英国の知的障害者チャリティMencapが2007年に
医療職の知的障害に対する無知と無関心によって知的障害者が死んでいる、として
Death by Indifferenceという報告書を取りまとめ、
それが医療オンブズマンの調査と処罰に結び付いたことは、
以下のエントリーでまとめました。
「医療の無関心が助かる知的障害者を死なせている」報告受け調査へ(英)(2009/1/27)
「医療における障害への偏見が死につながった」オンブズマンが改善を勧告(2009/3/31)
オンブズマン報告書を読んでみた:知的障害者に対する医療ネグレクト
Markのケース:知的障害者への偏見による医療過失
Martinのケース:知的障害者への偏見による医療過失
Mencapはその後も
医療現場での知的・精神障害者に対する偏見と差別をなくすキャンペーンを続けながら、
知的障害のある患者への理解を進め、コミュニケーションを改善すべく
NHSスタッフに十分な研修を行うよう求めている。
Mencapはこのたび、新たに
過去10年間にNHSの病院で亡くなった知的障害者74人のケースについて
病院側の過誤や患者の苦痛に対する無知・無関心によるものと指摘し、
NHSには障害のある患者に対する組織的差別がある、と糾弾。
Mencapの幹部は
「74人のケースから、
NHSはまだまだ知的障害者の治療の仕方を分かっていないことは明らかで、
驚くべきネグレクトと尊厳無視のオンパレード。
NHSの組織的差別の結果、救命可能な知的障害者が死んでいるのだ」
指摘を受け、保健省のPaul Burstowケア・サービス大臣は懸念はもっともだとして、
知的障害者の避けることのできた死や時期尚早だった死について極秘調査を行うと同時に、
知的障害者への医療改善に焦点化した監督機関に予算をつける、とも。
極秘調査はイングランド南西部の5つのプライマリー・トラストで
知的障害のある患者の死亡事例を全て調査し、
NHSで治療流に死を避けるために他にできることがあったかどうかを調べた上で
2013年に大臣らに答申する予定。
調査を率いるDr. Pauline Heslopは
「知的障害者にはその他の患者と同じように
タイムリーで適切かつ個々のニーズに合わせたケアを受ける権利があり、
その権利が疑われたりネグレクトされるのは許しがたいことです」
NHSの幹部らもMencapの報告書を詳細に検討する、と。
NHS accused over deaths of disabled patients
The Guardian, January 2, 2011
【関連エントリー】
医療職の無知が障害者を殺す?(2008/4/23)
知的障害者の腎臓がんを1年もほったらかし、でもメディアが騒ぐと即、手術(豪)(2010/7/1)
「心の病は、誰が診る?」を読む(2011/10/7)
ウチの娘が腸ねん転で手術を受けた時の医療側の差別的対応について
冒頭のMarkのケースのエントリーを始め、いくつかのエントリーで書いているのですが、
上記去年10月7日の「心の病は、誰が診る?」のエントリーでは以下のように書きました。
「腸ねん転の重症重複障害児」を巡って入所施設と総合病院の外科・小児科との連携は
「送りました」「引き受けました」でしかなく、
あとは全てが医療機関間と診療科間の力・上下関係と、
各機関、各診療科、各医師のメンツとプライドの問題となってしまう。
患者は障害について無知な医療スタッフによって無用な苦しみを強いられているのに、
家族の言うことは「素人が何をエラソーに」とバカにして聞く耳を持たないし
分からないくせにメンツとプライドが邪魔をして知っている側に聞くこともしない、
知っている側も送ってしまえば口を出せない垣根が張り巡らされて、それはつまり
「患者本人のために何がよいかを正しく見つけ出そう」という姿勢が誰にもない、ということ。
あれでは本当に命にかかわる。
死ななければいいという問題でもないし。
宮岡氏が「精神疾患に関して一番偏見が強いのは、実は一般の方ではなくて
精神科医以外の医療スタッフ」(P.87)と指摘しているのは、
重症児を巡っても全く同じだった、というのが私の切実な体験。
「重症児なんか、いつ何が起きるか分からないから、
とにかく余計なことは一切やりたくない」外科医は、
腸ねん転の手術直後に痛み止めの座薬すら入れてくれない。
重症児の細い血管に点滴を入れるだけの技術を持たない医師は、
中心静脈にラインを取る決断も経管栄養の決断すらせず放置。
「これでは、なぶり殺しにされる」と私は本気で恐怖した。
ああいう垣根だけは、早急に何とかしてほしい。
