意思決定能力のある患者本人も家族も知らない内にDNR(蘇生無用)指定にされ、
本人が「自分は蘇生を望む」と意思表示をしたものの
再びDNR指定がカルテに復活。
家族が病院側に抗議している間に亡くなってしまった
英国のJanet Traceyさんのケースについて、
前に補遺で拾って気になりながら、そのままになっていたのですが
我らがSavuちゃんの「“無益な治療”論はマヤカシだから配給制に」発言を機に、
ちゃんと読んでみました。
Traceyさんの事件の詳細は以下の法律事務所のサイトにあります。
Leigh Day serve judicial review and human rights challenge to use of Do Not Resuscitate Orders
Leigh Day & Co. Solicitors, August 30, 2011
Leigh Day事務所は、夫から依頼されて
Traceyさんが入院した病院を管轄するNHSトラストと保健相に向け、
法的調査と人権侵害の訴えを起こし、
トラストのDNR指定のやり方は違法であるとの宣言と同時に、
現在はトラストごとにバラつきのあるDNR指定について
全国一律のガイダンスを専門職向けにではなく患者と家族向けに出すよう
求めているとのこと。
Janet Traceyさんは
今年2月初頭に肺がんと診断され、化学療法を受けることになった。
ところが治療が始まる数日前の2月19日、
交通事故に遭い、Addenbrooke’s 病院に搬送される。
この間、Janetさんは一貫して自己決定能力を有していたのだけれど、
2月27日にJanetさんのカルテにはDNR指定が書きこまれた。
それに気づいたJanetさんと娘の一人が病院のスタッフに対して
それは本人の意思に反する、まだ生きられると考え蘇生を望んでいる、と申し入れをした。
翌日、夫も別の娘と一緒に病院の相談支援室を訪れ、
妻のDNR指定について懸念を話した。
ところが3月5日、Janetさんのカルテには
2度目のDNR指定が書きこまれる。
Janetさんは7日に死去。
弁護士事務所では、本人も家族も知らない内にDNR指定が行われたことは
1998年の人権法で保護されたJanetさんの人権侵害であると考えている。
現在の英国の方針は非常にあいまいで、
一方で患者の権利を「絶対」視しながら
最終決定は医師が行うものとしており、
共通のガイドラインが存在しないために、
同じ症状でも病院によって対応がばらついている。
保健相もDNRに関する方針はトラストごとの判断で、とのスタンス。
そのため、患者や家族には
DNR指定について基本的な方針や情報すら提供されていないのが現状だという。
【関連エントリー】
“終末期”プロトコルの機械的適用で「さっさと脱水・死ぬまで鎮静」(英)(2009/9/10)
肺炎の脳性まひ男性に、家族に知らせずDNR指定(英)(2011/8/3)
上記の8月3日の記事には
「英国では病院側がDNR指定をする際に家族への通知は無用」と書かれています。
これが上記の「トラストによって方針にバラつきがある」ということでしょうか。
また同様の事件として、
カナダでは、Annie Farlow事件がありました。
本人が「自分は蘇生を望む」と意思表示をしたものの
再びDNR指定がカルテに復活。
家族が病院側に抗議している間に亡くなってしまった
英国のJanet Traceyさんのケースについて、
前に補遺で拾って気になりながら、そのままになっていたのですが
我らがSavuちゃんの「“無益な治療”論はマヤカシだから配給制に」発言を機に、
ちゃんと読んでみました。
Traceyさんの事件の詳細は以下の法律事務所のサイトにあります。
Leigh Day serve judicial review and human rights challenge to use of Do Not Resuscitate Orders
Leigh Day & Co. Solicitors, August 30, 2011
Leigh Day事務所は、夫から依頼されて
Traceyさんが入院した病院を管轄するNHSトラストと保健相に向け、
法的調査と人権侵害の訴えを起こし、
トラストのDNR指定のやり方は違法であるとの宣言と同時に、
現在はトラストごとにバラつきのあるDNR指定について
全国一律のガイダンスを専門職向けにではなく患者と家族向けに出すよう
求めているとのこと。
Janet Traceyさんは
今年2月初頭に肺がんと診断され、化学療法を受けることになった。
ところが治療が始まる数日前の2月19日、
交通事故に遭い、Addenbrooke’s 病院に搬送される。
この間、Janetさんは一貫して自己決定能力を有していたのだけれど、
2月27日にJanetさんのカルテにはDNR指定が書きこまれた。
それに気づいたJanetさんと娘の一人が病院のスタッフに対して
それは本人の意思に反する、まだ生きられると考え蘇生を望んでいる、と申し入れをした。
翌日、夫も別の娘と一緒に病院の相談支援室を訪れ、
妻のDNR指定について懸念を話した。
ところが3月5日、Janetさんのカルテには
2度目のDNR指定が書きこまれる。
Janetさんは7日に死去。
弁護士事務所では、本人も家族も知らない内にDNR指定が行われたことは
1998年の人権法で保護されたJanetさんの人権侵害であると考えている。
現在の英国の方針は非常にあいまいで、
一方で患者の権利を「絶対」視しながら
最終決定は医師が行うものとしており、
共通のガイドラインが存在しないために、
同じ症状でも病院によって対応がばらついている。
保健相もDNRに関する方針はトラストごとの判断で、とのスタンス。
そのため、患者や家族には
DNR指定について基本的な方針や情報すら提供されていないのが現状だという。
【関連エントリー】
“終末期”プロトコルの機械的適用で「さっさと脱水・死ぬまで鎮静」(英)(2009/9/10)
肺炎の脳性まひ男性に、家族に知らせずDNR指定(英)(2011/8/3)
上記の8月3日の記事には
「英国では病院側がDNR指定をする際に家族への通知は無用」と書かれています。
これが上記の「トラストによって方針にバラつきがある」ということでしょうか。
また同様の事件として、
カナダでは、Annie Farlow事件がありました。
2011.09.16 / Top↑
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