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カナダの中でも独自に先進的な動きがあるケベック州では
以下のエントリーで眺めてきたように、去年から
尊厳死に関する特別委員会が州民の意見聴取を行っていました。

カナダ・ケベック州医師会が自殺幇助合法化を提言(2009/7/17)
スコットランド、加・ケベック州で自殺幇助について意見聴取(2010/9/8)


分析・公表しているのが安楽死反対グループなので、
そこのところがちょっと保留ではあるものの、
口頭でまたは文書で寄せられた427の意見の集計結果が報じられており、

安楽死をまあ支持してもいいと考える人と強く支持する人を合わせても34%のみ。

60%は安楽死への道を開くことに反対で、
99%が終末期の緩和ケアの重要性を認識。

Living With Dignityは、非常に重要な指摘をしています。

安楽死に賛成と述べた約3割の回答の中身を詳細に見ていくと、
コミッションにより死に至らせる積極的安楽死と
無益な治療を差し控えるオミッションによる消極的安楽死の区別がついていない人があり、

「支持すると答えた多くの人は、実際には過剰医療に反対しているのです」と
Living With Dignityの会長。

Submissions to Quebec committee overwhelmingly reject euthanasia, assisted suicide
The Interim, December 27, 2011


ずっと当ブログで書いているように
私は日本の終末期医療を巡る議論の一番の問題点もここなんじゃないかと思う。

多くの人が安楽死支持の発言を繰り返しているけれど、

「安楽死・尊厳死を認めましょう」という人が言っていることの中身は
「苦痛を与えるばかりで本人のためにならない過剰医療は止めよう」に思える。

それなら
過剰医療と、個々のケースでの慎重かつ丁寧なアセスメントと意思決定の問題であって、
安楽死の問題ではないのだから、

安易に「安楽死」や「尊厳死」を云々する前に
「過剰医療の問題」をきっちりと事実に基づいて議論するべきでは、と思う。


【関連エントリー】
在宅医療における終末期の胃ろうとセデーション(2010/10/6)
日本の尊厳死合法化議論を巡る4つの疑問(2010/10/28)
朝日新聞の「どうせ治らないなら延命はしませんよね、あなた?(2010/11/5)
「私は余計なことをせずに死なせてほしい(丁寧なケアはしてもらえないのだから)(2011/9/13)
2011.12.29 / Top↑
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