医療職の知的障害に対する無知と無関心によって知的障害者が死んでいる、として
Death by Indifferenceという報告書を取りまとめ、
それが医療オンブズマンの調査と処罰に結び付いたことは、
以下のエントリーでまとめました。
「医療の無関心が助かる知的障害者を死なせている」報告受け調査へ(英)(2009/1/27)
「医療における障害への偏見が死につながった」オンブズマンが改善を勧告(2009/3/31)
オンブズマン報告書を読んでみた:知的障害者に対する医療ネグレクト
Markのケース:知的障害者への偏見による医療過失
Martinのケース:知的障害者への偏見による医療過失
Mencapはその後も
医療現場での知的・精神障害者に対する偏見と差別をなくすキャンペーンを続けながら、
知的障害のある患者への理解を進め、コミュニケーションを改善すべく
NHSスタッフに十分な研修を行うよう求めている。
Mencapはこのたび、新たに
過去10年間にNHSの病院で亡くなった知的障害者74人のケースについて
病院側の過誤や患者の苦痛に対する無知・無関心によるものと指摘し、
NHSには障害のある患者に対する組織的差別がある、と糾弾。
Mencapの幹部は
「74人のケースから、
NHSはまだまだ知的障害者の治療の仕方を分かっていないことは明らかで、
驚くべきネグレクトと尊厳無視のオンパレード。
NHSの組織的差別の結果、救命可能な知的障害者が死んでいるのだ」
指摘を受け、保健省のPaul Burstowケア・サービス大臣は懸念はもっともだとして、
知的障害者の避けることのできた死や時期尚早だった死について極秘調査を行うと同時に、
知的障害者への医療改善に焦点化した監督機関に予算をつける、とも。
極秘調査はイングランド南西部の5つのプライマリー・トラストで
知的障害のある患者の死亡事例を全て調査し、
NHSで治療流に死を避けるために他にできることがあったかどうかを調べた上で
2013年に大臣らに答申する予定。
調査を率いるDr. Pauline Heslopは
「知的障害者にはその他の患者と同じように
タイムリーで適切かつ個々のニーズに合わせたケアを受ける権利があり、
その権利が疑われたりネグレクトされるのは許しがたいことです」
NHSの幹部らもMencapの報告書を詳細に検討する、と。
NHS accused over deaths of disabled patients
The Guardian, January 2, 2011
【関連エントリー】
医療職の無知が障害者を殺す?(2008/4/23)
知的障害者の腎臓がんを1年もほったらかし、でもメディアが騒ぐと即、手術(豪)(2010/7/1)
「心の病は、誰が診る?」を読む(2011/10/7)
ウチの娘が腸ねん転で手術を受けた時の医療側の差別的対応について
冒頭のMarkのケースのエントリーを始め、いくつかのエントリーで書いているのですが、
上記去年10月7日の「心の病は、誰が診る?」のエントリーでは以下のように書きました。
「腸ねん転の重症重複障害児」を巡って入所施設と総合病院の外科・小児科との連携は
「送りました」「引き受けました」でしかなく、
あとは全てが医療機関間と診療科間の力・上下関係と、
各機関、各診療科、各医師のメンツとプライドの問題となってしまう。
患者は障害について無知な医療スタッフによって無用な苦しみを強いられているのに、
家族の言うことは「素人が何をエラソーに」とバカにして聞く耳を持たないし
分からないくせにメンツとプライドが邪魔をして知っている側に聞くこともしない、
知っている側も送ってしまえば口を出せない垣根が張り巡らされて、それはつまり
「患者本人のために何がよいかを正しく見つけ出そう」という姿勢が誰にもない、ということ。
あれでは本当に命にかかわる。
死ななければいいという問題でもないし。
宮岡氏が「精神疾患に関して一番偏見が強いのは、実は一般の方ではなくて
精神科医以外の医療スタッフ」(P.87)と指摘しているのは、
重症児を巡っても全く同じだった、というのが私の切実な体験。
「重症児なんか、いつ何が起きるか分からないから、
とにかく余計なことは一切やりたくない」外科医は、
腸ねん転の手術直後に痛み止めの座薬すら入れてくれない。
重症児の細い血管に点滴を入れるだけの技術を持たない医師は、
中心静脈にラインを取る決断も経管栄養の決断すらせず放置。
「これでは、なぶり殺しにされる」と私は本気で恐怖した。
ああいう垣根だけは、早急に何とかしてほしい。
2012.01.13 / Top↑
| Home |