に再開許可(2007/1126)
以下は、関係があるかもしれないエントリー ↓
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(ビッグ・ファーマが途上国を人体実験場にしている実態が、ここに少し)
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2011.08.13 / Top↑
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